5 / 21
5 堪忍袋の緒が切れた令嬢
ポッポとポポーポは、水を飲み、餌を食べて満足すると、用意していた赤と青の薄いクッションに座って眠り始めた。
「帰巣本能はすごいみたいですが、それ以外はあまり賢くないのですかね」
安心しきった様子で眠っている二羽を見つめ、ティファリーは呟いた。
一般的には鳩舎で眠るものだが、二羽はティファリーの部屋で眠ってから帰っていく。
(怪我していた時に、この部屋で眠っていましたから警戒心が薄れているのでしょうか。……それにしても、ポッポたちは公爵邸の誰と連絡を取っているのか知りたいものです)
ティファリーが傷ついた二羽を見つけた時は、足に手紙は付いていなかった。
届け終えて帰ろうとしたところで襲われたのかもしれないと、手当てをしている時に考えた。
(あの時はお姉様二人は嫁にいっていたので、除外できます。ですが、お父様もお兄様たちも何も言いませんでした。きっと秘密のやり取りをしているのでしょうけれど、とても気になります)
気にはなるが、父たちが知らないと言うのなら、それ以上問い詰めても無駄だと思った。
「さあ、まずは侯爵にお手紙を書かなくては」
ゲッティとの婚約破棄について、昨日のうちに両親に相談してみたが、二人はティファリーの話を信じなかった。
『ノーリーはティファリーのことを本当に大事に思っているのに、そんなことを言ってはいけないよ』
『そうよ。それにねティファリー、ノーリーは言いがかりで侯爵に離縁された可哀想な子なの。これ以上貶めるようなことは言わないでちょうだい』
両親の自分への愛情を疑っているわけではない。しかし、どうして姉の言うことばかり信じるのか。
何度問いかけても、納得のいく答えはもらえない。
(私よりもノーリーお姉様のことが好きだからでしょうか)
そう思うと、筆の進みが遅くなる。
「マイナス思考になってはいけません! ノーリーお姉様の本性を見抜いた方もいるのですから!」
ティファリーにとって、侯爵は一つの希望である。
手紙を書き終えたティファリーは、ノーリーに知られず、侯爵に届けるようにフットマンにお願いした。
そして、手紙の返事を待っている間に、両親と話をすることにした。
ノーリーのことについて話すつもりはなかった。
ティファリーの目的は、ゲッティとの婚約破棄と婚約祝いとして、彼に与えた宝石店を公爵家に返してもらうことだった。
ゲッティに宝石店の権利書を渡す時、ティファリーの父は契約を交わしていた。
それは、ティファリーとの婚約が解消もしくは破棄された場合は、宝石店の権利書を公爵家に返すことだった。
(あの時は、お父様らしくないことをするものだと思いましたが、こんな日が来ることを予想していたとか?)
首を傾げたティファリーだったが、扉がノックされて思考が遮られた。
「朝食のご準備ができました」とメイドに声をかけられる。
ポッポたちは一度眠ると、かなり長い時間眠る。夜は木陰に隠れて警戒しており、あまり眠れていないのかと思い、ティファリーは静かに
部屋を出た。
すると、浮かない顔をしているメイドの背後に、ノーリーが立っていることに気がついた。
赤色の胸元が大きく開いたドレスの隙間から見える白い肌に、いくつもの赤い痕が見える。
胸元が開いていないドレスなら見えない場所にあり、今のように大きく開いているものでも、ショールで隠せる位置に付けられたものだ。
しかし、わざとティファリーに見せつけるため、ノーリーは近くにいたメイドにショールを持たせていた。
「あらあら、昨日はたくさん泣いたの? 可哀想に」
(もう我慢の限界です)
嘲笑するノーリーを、ティファリーは睨みつけながら口を開く。
「もうノーリーお姉様の思い通りにはさせません」
(絶対に幸せになってみせます!)
そう宣言し、驚いた顔をしているノーリーの横を通り過ぎ、ティファリーはダイニングルームへと向かった。
「帰巣本能はすごいみたいですが、それ以外はあまり賢くないのですかね」
安心しきった様子で眠っている二羽を見つめ、ティファリーは呟いた。
一般的には鳩舎で眠るものだが、二羽はティファリーの部屋で眠ってから帰っていく。
(怪我していた時に、この部屋で眠っていましたから警戒心が薄れているのでしょうか。……それにしても、ポッポたちは公爵邸の誰と連絡を取っているのか知りたいものです)
ティファリーが傷ついた二羽を見つけた時は、足に手紙は付いていなかった。
届け終えて帰ろうとしたところで襲われたのかもしれないと、手当てをしている時に考えた。
(あの時はお姉様二人は嫁にいっていたので、除外できます。ですが、お父様もお兄様たちも何も言いませんでした。きっと秘密のやり取りをしているのでしょうけれど、とても気になります)
気にはなるが、父たちが知らないと言うのなら、それ以上問い詰めても無駄だと思った。
「さあ、まずは侯爵にお手紙を書かなくては」
ゲッティとの婚約破棄について、昨日のうちに両親に相談してみたが、二人はティファリーの話を信じなかった。
『ノーリーはティファリーのことを本当に大事に思っているのに、そんなことを言ってはいけないよ』
『そうよ。それにねティファリー、ノーリーは言いがかりで侯爵に離縁された可哀想な子なの。これ以上貶めるようなことは言わないでちょうだい』
両親の自分への愛情を疑っているわけではない。しかし、どうして姉の言うことばかり信じるのか。
何度問いかけても、納得のいく答えはもらえない。
(私よりもノーリーお姉様のことが好きだからでしょうか)
そう思うと、筆の進みが遅くなる。
「マイナス思考になってはいけません! ノーリーお姉様の本性を見抜いた方もいるのですから!」
ティファリーにとって、侯爵は一つの希望である。
手紙を書き終えたティファリーは、ノーリーに知られず、侯爵に届けるようにフットマンにお願いした。
そして、手紙の返事を待っている間に、両親と話をすることにした。
ノーリーのことについて話すつもりはなかった。
ティファリーの目的は、ゲッティとの婚約破棄と婚約祝いとして、彼に与えた宝石店を公爵家に返してもらうことだった。
ゲッティに宝石店の権利書を渡す時、ティファリーの父は契約を交わしていた。
それは、ティファリーとの婚約が解消もしくは破棄された場合は、宝石店の権利書を公爵家に返すことだった。
(あの時は、お父様らしくないことをするものだと思いましたが、こんな日が来ることを予想していたとか?)
首を傾げたティファリーだったが、扉がノックされて思考が遮られた。
「朝食のご準備ができました」とメイドに声をかけられる。
ポッポたちは一度眠ると、かなり長い時間眠る。夜は木陰に隠れて警戒しており、あまり眠れていないのかと思い、ティファリーは静かに
部屋を出た。
すると、浮かない顔をしているメイドの背後に、ノーリーが立っていることに気がついた。
赤色の胸元が大きく開いたドレスの隙間から見える白い肌に、いくつもの赤い痕が見える。
胸元が開いていないドレスなら見えない場所にあり、今のように大きく開いているものでも、ショールで隠せる位置に付けられたものだ。
しかし、わざとティファリーに見せつけるため、ノーリーは近くにいたメイドにショールを持たせていた。
「あらあら、昨日はたくさん泣いたの? 可哀想に」
(もう我慢の限界です)
嘲笑するノーリーを、ティファリーは睨みつけながら口を開く。
「もうノーリーお姉様の思い通りにはさせません」
(絶対に幸せになってみせます!)
そう宣言し、驚いた顔をしているノーリーの横を通り過ぎ、ティファリーはダイニングルームへと向かった。
あなたにおすすめの小説
いつまでも変わらない愛情を与えてもらえるのだと思っていた
奏千歌
恋愛
[ディエム家の双子姉妹]
どうして、こんな事になってしまったのか。
妻から向けられる愛情を、どうして疎ましいと思ってしまっていたのか。
[完結]婚約破棄してください。そして私にもう関わらないで
みちこ
恋愛
妹ばかり溺愛する両親、妹は思い通りにならないと泣いて私の事を責める
婚約者も妹の味方、そんな私の味方になってくれる人はお兄様と伯父さんと伯母さんとお祖父様とお祖母様
私を愛してくれる人の為にももう自由になります
願いの代償
らがまふぃん
恋愛
誰も彼もが軽視する。婚約者に家族までも。
公爵家に生まれ、王太子の婚約者となっても、誰からも認められることのないメルナーゼ・カーマイン。
唐突に思う。
どうして頑張っているのか。
どうして生きていたいのか。
もう、いいのではないだろうか。
メルナーゼが生を諦めたとき、世界の運命が決まった。
*ご都合主義です。わかりづらいなどありましたらすみません。笑って読んでくださいませ。本編15話で完結です。番外編を数話、気まぐれに投稿します。よろしくお願いいたします。
※ありがたいことにHOTランキング入りいたしました。たくさんの方の目に触れる機会に感謝です。本編は終了しましたが、番外編も投稿予定ですので、気長にお付き合いくださると嬉しいです。たくさんのお気に入り登録、しおり、エール、いいねをありがとうございます。R7.1/31
*らがまふぃん活動三周年周年記念として、R7.11/4に一話お届けいたします。楽しく活動させていただき、ありがとうございます。
愛想を尽かした女と尽かされた男
火野村志紀
恋愛
※全16話となります。
「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」
【完結】婚約破棄?勘当?私を嘲笑う人達は私が不幸になる事を望んでいましたが、残念ながら不幸になるのは貴方達ですよ♪
山葵
恋愛
「シンシア、君との婚約は破棄させてもらう。君の代わりにマリアーナと婚約する。これはジラルダ侯爵も了承している。姉妹での婚約者の交代、慰謝料は無しだ。」
「マリアーナとランバルド殿下が婚約するのだ。お前は不要、勘当とする。」
「国王陛下は承諾されているのですか?本当に良いのですか?」
「別に姉から妹に婚約者が変わっただけでジラルダ侯爵家との縁が切れたわけではない。父上も承諾するさっ。」
「お前がジラルダ侯爵家に居る事が、婿入りされるランバルド殿下を不快にするのだ。」
そう言うとお父様、いえジラルダ侯爵は、除籍届けと婚約解消届け、そしてマリアーナとランバルド殿下の婚約届けにサインした。
私を嘲笑って喜んでいる4人の声が可笑しくて笑いを堪えた。
さぁて貴方達はいつまで笑っていられるのかしらね♪
あなたなんて大嫌い
みおな
恋愛
私の婚約者の侯爵子息は、義妹のことばかり優先して、私はいつも我慢ばかり強いられていました。
そんなある日、彼が幼馴染だと言い張る伯爵令嬢を抱きしめて愛を囁いているのを聞いてしまいます。
そうですか。
私の婚約者は、私以外の人ばかりが大切なのですね。
私はあなたのお財布ではありません。
あなたなんて大嫌い。
殿下、幼馴染の令嬢を大事にしたい貴方の恋愛ごっこにはもう愛想が尽きました。
和泉鷹央
恋愛
雪国の祖国を冬の猛威から守るために、聖女カトリーナは病床にふせっていた。
女神様の結界を張り、国を温暖な気候にするためには何か犠牲がいる。
聖女の健康が、その犠牲となっていた。
そんな生活をして十年近く。
カトリーナの許嫁にして幼馴染の王太子ルディは婚約破棄をしたいと言い出した。
その理由はカトリーナを救うためだという。
だが本当はもう一人の幼馴染、フレンヌを王妃に迎えるために、彼らが仕組んだ計略だった――。
他の投稿サイトでも投稿しています。
裏切りの先にあるもの
マツユキ
恋愛
侯爵令嬢のセシルには幼い頃に王家が決めた婚約者がいた。
結婚式の日取りも決まり数か月後の挙式を楽しみにしていたセシル。ある日姉の部屋を訪ねると婚約者であるはずの人が姉と口づけをかわしている所に遭遇する。傷つくセシルだったが新たな出会いがセシルを幸せへと導いていく。