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私とビアラは結局、お互いに押し付け合う形になってしまい、最終的にビアラが私に似合いそうだと選んでくれたドレスを私が着て、私がビアラに似合いそうだと選んだドレスをビアラが着る事になった。
私はビアラが選んだ白のマーメイドラインのドレス。
ビアラは私が選んだプリンセスラインのドレスを着て、お互いに見せあったは良いけれど、慣れていない事なので、2人共、すぐに疲れてしまった。
「ドレスってしんどい」
「何か、もう着たくなくなったわ。私、絶対に結婚式なんて挙げない。2回目出来るエアリスがすごい」
「だ、駄目よ! 今回は何着も着てるから疲れただけで、結婚式はちゃんとしてあげて!」
「相手がいないんだけど…」
呆れた顔をするビアラに私は言う。
「いるじゃない! ディラン様が!」
「ミーグスは公爵令息、私は男爵なのよ? 結婚できるわけないでしょ」
「そ、それは…わからないじゃない! ミーグス公爵が許して下さったらいいんじゃない?」
「世間的に言わせれば、男爵風情が公爵令息と結婚するなんて…! ってなるわよ。学生時代からそうだったし」
ビアラは小さく息を吐いてから聞いてくる。
「もう脱いでもいい?」
「着たばっかりじゃないの! 待って、ディラン様に見せないと」
「は? どうしてミーグスが」
「いいからいいから」
うんざりした様子で、ドレスの裾をまくりあげて、足を投げ出して座っているビアラを無理矢理立たせる。
それから、手を引っ張って、エド達が待っている待合室に向かった。
「ディラン様、見てください! ビアラ、可愛いでしょう!?」
「このドレス、可愛いけど、歩きにくい! って、なんで、ミーグスがいるの!?」
ディラン様に見せつけるように、彼女を部屋の中に入れて、前に押し出すと、エドとディラン様はお仕事中だったのか、書類をながめて難しい顔をしていたけれど、二人とも、持っていた書類を床に落とした。
「ああ、落ちちゃった」
慌てて、私から近い方のディラン様の書類を拾い上げようとしたのだけど、エドに腕を引っ張られる。
「ちゃんと見せてくれ」
「え? エドは前にも見たじゃない!」
「このドレスは見ていない」
「というか、私はディラン様にビアラを見せたくて」
私がエドに言ったと同時に、ビアラの声が聞こえた。
「ぎゃあ!?」
悲鳴なのか何なのかわからない声だったので、驚いて振り向くと、ビアラがディラン様にお姫様だっこをされていた。
「ちょっと、なんなの!?」
「お邪魔みたいだから、僕らは隣の部屋に行こう」
「はあ!? 私はドレスを脱ぎたいんだけど! というか、なんでここに!」
「なぜ、ここにいるかは後で説明するよ。せっかく可愛い格好をしてるんだから、もう少しそのままでいれば? じゃ、僕らは隣の部屋にいるから。2人が満足したら呼んで?」
ディラン様は私達に向かって笑顔でそう言うと、騒ぐビアラを連れて、隣にある待合室に行ってしまった。
「あの2人は結局、付き合ってるのか?」
「わからないのよね。ディラン様は明らかにビアラが好きだと思うんだけど、ビアラは興味がないフリをしてると言うか…。身分差だし、難しいのかもしれない」
「ビアラは男爵?」
「うん。伯爵令嬢だったんだけど、没落して平民になって、自分で男爵の爵位を手に入れたの」
エドとビアラも仲良くなっていて、エドはビアラの事を名前で呼ぶようになった。
ビアラも親しい人だけの前では、エドワード様と呼んでいる。
「そうか。ディランは身分に関しては、あまり重要視してる感じじゃなかったんだけどな」
「それは身分が高い人間が思う事でしょう。低い方の人間からすれば大問題よ。それに、あの2人、私の事がなかったら、全然会ってなかったみたいだし」
「ビアラが避けてるみたいだな。ビアラは自分の親を殺した人間を探しているんだろ?」
「そうみたい。だけど、自分で仕事を選べないだろうから、仕事をこなして、昇進試験を受けて上にあがろうとしてるみたいだけど、もしかして、職場で圧力があったりするのかしら?」
エドは私の言葉を聞いて、難しそうな顔をしたあと呟く。
「そっちもあるかもしれないな。別れろと言われてるのかもしれない」
「どういう事?」
「調べておく。それよりも、前回はそんなドレスを選んでいなかったよな?」
「今回はビアラが選んでくれたのを着たから」
「僕の選んだものは、あまり着なかったのに、ビアラの言う事は聞くのか」
「友達だもの」
答えてから、友達というワードでオルザベートの事を思い出し、話題を変える。
「オルザベート達を引っ越しさせるの?」
「ああ。子供に罪はないからな。ただ、カイジス領ではなく、僕達とは違う派閥の領土になる」
エドは私を横に座らせてから、落ちてしまった資料を拾い上げながら続ける。
「同じ国内ではあるけれど、国境の様にバリケードが張り巡らされていて、この国に向こうから出入りできる場所も1つしかない。向こうにはトゥッチ嬢とオラエルには外へ出さないように伝えているし、他の領土に逃げたくても山を越えないといけないから無理だろうと考えて決めた」
どうやら、今までディラン様とその事について話し合いをしていた様だった。
「何か気になる事でもあるの?」
「いや、ディランとも言っていたんだが、何か、嫌な予感がする」
「それって、どういう…?」
不安になって、エドに尋ねると、彼は苦笑する。
「こんなに綺麗な君がいるのに、そんな暗い話をしている場合じゃないな」
「大事な話じゃないの!」
「とにかく、ドレスはビアラの分と君の分、仕立ててもらわないといけないな」
エドは、オルザベートの話をしたくなかったのか、無理矢理、話題を変えた気がした。
私はビアラが選んだ白のマーメイドラインのドレス。
ビアラは私が選んだプリンセスラインのドレスを着て、お互いに見せあったは良いけれど、慣れていない事なので、2人共、すぐに疲れてしまった。
「ドレスってしんどい」
「何か、もう着たくなくなったわ。私、絶対に結婚式なんて挙げない。2回目出来るエアリスがすごい」
「だ、駄目よ! 今回は何着も着てるから疲れただけで、結婚式はちゃんとしてあげて!」
「相手がいないんだけど…」
呆れた顔をするビアラに私は言う。
「いるじゃない! ディラン様が!」
「ミーグスは公爵令息、私は男爵なのよ? 結婚できるわけないでしょ」
「そ、それは…わからないじゃない! ミーグス公爵が許して下さったらいいんじゃない?」
「世間的に言わせれば、男爵風情が公爵令息と結婚するなんて…! ってなるわよ。学生時代からそうだったし」
ビアラは小さく息を吐いてから聞いてくる。
「もう脱いでもいい?」
「着たばっかりじゃないの! 待って、ディラン様に見せないと」
「は? どうしてミーグスが」
「いいからいいから」
うんざりした様子で、ドレスの裾をまくりあげて、足を投げ出して座っているビアラを無理矢理立たせる。
それから、手を引っ張って、エド達が待っている待合室に向かった。
「ディラン様、見てください! ビアラ、可愛いでしょう!?」
「このドレス、可愛いけど、歩きにくい! って、なんで、ミーグスがいるの!?」
ディラン様に見せつけるように、彼女を部屋の中に入れて、前に押し出すと、エドとディラン様はお仕事中だったのか、書類をながめて難しい顔をしていたけれど、二人とも、持っていた書類を床に落とした。
「ああ、落ちちゃった」
慌てて、私から近い方のディラン様の書類を拾い上げようとしたのだけど、エドに腕を引っ張られる。
「ちゃんと見せてくれ」
「え? エドは前にも見たじゃない!」
「このドレスは見ていない」
「というか、私はディラン様にビアラを見せたくて」
私がエドに言ったと同時に、ビアラの声が聞こえた。
「ぎゃあ!?」
悲鳴なのか何なのかわからない声だったので、驚いて振り向くと、ビアラがディラン様にお姫様だっこをされていた。
「ちょっと、なんなの!?」
「お邪魔みたいだから、僕らは隣の部屋に行こう」
「はあ!? 私はドレスを脱ぎたいんだけど! というか、なんでここに!」
「なぜ、ここにいるかは後で説明するよ。せっかく可愛い格好をしてるんだから、もう少しそのままでいれば? じゃ、僕らは隣の部屋にいるから。2人が満足したら呼んで?」
ディラン様は私達に向かって笑顔でそう言うと、騒ぐビアラを連れて、隣にある待合室に行ってしまった。
「あの2人は結局、付き合ってるのか?」
「わからないのよね。ディラン様は明らかにビアラが好きだと思うんだけど、ビアラは興味がないフリをしてると言うか…。身分差だし、難しいのかもしれない」
「ビアラは男爵?」
「うん。伯爵令嬢だったんだけど、没落して平民になって、自分で男爵の爵位を手に入れたの」
エドとビアラも仲良くなっていて、エドはビアラの事を名前で呼ぶようになった。
ビアラも親しい人だけの前では、エドワード様と呼んでいる。
「そうか。ディランは身分に関しては、あまり重要視してる感じじゃなかったんだけどな」
「それは身分が高い人間が思う事でしょう。低い方の人間からすれば大問題よ。それに、あの2人、私の事がなかったら、全然会ってなかったみたいだし」
「ビアラが避けてるみたいだな。ビアラは自分の親を殺した人間を探しているんだろ?」
「そうみたい。だけど、自分で仕事を選べないだろうから、仕事をこなして、昇進試験を受けて上にあがろうとしてるみたいだけど、もしかして、職場で圧力があったりするのかしら?」
エドは私の言葉を聞いて、難しそうな顔をしたあと呟く。
「そっちもあるかもしれないな。別れろと言われてるのかもしれない」
「どういう事?」
「調べておく。それよりも、前回はそんなドレスを選んでいなかったよな?」
「今回はビアラが選んでくれたのを着たから」
「僕の選んだものは、あまり着なかったのに、ビアラの言う事は聞くのか」
「友達だもの」
答えてから、友達というワードでオルザベートの事を思い出し、話題を変える。
「オルザベート達を引っ越しさせるの?」
「ああ。子供に罪はないからな。ただ、カイジス領ではなく、僕達とは違う派閥の領土になる」
エドは私を横に座らせてから、落ちてしまった資料を拾い上げながら続ける。
「同じ国内ではあるけれど、国境の様にバリケードが張り巡らされていて、この国に向こうから出入りできる場所も1つしかない。向こうにはトゥッチ嬢とオラエルには外へ出さないように伝えているし、他の領土に逃げたくても山を越えないといけないから無理だろうと考えて決めた」
どうやら、今までディラン様とその事について話し合いをしていた様だった。
「何か気になる事でもあるの?」
「いや、ディランとも言っていたんだが、何か、嫌な予感がする」
「それって、どういう…?」
不安になって、エドに尋ねると、彼は苦笑する。
「こんなに綺麗な君がいるのに、そんな暗い話をしている場合じゃないな」
「大事な話じゃないの!」
「とにかく、ドレスはビアラの分と君の分、仕立ててもらわないといけないな」
エドは、オルザベートの話をしたくなかったのか、無理矢理、話題を変えた気がした。
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