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第5話 阻止
次の日から、私は城内で仕事を任される様になった。
まずは簡単ではあるけれど、責任重大の仕事で他国から来た手紙に対して返答をするのだけれど、驚いた事に他国の王家などから陛下のやっている事に対しての苦言の手紙が多く届いていた。
即位の件に関してもそうだけれど、私や家族を脅して無理矢理、私を婚約者にしたという事も他国に知れ渡っていて、今すぐに私との婚約を解消なり破棄して家に帰らせてあげるべきだと書かれていた。
どうして、この話が他国まで知れ渡ったのかはわからないけれど、きっと、お父様やお兄様、ルークスのお父様であるラゼル公爵が動いてくれたのだと思った。
城に来てから15日以上は経っているけれど、家族には未だに会わせてもらえていない。
会えば辛くなるかもしれないけれど、やはり、会いたいという気持ちは湧いてくる。
それはルークスに関しても一緒だった。
だけど、ルークスと私の婚約は解消されてしまったし、会いたいと言えば浮気だと判断され、ルークスの命が危なくなる。
何より、陛下の婚約者の状態で会いたくなんかない。
他国へ手紙を返そうと思い、執務室で文面を考えていると、私には侍女がシラージェしかいないし、全然働いてくれないので、シラージェのやるべき事をしてくれているメイドの1人が青い顔をして入ってきた。
「……どうかしたの?」
あまりにも顔色が悪いので聞いてみると、メイドは泣きそうな顔になって言う。
「シラージェ様には私が言ったと言わないでいただきたいのですが…」
「……わかったわ。どうかしたの?」
メイドは涙目で震える声で言う。
「シラージェ様が…、毒を…、リゼア様の名義で用意するようにと…」
「……どういう事?」
震えているメイドをソファーに座らせて詳しい話を聞いてみると、シラージェが私を自殺に見せかけて服毒自殺させようとしている事がわかった。
断ったけれど、言う事を聞かないなら陛下に言うと脅されたらしい。
陛下に言うという事は、暗に彼女を殺すと言っている様なものだった。
誰にも言うなとも言われたけれど、やはり黙ってはいられず、今、シラージェは陛下の所に行っているから、その間に私に注意喚起をした方が良いと考えてくれた様だった。
「……教えてくれてありがとう。あなたは言われたとおりにしてちょうだい」
「ですが…!」
「大丈夫よ。毒見されていないものは食べないし飲まない様にするわ」
「……」
メイドは私に伝える事によっても、自分の命が危うくなる事をわかっていて教えてくれたみたいだった。
ならば、彼女の命も自分の命も助かる方法を考えなくちゃ。
「シラージェには私が勘付いている事がバレなければいいわけでしょう?」
「……どうして、リゼア様は私の言う事を信じて下さるのですか…?」
メイドにしてみれば、シラージェの事を悪く言う自分が罰されるかもしれないとも思ったらしい。
私だって、ここに来るまでならシラージェはそんな人じゃないと怒って信じなかったと思う。
ただ、ここに来て、陛下に恋してからのシラージェは私に対するライバル心がすごかった。
自分は侍女で来たのではなく、陛下の妻となる為に呼ばれたのだと思いこんでいた。
けれど、陛下は私を自分の側から離す気はないらしく、それが余計にシラージェを苛立たせている事はわかっていた。
「こんな事は言いたくないけど、そうなる可能性が高いと思い始めていたから…」
私を排除しようとするのはまだしも、殺そうとするだなんて思っていなかったけれど…。
友人を殺したいと思うほどに、シラージェは陛下を好きになってしまったのね…。
「でも、お二人はお友達なのですよね…? それなのに…」
「深い事は知らなくていいわ。でも、考えてみたら、毒の存在がバレたら、あなたの身が危ないわよね? 発注したふりをする事は出来る?」
「やってみますが…」
メイドは自信がなさそうだった。
どうしたら彼女を守れて、シラージェだけ罪に問う事ができるのかしら…。
そうだわ。
私には協力者が多い。
発注できないようにさせたらいいんだわ。
あの人なら、自然に止められるかもしれない。
私は他のメイドに頼んで、シラージェが陛下の部屋から出る様なら、私が執務室にいない事がバレない様に上手くやってほしいとお願いして、毒の発注を頼まれたメイドと一緒に、ある人物の元へ行き、今回の事を伝えると、血相を変えた。
「どうして、シラージェ様はそんな事を頼んだのでしょうか…」
「私がここでの生活を苦に自殺したように見せかけて、側妃の問題を解決しようとしているのかもしれないわ」
メイド長は私の言葉に頷くと、「承知いたしました。発注に関してのチェックを入れ、その時に気付いた事に致します」と言ってくれた。
この件では無事に命令されたメイドは毒を発注する事は出来なくなり、彼女は罪を犯さなくて良くなった。
ただ、私の身の危険は去っていない。
なぜなら、彼女の目的は達成していないから。
「リゼア」
次の日の夜、陛下に呼ばれ寝室に行くと、今日は部屋の中には陛下の側近もいた。
陛下は私を見て心配そうな顔をして言う。
「自殺を考えているようだね」
「何を仰っているんです?」
「シラージェが言っていたんだ。自殺なんて絶対にさせない。君が自殺したら、君の元婚約者もすぐに後を追わせてやろう。君が死にたい原因は彼なんだろう?」
「私は死にたくなんかありません! シラージェが嘘をついているだけです! 陛下、シラージェの為にも私を側妃にする事を諦めていただけませんか? 彼女はあなたの愛情を独り占めしたいんです! 私が邪魔なだけなんです!」
「……君の気持ちはよくわかったよ。君の元婚約者を殺せと言う事だね?」
「違います! 陛下は私の事を信用してくださらないんですか!?」
叫ぶと、陛下は大きく頷く。
「だって、君の態度は僕を嫌っているとしか思えないからね」
「従順になれば信じていただけるんですか……?」
「君の元婚約者を殺す件については、もう無理だよ。さあ、どんな風に殺そうかなぁ。苦しませないと気が済まない」
安楽椅子に座り、陛下がニヤニヤと笑った時だった。
黙って扉付近に立っていた側近が口を開いた。
「ラゼル公爵令息は現在、この国にはおられませんので手を出すのは難しいかと思われます」
「えっ?」
「何だと!?」
陛下は私と同じで、その事を知らなかった様で大きな声を上げた。
まずは簡単ではあるけれど、責任重大の仕事で他国から来た手紙に対して返答をするのだけれど、驚いた事に他国の王家などから陛下のやっている事に対しての苦言の手紙が多く届いていた。
即位の件に関してもそうだけれど、私や家族を脅して無理矢理、私を婚約者にしたという事も他国に知れ渡っていて、今すぐに私との婚約を解消なり破棄して家に帰らせてあげるべきだと書かれていた。
どうして、この話が他国まで知れ渡ったのかはわからないけれど、きっと、お父様やお兄様、ルークスのお父様であるラゼル公爵が動いてくれたのだと思った。
城に来てから15日以上は経っているけれど、家族には未だに会わせてもらえていない。
会えば辛くなるかもしれないけれど、やはり、会いたいという気持ちは湧いてくる。
それはルークスに関しても一緒だった。
だけど、ルークスと私の婚約は解消されてしまったし、会いたいと言えば浮気だと判断され、ルークスの命が危なくなる。
何より、陛下の婚約者の状態で会いたくなんかない。
他国へ手紙を返そうと思い、執務室で文面を考えていると、私には侍女がシラージェしかいないし、全然働いてくれないので、シラージェのやるべき事をしてくれているメイドの1人が青い顔をして入ってきた。
「……どうかしたの?」
あまりにも顔色が悪いので聞いてみると、メイドは泣きそうな顔になって言う。
「シラージェ様には私が言ったと言わないでいただきたいのですが…」
「……わかったわ。どうかしたの?」
メイドは涙目で震える声で言う。
「シラージェ様が…、毒を…、リゼア様の名義で用意するようにと…」
「……どういう事?」
震えているメイドをソファーに座らせて詳しい話を聞いてみると、シラージェが私を自殺に見せかけて服毒自殺させようとしている事がわかった。
断ったけれど、言う事を聞かないなら陛下に言うと脅されたらしい。
陛下に言うという事は、暗に彼女を殺すと言っている様なものだった。
誰にも言うなとも言われたけれど、やはり黙ってはいられず、今、シラージェは陛下の所に行っているから、その間に私に注意喚起をした方が良いと考えてくれた様だった。
「……教えてくれてありがとう。あなたは言われたとおりにしてちょうだい」
「ですが…!」
「大丈夫よ。毒見されていないものは食べないし飲まない様にするわ」
「……」
メイドは私に伝える事によっても、自分の命が危うくなる事をわかっていて教えてくれたみたいだった。
ならば、彼女の命も自分の命も助かる方法を考えなくちゃ。
「シラージェには私が勘付いている事がバレなければいいわけでしょう?」
「……どうして、リゼア様は私の言う事を信じて下さるのですか…?」
メイドにしてみれば、シラージェの事を悪く言う自分が罰されるかもしれないとも思ったらしい。
私だって、ここに来るまでならシラージェはそんな人じゃないと怒って信じなかったと思う。
ただ、ここに来て、陛下に恋してからのシラージェは私に対するライバル心がすごかった。
自分は侍女で来たのではなく、陛下の妻となる為に呼ばれたのだと思いこんでいた。
けれど、陛下は私を自分の側から離す気はないらしく、それが余計にシラージェを苛立たせている事はわかっていた。
「こんな事は言いたくないけど、そうなる可能性が高いと思い始めていたから…」
私を排除しようとするのはまだしも、殺そうとするだなんて思っていなかったけれど…。
友人を殺したいと思うほどに、シラージェは陛下を好きになってしまったのね…。
「でも、お二人はお友達なのですよね…? それなのに…」
「深い事は知らなくていいわ。でも、考えてみたら、毒の存在がバレたら、あなたの身が危ないわよね? 発注したふりをする事は出来る?」
「やってみますが…」
メイドは自信がなさそうだった。
どうしたら彼女を守れて、シラージェだけ罪に問う事ができるのかしら…。
そうだわ。
私には協力者が多い。
発注できないようにさせたらいいんだわ。
あの人なら、自然に止められるかもしれない。
私は他のメイドに頼んで、シラージェが陛下の部屋から出る様なら、私が執務室にいない事がバレない様に上手くやってほしいとお願いして、毒の発注を頼まれたメイドと一緒に、ある人物の元へ行き、今回の事を伝えると、血相を変えた。
「どうして、シラージェ様はそんな事を頼んだのでしょうか…」
「私がここでの生活を苦に自殺したように見せかけて、側妃の問題を解決しようとしているのかもしれないわ」
メイド長は私の言葉に頷くと、「承知いたしました。発注に関してのチェックを入れ、その時に気付いた事に致します」と言ってくれた。
この件では無事に命令されたメイドは毒を発注する事は出来なくなり、彼女は罪を犯さなくて良くなった。
ただ、私の身の危険は去っていない。
なぜなら、彼女の目的は達成していないから。
「リゼア」
次の日の夜、陛下に呼ばれ寝室に行くと、今日は部屋の中には陛下の側近もいた。
陛下は私を見て心配そうな顔をして言う。
「自殺を考えているようだね」
「何を仰っているんです?」
「シラージェが言っていたんだ。自殺なんて絶対にさせない。君が自殺したら、君の元婚約者もすぐに後を追わせてやろう。君が死にたい原因は彼なんだろう?」
「私は死にたくなんかありません! シラージェが嘘をついているだけです! 陛下、シラージェの為にも私を側妃にする事を諦めていただけませんか? 彼女はあなたの愛情を独り占めしたいんです! 私が邪魔なだけなんです!」
「……君の気持ちはよくわかったよ。君の元婚約者を殺せと言う事だね?」
「違います! 陛下は私の事を信用してくださらないんですか!?」
叫ぶと、陛下は大きく頷く。
「だって、君の態度は僕を嫌っているとしか思えないからね」
「従順になれば信じていただけるんですか……?」
「君の元婚約者を殺す件については、もう無理だよ。さあ、どんな風に殺そうかなぁ。苦しませないと気が済まない」
安楽椅子に座り、陛下がニヤニヤと笑った時だった。
黙って扉付近に立っていた側近が口を開いた。
「ラゼル公爵令息は現在、この国にはおられませんので手を出すのは難しいかと思われます」
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「何だと!?」
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