1 / 13
プロローグ
私、リゼア・モロロフ伯爵令嬢には8歳の時から、1つ年下で公爵令息であるルークス・ラゼルという婚約者がいた。
「リゼとルークスは将来、結婚するんだよ」
幼い頃から、お父様とお母様からそう言われていて、純粋にそうなるのだと信じていた。
ルークスとは喧嘩ばかりだったけど、彼の事が密かに好きだったから。
ルークスは他の女の子に全然興味を示さなくて、子供の頃は特に憎まれ口を叩いてくる事も多かったけれど、彼がちょっかいをかける異性といったら私だけだったので、彼も私の事を嫌っていないと勝手に思っていた。
成長するにつれて恋心も大きく膨らんで、彼もなんだかんだと私を大事にしてくれている事がわかるようになり、気持ちを伝えあった事はないものの同じ気持ちである事を感じ始めたのは、私が16歳になった頃だった。
この日の朝は、ルークスと一緒に王家主催のパーティーに出る事になっていた為、朝から忙しかった。
漆黒の艶のあるストレートの長い黒髪をシニヨンにして、ティアドロップ型の赤いルビーの付いたイヤリングやネックレスを付けた自分自身を鏡で確認すると、化粧をしているせいか、いつもは可愛らしいと言われる私が今日は大人っぽく見えたし、メイド達からも綺麗だと褒めてもらえた。
そうこうしている内に時間になり、ルークスが家まで迎えに来てくれたので、ルークスの家の馬車で一緒に会場に向かう。
私よりも頭一つ分背の高いルークスは長身痩躯の眉目秀麗で、女の子にとても人気があった。
茶色かがった黒色の髪に、私と同じ瞳の色でもある紺色の瞳。
目の大きい私に比べて、ルークスは吊り目気味で目は大きくはないけれど、まつ毛が長くていつも羨ましく思ってしまう。
「毎回、リゼは僕の睫毛を見るよな」
「……気付いてたの?」
「気付かないわけないだろ。凝視してるんだから」
ルークスはそう言って、他の女の子には見せない、いたずらっ子の様な笑みを浮かべてくれた。
その笑顔に胸がきゅうと締め付けられて、思わず目を逸らすと、ルークスの方が私の顔を覗き込んでくる。
「どうした? もう見なくていいのか?」
「もう十分です」
鼻と鼻が触れ合いそうなくらいに顔が近くて、目を合わせられなくて下を向いてばかりいると、ルークスは顔をはなしてから微笑む。
「リゼはお子様だな」
「お子様で結構です! これから少しずつ大人になるんだから!」
「そうだな。ゆっくりでいいよ。リゼが大人の階段をのぼろうとしたら踏み外しそうだし」
「どうしてそんな事を言うの!」
「悪い悪い。でも、今日のリゼはすごく綺麗だよ」
「いつもは綺麗じゃなくてすみません!」
「素直に礼を言えないところは、まだまだお子様だな」
「ルークスだって1つしか変わらないでしょう!? それに私よりも年下じゃない! ……でも、褒めてくれてありがとう」
お礼を言わない事は確かに失礼だと思って口にすると、ルークスは笑って「いつもは可愛いよ」と言ってくれた。
この時の私は、大好きな人と笑い合うこの時間が途切れる事なく続くのだと信じていた。
「リゼとルークスは将来、結婚するんだよ」
幼い頃から、お父様とお母様からそう言われていて、純粋にそうなるのだと信じていた。
ルークスとは喧嘩ばかりだったけど、彼の事が密かに好きだったから。
ルークスは他の女の子に全然興味を示さなくて、子供の頃は特に憎まれ口を叩いてくる事も多かったけれど、彼がちょっかいをかける異性といったら私だけだったので、彼も私の事を嫌っていないと勝手に思っていた。
成長するにつれて恋心も大きく膨らんで、彼もなんだかんだと私を大事にしてくれている事がわかるようになり、気持ちを伝えあった事はないものの同じ気持ちである事を感じ始めたのは、私が16歳になった頃だった。
この日の朝は、ルークスと一緒に王家主催のパーティーに出る事になっていた為、朝から忙しかった。
漆黒の艶のあるストレートの長い黒髪をシニヨンにして、ティアドロップ型の赤いルビーの付いたイヤリングやネックレスを付けた自分自身を鏡で確認すると、化粧をしているせいか、いつもは可愛らしいと言われる私が今日は大人っぽく見えたし、メイド達からも綺麗だと褒めてもらえた。
そうこうしている内に時間になり、ルークスが家まで迎えに来てくれたので、ルークスの家の馬車で一緒に会場に向かう。
私よりも頭一つ分背の高いルークスは長身痩躯の眉目秀麗で、女の子にとても人気があった。
茶色かがった黒色の髪に、私と同じ瞳の色でもある紺色の瞳。
目の大きい私に比べて、ルークスは吊り目気味で目は大きくはないけれど、まつ毛が長くていつも羨ましく思ってしまう。
「毎回、リゼは僕の睫毛を見るよな」
「……気付いてたの?」
「気付かないわけないだろ。凝視してるんだから」
ルークスはそう言って、他の女の子には見せない、いたずらっ子の様な笑みを浮かべてくれた。
その笑顔に胸がきゅうと締め付けられて、思わず目を逸らすと、ルークスの方が私の顔を覗き込んでくる。
「どうした? もう見なくていいのか?」
「もう十分です」
鼻と鼻が触れ合いそうなくらいに顔が近くて、目を合わせられなくて下を向いてばかりいると、ルークスは顔をはなしてから微笑む。
「リゼはお子様だな」
「お子様で結構です! これから少しずつ大人になるんだから!」
「そうだな。ゆっくりでいいよ。リゼが大人の階段をのぼろうとしたら踏み外しそうだし」
「どうしてそんな事を言うの!」
「悪い悪い。でも、今日のリゼはすごく綺麗だよ」
「いつもは綺麗じゃなくてすみません!」
「素直に礼を言えないところは、まだまだお子様だな」
「ルークスだって1つしか変わらないでしょう!? それに私よりも年下じゃない! ……でも、褒めてくれてありがとう」
お礼を言わない事は確かに失礼だと思って口にすると、ルークスは笑って「いつもは可愛いよ」と言ってくれた。
この時の私は、大好きな人と笑い合うこの時間が途切れる事なく続くのだと信じていた。
あなたにおすすめの小説
真実の愛の裏側
藍田ひびき
恋愛
アレックス・ロートン侯爵令息の第一夫人シェリルが療養のため領地へ居を移した。それは療養とは名ばかりの放逐。
男爵家出身でありながら侯爵令息に見初められ、「真実の愛」と持て囃された彼女の身に何があったのか。その裏に隠された事情とは――?
※ 他サイトにも投稿しています。
片思いの貴方に何度も告白したけど断られ続けてきた
アリス
恋愛
幼馴染で学生の頃から、ずっと好きだった人。
高校生くらいから何十回も告白した。
全て「好きなの」
「ごめん、断る」
その繰り返しだった。
だけど彼は優しいから、時々、ご飯を食べに行ったり、デートはしてくれる。
紛らわしいと思う。
彼に好きな人がいるわけではない。
まだそれなら諦めがつく。
彼はカイル=クレシア23歳
イケメンでモテる。
私はアリア=ナターシャ20歳
普通で人には可愛い方だと言われた。
そんなある日
私が20歳になった時だった。
両親が見合い話を持ってきた。
最後の告白をしようと思った。
ダメなら見合いをすると言った。
その見合い相手に溺愛される。
最後に一つだけ。あなたの未来を壊す方法を教えてあげる
椿谷あずる
恋愛
婚約者カインの口から、一方的に別れを告げられたルーミア。
その隣では、彼が庇う女、アメリが怯える素振りを見せながら、こっそりと勝者の微笑みを浮かべていた。
──ああ、なるほど。私は、最初から負ける役だったのね。
全てを悟ったルーミアは、静かに微笑み、淡々と婚約破棄を受け入れる。
だが、その背中を向ける間際、彼女はふと立ち止まり、振り返った。
「……ねえ、最後に一つだけ。教えてあげるわ」
その一言が、すべての運命を覆すとも知らずに。
裏切られた彼女は、微笑みながらすべてを奪い返す──これは、華麗なる逆転劇の始まり。
【完結】私の事は気にせずに、そのままイチャイチャお続け下さいませ ~私も婚約解消を目指して頑張りますから~
山葵
恋愛
ガルス侯爵家の令嬢である わたくしミモルザには、婚約者がいる。
この国の宰相である父を持つ、リブルート侯爵家嫡男レイライン様。
父同様、優秀…と期待されたが、顔は良いが頭はイマイチだった。
顔が良いから、女性にモテる。
わたくしはと言えば、頭は、まぁ優秀な方になるけれど、顔は中の上位!?
自分に釣り合わないと思っているレイラインは、ミモルザの見ているのを知っていて今日も美しい顔の令嬢とイチャイチャする。
*沢山の方に読んで頂き、ありがとうございます。m(_ _)m
幼馴染が最優先な婚約者など、私の人生には不要です。
たると
恋愛
シュタイン伯爵家の長女エルゼは、公爵子息フィリップに恋をしていた。
彼の婚約者として選ばれた時は涙を流して喜んだが、その喜びもいまは遠い。
『君は一人でも大丈夫だろう。この埋め合わせは必ずする。愛している』
「……『愛している』、ですか」
いつも幼馴染を優先するアルベルトに、恋心はすっかり冷めてしまった。
お飾りの私と怖そうな隣国の王子様
mahiro
恋愛
お飾りの婚約者だった。
だって、私とあの人が出会う前からあの人には好きな人がいた。
その人は隣国の王女様で、昔から二人はお互いを思い合っているように見えた。
「エディス、今すぐ婚約を破棄してくれ」
そう言ってきた王子様は真剣そのもので、拒否は許さないと目がそう訴えていた。
いつかこの日が来るとは思っていた。
思い合っている二人が両思いになる日が来ればいつの日か、と。
思いが叶った彼に祝いの言葉と、破棄を受け入れるような発言をしたけれど、もう私には用はないと彼は一切私を見ることなどなく、部屋を出て行ってしまった。