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47 どうぞ愛する人とお幸せに ⑤
「私を愛しているんですよね!?」
「私でしょう!?」
「違うわよ! 私よ!」
ここに集まってもらったのは、ティファリーの話を信じなかった人物たちだった。
ゲッティに騙されていた多くの人は、真実を知って、ゲッティから離れていった。しかし、今、店の前にいる女性たちは、自分こそが一番だと思い込んでいた。
ゲッティにとっての一番は、ティファリーである。婚約者ではなくなったものの、何かのきっかけがあれば、また愛し合えるのではないかと、都合のいいことを考えていた。
ゲッティはへらへらと笑いながら、彼女たちを促す。
「こんな所で話をしたら、みんなの邪魔になるよ。とにかく中に入ってくれないか」
「嫌よ! この場ではっきりと言って!」
「そうよ! みんなの前で本当のことを伝えてよ!」
女性たちはどこかで、ティファリーが話を聞いていることを知っている。自分が特別なのだとティファリーへの対抗心を燃やしていた。
(恋をしている時は、相手の欠点に気づかない。もしくは、欠点さえも好きだと思ってしまっていたのですね)
情けない姿のゲッティを見つめ、ティファリーはしみじみと思った。
「えーっと、あの、その、落ち着いてよ。ほら、僕はその、みんなのものだから、一人のものになれないっていうか」
「「何ですって!?」」
女性たちはへらへらと笑うゲッティを囲んで訴える。
「私を妻にしてくれるって言いましたよね!?」
「僕は君のものだって愛を囁いてくれたのは嘘だったんですか!?」
「一緒に宝石店を経営したいって言ってくれましたよね!」
「ちょ、ちょっと、落ち着いてよ! とにかく中に入ってくれってば!」
通行人に冷たい視線を向けられ、ゲッティは目を潤ませた。
泣きべそをかくゲッティを見た女性たちは、急に冷静になる。
「もういいです! 結婚のために必要だからと言われて渡したお金を返してください!」
「私もです! あと、宝石も返しますから返金してください!」
「へ、返金なんてそんな……っ」
彼女たちからもらったお金や、宝石の売上金はほとんど使い切ってしまっている。返せるはずなどなかった。
「愛する人のためですもの。頑張ってくださいね。どうぞ愛する人とお幸せに」
ティファリーはゲッティを見つめてそう呟いた。
「少しはスッキリしたか?」
「はい。情けない姿を見て彼への愛情がこれっぽっちも残っていないことも確認できました」
「……そうか」
ケインは安堵して微笑んだあと、ティファリーを誘う。
「この後、まだ時間があるなら動物を連れ込んでもいいカフェに行かないか」
「そんなお店があるのですか!?」
「ああ。この近くにあるらしい」
「素敵です!」
馬車に向かって歩きながら、ティファリーが手を叩いて喜んだ時だった。
「ティファリーじゃないの! あなた、こんな所で何をしているのよ!」
背後から厳しい声が聞こえ、ティファリーは足を止めて振り返る。
気難しそうな顔をして立っていたのは、母方の祖母だった。
「私でしょう!?」
「違うわよ! 私よ!」
ここに集まってもらったのは、ティファリーの話を信じなかった人物たちだった。
ゲッティに騙されていた多くの人は、真実を知って、ゲッティから離れていった。しかし、今、店の前にいる女性たちは、自分こそが一番だと思い込んでいた。
ゲッティにとっての一番は、ティファリーである。婚約者ではなくなったものの、何かのきっかけがあれば、また愛し合えるのではないかと、都合のいいことを考えていた。
ゲッティはへらへらと笑いながら、彼女たちを促す。
「こんな所で話をしたら、みんなの邪魔になるよ。とにかく中に入ってくれないか」
「嫌よ! この場ではっきりと言って!」
「そうよ! みんなの前で本当のことを伝えてよ!」
女性たちはどこかで、ティファリーが話を聞いていることを知っている。自分が特別なのだとティファリーへの対抗心を燃やしていた。
(恋をしている時は、相手の欠点に気づかない。もしくは、欠点さえも好きだと思ってしまっていたのですね)
情けない姿のゲッティを見つめ、ティファリーはしみじみと思った。
「えーっと、あの、その、落ち着いてよ。ほら、僕はその、みんなのものだから、一人のものになれないっていうか」
「「何ですって!?」」
女性たちはへらへらと笑うゲッティを囲んで訴える。
「私を妻にしてくれるって言いましたよね!?」
「僕は君のものだって愛を囁いてくれたのは嘘だったんですか!?」
「一緒に宝石店を経営したいって言ってくれましたよね!」
「ちょ、ちょっと、落ち着いてよ! とにかく中に入ってくれってば!」
通行人に冷たい視線を向けられ、ゲッティは目を潤ませた。
泣きべそをかくゲッティを見た女性たちは、急に冷静になる。
「もういいです! 結婚のために必要だからと言われて渡したお金を返してください!」
「私もです! あと、宝石も返しますから返金してください!」
「へ、返金なんてそんな……っ」
彼女たちからもらったお金や、宝石の売上金はほとんど使い切ってしまっている。返せるはずなどなかった。
「愛する人のためですもの。頑張ってくださいね。どうぞ愛する人とお幸せに」
ティファリーはゲッティを見つめてそう呟いた。
「少しはスッキリしたか?」
「はい。情けない姿を見て彼への愛情がこれっぽっちも残っていないことも確認できました」
「……そうか」
ケインは安堵して微笑んだあと、ティファリーを誘う。
「この後、まだ時間があるなら動物を連れ込んでもいいカフェに行かないか」
「そんなお店があるのですか!?」
「ああ。この近くにあるらしい」
「素敵です!」
馬車に向かって歩きながら、ティファリーが手を叩いて喜んだ時だった。
「ティファリーじゃないの! あなた、こんな所で何をしているのよ!」
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気難しそうな顔をして立っていたのは、母方の祖母だった。
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