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対峙
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その一言でその場にいた貴族は自分の座る席に移動する。俺たちレステンクール家も同じように移動し始める。またバレロナ様の隣には妻のシレイ様、そしてナーシャがいた。俺の姿を見つけると彼女は微笑み返してくる。
...今の俺は笑えているのだろうか?
さっきまでとは違う切り替えの早さ、それはここにいる貴族全員が持っていた。
全員が座った所で再びバレロナ様が進行し始める。
「では、今回の経済状況、街の発展についてそれぞれ報告してもらう。
まず――」
そして、それぞれの男爵の貴族が話し始める。
先程言った、経済状況、街の発展、さらに今後に課題など、包み隠さず報告をしている。俺はその間、ペレク家の連中の方をずっと凝視していた。
と言っても男爵の当主、ゼノロアとその息子、レドしかいないがな。
ゼノロア・ペレク
俺たちと同じ、男爵家でその身にまとったシルクの服が、彼の肥満した体型をさらに強調していた。その髪は灰色に染まり、顔には金貨とワインの多い生活のしわが刻まれておりそして彼の貴族的な風格は、彼が誇りを持って伝える血統を証明するようなものだった。
故に他の男爵家のことは見下しており、特にアクセルの父マエルのことはリア―ヌの件もあり気に入らず、なにかとちょっかいをかけてくる。これだけならまだマシな部類だろう。だが、裏では、経費の横領、奴隷契約、禁止にされている魔法薬の持ち込みなどこの国としてはあってはならない所業を平気でしているもはや救いようもない貴族だ。
レド・ペレク
父同様に特徴的な腹をしており、子供ながらその腹は父のゼノロアと並んでも負けないほどで、その髪も父同様の灰色に染まっており、その短い髪そこそ彼らの象徴と言ってもいいだろう。彼もまた、貴族としても誇りを持っているのか他の貴族を見下している。
市民であれば、ゴミという認識を持っているのか、自分の領の者なら平気でいたぶったり、ひどい時は屋敷に連れて行っては、身体を傷つけたり、ストレス発散として弄んだりと...父同様のクソ野郎である。
なぜこんな奴らが貴族なのか疑うほどだ...いや元々買収されている貴族共も多かったからこの国の貴族そのものを疑わなければならないかもしれない。
そんなことを思いながらも他にもおそらく関係あるであろう、イベルアート家の人達や貴族を見回しながら少し考える
(...おそらくセミカ本人はともかくその両親はまだなにも関与していない。今回一緒に来たのも偶然だろうな。ただなにかしら身代わりにさせられるかもしれない。セミカの目的は姉さんを殺すことだろうしな、そこまで考えてないだろう。後は...ここの貴族の大半は奴らに買収されてるな。ローレンスの資料に見たことある奴ばかりだ
...ったく、どうなってんだよここの貴族共は)
「....それぞれの状況は理解した。ではなにか申したい者はいるか?」
どうやら一段落は終わったらしい。正直全く聞いてなかったから、早く終わったと感じた。とそんな風に感じてると...ゼノロアが手を挙げてるのが見えた。
「少しいいですかな、バレロナ殿?」
「...なにかな、ゼノロアよ?」
一瞬、顔を顰めたがすぐに切り替え、彼に答えた。そして答えて良いと解釈したのだろう、ゼノロアはその場から立ち上がり悠々と発言した。
「最近、この国での魔石が減少中なのはご存じでありましょう?」
「...それがどうしたのだ?」
どうやらこの国の今の問題である魔石不足についてらしい。
そう、最近この国は急な魔石不足が今のこの国の課題になっている。
魔石というのは魔素が取り込んだ鉱石で
この世界でいう電気だと認識すればいい。
よく聞くのは、魔物の核に存在したり、希少な鉱脈にあると言われているが、この世界でもそれと同じだ。
何が言いたいって言うとつまり、この国の魔物の数が急激に減少中なのだ。
被害が少ないと考えれば、それまでだが、この世界での魔石というのは結構希少だ。
それで一つの国を動かせるほどには。
まぁそれもそうだろうな、それで作られるのが属性剣だったり、魔導具のような希少な物だ。
そんな貴重な資源が無くなりそうになっているのはこの国でも非常に由々しい問題だ。
「私達ゼノロア家ならばその問題を今すぐに解決できるという話を持ってきたのです」
「...ほう?」
耳を傾ける。きっとまたややこしいことを言うのだと思ったのだろう、真面目な話に意外に思いつつも表情が鋭いものになるのが分かった。
「具体的には?」
「我が友の中に魔石の取引をしてくれる者がいます。その人物に駆け寄れば、きっと解決できるかと」
「この国の魔石を用意できると、そう言いたいのか?それに一時的ではだめだ、継続的に続けなければ意味がない....そなたの知り合いならそれができるとでも?」
「はい、私に任せていただければぜひ...」
あたかも自分ならばその問題を解決できると、そのように言うゼノロア
....よく言うよ、自分がそうさせたくせによ。
きっと奴の中に隠れている魔族の仕業だな。魔族の中には魔物を操れる者もたまにいる。
魔法薬を作れたり、魔物を操ったり....多彩な奴らなのが魔族という奴らだ。
「...ならば後日、その者に一度会いたいのだが...」
「申し訳ありませんバレロナ殿、私でなければ信用できないとのことです...」
「......」
少し迷っているだろう。この話を断れば、また魔石の問題について考えなければならない。今の話を採用すればおそらくだが、解決できるだろう。
だが、この話を持ちかけたのはあのペレク家だ。
貸しを作れば一体何をするかが分からない人物、その人物の話を簡単に信用できるほど彼は甘くない。
「...少し、いいですか?」
すると隣で声が聞こえた。その声の主は...父、マエルだ。
「...なんですかな?マエル殿?今、私はバレロナ殿とお話をしているのですが?」
マエルと分かった瞬間、ゼノロアの表情が嫌悪感たっぷりの目で彼を睨む。
しかし、それに臆さないのが俺の父上だ。それ簡単に受け流し、バレロナさまに目を向ける。
「なにか意見があると?」
「...その魔石不足ですが...すぐに解決できるかもしれません」
その言葉に周りはざわめき始める。ゼノロアの発言はバカバカしく感じたのか、誰も聞いていなかったが、マエルの言葉とすれば別だ。これも信用の差ということか。
バレロナ様の目は期待を込めたものに、ゼノロアの目線はさらに鋭いものになる。
「...申してみよ」
「はい、実は王都に来てから少し私の部下にこの地域の調査を命じた所、魔石のある鉱脈がある可能性がある場所があるとのことです」
「なっ...」
これにはゼノロアも予想外だったのだろう。そんな反応するのも仕方ない。
普通の人物なら見つけられない所にあるんだからな。
まぁ魔女組には造作もないことだったらしいが。
実は二人にこの国周辺の魔石鉱脈を探して欲しいと頼んだのだ。実際、ペレク家の連中なら魔石の横領も視野に入れただろうから防ぐために少し対策させてもらった。
その結果...いとも簡単に見つかったっていうことらしい。
そしてそれを父上に報告して、ジークに頼んで本当にあるか、確かめてもらった。普通そんな簡単に見つかるものなのかとも思ってびっくりしたが、実際あったのだから疑いの余地がない。
「これがその資料でございます」
するとアルマン兄上がバレロナ様に資料を渡してくる。それをパラパラと一通り読んでいる。
「……そなたの父は立派な男だな」
「はい…自慢の父ですので。それに……自慢の弟もいますから」
「ほう…そうか…」
そんな会話が小声だが、耳に入ってくる。
次の瞬間、何故か俺の方を見てくる。口元をニヤリとしながらなので対応にとても困ってしまう……とりあえず会釈をしておく。
「あい分かった。下がって良い」
アルマン兄上にバレロナ様に会釈をして自分の席に座る。その時何故か兄上が俺にウインクをしてきた……くそっイケメンだから似合うのが腹立つな。
「マエル殿、この件に関してはまた話し合おう……よくやった」
「ありがとうございます」
「……さて、なにか一言あるか?ゼノロア殿?」
「……いえ、なんでもありません」
これには流石に反論も出来ない。
父が嘘をつくとも思えないと考えてるのだろう、それにもしここで騒げば他の貴族から疑惑の目が生まれる……余計に動けないのだろうな。
座った際、こちらを恨めしそうに睨んできた……まぁそんなの気にしないが。
一方、レドの方を見ていると……なにかを食べながら付き添いのメイドの胸を揉み回している……こいつ……
メイドの表情を見ると…とても嫌そうにしてるのがよく分かった。ただ何も言えないのだろうな。帰った後に何をされるかが分からないから……くそっもどかしいな。
男貴族はそれを羨ましそうに見て、女貴族は軽蔑な色を宿して見ている。
あんまりソフィアに見せない方がいいなと思って彼女の方を見ると……何故か俺の方をずっと見ている。ん?
「……お兄様……優雅にこの国の問題を解決するその姿……素敵です……」
……なんか、眼中にないらしい。
どうやらさっきのことについて俺が解決したと思っているらしい。全くの誤解だ。
「ふふっ…流石、私のアクセルね。こんなの朝飯前って感じかしら?かっこいいわ」
そして隣を見ると腕を組みながら頭を何度も上下に頷き、そんな言葉を吐いている姉、マリアの姿も目に入る。
だから誤解だって……まぁいいのかな?
………いや良くない。だってさっき二人に言い寄ってきた貴族たちからの視線がどうにも殺気を含んでるとしか思えない。
ため息をついて再びペレク家の連中に目をやると……レドの視線がソフィアやマリアに向いてるのが分かった。
……こいつ、まさか
その視線に嫌な予感を感じさせながら、男爵会議は、終了を迎えた。
◇
男爵会議終了後はそのまま解散ではなく
パーティーがあるのだ。
どうやら、他貴族との交流を深める目的があるらしい。会議前のあれは違うようだ。
一応俺たちはそのパーティーに参加するとのことだが、ひとまずは解散している。
父と母と兄はカロナイラ家の人たちと先ほどの魔石鉱脈についての話を、姉と妹はさっきみたいに男貴族に言い寄られている。
どうやら諦めが悪いらしい。だが、いいぞ。
そのままあの二人の心を掴んでくれ、じゃなきゃ本当に結婚しない気がするから……
それで俺はというと…まぁ今は一人で落ち着いて机に並んである食べ物を取って食べている。
どれもこれも、中々食べたことがないものだから少し食べるのに夢中になってしまった。
しばらくそうしていると、俺の耳に嫌いな奴の声が入ってくる。
「…少し、良いかな?」
…っ!
………後ろを振り向くと…目の前にいたのは
そのデカい腹が特徴のゼノロアが立っていた。
「…なんでしょうか、ゼノロア様」
なんとか殺気を抑え、平常心を保ちつつ答える。
「いやなに、ここらでマエル殿の血縁者がいないのだからな、今暇そうにしている君に話しかけたのだよ。アクセルくん」
「いやいや見事なものだ。俺も中々にいい案を出したつもりだが、まさか魔石鉱脈を見つけてくるとは」
「いえ、偶然の結果ですよ。運が味方についただけです」
「アクセル君は謙虚だね。父そっくりだ」
そう言いながらハハハと笑っているが……その見え隠れした嫉妬と憎悪は隠しきれてないぞ?
「…それで、私に何か用でしょうか?」
「あぁ、そうだったそうだった。少しマエル殿に伝言を頼みたいと思ってね」
そう言いながら俺に何か封筒のような物を渡してくる。
「これは?」
「わが盟友、イベルアート家からの招待状だ。出来れば家族全員で来てくれると彼らは喜ぶと思うよ」
では、と言い放ってゼノロアは去っていった。
……とうとう仕掛けてきた、か。
その封筒を大事にしまいつつゼノロアの後ろ姿を見送る。何故かその背中にはこう告げているようにしか思えなかった。
お前らはこれで終わりだ、と
「………ハッ、終わらせるかよ」
その背中を背に俺も歩いて行く。
終わる?ハハッそれはこちらの台詞だ。
お前らこそ足がすくわれないといいな?
「……ん?あれは…ソフィアに姉さん…それにナーシャも?」
何故かその三人が揃ってることに不思議に思う。だってさっきまであの姉妹、もみくちゃにされてたぞ?
だが、今見てみるとまるで遠ざけてるかのように避けられてる…?
よく見ると他にもう一人彼女らの目の前にいるようで、その三人と相対している人物を見ると…………チッまたかよ。
その人物はゼノロアの息子、レドである。
だが、何故三人に?
……………おい、まさか
その予感が的中するかのようにレドは言い放った。
「お前ら全員、僕の嫁になれ」
「「「……は?」」」
………やはり、か
彼女らの呆気ともとれる言葉が吐き出され、
俺はその光景を見てついには頭を抱えてしまった。
...今の俺は笑えているのだろうか?
さっきまでとは違う切り替えの早さ、それはここにいる貴族全員が持っていた。
全員が座った所で再びバレロナ様が進行し始める。
「では、今回の経済状況、街の発展についてそれぞれ報告してもらう。
まず――」
そして、それぞれの男爵の貴族が話し始める。
先程言った、経済状況、街の発展、さらに今後に課題など、包み隠さず報告をしている。俺はその間、ペレク家の連中の方をずっと凝視していた。
と言っても男爵の当主、ゼノロアとその息子、レドしかいないがな。
ゼノロア・ペレク
俺たちと同じ、男爵家でその身にまとったシルクの服が、彼の肥満した体型をさらに強調していた。その髪は灰色に染まり、顔には金貨とワインの多い生活のしわが刻まれておりそして彼の貴族的な風格は、彼が誇りを持って伝える血統を証明するようなものだった。
故に他の男爵家のことは見下しており、特にアクセルの父マエルのことはリア―ヌの件もあり気に入らず、なにかとちょっかいをかけてくる。これだけならまだマシな部類だろう。だが、裏では、経費の横領、奴隷契約、禁止にされている魔法薬の持ち込みなどこの国としてはあってはならない所業を平気でしているもはや救いようもない貴族だ。
レド・ペレク
父同様に特徴的な腹をしており、子供ながらその腹は父のゼノロアと並んでも負けないほどで、その髪も父同様の灰色に染まっており、その短い髪そこそ彼らの象徴と言ってもいいだろう。彼もまた、貴族としても誇りを持っているのか他の貴族を見下している。
市民であれば、ゴミという認識を持っているのか、自分の領の者なら平気でいたぶったり、ひどい時は屋敷に連れて行っては、身体を傷つけたり、ストレス発散として弄んだりと...父同様のクソ野郎である。
なぜこんな奴らが貴族なのか疑うほどだ...いや元々買収されている貴族共も多かったからこの国の貴族そのものを疑わなければならないかもしれない。
そんなことを思いながらも他にもおそらく関係あるであろう、イベルアート家の人達や貴族を見回しながら少し考える
(...おそらくセミカ本人はともかくその両親はまだなにも関与していない。今回一緒に来たのも偶然だろうな。ただなにかしら身代わりにさせられるかもしれない。セミカの目的は姉さんを殺すことだろうしな、そこまで考えてないだろう。後は...ここの貴族の大半は奴らに買収されてるな。ローレンスの資料に見たことある奴ばかりだ
...ったく、どうなってんだよここの貴族共は)
「....それぞれの状況は理解した。ではなにか申したい者はいるか?」
どうやら一段落は終わったらしい。正直全く聞いてなかったから、早く終わったと感じた。とそんな風に感じてると...ゼノロアが手を挙げてるのが見えた。
「少しいいですかな、バレロナ殿?」
「...なにかな、ゼノロアよ?」
一瞬、顔を顰めたがすぐに切り替え、彼に答えた。そして答えて良いと解釈したのだろう、ゼノロアはその場から立ち上がり悠々と発言した。
「最近、この国での魔石が減少中なのはご存じでありましょう?」
「...それがどうしたのだ?」
どうやらこの国の今の問題である魔石不足についてらしい。
そう、最近この国は急な魔石不足が今のこの国の課題になっている。
魔石というのは魔素が取り込んだ鉱石で
この世界でいう電気だと認識すればいい。
よく聞くのは、魔物の核に存在したり、希少な鉱脈にあると言われているが、この世界でもそれと同じだ。
何が言いたいって言うとつまり、この国の魔物の数が急激に減少中なのだ。
被害が少ないと考えれば、それまでだが、この世界での魔石というのは結構希少だ。
それで一つの国を動かせるほどには。
まぁそれもそうだろうな、それで作られるのが属性剣だったり、魔導具のような希少な物だ。
そんな貴重な資源が無くなりそうになっているのはこの国でも非常に由々しい問題だ。
「私達ゼノロア家ならばその問題を今すぐに解決できるという話を持ってきたのです」
「...ほう?」
耳を傾ける。きっとまたややこしいことを言うのだと思ったのだろう、真面目な話に意外に思いつつも表情が鋭いものになるのが分かった。
「具体的には?」
「我が友の中に魔石の取引をしてくれる者がいます。その人物に駆け寄れば、きっと解決できるかと」
「この国の魔石を用意できると、そう言いたいのか?それに一時的ではだめだ、継続的に続けなければ意味がない....そなたの知り合いならそれができるとでも?」
「はい、私に任せていただければぜひ...」
あたかも自分ならばその問題を解決できると、そのように言うゼノロア
....よく言うよ、自分がそうさせたくせによ。
きっと奴の中に隠れている魔族の仕業だな。魔族の中には魔物を操れる者もたまにいる。
魔法薬を作れたり、魔物を操ったり....多彩な奴らなのが魔族という奴らだ。
「...ならば後日、その者に一度会いたいのだが...」
「申し訳ありませんバレロナ殿、私でなければ信用できないとのことです...」
「......」
少し迷っているだろう。この話を断れば、また魔石の問題について考えなければならない。今の話を採用すればおそらくだが、解決できるだろう。
だが、この話を持ちかけたのはあのペレク家だ。
貸しを作れば一体何をするかが分からない人物、その人物の話を簡単に信用できるほど彼は甘くない。
「...少し、いいですか?」
すると隣で声が聞こえた。その声の主は...父、マエルだ。
「...なんですかな?マエル殿?今、私はバレロナ殿とお話をしているのですが?」
マエルと分かった瞬間、ゼノロアの表情が嫌悪感たっぷりの目で彼を睨む。
しかし、それに臆さないのが俺の父上だ。それ簡単に受け流し、バレロナさまに目を向ける。
「なにか意見があると?」
「...その魔石不足ですが...すぐに解決できるかもしれません」
その言葉に周りはざわめき始める。ゼノロアの発言はバカバカしく感じたのか、誰も聞いていなかったが、マエルの言葉とすれば別だ。これも信用の差ということか。
バレロナ様の目は期待を込めたものに、ゼノロアの目線はさらに鋭いものになる。
「...申してみよ」
「はい、実は王都に来てから少し私の部下にこの地域の調査を命じた所、魔石のある鉱脈がある可能性がある場所があるとのことです」
「なっ...」
これにはゼノロアも予想外だったのだろう。そんな反応するのも仕方ない。
普通の人物なら見つけられない所にあるんだからな。
まぁ魔女組には造作もないことだったらしいが。
実は二人にこの国周辺の魔石鉱脈を探して欲しいと頼んだのだ。実際、ペレク家の連中なら魔石の横領も視野に入れただろうから防ぐために少し対策させてもらった。
その結果...いとも簡単に見つかったっていうことらしい。
そしてそれを父上に報告して、ジークに頼んで本当にあるか、確かめてもらった。普通そんな簡単に見つかるものなのかとも思ってびっくりしたが、実際あったのだから疑いの余地がない。
「これがその資料でございます」
するとアルマン兄上がバレロナ様に資料を渡してくる。それをパラパラと一通り読んでいる。
「……そなたの父は立派な男だな」
「はい…自慢の父ですので。それに……自慢の弟もいますから」
「ほう…そうか…」
そんな会話が小声だが、耳に入ってくる。
次の瞬間、何故か俺の方を見てくる。口元をニヤリとしながらなので対応にとても困ってしまう……とりあえず会釈をしておく。
「あい分かった。下がって良い」
アルマン兄上にバレロナ様に会釈をして自分の席に座る。その時何故か兄上が俺にウインクをしてきた……くそっイケメンだから似合うのが腹立つな。
「マエル殿、この件に関してはまた話し合おう……よくやった」
「ありがとうございます」
「……さて、なにか一言あるか?ゼノロア殿?」
「……いえ、なんでもありません」
これには流石に反論も出来ない。
父が嘘をつくとも思えないと考えてるのだろう、それにもしここで騒げば他の貴族から疑惑の目が生まれる……余計に動けないのだろうな。
座った際、こちらを恨めしそうに睨んできた……まぁそんなの気にしないが。
一方、レドの方を見ていると……なにかを食べながら付き添いのメイドの胸を揉み回している……こいつ……
メイドの表情を見ると…とても嫌そうにしてるのがよく分かった。ただ何も言えないのだろうな。帰った後に何をされるかが分からないから……くそっもどかしいな。
男貴族はそれを羨ましそうに見て、女貴族は軽蔑な色を宿して見ている。
あんまりソフィアに見せない方がいいなと思って彼女の方を見ると……何故か俺の方をずっと見ている。ん?
「……お兄様……優雅にこの国の問題を解決するその姿……素敵です……」
……なんか、眼中にないらしい。
どうやらさっきのことについて俺が解決したと思っているらしい。全くの誤解だ。
「ふふっ…流石、私のアクセルね。こんなの朝飯前って感じかしら?かっこいいわ」
そして隣を見ると腕を組みながら頭を何度も上下に頷き、そんな言葉を吐いている姉、マリアの姿も目に入る。
だから誤解だって……まぁいいのかな?
………いや良くない。だってさっき二人に言い寄ってきた貴族たちからの視線がどうにも殺気を含んでるとしか思えない。
ため息をついて再びペレク家の連中に目をやると……レドの視線がソフィアやマリアに向いてるのが分かった。
……こいつ、まさか
その視線に嫌な予感を感じさせながら、男爵会議は、終了を迎えた。
◇
男爵会議終了後はそのまま解散ではなく
パーティーがあるのだ。
どうやら、他貴族との交流を深める目的があるらしい。会議前のあれは違うようだ。
一応俺たちはそのパーティーに参加するとのことだが、ひとまずは解散している。
父と母と兄はカロナイラ家の人たちと先ほどの魔石鉱脈についての話を、姉と妹はさっきみたいに男貴族に言い寄られている。
どうやら諦めが悪いらしい。だが、いいぞ。
そのままあの二人の心を掴んでくれ、じゃなきゃ本当に結婚しない気がするから……
それで俺はというと…まぁ今は一人で落ち着いて机に並んである食べ物を取って食べている。
どれもこれも、中々食べたことがないものだから少し食べるのに夢中になってしまった。
しばらくそうしていると、俺の耳に嫌いな奴の声が入ってくる。
「…少し、良いかな?」
…っ!
………後ろを振り向くと…目の前にいたのは
そのデカい腹が特徴のゼノロアが立っていた。
「…なんでしょうか、ゼノロア様」
なんとか殺気を抑え、平常心を保ちつつ答える。
「いやなに、ここらでマエル殿の血縁者がいないのだからな、今暇そうにしている君に話しかけたのだよ。アクセルくん」
「いやいや見事なものだ。俺も中々にいい案を出したつもりだが、まさか魔石鉱脈を見つけてくるとは」
「いえ、偶然の結果ですよ。運が味方についただけです」
「アクセル君は謙虚だね。父そっくりだ」
そう言いながらハハハと笑っているが……その見え隠れした嫉妬と憎悪は隠しきれてないぞ?
「…それで、私に何か用でしょうか?」
「あぁ、そうだったそうだった。少しマエル殿に伝言を頼みたいと思ってね」
そう言いながら俺に何か封筒のような物を渡してくる。
「これは?」
「わが盟友、イベルアート家からの招待状だ。出来れば家族全員で来てくれると彼らは喜ぶと思うよ」
では、と言い放ってゼノロアは去っていった。
……とうとう仕掛けてきた、か。
その封筒を大事にしまいつつゼノロアの後ろ姿を見送る。何故かその背中にはこう告げているようにしか思えなかった。
お前らはこれで終わりだ、と
「………ハッ、終わらせるかよ」
その背中を背に俺も歩いて行く。
終わる?ハハッそれはこちらの台詞だ。
お前らこそ足がすくわれないといいな?
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何故かその三人が揃ってることに不思議に思う。だってさっきまであの姉妹、もみくちゃにされてたぞ?
だが、今見てみるとまるで遠ざけてるかのように避けられてる…?
よく見ると他にもう一人彼女らの目の前にいるようで、その三人と相対している人物を見ると…………チッまたかよ。
その人物はゼノロアの息子、レドである。
だが、何故三人に?
……………おい、まさか
その予感が的中するかのようにレドは言い放った。
「お前ら全員、僕の嫁になれ」
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──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
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元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
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ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
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