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その力、誰かを守るために
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「反聖結界《アンチ・ホーリーフィールド》」
腰を下ろし、両手を広げてその魔法名を言うと、俺を中心に半径数キロ以上の円形状の結界が出来る。
この魔法の効果を簡単に説明すると異常状態の打ち消し。
彼らの中にある魔法薬による弱体化を少しずつだけど消していくのだ。
原作でもこの魔法は多岐にして使われていた。何せ自分の身体にある異常状態を消してくれるからこの世界でも天災ともいえる毒を打ち消せる唯一の方法だったんだ。
といっても、この魔法を使えるのは聖女ただ一人だけだったんだが....。
俺はその魔法自体、原作で知ってたから聖女の魔法よりも少し構造が簡素になったが、なんとか創ることに成功した。
ジークに使ったものは少し別だ。
要は俺の中にある毒を虚無力で消したように彼女の中にあった魔法薬を虚無力で打ち消したのだ。
いきなり彼女に未知のエネルギーを流すから多少は身体に拒否反応でも起きるかと思ったが......彼女、なんともない様子で平然としてたから凄い身体だなと素直に思ってしまった。
「……これで魔法薬を投与した騎士達の調子は戻るはずだ。正直な所、数十人はやられているとは思ったけど......状況を見る限り、ローレンスが頑張ってくれたみたいだな。傷は多少ある奴もいるが、それでも死んでる奴はいない」
空中で留まり、戦場の状況を理解するため、視覚強化《クリア・ビジョン》を使用して見る。騎士の皆が誰もやられた様子を見て驚きはしたが、よく見ると何か結界のような物が貼っていたから彼女が頑張ってくれてたんだなと予想できた。
「.....そんでこっちは未だに進行中......にしても遅い気がするな。天候の影響?ただ奴らが遅いだけか?......まぁどっちにしたって好都合だ」
そんな事を言いながら俺は背後に多数の魔法陣を展開する。
三年前、魔女組に大雑把と言われたとは思えないほどの構築....だと思う。
――なんのために、その力を使う?
ふと、頭の中でそんな言葉を思いだす。
この小説の中でなくとも、アニメでもドラマでも聞くであろう、ありふれた言葉。
今ならその言葉の重みが分かる。力というのは他人から見れば諸刃の剣だ。
それを振るうことでそいつにとって良い方向に進むことがあれば、破滅という原作のアクセルのように悪い方向に進もこともある。
それぐらいリスクのあるもの、それが力というもの。
ならば俺はなんのためにアクセルに力を扱う?
………そんな当たり前なこと、何度でも言ってやるさ。
「.....この力は、何かを破壊するために得た物じゃない。この力は―――」
「―――大切な存在を守るために得た物だ」
誰にも聞いてないであろう独り言を決意を込めて呟き、詠唱をし始める。
『我、アクセル・アンドレ・レステンクールが命ずる。深淵なる魔のものよ、彼の無力なる者にその力を与えたまえ』
その詠唱により辺りに漂う魔素がだんだんと魔法陣に力が集中する。
『全てを焼き尽くす業火を生みだす炎なる化身よ。自然の母と称される、無限の水と波を抱く海の化身よ。周囲を吹きとばし、全てを無に還す暴風たる化身よ。大地を穿ち、神の怒りの如く雷鳴を轟かせる稲妻なる化身よ。地を揺るがし、全てを圧倒し、不屈たる闘神である大地なる化身よ。暗闇たる世界を、閃光のごとく照らし、輝きに満ちた光なる化身よ。光と相反する深淵を生み出し、全てを覆い尽くす闇なる化身よ。いま一度その神秘的な姿を顕現せよ』
すると、魔素で覆われた魔法陣は形を変え、まるで魔法の具現化とも言わんとばかりに伝説上の生き物に変貌する。
それは大地すらを飲み込む化身である水龍であり、草原を一瞬して荒野に帰る獄炎を操る不死鳥であり、神とも称してもいい程の神々しさを漂わせる一体の巨人であったりと、そこには神話とも呼べる生き物が顕現されていた。
『我が道を仇なす者たちに天罰を与え、そして……その大いなる力を持って、敵を殲滅せよ』
詠唱を終え、過剰な威力ともいえるその魔法を俺は静かに口にした。
『世界の審判』
そしてその魔法は忌々しき敵であるペレク家の連中に神々の鉄槌と言わんばかりに放たれた。
◇
その光景に、ゼノロアは呆然とするしかなかった。理解したくなかった。
「……な、なんだ……これは……」
唇を震わせながら彼から出た言葉は、いつもの彼らしくない、自信過剰な絶対的で偉大なるペレク家の当主とは違う。まるで信じられない物を見たようなそんな怯えた声。
だが、そう思うのも仕方ないのかもしれない。たかが人間ごときが神が引き起こしたともいえる現象を間近に見て怯えないわけがない。
そう、彼が見ているのは……ゼノロアにとって地獄と評してもいい程の光景であった。
さっきまで意気揚々としていた数百人以上の自分の騎士達が今は上空から降り注ぐ七つの魔法という括りにしていいのか分からない現象により阿鼻叫喚の嵐とも言える無様な姿を晒し、そして地獄に変貌していた。
歴戦の古騎士も新人である騎士も等しく、叫び散らかし震え散らかし怯え散らかし、そこには偉大なる貴族の騎士という誇りなど微塵も感じられなかった。
「ど、どうなってるというのだ…!一体、何があったのだ!!」
その声色から発せられるのは自身から湧き出る恐怖心を抑えるためのもの。
そんな言葉に誰も答えない、いや答えきれない。それもそうであろう。彼らは今、騎士という自身の象徴ともいえる物を捨てて、自分の命を守るために必死に争っているのだ。
他人のことなど考える暇がない。
そんな考えが見え見えであった。
「……な、なんだ、あれは……?」
現場を遠くから見ている戦闘狂の魔族達が、その見たことのない魔法……神々の審判に唖然としており、それはまた彼らと相対している英雄《ブリュンヒルデ》と舞姫《ワルキューレ》も同じであった。
「……ふふっ、張り切っておるなアクセル」
空という戦場で、アクセルの魔法を間近で見て青ざめながら身体を震わせている魔族の相手をしている一人の少女はそんな彼の様子に笑みをこぼし、また一体、魔族を滅ぼす。
「……あ、アクセル様……」
街に到着した侯爵令嬢も、自分の父である領主を介抱している男爵の長男も、そしてそこに住んでいる街の人々もその神秘たる現象に目が離せなかった。
「くっ……!騎士団長!!騎士団長はいるか!!さっさと奴らに命令を出さぬか!!」
ゼノロアは周りの騎士の絶叫に負けない程の声を張ってこの騎士である団長に命令する。
が、いつまで経っても返事が聞こえない。
さらに大声を出そうとした瞬間、自分の目の前にバレーボールぐらいの大きさの何かが飛んでくる。
それを思わずキャッチしてしまい、よく見ると……そこには生気が既に無くなっているであろう騎士団長の生首であった。
「ひ、ひぃいいいいい!!!!!」
それを見て、ついには抑えていた恐怖が溢れるように悲鳴を上げてしまい、そのまま自分が乗っていた馬からずり落ちてしまう。
その衝撃で、彼が乗っていた馬はその場から離れるように走り去ってしまった。
「ま、待てっ!待たぬか!!お、俺も一緒に……!!」
だが、脚が動かない。
抑えきれない恐怖が出てしまったらそこからもう後戻りは出来ない。それを表現しているかのように彼の股間からは生ぬるい液体を垂れ流し、尻もちをついてしまっている。
(死ぬ……殺される……あんな……あんな、怪物に……!!)
一体何が間違えてた?どうして神を怒らせた?自分は何も間違っていないはずなのに…!自分は王になるべき器を待つ人間のはずなのに……!!
そんな雑念とも言える事を考えながら、涙でぐしゃぐしゃなった顔でその現象を生じさせているであろう天空を見上げる。
そこにいたのは、獄炎を纏っていると評してもいい不死鳥。
水流というブレスを吐きここら一帯を水で覆い尽くそうとする青龍。
咆哮を上げ、暴風とも言ってもいい引き起こしここら一体を更地にしようとする様々な生物が混ぜ合わさった鷲獅子。
雷雲を作り出し、数億万ボルトものの雷を大地に突き刺す獣。
大地とも表現をしていいほどの数十の隕石を発生させている巨大な人間のような肉体を待った生物。
そして手にはそれぞれ閃光とも言える輝きに満ちた剣と深淵を表しても良い暗闇に満ちた槍を待ち、それらの武器を地面に向け、裁きの光と闇と言えるであろう現象で我らを浄化し、破滅に向かわせようとしている一神。
「あぁ……これが、世界の終わりとでも言うのか?」
ガタガタとさらに震え出す自分の身体。おそらく死後の世界である地獄という所以上に今この場所、この悲劇が俺にとっての地獄なのではないかと考えだしてしまう。
それほどまでに今目の前で起きている状況は……人の、世界の理さえも常軌を逸していた。
「………何勘違いしているんだ?」
「ッ!!」
背後から突然、聞き覚えのある……はずの声が聞こえた。
何故はずと付け加えたのか、それは今背後にいる人物がこの前出会った人物と同じとは思えなかったのだ。
それほどの雰囲気を今の彼は漂わせていた。
「き、貴様‥…!何故あれを飲んで…」
顔だけ振り向き発言しようとする。だが、ゼノロアの言葉を遮るように淡々と、そしてどこか憎悪を感じさせるような声で語り出した。
「お前は、これが自分の悲劇と言ったな?こんなはずではなかった。もっと上手くこの領地を、あわよくばこの国を手に入れようとした。それが、こんな神ともいえる裁きを自分たちは受け、計画は破綻しかけている。まさに自分たちは悲劇に見舞われていると……」
その言葉に対してゼノロアは何も言えない。
まるで心の中を全て見透かされているように的確に思ってることを目の前の…‥アクセルは呟いたのだから。
「………これで終わりなわけないだろ?」
するとアクセルはゼノロアの首に手刀する。
さっきまで喚き散らかしていたのが嘘のように彼は気を失う。そして逃げないように、空間結界を最大限に貼るアクセル。
そんなゼノロアを見下しながら、アクセルは口元を歪ませながら呟いた。
「お前の……お前らの悲劇はこんな物で済むわけないだろう?あの時訴えたはずだぜ?
これから始まるのは……誰も見たことがない悲劇の物語だってな」
そしてアクセルは再び上空へ飛ぶと、そのまま顔を今も地面に伏しているゼノロアに向く。
「だから、それが始まるまでそこで寝ていろ。お前らがやってきた数々……数倍、数十倍、数百倍にして全部返してやるからよ」
そう呟き、アクセルは自分の大切な人物、ソフィアを探すため地上を離れ、空に飛んで行った。
そこに残っていたのは今も尚、アクセルにより気を失っているゼノロアと……彼の騎士であったであろう数百以上の死体の数々だけである。
腰を下ろし、両手を広げてその魔法名を言うと、俺を中心に半径数キロ以上の円形状の結界が出来る。
この魔法の効果を簡単に説明すると異常状態の打ち消し。
彼らの中にある魔法薬による弱体化を少しずつだけど消していくのだ。
原作でもこの魔法は多岐にして使われていた。何せ自分の身体にある異常状態を消してくれるからこの世界でも天災ともいえる毒を打ち消せる唯一の方法だったんだ。
といっても、この魔法を使えるのは聖女ただ一人だけだったんだが....。
俺はその魔法自体、原作で知ってたから聖女の魔法よりも少し構造が簡素になったが、なんとか創ることに成功した。
ジークに使ったものは少し別だ。
要は俺の中にある毒を虚無力で消したように彼女の中にあった魔法薬を虚無力で打ち消したのだ。
いきなり彼女に未知のエネルギーを流すから多少は身体に拒否反応でも起きるかと思ったが......彼女、なんともない様子で平然としてたから凄い身体だなと素直に思ってしまった。
「……これで魔法薬を投与した騎士達の調子は戻るはずだ。正直な所、数十人はやられているとは思ったけど......状況を見る限り、ローレンスが頑張ってくれたみたいだな。傷は多少ある奴もいるが、それでも死んでる奴はいない」
空中で留まり、戦場の状況を理解するため、視覚強化《クリア・ビジョン》を使用して見る。騎士の皆が誰もやられた様子を見て驚きはしたが、よく見ると何か結界のような物が貼っていたから彼女が頑張ってくれてたんだなと予想できた。
「.....そんでこっちは未だに進行中......にしても遅い気がするな。天候の影響?ただ奴らが遅いだけか?......まぁどっちにしたって好都合だ」
そんな事を言いながら俺は背後に多数の魔法陣を展開する。
三年前、魔女組に大雑把と言われたとは思えないほどの構築....だと思う。
――なんのために、その力を使う?
ふと、頭の中でそんな言葉を思いだす。
この小説の中でなくとも、アニメでもドラマでも聞くであろう、ありふれた言葉。
今ならその言葉の重みが分かる。力というのは他人から見れば諸刃の剣だ。
それを振るうことでそいつにとって良い方向に進むことがあれば、破滅という原作のアクセルのように悪い方向に進もこともある。
それぐらいリスクのあるもの、それが力というもの。
ならば俺はなんのためにアクセルに力を扱う?
………そんな当たり前なこと、何度でも言ってやるさ。
「.....この力は、何かを破壊するために得た物じゃない。この力は―――」
「―――大切な存在を守るために得た物だ」
誰にも聞いてないであろう独り言を決意を込めて呟き、詠唱をし始める。
『我、アクセル・アンドレ・レステンクールが命ずる。深淵なる魔のものよ、彼の無力なる者にその力を与えたまえ』
その詠唱により辺りに漂う魔素がだんだんと魔法陣に力が集中する。
『全てを焼き尽くす業火を生みだす炎なる化身よ。自然の母と称される、無限の水と波を抱く海の化身よ。周囲を吹きとばし、全てを無に還す暴風たる化身よ。大地を穿ち、神の怒りの如く雷鳴を轟かせる稲妻なる化身よ。地を揺るがし、全てを圧倒し、不屈たる闘神である大地なる化身よ。暗闇たる世界を、閃光のごとく照らし、輝きに満ちた光なる化身よ。光と相反する深淵を生み出し、全てを覆い尽くす闇なる化身よ。いま一度その神秘的な姿を顕現せよ』
すると、魔素で覆われた魔法陣は形を変え、まるで魔法の具現化とも言わんとばかりに伝説上の生き物に変貌する。
それは大地すらを飲み込む化身である水龍であり、草原を一瞬して荒野に帰る獄炎を操る不死鳥であり、神とも称してもいい程の神々しさを漂わせる一体の巨人であったりと、そこには神話とも呼べる生き物が顕現されていた。
『我が道を仇なす者たちに天罰を与え、そして……その大いなる力を持って、敵を殲滅せよ』
詠唱を終え、過剰な威力ともいえるその魔法を俺は静かに口にした。
『世界の審判』
そしてその魔法は忌々しき敵であるペレク家の連中に神々の鉄槌と言わんばかりに放たれた。
◇
その光景に、ゼノロアは呆然とするしかなかった。理解したくなかった。
「……な、なんだ……これは……」
唇を震わせながら彼から出た言葉は、いつもの彼らしくない、自信過剰な絶対的で偉大なるペレク家の当主とは違う。まるで信じられない物を見たようなそんな怯えた声。
だが、そう思うのも仕方ないのかもしれない。たかが人間ごときが神が引き起こしたともいえる現象を間近に見て怯えないわけがない。
そう、彼が見ているのは……ゼノロアにとって地獄と評してもいい程の光景であった。
さっきまで意気揚々としていた数百人以上の自分の騎士達が今は上空から降り注ぐ七つの魔法という括りにしていいのか分からない現象により阿鼻叫喚の嵐とも言える無様な姿を晒し、そして地獄に変貌していた。
歴戦の古騎士も新人である騎士も等しく、叫び散らかし震え散らかし怯え散らかし、そこには偉大なる貴族の騎士という誇りなど微塵も感じられなかった。
「ど、どうなってるというのだ…!一体、何があったのだ!!」
その声色から発せられるのは自身から湧き出る恐怖心を抑えるためのもの。
そんな言葉に誰も答えない、いや答えきれない。それもそうであろう。彼らは今、騎士という自身の象徴ともいえる物を捨てて、自分の命を守るために必死に争っているのだ。
他人のことなど考える暇がない。
そんな考えが見え見えであった。
「……な、なんだ、あれは……?」
現場を遠くから見ている戦闘狂の魔族達が、その見たことのない魔法……神々の審判に唖然としており、それはまた彼らと相対している英雄《ブリュンヒルデ》と舞姫《ワルキューレ》も同じであった。
「……ふふっ、張り切っておるなアクセル」
空という戦場で、アクセルの魔法を間近で見て青ざめながら身体を震わせている魔族の相手をしている一人の少女はそんな彼の様子に笑みをこぼし、また一体、魔族を滅ぼす。
「……あ、アクセル様……」
街に到着した侯爵令嬢も、自分の父である領主を介抱している男爵の長男も、そしてそこに住んでいる街の人々もその神秘たる現象に目が離せなかった。
「くっ……!騎士団長!!騎士団長はいるか!!さっさと奴らに命令を出さぬか!!」
ゼノロアは周りの騎士の絶叫に負けない程の声を張ってこの騎士である団長に命令する。
が、いつまで経っても返事が聞こえない。
さらに大声を出そうとした瞬間、自分の目の前にバレーボールぐらいの大きさの何かが飛んでくる。
それを思わずキャッチしてしまい、よく見ると……そこには生気が既に無くなっているであろう騎士団長の生首であった。
「ひ、ひぃいいいいい!!!!!」
それを見て、ついには抑えていた恐怖が溢れるように悲鳴を上げてしまい、そのまま自分が乗っていた馬からずり落ちてしまう。
その衝撃で、彼が乗っていた馬はその場から離れるように走り去ってしまった。
「ま、待てっ!待たぬか!!お、俺も一緒に……!!」
だが、脚が動かない。
抑えきれない恐怖が出てしまったらそこからもう後戻りは出来ない。それを表現しているかのように彼の股間からは生ぬるい液体を垂れ流し、尻もちをついてしまっている。
(死ぬ……殺される……あんな……あんな、怪物に……!!)
一体何が間違えてた?どうして神を怒らせた?自分は何も間違っていないはずなのに…!自分は王になるべき器を待つ人間のはずなのに……!!
そんな雑念とも言える事を考えながら、涙でぐしゃぐしゃなった顔でその現象を生じさせているであろう天空を見上げる。
そこにいたのは、獄炎を纏っていると評してもいい不死鳥。
水流というブレスを吐きここら一帯を水で覆い尽くそうとする青龍。
咆哮を上げ、暴風とも言ってもいい引き起こしここら一体を更地にしようとする様々な生物が混ぜ合わさった鷲獅子。
雷雲を作り出し、数億万ボルトものの雷を大地に突き刺す獣。
大地とも表現をしていいほどの数十の隕石を発生させている巨大な人間のような肉体を待った生物。
そして手にはそれぞれ閃光とも言える輝きに満ちた剣と深淵を表しても良い暗闇に満ちた槍を待ち、それらの武器を地面に向け、裁きの光と闇と言えるであろう現象で我らを浄化し、破滅に向かわせようとしている一神。
「あぁ……これが、世界の終わりとでも言うのか?」
ガタガタとさらに震え出す自分の身体。おそらく死後の世界である地獄という所以上に今この場所、この悲劇が俺にとっての地獄なのではないかと考えだしてしまう。
それほどまでに今目の前で起きている状況は……人の、世界の理さえも常軌を逸していた。
「………何勘違いしているんだ?」
「ッ!!」
背後から突然、聞き覚えのある……はずの声が聞こえた。
何故はずと付け加えたのか、それは今背後にいる人物がこの前出会った人物と同じとは思えなかったのだ。
それほどの雰囲気を今の彼は漂わせていた。
「き、貴様‥…!何故あれを飲んで…」
顔だけ振り向き発言しようとする。だが、ゼノロアの言葉を遮るように淡々と、そしてどこか憎悪を感じさせるような声で語り出した。
「お前は、これが自分の悲劇と言ったな?こんなはずではなかった。もっと上手くこの領地を、あわよくばこの国を手に入れようとした。それが、こんな神ともいえる裁きを自分たちは受け、計画は破綻しかけている。まさに自分たちは悲劇に見舞われていると……」
その言葉に対してゼノロアは何も言えない。
まるで心の中を全て見透かされているように的確に思ってることを目の前の…‥アクセルは呟いたのだから。
「………これで終わりなわけないだろ?」
するとアクセルはゼノロアの首に手刀する。
さっきまで喚き散らかしていたのが嘘のように彼は気を失う。そして逃げないように、空間結界を最大限に貼るアクセル。
そんなゼノロアを見下しながら、アクセルは口元を歪ませながら呟いた。
「お前の……お前らの悲劇はこんな物で済むわけないだろう?あの時訴えたはずだぜ?
これから始まるのは……誰も見たことがない悲劇の物語だってな」
そしてアクセルは再び上空へ飛ぶと、そのまま顔を今も地面に伏しているゼノロアに向く。
「だから、それが始まるまでそこで寝ていろ。お前らがやってきた数々……数倍、数十倍、数百倍にして全部返してやるからよ」
そう呟き、アクセルは自分の大切な人物、ソフィアを探すため地上を離れ、空に飛んで行った。
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