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2 なぜそれに気付けないのでしょう?
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「あなたはよく平気な顔をして、私の前に出てこれるわね!」
話が長くなりそうなので馬車から降りると、カーミラ様は、お茶会メンバーの方でしょうか、周りにいる御婦人方に向かって、私を指差しながら言葉を続けます。
「この子がラルフの婚約者なの! ラルフはとても良い子だったのに、ずる賢いこの子に騙されて、すっかり変わってしまったの!」
ずる賢いかどうかはわかりませんが、私にとっては褒め言葉です。
だって賢いのは確かですものね?
ただ、ラルフ様って、そんなにカーミラ様に従順だったのでしょうか?
無関心なだけだったのでは?
今の言い方ですと、周りの人からすれば頼りない男性の様に受け取ってしまわれるのでは?
身内の前では頼りなくても許されるかもしれませんが、辺境伯という立場上、対外的にはあまりよろしくない様な気がするのですが…。
店の前で立ち尽くしている、カーミラ様のお連れの3人の御婦人方は、案の定、困った顔をされています。
そりゃ反応に困りますよね?
「カーミラ様、ラルフ様が変わったと言われましたが、具体的に教えていただけませんか?」
「具体的に?」
「ええ。昔とどう変わられたのでしょう?」
わざと小首を傾げてみせると、隣に立つソラが、やめろ、と言わんばかりに、私が着ているシュミーズドレスの腰に巻いているリボンを後ろ手で引っ張ってきましたが、後で謝る事にして、今は無視する。
「ラルフは私に口答えなんかしなかったわ!」
「自分の意見を言えるようになられたのなら、喜ばしい事なのでは? それに、ラルフ様はワガママな事を言われる方ではないと思いますが」
言ってから気付く。
私はラルフ様に思い切り、ワガママを言われてる気がします!
婚約の解消も破棄もさせていただけませんから!
「何にしても、あなたが来てからよ! ミラルルは嫁にいってしまうし、フレイだって!」
「カーミラ様?」
にっこり笑って、カーミラ様の言葉を遮ります。
ミラルル様の話はまだしも、フレイ様の件は、令嬢方に配慮して公にされていません。
だから、変なことを口に出されても困るのです。
さすがのカーミラ様も気が付いたのか、御婦人方に愛想笑いをしてから、表情をころりと変えて、私を見て言います。
「あなたはラルフにはふさわしくありません! 私があの子に似合う女性を探しますから!」
「どうぞご自由に。私がどうこう申し上げるものでもありませんので。あと、その際はそちらからの婚約破棄として、慰謝料をいただきますので、よろしくお願いいたしますね?」
そんな勝手な事をしたら、ラルフ様が怒るという考えはないのでしょうか?
まあ、私が心配してあげる事でもないですね。
そう考え、右頬に右手を当ててにっこり微笑むと、カーミラ様が美しいお顔を歪められました。
その時でした。
「ちょっと、店の前で大勢で立ち止まらないで下さいよ! 営業妨害です!」
店の中から怒り顔で出てこられたのは、私が会いに来たお相手、ミリー様です。
ミリー様は紺色のセミロングの髪を揺らし、私服らしき黒のワンピースに白のエプロンをつけて、ギャラリーを見渡し、私を見つけると、ぱあ、明るい表情を見せてくださいましたが、カーミラ様の姿を認めた途端、一瞬にして表情を歪められました。
「げ。なんで、こんなとこにクソばば、ん、んんっ。カーミラ様がいらっしゃるんでしょう?」
ミリー様。
今、結構、失礼な発言をしようとされてましたね。
あまり、誤魔化せてないですよ?
「ただの店員のくせに話しかけないでちょうだい!」
「ただの店員がいないと、お店は営業できませんけどね?」
ミリー様はカーミラ様にしれっと返したあと、私の方に笑顔を向けられます。
「リノア様、どうされました? お手紙を読んで下さったんですか?」
「お手紙?」
「あれ、違うんですか?」
ミリー様は不思議そうな顔をして小首を傾げられましたが、すぐに笑顔になられて言います。
「まあ、まだならまだでいいんです! 今日はどうされました? あ、カーミラ様、営業妨害なんで店の入口に立たれるのやめてもらえます?」
「何を言ってるの! 私は客よ!」
カーミラ様が叫ぶと、ミリー様は眉根を寄せられたあと、何とか笑顔を作られます。
「いらっしゃいませぇ。どうぞ中にお入り下さいぃ」
営業スマイルがひきつっておられますが、頑張っておられるようなので、静かにミリー様達を見守っていると、カーミラ様は周りの人に連れられ、店の中に入っていこうとされます。
ですが、すぐに立ち止まり、私を睨みつけてこられました。
「覚えていなさいよ! ミラルルやフレイにした事も含めて、このままで済むとは思わない事ね!」
「承知しました。その旨をラルフ様にお伝えさせていただきます」
笑顔で答えると、カーミラ様は何か言いたそうにされましたが、諦めたのか私をもう一睨みされた後、今度こそ、店の中に入っていかれました。
ラルフ様に嫌われたくないなら、ジッとしていればいいだけです。
カーミラ様はなぜそれに気付けないのでしょう?
話が長くなりそうなので馬車から降りると、カーミラ様は、お茶会メンバーの方でしょうか、周りにいる御婦人方に向かって、私を指差しながら言葉を続けます。
「この子がラルフの婚約者なの! ラルフはとても良い子だったのに、ずる賢いこの子に騙されて、すっかり変わってしまったの!」
ずる賢いかどうかはわかりませんが、私にとっては褒め言葉です。
だって賢いのは確かですものね?
ただ、ラルフ様って、そんなにカーミラ様に従順だったのでしょうか?
無関心なだけだったのでは?
今の言い方ですと、周りの人からすれば頼りない男性の様に受け取ってしまわれるのでは?
身内の前では頼りなくても許されるかもしれませんが、辺境伯という立場上、対外的にはあまりよろしくない様な気がするのですが…。
店の前で立ち尽くしている、カーミラ様のお連れの3人の御婦人方は、案の定、困った顔をされています。
そりゃ反応に困りますよね?
「カーミラ様、ラルフ様が変わったと言われましたが、具体的に教えていただけませんか?」
「具体的に?」
「ええ。昔とどう変わられたのでしょう?」
わざと小首を傾げてみせると、隣に立つソラが、やめろ、と言わんばかりに、私が着ているシュミーズドレスの腰に巻いているリボンを後ろ手で引っ張ってきましたが、後で謝る事にして、今は無視する。
「ラルフは私に口答えなんかしなかったわ!」
「自分の意見を言えるようになられたのなら、喜ばしい事なのでは? それに、ラルフ様はワガママな事を言われる方ではないと思いますが」
言ってから気付く。
私はラルフ様に思い切り、ワガママを言われてる気がします!
婚約の解消も破棄もさせていただけませんから!
「何にしても、あなたが来てからよ! ミラルルは嫁にいってしまうし、フレイだって!」
「カーミラ様?」
にっこり笑って、カーミラ様の言葉を遮ります。
ミラルル様の話はまだしも、フレイ様の件は、令嬢方に配慮して公にされていません。
だから、変なことを口に出されても困るのです。
さすがのカーミラ様も気が付いたのか、御婦人方に愛想笑いをしてから、表情をころりと変えて、私を見て言います。
「あなたはラルフにはふさわしくありません! 私があの子に似合う女性を探しますから!」
「どうぞご自由に。私がどうこう申し上げるものでもありませんので。あと、その際はそちらからの婚約破棄として、慰謝料をいただきますので、よろしくお願いいたしますね?」
そんな勝手な事をしたら、ラルフ様が怒るという考えはないのでしょうか?
まあ、私が心配してあげる事でもないですね。
そう考え、右頬に右手を当ててにっこり微笑むと、カーミラ様が美しいお顔を歪められました。
その時でした。
「ちょっと、店の前で大勢で立ち止まらないで下さいよ! 営業妨害です!」
店の中から怒り顔で出てこられたのは、私が会いに来たお相手、ミリー様です。
ミリー様は紺色のセミロングの髪を揺らし、私服らしき黒のワンピースに白のエプロンをつけて、ギャラリーを見渡し、私を見つけると、ぱあ、明るい表情を見せてくださいましたが、カーミラ様の姿を認めた途端、一瞬にして表情を歪められました。
「げ。なんで、こんなとこにクソばば、ん、んんっ。カーミラ様がいらっしゃるんでしょう?」
ミリー様。
今、結構、失礼な発言をしようとされてましたね。
あまり、誤魔化せてないですよ?
「ただの店員のくせに話しかけないでちょうだい!」
「ただの店員がいないと、お店は営業できませんけどね?」
ミリー様はカーミラ様にしれっと返したあと、私の方に笑顔を向けられます。
「リノア様、どうされました? お手紙を読んで下さったんですか?」
「お手紙?」
「あれ、違うんですか?」
ミリー様は不思議そうな顔をして小首を傾げられましたが、すぐに笑顔になられて言います。
「まあ、まだならまだでいいんです! 今日はどうされました? あ、カーミラ様、営業妨害なんで店の入口に立たれるのやめてもらえます?」
「何を言ってるの! 私は客よ!」
カーミラ様が叫ぶと、ミリー様は眉根を寄せられたあと、何とか笑顔を作られます。
「いらっしゃいませぇ。どうぞ中にお入り下さいぃ」
営業スマイルがひきつっておられますが、頑張っておられるようなので、静かにミリー様達を見守っていると、カーミラ様は周りの人に連れられ、店の中に入っていこうとされます。
ですが、すぐに立ち止まり、私を睨みつけてこられました。
「覚えていなさいよ! ミラルルやフレイにした事も含めて、このままで済むとは思わない事ね!」
「承知しました。その旨をラルフ様にお伝えさせていただきます」
笑顔で答えると、カーミラ様は何か言いたそうにされましたが、諦めたのか私をもう一睨みされた後、今度こそ、店の中に入っていかれました。
ラルフ様に嫌われたくないなら、ジッとしていればいいだけです。
カーミラ様はなぜそれに気付けないのでしょう?
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