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19 妹との絶縁 ②
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私を睨み続けるソレイユに笑顔で話しかけようとした時、今度は私の背後から声が聞こえた。 振り返って確認すると、仏頂面のラックス殿下と笑みを浮かべているイライアス殿下が立っていた。
「ラックス様!」
「ミティ!」
ミティ様がいるとわかると、ラックス殿下の表情は引いてしまいそうになるくらい、一気に和らいだ。そんな彼のもとにミティ様が駆け寄る。
「お会いできて嬉しいですわ」
「俺もだよ」
一瞬にして殺伐とした空気が吹き飛び、ハートが飛んでもおかしくないくらいに、甘い空間になった。
デレデレな様子のラックス殿下を初めて見たわ。まるで別人みたいね。
失礼だとわかっていながらも、ついつい見つめていると、イライアス殿下が近づいてきた。
「色々と迷惑をかけてごめんね」
「とんでもないことでございます。こちらこそ、色々とお世話になってしまったようで」
「気にしないで。好きでやったことだから」
微笑むイライアス殿下にベェとルピが飛びついた。
すっかり、ベェはイライアス殿下に懐いてしまったみたいね。
ベェは雑食だが、甘いものが一番好きで私以上に食べる。私が大食いになったと、パンナたちに思われても困るので制限していたが、イライアス殿下にはお腹いっぱいになるまで食べさせてもらったのかもしれない。
挨拶を忘れていたことにきづき、慌ててカーテシーをした。
「ご挨拶が遅れてしまい申し訳ございません。イライアス殿下にお会いできて光栄ですわ」
「君は僕のお客様なんだから、そんなに畏まらなくてもいいよ」
ベェとルピを肩に載せたイライアス殿下は、笑顔を消してソレイユに視線を向ける。
「兄上が彼女を呼んだそうだね」
「ソレイユはそう言っていました」
「そのことでも話があるんだ」
イライアス殿下は私の耳元で囁くと、さりげなく、ベェを私の肩に置いた。
「ベェ!」
ただいまとでも言っているのか、ベェが私の首に頭を摺り寄せる。
あとでよそ様の家であんまり勝手をしちゃ駄目だと教えておかなくちゃ。
「お姉様、あなた、ロガンがいたのにイライアス殿下と浮気していたの?」
私がイライアス殿下と親し気に話をしていたのが気に食わなかったようで、ソレイユは怒りで顔を真っ赤にして近づいてきた。
そんな彼女と私の間に入り、イライアス殿下は苦笑して答える。
「君は僕を浮気者扱いするわけ?」
「そ、それは……」
不敬な発言をしたことに気がついたソレイユは、焦った顔で言葉を詰まらせ、視線を彷徨わせた。
「まあ、いいや。君はリット兄さんに用事がるんだよね」
「あ、はい」
「なら、案内させるよ」
イライアス殿下は微笑むと、近くにいたメイドに声をかける。
「彼女を応接室に案内してほしい。それから、リット兄さんにも連絡してくれるかな」
「承知いたしました」
軽く一礼したメイドたちのうちの一人が、ソレイユを促す。
「ご案内いたしますので、こちらへどうぞ」
「え? あ、その、まだ、私はミティ様と話をしている途中で」
「ミティは忙しいんだ。お前と話をしている暇はない」
ソレイユが話している途中だったが、ラックス殿下は冷たい表情で言葉を遮った。
「えっと……、ですが、その」
ソレイユはどうしてもミティ様と話がしたいらしい。
しどろもどろになりながら、その場にとどまろうとした。
塔から落とされたのは、やっぱりミティ様じゃないかしら。
そう考えた私は、イライアス殿下に耳打ちする。
「イライアス殿下、ソレイユとミティ様をこれ以上接触させたくありません」
「わかった」
イライアス殿下は詳しい話を聞こうともせずにうなずくと、ラックス殿下に体を向ける。
「ラックス兄さん、話したいことがあるんです。ミティ嬢と一緒でかまいませんので、お時間をいただけませんか」
「……わかった。今から話をしよう」
ラックス殿下はミティ様が首を縦に振ったことを確認してから了承した。
「ソレイユ様、ご案内いたします」
再度メイドに声を掛けられたソレイユは、唇を噛んで私を睨みつけたものの、それ以上は何も言わず、メイドに付いて歩き出す。
そんな彼女の背中に話しかけた。
「ソレイユ、さっき言っていた絶縁状をオウガ侯爵家に送りつけるから、つべこべ言わずにサインをしてよね。ロガンと結婚すると言うのなら、平民では都合が悪いでしょうし、少しくらいは待ってあげるわ」
「私はロガンとは結婚しないわ! 他の人と結婚するつもりよ」
振り向いたソレイユは、イライアス殿下に視線を意味ありげな視線を送った。
「え、なに? 僕は君とは絶対に結婚しないよ」
イライアス殿下が眉根を寄せて手を横に振る。
「絶対に私と結婚したくなりますから!」
ソレイユは笑みを浮かべて答えたあと、私に視線を移した。
「お姉様、私は絶対にあなたから、レイハート公爵家の爵位を奪い取ってみせるから」
「そんなこと、絶対にさせないわ」
「駄目よ。これはお父様の遺志なの。お父様に憎まれていたのに、公爵家を継ごうなんて許さない!」
「あなたにどうこう言われる筋合いはないわ」
しつこいソレイユにうんざりした時だった。
「ベェェー!」
ベェが大きな声で鳴いたかと思うと、背負っていたシルバートレイを右前足の蹄の間に挟んだ。
つかめるとは思えないのだが、ベェはシルバートレイを掲げるように持ち上げる。
「ベ」
ベェ?
と口に出しそうになり、慌てて口を閉じた。
「ベェェー!」
ベェは雄叫びのような声を上げると、ソレイユの顔の前に飛んでいき、彼女の額めがけて、シルバートレイを振り下ろした。
「ラックス様!」
「ミティ!」
ミティ様がいるとわかると、ラックス殿下の表情は引いてしまいそうになるくらい、一気に和らいだ。そんな彼のもとにミティ様が駆け寄る。
「お会いできて嬉しいですわ」
「俺もだよ」
一瞬にして殺伐とした空気が吹き飛び、ハートが飛んでもおかしくないくらいに、甘い空間になった。
デレデレな様子のラックス殿下を初めて見たわ。まるで別人みたいね。
失礼だとわかっていながらも、ついつい見つめていると、イライアス殿下が近づいてきた。
「色々と迷惑をかけてごめんね」
「とんでもないことでございます。こちらこそ、色々とお世話になってしまったようで」
「気にしないで。好きでやったことだから」
微笑むイライアス殿下にベェとルピが飛びついた。
すっかり、ベェはイライアス殿下に懐いてしまったみたいね。
ベェは雑食だが、甘いものが一番好きで私以上に食べる。私が大食いになったと、パンナたちに思われても困るので制限していたが、イライアス殿下にはお腹いっぱいになるまで食べさせてもらったのかもしれない。
挨拶を忘れていたことにきづき、慌ててカーテシーをした。
「ご挨拶が遅れてしまい申し訳ございません。イライアス殿下にお会いできて光栄ですわ」
「君は僕のお客様なんだから、そんなに畏まらなくてもいいよ」
ベェとルピを肩に載せたイライアス殿下は、笑顔を消してソレイユに視線を向ける。
「兄上が彼女を呼んだそうだね」
「ソレイユはそう言っていました」
「そのことでも話があるんだ」
イライアス殿下は私の耳元で囁くと、さりげなく、ベェを私の肩に置いた。
「ベェ!」
ただいまとでも言っているのか、ベェが私の首に頭を摺り寄せる。
あとでよそ様の家であんまり勝手をしちゃ駄目だと教えておかなくちゃ。
「お姉様、あなた、ロガンがいたのにイライアス殿下と浮気していたの?」
私がイライアス殿下と親し気に話をしていたのが気に食わなかったようで、ソレイユは怒りで顔を真っ赤にして近づいてきた。
そんな彼女と私の間に入り、イライアス殿下は苦笑して答える。
「君は僕を浮気者扱いするわけ?」
「そ、それは……」
不敬な発言をしたことに気がついたソレイユは、焦った顔で言葉を詰まらせ、視線を彷徨わせた。
「まあ、いいや。君はリット兄さんに用事がるんだよね」
「あ、はい」
「なら、案内させるよ」
イライアス殿下は微笑むと、近くにいたメイドに声をかける。
「彼女を応接室に案内してほしい。それから、リット兄さんにも連絡してくれるかな」
「承知いたしました」
軽く一礼したメイドたちのうちの一人が、ソレイユを促す。
「ご案内いたしますので、こちらへどうぞ」
「え? あ、その、まだ、私はミティ様と話をしている途中で」
「ミティは忙しいんだ。お前と話をしている暇はない」
ソレイユが話している途中だったが、ラックス殿下は冷たい表情で言葉を遮った。
「えっと……、ですが、その」
ソレイユはどうしてもミティ様と話がしたいらしい。
しどろもどろになりながら、その場にとどまろうとした。
塔から落とされたのは、やっぱりミティ様じゃないかしら。
そう考えた私は、イライアス殿下に耳打ちする。
「イライアス殿下、ソレイユとミティ様をこれ以上接触させたくありません」
「わかった」
イライアス殿下は詳しい話を聞こうともせずにうなずくと、ラックス殿下に体を向ける。
「ラックス兄さん、話したいことがあるんです。ミティ嬢と一緒でかまいませんので、お時間をいただけませんか」
「……わかった。今から話をしよう」
ラックス殿下はミティ様が首を縦に振ったことを確認してから了承した。
「ソレイユ様、ご案内いたします」
再度メイドに声を掛けられたソレイユは、唇を噛んで私を睨みつけたものの、それ以上は何も言わず、メイドに付いて歩き出す。
そんな彼女の背中に話しかけた。
「ソレイユ、さっき言っていた絶縁状をオウガ侯爵家に送りつけるから、つべこべ言わずにサインをしてよね。ロガンと結婚すると言うのなら、平民では都合が悪いでしょうし、少しくらいは待ってあげるわ」
「私はロガンとは結婚しないわ! 他の人と結婚するつもりよ」
振り向いたソレイユは、イライアス殿下に視線を意味ありげな視線を送った。
「え、なに? 僕は君とは絶対に結婚しないよ」
イライアス殿下が眉根を寄せて手を横に振る。
「絶対に私と結婚したくなりますから!」
ソレイユは笑みを浮かべて答えたあと、私に視線を移した。
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「そんなこと、絶対にさせないわ」
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しつこいソレイユにうんざりした時だった。
「ベェェー!」
ベェが大きな声で鳴いたかと思うと、背負っていたシルバートレイを右前足の蹄の間に挟んだ。
つかめるとは思えないのだが、ベェはシルバートレイを掲げるように持ち上げる。
「ベ」
ベェ?
と口に出しそうになり、慌てて口を閉じた。
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