15 / 25
4−3 オルザベート視点 1
しおりを挟む
ロンバートが私達に付きまとう様になってから、もう何日も過ぎた。
彼が何の為に私達に付きまとっているのかを知りたくて、接触しようと試みてはいるけれど、ティンカーが邪魔してきて無理だった。
ティンカーはロンバートに私が奪われるのではないかと恐れているみたい。
その考えは間違ってはいないんだけどね。
だって、ティンカーには男としての魅力を感じないから。
ロンバートの場合は一時でも、エアリスの夫になったのだから我慢できるわ。
それが、魅了魔法のせいだったとしても、エアリスはロンバートに触れたのだから、触れてあげてもいい。
そんな日々が続いていた、ある日の事だった。
どうにかして、ロンバートと接触する為に、ティンカーと一緒にわざと外を出歩いていると、いつも立ち話をしている近所のおばさん達の会話が聞こえてきた。
「カイジス公爵が夫人になる人と一緒に、こちらへ視察に来るそうだよ」
「視察って、ここには何もないのにねぇ」
カイジス公爵だけなら素通り出来た。
夫人になる人と一緒、という事は…。
「あの、すいません!」
私は話をした事もないおばさん達の輪の中に入っていき、内容を詳しく聞こうとしたけど、おばさん達が知ってた内容は、さっき、私の耳に届いたものくらいしかなかった。
「オルザベート、もうエアリスの事は…」
「あなた、この事を知っていたの!?」
「…視察に来る事だけは知ってたよ」
「どうして教えてくれなかったの!?」
おばさん達と別れて、待っていたティンカーの所に戻ると、そんな事を言われたので、頭にきて叫ぶ。
「そう簡単に忘れられない事くらいわかってよ!」
「君が考えないといけないのは自分の子供の事なんじゃないのか? それに、俺との将来も考えてくれているのかよ!」
その時、凄まじい殺気を感じて振り返った。
すると、少し離れた場所の道の端の木の陰に隠れていたロンバートが、恐ろしい形相でティンカーを見つめていた。
「あの男! 魅了魔法をかけて、どこかに行かせてやる!」
「待って、ティンカー! あなた、そう同時に魔法をかけられないんでしょう? 今、かけている女性の魅了魔法の効果が薄れたらどうするの」
「だけど…」
「落ち着いて、ティンカー。今、私と一緒にいるのはあなたなのよ?」
ロンバートを刺激するわけにもいかないから、今は必要以上にボディータッチは出来ない。
だから、小声で彼に囁く。
「あんな男よりもあなたの方が魅力的よ」
真っ赤な嘘だけれど、そんな事を知らない彼は私の言葉を聞いて赤くなり、頷いて私の手を握った。
それから数日後、また、近所のおばさん達から、カイジス公爵が街にやって来たという話を聞いた。
「ちょっと出かけてくるわ。エアリスに会えるかもしれない」
私が潜伏先の家から出ていこうとすると、ティンカーが言う。
「待って、僕も一緒に行くよ」
「一人で大丈夫よ。エアリスがいるかどうか、遠くから見に行くだけだから」
「駄目だ。外にはあの男がいるに決まってる!」
それがわかっているから一人で出ていこうとしているのに、本当に邪魔でしょうがない男だわ。
「話をしなければいいんでしょう?」
「君が一人で出ていけば、向こうから話しかけてくるさ」
そう言って、ティンカーは素早く出かける用意を済ませ、私と一緒に家を出ようとした。
すると、扉を開けてすぐの所に、ロンバートが立っていた。
「きゃっ!」
「うわぁっ!」
まさか、扉の前に立っているとは思っていなかったので、思わず私とティンカーは悲鳴を上げる。
「久しぶりだな、オルザベート」
「え、ええ。久しぶりね、ロンバート。あなたが元気そうで良かったわ。無事に出所出来たのね」
「ああ。君のお迎えはなかったけどな」
ロンバートは不服そうな顔をしたあと、私を見て言う。
「とにかく家の中に入れてくれないか。僕は見張られているんだ。君達もだがな」
「…なんですって!?」
ロンバートは私達を押しのけて、無理矢理、家の中に入ってきた。
「中に入ってしまえば、僕達がどんな話をしているかはわからない。オルザベート、僕と一緒に逃げる気があるなら、君をエアリスに会わせる手助けをしよう」
ロンバートの言葉は、私にとっては、それはもう嬉しい申し出だった。
彼が何の為に私達に付きまとっているのかを知りたくて、接触しようと試みてはいるけれど、ティンカーが邪魔してきて無理だった。
ティンカーはロンバートに私が奪われるのではないかと恐れているみたい。
その考えは間違ってはいないんだけどね。
だって、ティンカーには男としての魅力を感じないから。
ロンバートの場合は一時でも、エアリスの夫になったのだから我慢できるわ。
それが、魅了魔法のせいだったとしても、エアリスはロンバートに触れたのだから、触れてあげてもいい。
そんな日々が続いていた、ある日の事だった。
どうにかして、ロンバートと接触する為に、ティンカーと一緒にわざと外を出歩いていると、いつも立ち話をしている近所のおばさん達の会話が聞こえてきた。
「カイジス公爵が夫人になる人と一緒に、こちらへ視察に来るそうだよ」
「視察って、ここには何もないのにねぇ」
カイジス公爵だけなら素通り出来た。
夫人になる人と一緒、という事は…。
「あの、すいません!」
私は話をした事もないおばさん達の輪の中に入っていき、内容を詳しく聞こうとしたけど、おばさん達が知ってた内容は、さっき、私の耳に届いたものくらいしかなかった。
「オルザベート、もうエアリスの事は…」
「あなた、この事を知っていたの!?」
「…視察に来る事だけは知ってたよ」
「どうして教えてくれなかったの!?」
おばさん達と別れて、待っていたティンカーの所に戻ると、そんな事を言われたので、頭にきて叫ぶ。
「そう簡単に忘れられない事くらいわかってよ!」
「君が考えないといけないのは自分の子供の事なんじゃないのか? それに、俺との将来も考えてくれているのかよ!」
その時、凄まじい殺気を感じて振り返った。
すると、少し離れた場所の道の端の木の陰に隠れていたロンバートが、恐ろしい形相でティンカーを見つめていた。
「あの男! 魅了魔法をかけて、どこかに行かせてやる!」
「待って、ティンカー! あなた、そう同時に魔法をかけられないんでしょう? 今、かけている女性の魅了魔法の効果が薄れたらどうするの」
「だけど…」
「落ち着いて、ティンカー。今、私と一緒にいるのはあなたなのよ?」
ロンバートを刺激するわけにもいかないから、今は必要以上にボディータッチは出来ない。
だから、小声で彼に囁く。
「あんな男よりもあなたの方が魅力的よ」
真っ赤な嘘だけれど、そんな事を知らない彼は私の言葉を聞いて赤くなり、頷いて私の手を握った。
それから数日後、また、近所のおばさん達から、カイジス公爵が街にやって来たという話を聞いた。
「ちょっと出かけてくるわ。エアリスに会えるかもしれない」
私が潜伏先の家から出ていこうとすると、ティンカーが言う。
「待って、僕も一緒に行くよ」
「一人で大丈夫よ。エアリスがいるかどうか、遠くから見に行くだけだから」
「駄目だ。外にはあの男がいるに決まってる!」
それがわかっているから一人で出ていこうとしているのに、本当に邪魔でしょうがない男だわ。
「話をしなければいいんでしょう?」
「君が一人で出ていけば、向こうから話しかけてくるさ」
そう言って、ティンカーは素早く出かける用意を済ませ、私と一緒に家を出ようとした。
すると、扉を開けてすぐの所に、ロンバートが立っていた。
「きゃっ!」
「うわぁっ!」
まさか、扉の前に立っているとは思っていなかったので、思わず私とティンカーは悲鳴を上げる。
「久しぶりだな、オルザベート」
「え、ええ。久しぶりね、ロンバート。あなたが元気そうで良かったわ。無事に出所出来たのね」
「ああ。君のお迎えはなかったけどな」
ロンバートは不服そうな顔をしたあと、私を見て言う。
「とにかく家の中に入れてくれないか。僕は見張られているんだ。君達もだがな」
「…なんですって!?」
ロンバートは私達を押しのけて、無理矢理、家の中に入ってきた。
「中に入ってしまえば、僕達がどんな話をしているかはわからない。オルザベート、僕と一緒に逃げる気があるなら、君をエアリスに会わせる手助けをしよう」
ロンバートの言葉は、私にとっては、それはもう嬉しい申し出だった。
78
あなたにおすすめの小説
【完結】あなたを忘れたい
やまぐちこはる
恋愛
子爵令嬢ナミリアは愛し合う婚約者ディルーストと結婚する日を待ち侘びていた。
そんな時、不幸が訪れる。
■□■
【毎日更新】毎日8時と18時更新です。
【完結保証】最終話まで書き終えています。
最後までお付き合い頂けたらうれしいです(_ _)
捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。
蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。
これで、貴方も私も自由です。
……だから、もういいですよね?
私も、自由にして……。
5年後。
私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、
親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、
今日も幸せに子育てをしています。
だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。
私のことは忘れて……。
これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。
はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?
捨てられたなら 〜婚約破棄された私に出来ること〜
ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
長年の婚約者だった王太子殿下から婚約破棄を言い渡されたクリスティン。
彼女は婚約破棄を受け入れ、周りも処理に動き出します。
さて、どうなりますでしょうか……
別作品のボツネタ救済です(ヒロインの名前と設定のみ)。
突然のポイント数増加に驚いています。HOTランキングですか?
自分には縁のないものだと思っていたのでびっくりしました。
私の拙い作品をたくさんの方に読んでいただけて嬉しいです。
それに伴い、たくさんの方から感想をいただくようになりました。
ありがとうございます。
様々なご意見、真摯に受け止めさせていただきたいと思います。
ただ、皆様に楽しんでいただけたらと思いますので、中にはいただいたコメントを非公開とさせていただく場合がございます。
申し訳ありませんが、どうかご了承くださいませ。
もちろん、私は全て読ませていただきますし、削除はいたしません。
7/16 最終部がわかりにくいとのご指摘をいただき、訂正しました。
※この作品は小説家になろうさんでも公開しています。
ジェリー・ベケットは愛を信じられない
砂臥 環
恋愛
ベケット子爵家の娘ジェリーは、父が再婚してから離れに追いやられた。
母をとても愛し大切にしていた父の裏切りを知り、ジェリーは愛を信じられなくなっていた。
それを察し、まだ子供ながらに『君を守る』と誓い、『信じてほしい』と様々な努力してくれた婚約者モーガンも、学園に入ると段々とジェリーを避けらるようになっていく。
しかも、義妹マドリンが入学すると彼女と仲良くするようになってしまった。
だが、一番辛い時に支え、努力してくれる彼を信じようと決めたジェリーは、なにも言えず、なにも聞けずにいた。
学園でジェリーは優秀だったが『氷の姫君』というふたつ名を付けられる程、他人と一線を引いており、誰にも悩みは吐露できなかった。
そんな時、仕事上のパートナーを探す男子生徒、ウォーレンと親しくなる。
※世界観はゆるゆる
※ざまぁはちょっぴり
※他サイトにも掲載
釣り合わないと言われても、婚約者と別れる予定はありません
しろねこ。
恋愛
幼馴染と婚約を結んでいるラズリーは、学園に入学してから他の令嬢達によく絡まれていた。
曰く、婚約者と釣り合っていない、身分不相応だと。
ラズリーの婚約者であるファルク=トワレ伯爵令息は、第二王子の側近で、将来護衛騎士予定の有望株だ。背も高く、見目も良いと言う事で注目を浴びている。
対してラズリー=コランダム子爵令嬢は薬草学を専攻していて、外に出る事も少なく地味な見た目で華々しさもない。
そんな二人を周囲は好奇の目で見ており、時にはラズリーから婚約者を奪おうとするものも出てくる。
おっとり令嬢ラズリーはそんな周囲の圧力に屈することはない。
「釣り合わない? そうですか。でも彼は私が良いって言ってますし」
時に優しく、時に豪胆なラズリー、平穏な日々はいつ来るやら。
ハッピーエンド、両思い、ご都合主義なストーリーです。
ゆっくり更新予定です(*´ω`*)
小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿中。
変態婚約者を無事妹に奪わせて婚約破棄されたので気ままな城下町ライフを送っていたらなぜだか王太子に溺愛されることになってしまいました?!
utsugi
恋愛
私、こんなにも婚約者として貴方に尽くしてまいりましたのにひどすぎますわ!(笑)
妹に婚約者を奪われ婚約破棄された令嬢マリアベルは悲しみのあまり(?)生家を抜け出し城下町で庶民として気ままな生活を送ることになった。身分を隠して自由に生きようと思っていたのにひょんなことから光魔法の能力が開花し半強制的に魔法学校に入学させられることに。そのうちなぜか王太子から溺愛されるようになったけれど王太子にはなにやら秘密がありそうで……?!
※適宜内容を修正する場合があります
理想の女性を見つけた時には、運命の人を愛人にして白い結婚を宣言していました
ぺきぺき
恋愛
王家の次男として生まれたヨーゼフには幼い頃から決められていた婚約者がいた。兄の補佐として育てられ、兄の息子が立太子した後には臣籍降下し大公になるよていだった。
このヨーゼフ、優秀な頭脳を持ち、立派な大公となることが期待されていたが、幼い頃に見た絵本のお姫様を理想の女性として探し続けているという残念なところがあった。
そしてついに貴族学園で絵本のお姫様とそっくりな令嬢に出会う。
ーーーー
若気の至りでやらかしたことに苦しめられる主人公が最後になんとか幸せになる話。
作者別作品『二人のエリーと遅れてあらわれるヒーローたち』のスピンオフになっていますが、単体でも読めます。
完結まで執筆済み。毎日四話更新で4/24に完結予定。
第一章 無計画な婚約破棄
第二章 無計画な白い結婚
第三章 無計画な告白
第四章 無計画なプロポーズ
第五章 無計画な真実の愛
エピローグ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる