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2 こんな男はお断り
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まずは両親に連絡を入れなくてはなりません。
手紙が届くまでに時間がかかるでしょうし、事後報告という形になりそうです。
私には姉と兄がいますが、二人共に私を可愛がってくれていますので、話を聞いたら怒るに決まっています。
元々、この政略結婚にメリットがあるのはペリオド王国だけです。
私の母国であるロイロン王国は軍事大国ですが、ペリオド王国は畜産業を生業としている国です。
そのため、他国から攻め入られた場合は無条件で降伏するしかありません。
それでは、ペリオド王国の国民の自由が奪われてしまいます。
ペリオド王国に手を出せば、ロイロン王国が出てくるということを暗に匂わせるために私が嫁ぐことに決まったのです。
それを知っているはずなのに、両陛下も王太子殿下もマゼケキ様を甘やかしてばかり。
公爵令嬢のフェイアンナ様との仲を黙認しているようにも見えます。
世間体に良くないということを伝えても、ヘラヘラと笑っているだけでしたので、正直言うと頭にきていたんですよね。
かといって、仕事をしなければ他の人に迷惑がかかるので、その感情は仕事とは別ものと考えて頑張っていました。
そんな私になんという仕打ちでしょうか!
賊が入ってきたと見せかけて殺すつもりだったのでしょうね!
警備をしていた兵士たちに責任を取らせるつもりだったのでしょう。
そして、マゼケキ様や私を殺めた騎士は、罪に問われることはなく、悲しむふりをするだけで良いのです。
私を殺めた騎士はフェイアンナ様の言うことを聞いていましたから、彼女の家の者なんでしょう。
マゼケキ様が私をガゼボに呼び寄せたということを周りは知っていますから、第1発見者のふりをするつもりだったんでしょうね。
「考えるだけでもムカムカします!」
「「申し訳ございません!」」
何も知らない侍女達は私の機嫌を損ねたのかと謝ってきました。
「あなた達のことを言っているんじゃないの。嫌な思いをさせてしまってごめんなさいね」
「とんでもないことでございます」
十八歳になる私と年があまり変わらない二人は、少しだけ怯えた様子で頭を下げました。
人に当たるのは良くないことです。
今も当たるつもりはありませんでしたが、誤解されてしまうような行動も気をつけなければ駄目ですね。
反省したあとは、私の身支度をしようとするメイドに、着替える前に手紙を書くことを伝えたのでした。
******
時間が過ぎ、パーティーの開始時刻が近付いてきたため、マゼケキ様がお望みのパーティードレスに着替え、メイドと共にまずは王族専用の控室へ向かいました。
中には誰もおらず、ふかふかのソファに座って考えます。
マゼケキ様からガゼボに来るように言われたのは、二人で会場に入場しようとしていた時でした。
その時にはさすがに、フェイアンナ様はいませんでしたが、手はずを整えていたのかもしれません。
今日は前回と特に何か動きを変えることはなく、できるだけ同じように過ごしてみました。
マゼケキ様に怯えるだなんてことは、私のプライドが許しません。
その時、時間が巻き戻る前には起こらなかったこと、もしくは気づいていなかったことに気づきました。
控室の扉を少しだけ開けて、フェイアンナ様が中の様子を窺っていたんです。
私がちゃんと贈られたドレスを着ているか確認しに来たのかもしれません。
声をかけようかと思いましたが、騎士を連れている可能性もありますし、すぐに去っていったため危険を冒さないことにしました。
時間になり、場所を移動してマゼケキ様と合流すると、彼は早速、例の話を持ち出してきます。
「セリス、ダンスが終わったら、中庭のガゼボに来てくれないか」
罠にかけても良いのでしょうが、悲しいことに、信用できる騎士や兵士はすぐ近くにはいません。
なら、危ない場所には近づかないことが一番です。
「嫌です」
「は?」
「私はマゼケキ様と違い、やらなければならないことがたくさんあるんです。どうぞ、今日は、いえ、これからは思う存分にフェイアンナ様と仲良くしてくださいませ」
「な、何だよいきなり。今日は口うるさく言わないのか」
「あなたに期待できるものが、私には見いだせませんので、フェイアンナ様との恋を応援することにいたしました」
今までの私なら、苦言を呈してばかりでした。
でも、もうやめです!
私の今の目的は、マゼケキ様に仕事をするように求めるのではなく、婚約破棄だけだからです。
こんな男性はお断りですから!
両陛下には話があることを伝えていますし、パーティーが始まったら、早速、お話をしに行くことにしましょう。
婚約破棄するのですから、婚約披露パーティーなんて無意味ですからね。
手紙が届くまでに時間がかかるでしょうし、事後報告という形になりそうです。
私には姉と兄がいますが、二人共に私を可愛がってくれていますので、話を聞いたら怒るに決まっています。
元々、この政略結婚にメリットがあるのはペリオド王国だけです。
私の母国であるロイロン王国は軍事大国ですが、ペリオド王国は畜産業を生業としている国です。
そのため、他国から攻め入られた場合は無条件で降伏するしかありません。
それでは、ペリオド王国の国民の自由が奪われてしまいます。
ペリオド王国に手を出せば、ロイロン王国が出てくるということを暗に匂わせるために私が嫁ぐことに決まったのです。
それを知っているはずなのに、両陛下も王太子殿下もマゼケキ様を甘やかしてばかり。
公爵令嬢のフェイアンナ様との仲を黙認しているようにも見えます。
世間体に良くないということを伝えても、ヘラヘラと笑っているだけでしたので、正直言うと頭にきていたんですよね。
かといって、仕事をしなければ他の人に迷惑がかかるので、その感情は仕事とは別ものと考えて頑張っていました。
そんな私になんという仕打ちでしょうか!
賊が入ってきたと見せかけて殺すつもりだったのでしょうね!
警備をしていた兵士たちに責任を取らせるつもりだったのでしょう。
そして、マゼケキ様や私を殺めた騎士は、罪に問われることはなく、悲しむふりをするだけで良いのです。
私を殺めた騎士はフェイアンナ様の言うことを聞いていましたから、彼女の家の者なんでしょう。
マゼケキ様が私をガゼボに呼び寄せたということを周りは知っていますから、第1発見者のふりをするつもりだったんでしょうね。
「考えるだけでもムカムカします!」
「「申し訳ございません!」」
何も知らない侍女達は私の機嫌を損ねたのかと謝ってきました。
「あなた達のことを言っているんじゃないの。嫌な思いをさせてしまってごめんなさいね」
「とんでもないことでございます」
十八歳になる私と年があまり変わらない二人は、少しだけ怯えた様子で頭を下げました。
人に当たるのは良くないことです。
今も当たるつもりはありませんでしたが、誤解されてしまうような行動も気をつけなければ駄目ですね。
反省したあとは、私の身支度をしようとするメイドに、着替える前に手紙を書くことを伝えたのでした。
******
時間が過ぎ、パーティーの開始時刻が近付いてきたため、マゼケキ様がお望みのパーティードレスに着替え、メイドと共にまずは王族専用の控室へ向かいました。
中には誰もおらず、ふかふかのソファに座って考えます。
マゼケキ様からガゼボに来るように言われたのは、二人で会場に入場しようとしていた時でした。
その時にはさすがに、フェイアンナ様はいませんでしたが、手はずを整えていたのかもしれません。
今日は前回と特に何か動きを変えることはなく、できるだけ同じように過ごしてみました。
マゼケキ様に怯えるだなんてことは、私のプライドが許しません。
その時、時間が巻き戻る前には起こらなかったこと、もしくは気づいていなかったことに気づきました。
控室の扉を少しだけ開けて、フェイアンナ様が中の様子を窺っていたんです。
私がちゃんと贈られたドレスを着ているか確認しに来たのかもしれません。
声をかけようかと思いましたが、騎士を連れている可能性もありますし、すぐに去っていったため危険を冒さないことにしました。
時間になり、場所を移動してマゼケキ様と合流すると、彼は早速、例の話を持ち出してきます。
「セリス、ダンスが終わったら、中庭のガゼボに来てくれないか」
罠にかけても良いのでしょうが、悲しいことに、信用できる騎士や兵士はすぐ近くにはいません。
なら、危ない場所には近づかないことが一番です。
「嫌です」
「は?」
「私はマゼケキ様と違い、やらなければならないことがたくさんあるんです。どうぞ、今日は、いえ、これからは思う存分にフェイアンナ様と仲良くしてくださいませ」
「な、何だよいきなり。今日は口うるさく言わないのか」
「あなたに期待できるものが、私には見いだせませんので、フェイアンナ様との恋を応援することにいたしました」
今までの私なら、苦言を呈してばかりでした。
でも、もうやめです!
私の今の目的は、マゼケキ様に仕事をするように求めるのではなく、婚約破棄だけだからです。
こんな男性はお断りですから!
両陛下には話があることを伝えていますし、パーティーが始まったら、早速、お話をしに行くことにしましょう。
婚約破棄するのですから、婚約披露パーティーなんて無意味ですからね。
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