【完結】私はあなたの操り人形ではありません

風見ゆうみ

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50 父としての謝罪 ③

 キックスはカウン公爵の手により解放され、今は王都にあるカウン公爵家の別荘にいた。
 健康面は問題なく、とても元気だと聞いて、フェルリアは安堵した。
 カウン公爵に拘束され、詰問されたジェラスは、王女に口止めされており、命令に逆らうわけにはいかなかったと訴えている。
 そして、フェルリアに助けを求めているとのことだった。

(私に助けを求められてもね)

 フェルリアは冷めた気持ちだったが、立場上、このまま何もしないわけにはいかなかった。

 キックスが助けられるよりも先に、彼の頼みで人質にされていた人たちが助けられた。
 ミサファーの家族やゼッシュも保護されており、キックスと同じく、今はカウン公爵家の別邸にいる。
 ミレイラをメイドに任せ、ミサファーと共にカウン公爵家に向かおうとしたフェルリアだったが、ミレイラが駄々をこねた。

「わたしもいきたいです!」
「ミレイラ様、一緒に行っても遊べませんよ。それに、お父様もいらっしゃいます。ここでお留守番していてもらえませんか?」
「でも、パパもいるんですよね?」

 ジェラスのことよりも、キックスのことのほうがミレイラは心配だった。
 それに、まだ三人で住むことを諦めてもいない。とにかく無事な姿を確認したかった。

「ミレイラ様はキックス様が本当にお好きなんですね」
「はい! パパですから」

 微笑むミサファーに、ミレイラは満面の笑みを浮かべて答えた。

 ミレイラを連れてくるなとは言われていない。しかし、難しい話をすることは確かだ。
 
(連れて行ってあげたい気持ちはあるけれど、これから行われることは子供の前でするようなものじゃない)

 フェルリアが別邸に行けば、ジェラスへの断罪が始まる。
 ジェラスがみっともない姿や、ミレイラへの暴言を吐く可能性もある。そう思うと、ミレイラを連れて行くことを躊躇った。

「いいこにしていますから、おねがいします」

 ぺこりと頭を下げるミレイラの横で、ミサファーがフェルリアに苦笑して話しかける。

「キックス様の無事な姿を見れば安心するでしょう。連れて行くだけ連れて行ってあげてはいかがでしょうか。大人だけの話し合いの時には、私が面倒を見ましょう」
「……ありがとうございます」

 フェルリアはうなずき、ミレイラの前で膝を屈める。

「私たちは少しお話をしなければなりません。その間はミサファー様たちと待っていられますか?」
「はい! いいこにします!」

 何度も首肯するミレイラの頭を撫でたあと、フェルリアは早速、カウン公爵家の別邸に向かうことにした。

 約1時間後、フェルリアたちは目的地にたどり着いた。
 長旅の疲れもあるが、今は緊張しているせいか眠気は全く感じない。
 それはミサファーとミレイラも同じだった。

 カウン公爵家の別邸は王都の外れにあり、緑の多い場所にある。今日は日差しも柔らかく、木々に囲まれた場所柄か、少し肌寒く感じられた。

 ミサファーとは一度、邸内で別れ、フェルリアとミレイラはまずは軟禁されているジェラスの元に案内された。

 この軟禁については、国王の許可があり罪に問われないことになっている。
 
 メイドに案内された場所は複数ある客室の一つだった。
 3階にあるその部屋の中には、ダブルサイズのベッドやサイドテーブル、書き物机に安楽椅子など置かれている。
 安楽椅子に座り、項垂れていたジェラスはフェルリアの顔を見て立ち上がった。

「フェルリア、助けてくれ! 君なら私を助けられるだろう?」

 ジェラスはそう言って彼女に縋りつこうとした。



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