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第3話 バルコニーでの話し合い
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「マシュー、お前は何を言ってるんだ。レイアに失礼だろう」
私とお父様、そしてロマウ公爵は動きを止めてしまっていたけれど、我に返ったロマウ公爵がマシュー様を咎めた。
「大丈夫です、父上。レイアは僕の良いところも悪いところも受け止めてくれます。だから、僕と同じ様にママの事も愛してくれるはずです」
「………」
ロマウ公爵が絶句してしまった。
その気持はわかるわ。
私だって、驚きで何て言ったら良いかわからないもの。
どういう事?
私までミーヨ様を愛さないといけないの?
どうして?
呆然としていると、ミーヨ様がロマウ公爵に向かって口を開く。
「今まではマシューの私への愛や、私のマシューへの愛を隠していたけれど、もう限界だわ。あなた、レイアさんとマシューの婚約を解消して下さい。マシューには王女様であるセレン様がふさわしいわ。セレン様もマシューが好きだというの。ディル殿下にはレイアさんをもらってもらえば良いと思うのよ!」
「……ロマウ公爵夫人、あなたは自分が何を言っているのかわかっているのですか…」
お父様が怒りを隠す事もなく尋ねると、ミーヨ様はマシュー様の後ろに隠れて叫ぶ。
「前々から思っていたのです! レイアさんにはマシューへの愛が足りないと!」
「自分の息子を棚に上げてよく言うな! レイアにとって異性として見ている男性はマシューしかいないが、マシューはそうじゃない! あなたの事を一番に考えているじゃないか!」
お父様の言葉を聞いたミーヨ様はうっとりした顔でマシューを見る。
「ああ、私の可愛いマシュー。そんな風に思ってくれていたの?」
「ママ……、女性としては見ていないけれど、この世で一番大好きなのはママだよ」
ない。
絶対にない。
この人と上手くいくとは思えない。
お母様を大事に思うことに文句はないわ。
けれど、マシュー様とミーヨ様の関係性は…。
頭の中で警鐘が鳴る。
私が好きになった男性は、悪い男性ではないのかもしれないけれど、一緒に人生を歩んでいくには難しい人だわ。
「……プラウ公爵、レイア、少し話をしたいんだが…」
ロマウ公爵は肩を落として大きく息を吐いてから私とお父様を見る。
お父様とロマウ公爵は個人的に仲が良いから、こんな失礼な展開になっても、お父様が我慢してくれている事に気が付いた様だった。
マシュー様達を騒ぎを聞きつけたお母様に任せて、私とお父様とロマウ公爵は人のいないバルコニーに出た。
「息子と妻が申し訳ない。過保護だと散々言い聞かせたが、マシューが大きくなるにつれて、余計に酷くなってしまった」
「気にするな、と言いたいところだが、あれは酷い。ミレイも薄々気が付いていたようだし、君に伝えておくべきだった」
ミレイというのは、私のお母様の名で、ミーヨ様とは何度もお茶会で会っているから、その時にマシュー様に対するミーヨ様の過剰な愛に気が付いたのかもしれない。
お母様が私に話をしてくれなかったのは、おかしいのはミーヨ様だけで、マシュー様は普通だと思っていたからでしょうね。
私もマシュー様がミーヨ様を好きな事に気付いてはいたけど、ここまでだったとは…。
お父様が私に尋ねてくる。
「レイア、お前はマシューとの婚約関係をを続けたいか…?」
「……今まではマシュー様のミーヨ様への思いは家族としてのものだと思っておりました。実際は、そうではないのでしようか…? もし、そうじゃないというのであれば、受け入れるのは難しいです」
だって、新婚生活を送る事になっても、お母様が寝室にやって来る可能性もあるって事でしょう?
お父様の質問に答えると、私の考えた事をわかってくださったのか、ロマウ公爵が大きく息を吐いて言う。
「あの2人の間に間違いが起きるという事はない。異性として好きなのはレイアが1番なのだと思う。ただ、ミーヨがセレン様を好きになれと命令すると、どうなるかわからないところだが…」
「セレン様は本当にマシューの事が好きなんだろうか」
呟いたお父様の言葉に反応して、首を横に振る。
「それはないと思います。セレン様はただ、ディル殿下との結婚を嫌がっているだけかと…」
「……その事なんだが…」
お父様が重々しい顔で話を切り出そうとした時、バルコニーの扉が開き、国王陛下が中に入ってこられた。
かなり、疲れ切った顔をしておられる。
「兄上、一体どうなっているんです?」
公の場では陛下、プライベートの場では兄上と呼んでいるお父様は、私達だけしかこの場にいないからか、整った顔を歪めて抗議する。
「セレン姫を甘やかしすぎです」
「わかっている。その事で話があって来た」
陛下は難しい顔をした後、私に向かって言う。
「レイア、お前とマシューが愛し合っているというのなら何も言うつもりはないが、もし、お互いが政略結婚の相手でしかないというのなら、セレンにマシューを譲ってもらえないだろうか」
「ど、どういう事でしょうか!?」
驚いて言葉を返すと、陛下はこめかみをおさえて言う。
「こんな事になったのは私の責任だと自覚している。レイアに関係ない事もわかっている。ただ、こうなってしまった以上、外交問題の事を考えてほしい。セレンの様な女性を嫁に出したと、ターリー国に気付かれてしまえば、国際問題になりかねない」
自分の娘をそこまで言わないといけなくなるくらいに酷いと思っているのなら、もう少し早くに教育し直していただきたかったわ…。
なんと言葉を返せば良いか迷っていると、バルコニーの扉が開き、お母様がウェーブのかかった黒色の長い髪を揺らして、娘の私でも綺麗だと思う整った顔を歪めて叫んだ。
「大変よ! マシューとセレン様が婚約発表したわ!」
お母様の言葉を聞いた私達全員は、あまりの出来事に絶句するしかなかった。
私とお父様、そしてロマウ公爵は動きを止めてしまっていたけれど、我に返ったロマウ公爵がマシュー様を咎めた。
「大丈夫です、父上。レイアは僕の良いところも悪いところも受け止めてくれます。だから、僕と同じ様にママの事も愛してくれるはずです」
「………」
ロマウ公爵が絶句してしまった。
その気持はわかるわ。
私だって、驚きで何て言ったら良いかわからないもの。
どういう事?
私までミーヨ様を愛さないといけないの?
どうして?
呆然としていると、ミーヨ様がロマウ公爵に向かって口を開く。
「今まではマシューの私への愛や、私のマシューへの愛を隠していたけれど、もう限界だわ。あなた、レイアさんとマシューの婚約を解消して下さい。マシューには王女様であるセレン様がふさわしいわ。セレン様もマシューが好きだというの。ディル殿下にはレイアさんをもらってもらえば良いと思うのよ!」
「……ロマウ公爵夫人、あなたは自分が何を言っているのかわかっているのですか…」
お父様が怒りを隠す事もなく尋ねると、ミーヨ様はマシュー様の後ろに隠れて叫ぶ。
「前々から思っていたのです! レイアさんにはマシューへの愛が足りないと!」
「自分の息子を棚に上げてよく言うな! レイアにとって異性として見ている男性はマシューしかいないが、マシューはそうじゃない! あなたの事を一番に考えているじゃないか!」
お父様の言葉を聞いたミーヨ様はうっとりした顔でマシューを見る。
「ああ、私の可愛いマシュー。そんな風に思ってくれていたの?」
「ママ……、女性としては見ていないけれど、この世で一番大好きなのはママだよ」
ない。
絶対にない。
この人と上手くいくとは思えない。
お母様を大事に思うことに文句はないわ。
けれど、マシュー様とミーヨ様の関係性は…。
頭の中で警鐘が鳴る。
私が好きになった男性は、悪い男性ではないのかもしれないけれど、一緒に人生を歩んでいくには難しい人だわ。
「……プラウ公爵、レイア、少し話をしたいんだが…」
ロマウ公爵は肩を落として大きく息を吐いてから私とお父様を見る。
お父様とロマウ公爵は個人的に仲が良いから、こんな失礼な展開になっても、お父様が我慢してくれている事に気が付いた様だった。
マシュー様達を騒ぎを聞きつけたお母様に任せて、私とお父様とロマウ公爵は人のいないバルコニーに出た。
「息子と妻が申し訳ない。過保護だと散々言い聞かせたが、マシューが大きくなるにつれて、余計に酷くなってしまった」
「気にするな、と言いたいところだが、あれは酷い。ミレイも薄々気が付いていたようだし、君に伝えておくべきだった」
ミレイというのは、私のお母様の名で、ミーヨ様とは何度もお茶会で会っているから、その時にマシュー様に対するミーヨ様の過剰な愛に気が付いたのかもしれない。
お母様が私に話をしてくれなかったのは、おかしいのはミーヨ様だけで、マシュー様は普通だと思っていたからでしょうね。
私もマシュー様がミーヨ様を好きな事に気付いてはいたけど、ここまでだったとは…。
お父様が私に尋ねてくる。
「レイア、お前はマシューとの婚約関係をを続けたいか…?」
「……今まではマシュー様のミーヨ様への思いは家族としてのものだと思っておりました。実際は、そうではないのでしようか…? もし、そうじゃないというのであれば、受け入れるのは難しいです」
だって、新婚生活を送る事になっても、お母様が寝室にやって来る可能性もあるって事でしょう?
お父様の質問に答えると、私の考えた事をわかってくださったのか、ロマウ公爵が大きく息を吐いて言う。
「あの2人の間に間違いが起きるという事はない。異性として好きなのはレイアが1番なのだと思う。ただ、ミーヨがセレン様を好きになれと命令すると、どうなるかわからないところだが…」
「セレン様は本当にマシューの事が好きなんだろうか」
呟いたお父様の言葉に反応して、首を横に振る。
「それはないと思います。セレン様はただ、ディル殿下との結婚を嫌がっているだけかと…」
「……その事なんだが…」
お父様が重々しい顔で話を切り出そうとした時、バルコニーの扉が開き、国王陛下が中に入ってこられた。
かなり、疲れ切った顔をしておられる。
「兄上、一体どうなっているんです?」
公の場では陛下、プライベートの場では兄上と呼んでいるお父様は、私達だけしかこの場にいないからか、整った顔を歪めて抗議する。
「セレン姫を甘やかしすぎです」
「わかっている。その事で話があって来た」
陛下は難しい顔をした後、私に向かって言う。
「レイア、お前とマシューが愛し合っているというのなら何も言うつもりはないが、もし、お互いが政略結婚の相手でしかないというのなら、セレンにマシューを譲ってもらえないだろうか」
「ど、どういう事でしょうか!?」
驚いて言葉を返すと、陛下はこめかみをおさえて言う。
「こんな事になったのは私の責任だと自覚している。レイアに関係ない事もわかっている。ただ、こうなってしまった以上、外交問題の事を考えてほしい。セレンの様な女性を嫁に出したと、ターリー国に気付かれてしまえば、国際問題になりかねない」
自分の娘をそこまで言わないといけなくなるくらいに酷いと思っているのなら、もう少し早くに教育し直していただきたかったわ…。
なんと言葉を返せば良いか迷っていると、バルコニーの扉が開き、お母様がウェーブのかかった黒色の長い髪を揺らして、娘の私でも綺麗だと思う整った顔を歪めて叫んだ。
「大変よ! マシューとセレン様が婚約発表したわ!」
お母様の言葉を聞いた私達全員は、あまりの出来事に絶句するしかなかった。
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