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39 運命を変えるお茶会 ②
その日のうちにミサファーと共にカダマオ公爵邸を出たフェルリアたちは、しばらくの間、彼女と行動を共にすることにした。
お茶会が催される侯爵家は、高級宿を用意してくれていた。泊まる人数が増えたため、追加料金の話をした。しかし、支配人は侯爵家からもらっていると言って受け取ろうとしなかった。
(明日、お礼を言わなくちゃ)
土産になるものは持ってきているが、それはそれだ。
部屋に通され、ソファに座ったフェルリアは大きく息を吐いた。
用意されていた一室には、ダブルベッドが二つとその間にサイドテーブル、ドレッサーと姿見がある寝室と、二人掛けのソファが二つにローテーブルがあるリビングタイプの部屋があった。
ダブルベッドの一つをフェルリアとミレイラが、もう一つをミサファーが使うことになった。
外出着のままベッドに倒れ込んだミサファーに、フェルリアが話しかける。
「病人を長時間移動させることになってごめんなさいね」
「いいえ。あの家にいても危険ですから。こちらこそ、ご迷惑をおかけしてしまい申し訳ございません」
ミサファーは枕に頬をつけたまま答えた。
謝っている態度には見えないが、表情は辛そうだ。
よほど疲れているのだろうと思い、体調が楽になってから着替えるように促した。
「明日は出かけてきますので、一日ゆっくりしてくださいね」
「……色々としていただいて、こんなことを言うのもなんなのですが、どうしてフェルリア様は私に優しくしてくださるのですか?」
「……ジェラス様のことが好きではないからでしょう」
「では、ミレイヤ様が優しくしてくださったのはどうしてだと思いますか?」
ミサファーが上半身を起こして尋ねた。ミレイヤがミサファーに優しくしていたというのは初耳だったが、ミレイラの母親だと考えれば納得できた。
(ミレイヤ様にとってミサファー様は憎い相手かもしれない)
そう思いつつも、メイドと一緒にソファで話をしているミレイラを見て、違うことを考えた。
「優しい方だったということもあるでしょうけれど、あなたが悪いとは思っていなかったのではないでしょうか」
「……どういうことですか?」
「勝手なことをしたジェラス様が憎かったのかもしれません」
ミサファーはフェルリアの言いたいことがいまいちつかめないようで首を傾げている。フェルリアは苦笑して続ける。
「絶対とは言えないのですが、ミサファー様が完全な加害者側とは思っていなかったのかなと」
「でも、私はミレイヤ様の夫と関係を持ったのですよ?」
「それはジェラス様からの頼みで子供を作るためだったのでしょう?」
「最初はそうでした。ですが……」
「初めから、ジェラス様がミレイヤ様に確認していれば、ミサファー様に声をかけなかったと思うのです。ミレイヤ様はそのことを一番怒っていたのかもしれません」
(相談もなく夫が他の女性と子供を作るなんて、妻としては絶対にありえないことだわ。しかも自分のためだなんて言われたら余計に腹も立つでしょう)
ミサファーはフェルリアの考えを聞いて戸惑っていた。本人に聞くことが一番なのだが、その本人は残念ながらこの世にはいない。
「答えが出るかはわかりませんが、明日のお茶会でミレイヤ様と親しかった人がいないか確認してみます」
「ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします」
ミサファーはベッドの上に正座をして頭を下げた。
そして、次の日の朝、フェルリアはミレイラを伴い、侯爵家の茶会に出席し、カウン公爵夫人と話をすることになるのだった。
お茶会が催される侯爵家は、高級宿を用意してくれていた。泊まる人数が増えたため、追加料金の話をした。しかし、支配人は侯爵家からもらっていると言って受け取ろうとしなかった。
(明日、お礼を言わなくちゃ)
土産になるものは持ってきているが、それはそれだ。
部屋に通され、ソファに座ったフェルリアは大きく息を吐いた。
用意されていた一室には、ダブルベッドが二つとその間にサイドテーブル、ドレッサーと姿見がある寝室と、二人掛けのソファが二つにローテーブルがあるリビングタイプの部屋があった。
ダブルベッドの一つをフェルリアとミレイラが、もう一つをミサファーが使うことになった。
外出着のままベッドに倒れ込んだミサファーに、フェルリアが話しかける。
「病人を長時間移動させることになってごめんなさいね」
「いいえ。あの家にいても危険ですから。こちらこそ、ご迷惑をおかけしてしまい申し訳ございません」
ミサファーは枕に頬をつけたまま答えた。
謝っている態度には見えないが、表情は辛そうだ。
よほど疲れているのだろうと思い、体調が楽になってから着替えるように促した。
「明日は出かけてきますので、一日ゆっくりしてくださいね」
「……色々としていただいて、こんなことを言うのもなんなのですが、どうしてフェルリア様は私に優しくしてくださるのですか?」
「……ジェラス様のことが好きではないからでしょう」
「では、ミレイヤ様が優しくしてくださったのはどうしてだと思いますか?」
ミサファーが上半身を起こして尋ねた。ミレイヤがミサファーに優しくしていたというのは初耳だったが、ミレイラの母親だと考えれば納得できた。
(ミレイヤ様にとってミサファー様は憎い相手かもしれない)
そう思いつつも、メイドと一緒にソファで話をしているミレイラを見て、違うことを考えた。
「優しい方だったということもあるでしょうけれど、あなたが悪いとは思っていなかったのではないでしょうか」
「……どういうことですか?」
「勝手なことをしたジェラス様が憎かったのかもしれません」
ミサファーはフェルリアの言いたいことがいまいちつかめないようで首を傾げている。フェルリアは苦笑して続ける。
「絶対とは言えないのですが、ミサファー様が完全な加害者側とは思っていなかったのかなと」
「でも、私はミレイヤ様の夫と関係を持ったのですよ?」
「それはジェラス様からの頼みで子供を作るためだったのでしょう?」
「最初はそうでした。ですが……」
「初めから、ジェラス様がミレイヤ様に確認していれば、ミサファー様に声をかけなかったと思うのです。ミレイヤ様はそのことを一番怒っていたのかもしれません」
(相談もなく夫が他の女性と子供を作るなんて、妻としては絶対にありえないことだわ。しかも自分のためだなんて言われたら余計に腹も立つでしょう)
ミサファーはフェルリアの考えを聞いて戸惑っていた。本人に聞くことが一番なのだが、その本人は残念ながらこの世にはいない。
「答えが出るかはわかりませんが、明日のお茶会でミレイヤ様と親しかった人がいないか確認してみます」
「ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします」
ミサファーはベッドの上に正座をして頭を下げた。
そして、次の日の朝、フェルリアはミレイラを伴い、侯爵家の茶会に出席し、カウン公爵夫人と話をすることになるのだった。
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