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9 初めての時戻し ②
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魔法を発動する条件は、人によって違う。
イライアス殿下の場合は、誰の時を戻したいか考え、指を鳴らすことで発動する。
私が毒を飲まされて意識を失う前に聞いた音は、イライアス殿下のものだったのでしょう。
時戻しの魔法をあの時に初めて使ったらしく、うまくいって良かったと安堵していた。
自分のために時戻しはできないのに、今、こうやって私が時を戻ることができたのは、使用人や使用人の家族のためと判断されたのかもしれない。
……その判断をするのは誰かわからないけれど、とにかく、今は時戻しができたことに感謝しましょう。
「ちょっとお姉様! 何をしているんですか! 扉を開けてください!」
「ソラリア! 開けてくれ! 冷静に話し合おう! 話し合えば絶対に解決するはずだ!」
かんぬきをかけてすぐの時に戻ったらしく、ソレイユとロガンは必死に扉を叩いていた。
追い払おうかと声をかけてくれた騎士に、少しの間、様子を見ると伝えると無言でうなずいた。
黙っていると、私がいなくなったと思ったのか、ソレイユがブツブツ話し始める。
「私にこんなことをしてもいいと思っているの!?」
「ソレイユ、もうやめよう。こんなことは間違っている。君がイライアス殿下にふられたのは、ソラリアのせいじゃないよ」
「何を言っているの! 絶対にお姉様のせいだわ! 私とイライアス殿下の仲を邪魔するために、私の悪口を言ったに決まっている! そうじゃなきゃ、私からの婚約の申し出を断るわけがないもの!」
ソレイユがイライアス殿下に、婚約の申し出をしていたとは知らなかった。
王太子殿下と第二王子殿下には婚約者がいるが、イライアス殿下は二十歳になる現在になっても婚約者がいない。
第三王子だから、急がなくてもいいと思われていることもあるだろうが、ルピが婚約者候補の本性を見抜き、断らせているのかもしれない。
「ソラリアは僕以外の男性に興味はない。だから、ソレイユとイライアス殿下の仲を邪魔しようなんて考えないよ」
「お姉様はイライアス殿下に興味はないかもしれないけれど、私に嫌がらせをしたいのよ! というか、ロガン、あなた、考えが甘いんじゃない?」
「……どういうことだよ」
「昨日、イライアス殿下と王太子殿下は、どうしてお姉様に会いに来たの? あんな時間に訪ねてくるなんておかしいでしょう!」
「そ、そう言われればそうだけど」
「でしょう? 怪しいわ」
「ソレイユは、ソラリアが浮気していると言いたいのかい?」
「そうよ! 純粋なイライアス殿下はお姉様に騙されているんだわ! ああ! 可哀想なイライアス殿下!」
ソレイユのヒステリックな叫び声が聞こえたあとは、急に静かになった。
ソレイユは言いたいことを言い終え、ロガンはショックを受けているというところかしら。
イライアス殿下たちが訪ねてきたことをおかしいと思う頭はあるのかと驚いた。
でも、自分の都合のいいように考えた結果、疑うことになったのかもしれない。
「本当に、ソラリアはイライアス殿下を誘惑したのかな。王太子殿下もいたじゃないか。やっぱり違うんじゃ……」
「王太子殿下も脅されているのかもしれないわ! 許せない、許さない! お姉様がイライアス殿下たちに近づけないようにしてあげるわ! お姉様、覚悟なさい! 私を敵に回したことを後悔させてやるから!」
ええ。過去の私は後悔したわ。
だから、もう二度と、こんなミスはしない。
「ちょっと、邸の中からありったけの燭台や蝋燭を持ってきて!」
「は、はい!」
ソレイユが外にいるメイドに命令する声が聞こえた。
私はかんぬきを外して、勢いよく扉を開けて尋ねる。
「蝋燭がどうしてたくさん必要なの?」
「お、お姉様!?」
「ソラリア! 君に聞きたいことがあるんだ!」
感情を殺した表情の私を見て、ソレイユは焦った顔になり、ロガンは眉尻を下げて近づいてきた。
「ロガンとソレイユを捕まえて、部屋に軟禁してちょうだい」
ロガンを手で制止し、私は扉の左右に立っている騎士に指示した。
騎士たちは素早く動き、ロインを捕まえる。
「ソラリア! 君は浮気なんてしていないよね? 君は僕が好きなんだよね!?」
「あなたのことはもう好きじゃないし、浮気なんてしていないわ」
騎士に羽交い締めにされた状態のロガンに答え、ソレイユに視線を移す。
騎士に両腕をつかまれたソレイユは、悔しそうな表情で私を見つめていた。ソレイユの横にはメイドがおり、どうすればいいのかわからないといった様子で、私とソレイユを交互に見ている。
私はメイドに指示を出すことにした。
「ソレイユは蝋燭を持ってきてほしいと言っていたわね。彼女の部屋にたくさん持っていって火をつけてあげて。それから、何があっても部屋から出さないようにしてちょうだい」
「「「承知いたしました!」」」
騎士たちは同時に返事をすると、メイドは邸内に入り、騎士たちはソレイユをひきずるようにして歩き出す。
「お姉様! こんなことをしてもいいと思っているの!?」
「ソレイユ、あなたは火遊びがしたいようだけど、そんなことをしたらどうなるか、身を持って知りなさい」
火事を起こし、メイドたちの命を犠牲にして、私の評判を落とすつもりだったのでしょうけど、そうはさせないわ。
ソレイユたちを追い出せばいいと思っていたけれど、それだけでは危険だということがわかった。
私に歯向かえなくなるような、何か切り札が必要ね。
「ソラリア、僕のことは許してくれないか?」
「許すわけがないでしょう」
まだポーチにいたロガンに冷たく答えると、騎士に再度彼を連れて行くように指示をしてから邸内に戻った。
イライアス殿下の場合は、誰の時を戻したいか考え、指を鳴らすことで発動する。
私が毒を飲まされて意識を失う前に聞いた音は、イライアス殿下のものだったのでしょう。
時戻しの魔法をあの時に初めて使ったらしく、うまくいって良かったと安堵していた。
自分のために時戻しはできないのに、今、こうやって私が時を戻ることができたのは、使用人や使用人の家族のためと判断されたのかもしれない。
……その判断をするのは誰かわからないけれど、とにかく、今は時戻しができたことに感謝しましょう。
「ちょっとお姉様! 何をしているんですか! 扉を開けてください!」
「ソラリア! 開けてくれ! 冷静に話し合おう! 話し合えば絶対に解決するはずだ!」
かんぬきをかけてすぐの時に戻ったらしく、ソレイユとロガンは必死に扉を叩いていた。
追い払おうかと声をかけてくれた騎士に、少しの間、様子を見ると伝えると無言でうなずいた。
黙っていると、私がいなくなったと思ったのか、ソレイユがブツブツ話し始める。
「私にこんなことをしてもいいと思っているの!?」
「ソレイユ、もうやめよう。こんなことは間違っている。君がイライアス殿下にふられたのは、ソラリアのせいじゃないよ」
「何を言っているの! 絶対にお姉様のせいだわ! 私とイライアス殿下の仲を邪魔するために、私の悪口を言ったに決まっている! そうじゃなきゃ、私からの婚約の申し出を断るわけがないもの!」
ソレイユがイライアス殿下に、婚約の申し出をしていたとは知らなかった。
王太子殿下と第二王子殿下には婚約者がいるが、イライアス殿下は二十歳になる現在になっても婚約者がいない。
第三王子だから、急がなくてもいいと思われていることもあるだろうが、ルピが婚約者候補の本性を見抜き、断らせているのかもしれない。
「ソラリアは僕以外の男性に興味はない。だから、ソレイユとイライアス殿下の仲を邪魔しようなんて考えないよ」
「お姉様はイライアス殿下に興味はないかもしれないけれど、私に嫌がらせをしたいのよ! というか、ロガン、あなた、考えが甘いんじゃない?」
「……どういうことだよ」
「昨日、イライアス殿下と王太子殿下は、どうしてお姉様に会いに来たの? あんな時間に訪ねてくるなんておかしいでしょう!」
「そ、そう言われればそうだけど」
「でしょう? 怪しいわ」
「ソレイユは、ソラリアが浮気していると言いたいのかい?」
「そうよ! 純粋なイライアス殿下はお姉様に騙されているんだわ! ああ! 可哀想なイライアス殿下!」
ソレイユのヒステリックな叫び声が聞こえたあとは、急に静かになった。
ソレイユは言いたいことを言い終え、ロガンはショックを受けているというところかしら。
イライアス殿下たちが訪ねてきたことをおかしいと思う頭はあるのかと驚いた。
でも、自分の都合のいいように考えた結果、疑うことになったのかもしれない。
「本当に、ソラリアはイライアス殿下を誘惑したのかな。王太子殿下もいたじゃないか。やっぱり違うんじゃ……」
「王太子殿下も脅されているのかもしれないわ! 許せない、許さない! お姉様がイライアス殿下たちに近づけないようにしてあげるわ! お姉様、覚悟なさい! 私を敵に回したことを後悔させてやるから!」
ええ。過去の私は後悔したわ。
だから、もう二度と、こんなミスはしない。
「ちょっと、邸の中からありったけの燭台や蝋燭を持ってきて!」
「は、はい!」
ソレイユが外にいるメイドに命令する声が聞こえた。
私はかんぬきを外して、勢いよく扉を開けて尋ねる。
「蝋燭がどうしてたくさん必要なの?」
「お、お姉様!?」
「ソラリア! 君に聞きたいことがあるんだ!」
感情を殺した表情の私を見て、ソレイユは焦った顔になり、ロガンは眉尻を下げて近づいてきた。
「ロガンとソレイユを捕まえて、部屋に軟禁してちょうだい」
ロガンを手で制止し、私は扉の左右に立っている騎士に指示した。
騎士たちは素早く動き、ロインを捕まえる。
「ソラリア! 君は浮気なんてしていないよね? 君は僕が好きなんだよね!?」
「あなたのことはもう好きじゃないし、浮気なんてしていないわ」
騎士に羽交い締めにされた状態のロガンに答え、ソレイユに視線を移す。
騎士に両腕をつかまれたソレイユは、悔しそうな表情で私を見つめていた。ソレイユの横にはメイドがおり、どうすればいいのかわからないといった様子で、私とソレイユを交互に見ている。
私はメイドに指示を出すことにした。
「ソレイユは蝋燭を持ってきてほしいと言っていたわね。彼女の部屋にたくさん持っていって火をつけてあげて。それから、何があっても部屋から出さないようにしてちょうだい」
「「「承知いたしました!」」」
騎士たちは同時に返事をすると、メイドは邸内に入り、騎士たちはソレイユをひきずるようにして歩き出す。
「お姉様! こんなことをしてもいいと思っているの!?」
「ソレイユ、あなたは火遊びがしたいようだけど、そんなことをしたらどうなるか、身を持って知りなさい」
火事を起こし、メイドたちの命を犠牲にして、私の評判を落とすつもりだったのでしょうけど、そうはさせないわ。
ソレイユたちを追い出せばいいと思っていたけれど、それだけでは危険だということがわかった。
私に歯向かえなくなるような、何か切り札が必要ね。
「ソラリア、僕のことは許してくれないか?」
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