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10 妹には一人だけ
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国王陛下は私の望みを聞いてくださり、サブル殿下との婚約は破棄されることになりました。なぜ、解消にならなかったのかというと、今回の件は殿下が悪いという話になったからです。
両陛下はお姉様の言葉だけ信じ、私の話に耳を傾けなかったことについて、王太子の取るべき態度ではないと判断されたのです。
私の頬を打ったことも両陛下は許されることではないと考えてくれました。慰謝料としてサブル殿下に与えていた婚約者のために使う費用をくださることになったため、破棄となったのです。
そのお金は全て、父に奪われることになりましたが――。
私と殿下の婚約が破棄されたことは、瞬く間に貴族の間に知れ渡りました。
貴族の間で広まった、婚約破棄の理由としては、サブル殿下がお姉様を愛してしまったこと。予知夢を見れるのは私ではなく、本当はお姉様だという疑いがあるからでした。
どうして、そんな噂が広まったのか。それはお姉様が聞かれてもいないのに、泣きながら友人たちにそんな話をしたからです。
サブル殿下がお姉様を愛してしまったということは嘘ではありませんし、殿下の浮気ということになりますので、私に大してデメリットはありません。
問題なのは、予知夢のことです。
お母様が私のメモを盗み見たこともあり、お姉様は次々と未来を当てていきました。
私は助けられそうな人を助けるために動いておりましたし、お姉様がペラペラ話をしていましたので、わざわざ公言はしませんでした。すると、周りからは姉の予知夢の話を聞いて動いているのだろうと言われるようになったのです。
妹のために自分を犠牲にしていたと思われることになったお姉様の元には、たくさんの釣書が届けられました。ですが残念ながら、目当てのジェリク様からのものはなく、お姉様は苛立ちを隠しきれていませんでした。
「予知夢が見れるのは私なのに、どうしてジェリク様は私に求婚してくれないの」
お父様に呼び出され、家族全員でとることになった夕食時、嘆くお姉様にお母様が優しく話しかけます。
「ラーナ、泣かないで。あなたはたくさんの人に愛されているじゃないの。シアリンなんか一人も求婚してくれる人がいないのよ」
「お母様、そんなことを言っては駄目よ。シアリンが可哀想だわ」
お姉様とお母様は向かい側の席に座っている私を見て言いました。
私が嫁にいって困るのはそちらだと思いますけどね。
すると、お父様が咳払いをしたあとに口を開きます。
「実はシアリンにも一人だけだが、釣書が届いた」
「「ええっ!?」」
お姉様たちの驚く声が見事に揃いました。
「リブレット男爵とかいう名の知られていない男性だがな」
「まあ、男爵ですって!」
お母様が吹き出すと、お姉様が哀れみの目を私に向けます。
「先日までは王太子殿下の婚約者だったのに男爵だなんて……。シアリン、気を落とさないでね」
「お気遣いいただきありがとうございます。お姉様もジェリク様から永遠に求婚されないことに気を落とさないでくださいませ」
「な、なんですって!」
お姉様は顔を真っ赤にして怒り始めましたが、私は目の前に置かれたコーンスープを口にしながら他のことを考えます。
お祖母様はリブレット男爵のところにお嫁に行くように言いましたが、お祖母様を残していくわけにはいきません。
リブレット男爵にお祖母様も一緒に連れて行っても良いか確認しなくては――。
「シアリン! 男爵にしか相手にされないからって酷いことを言わないで!」
「お姉様、色々と現実を見たほうがよろしいですよ。サブル殿下に愛されているお姉様が、ジェリク様に求婚されるわけがないではないですか」
……殿下に愛されていなくてもないでしょうけどね。
「なんて生意気な子なの! あなたなんて誰にも嫁にもらってもらえないわ!」
お姉様を抱きしめながら、お母様がヒステリックに叫んだ時、お父様が笑いながら口を開きます。
「そうだ。そうだよな。これを逃したら貰い手がないだろう。シアリン、お前はリブレット男爵のところに嫁にいけ」
「あなた!」
「お父様、何を言ってらっしゃるんですか!」
お父様はお姉様が予知夢を見れないことを知らないようです。予知夢が見れないお姉様とそれを知っているお母様はかなり慌てた様子でお父様に訴えます。
「あなた、シアリンはまだ17歳よ。結婚には早すぎるわ」
「何を慌てているんだ。カステラン王国では16歳から結婚は可能だ。それに結婚が早いことが悪いことでもないだろう。ついでに母も引き取ってもらおう。あんな老いぼれ、置いておくだけ無駄だ」
お祖母様を馬鹿にされたことに腹が立ちましたが、リブレット男爵にお祖母様のことも頼んでくれるのなら、ちょうど良かったです。
「お父様、ご命令通り、リブレット男爵の元に嫁がせていただきます」
宣言すると、お父様は満足そうに頷きましたが、お姉様とお母様は、呆然とした表情で目の前に置かれたコーンスープを見つめたのでした。
軽い気持ちでついた嘘が取り返しのつかないことになることに、やっと気がついたようです。
お祖母様を馬鹿にし、私を裏切ったあなたたちを、絶対に助けることはありません。
覚悟を決めておいてくださいね。
両陛下はお姉様の言葉だけ信じ、私の話に耳を傾けなかったことについて、王太子の取るべき態度ではないと判断されたのです。
私の頬を打ったことも両陛下は許されることではないと考えてくれました。慰謝料としてサブル殿下に与えていた婚約者のために使う費用をくださることになったため、破棄となったのです。
そのお金は全て、父に奪われることになりましたが――。
私と殿下の婚約が破棄されたことは、瞬く間に貴族の間に知れ渡りました。
貴族の間で広まった、婚約破棄の理由としては、サブル殿下がお姉様を愛してしまったこと。予知夢を見れるのは私ではなく、本当はお姉様だという疑いがあるからでした。
どうして、そんな噂が広まったのか。それはお姉様が聞かれてもいないのに、泣きながら友人たちにそんな話をしたからです。
サブル殿下がお姉様を愛してしまったということは嘘ではありませんし、殿下の浮気ということになりますので、私に大してデメリットはありません。
問題なのは、予知夢のことです。
お母様が私のメモを盗み見たこともあり、お姉様は次々と未来を当てていきました。
私は助けられそうな人を助けるために動いておりましたし、お姉様がペラペラ話をしていましたので、わざわざ公言はしませんでした。すると、周りからは姉の予知夢の話を聞いて動いているのだろうと言われるようになったのです。
妹のために自分を犠牲にしていたと思われることになったお姉様の元には、たくさんの釣書が届けられました。ですが残念ながら、目当てのジェリク様からのものはなく、お姉様は苛立ちを隠しきれていませんでした。
「予知夢が見れるのは私なのに、どうしてジェリク様は私に求婚してくれないの」
お父様に呼び出され、家族全員でとることになった夕食時、嘆くお姉様にお母様が優しく話しかけます。
「ラーナ、泣かないで。あなたはたくさんの人に愛されているじゃないの。シアリンなんか一人も求婚してくれる人がいないのよ」
「お母様、そんなことを言っては駄目よ。シアリンが可哀想だわ」
お姉様とお母様は向かい側の席に座っている私を見て言いました。
私が嫁にいって困るのはそちらだと思いますけどね。
すると、お父様が咳払いをしたあとに口を開きます。
「実はシアリンにも一人だけだが、釣書が届いた」
「「ええっ!?」」
お姉様たちの驚く声が見事に揃いました。
「リブレット男爵とかいう名の知られていない男性だがな」
「まあ、男爵ですって!」
お母様が吹き出すと、お姉様が哀れみの目を私に向けます。
「先日までは王太子殿下の婚約者だったのに男爵だなんて……。シアリン、気を落とさないでね」
「お気遣いいただきありがとうございます。お姉様もジェリク様から永遠に求婚されないことに気を落とさないでくださいませ」
「な、なんですって!」
お姉様は顔を真っ赤にして怒り始めましたが、私は目の前に置かれたコーンスープを口にしながら他のことを考えます。
お祖母様はリブレット男爵のところにお嫁に行くように言いましたが、お祖母様を残していくわけにはいきません。
リブレット男爵にお祖母様も一緒に連れて行っても良いか確認しなくては――。
「シアリン! 男爵にしか相手にされないからって酷いことを言わないで!」
「お姉様、色々と現実を見たほうがよろしいですよ。サブル殿下に愛されているお姉様が、ジェリク様に求婚されるわけがないではないですか」
……殿下に愛されていなくてもないでしょうけどね。
「なんて生意気な子なの! あなたなんて誰にも嫁にもらってもらえないわ!」
お姉様を抱きしめながら、お母様がヒステリックに叫んだ時、お父様が笑いながら口を開きます。
「そうだ。そうだよな。これを逃したら貰い手がないだろう。シアリン、お前はリブレット男爵のところに嫁にいけ」
「あなた!」
「お父様、何を言ってらっしゃるんですか!」
お父様はお姉様が予知夢を見れないことを知らないようです。予知夢が見れないお姉様とそれを知っているお母様はかなり慌てた様子でお父様に訴えます。
「あなた、シアリンはまだ17歳よ。結婚には早すぎるわ」
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お祖母様を馬鹿にされたことに腹が立ちましたが、リブレット男爵にお祖母様のことも頼んでくれるのなら、ちょうど良かったです。
「お父様、ご命令通り、リブレット男爵の元に嫁がせていただきます」
宣言すると、お父様は満足そうに頷きましたが、お姉様とお母様は、呆然とした表情で目の前に置かれたコーンスープを見つめたのでした。
軽い気持ちでついた嘘が取り返しのつかないことになることに、やっと気がついたようです。
お祖母様を馬鹿にし、私を裏切ったあなたたちを、絶対に助けることはありません。
覚悟を決めておいてくださいね。
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