9番と呼ばれていた妻は執着してくる夫に別れを告げる

風見ゆうみ

文字の大きさ
6 / 23

5  2番目の妻への挨拶

 ファナ様がやって来てから4日が経った。

 この3日間、ターズ様はファナ様と一緒にいてくれたので、自分のベッドでぐっすり眠ることができていた。

 明日にはファナ様が帰るということで、ターズ様から三人で夕食をとろうと言われた。

 ターズ様からそう言われた時は、ファナ様に失礼だとわかっていながらも、最初はお断りした。
 食事時間が最近の楽しみなのに、その時間まで邪魔されたくはない。
 それに彼女だって、ターズ様と2人で過ごしたいはずだと思ったのだ。

 それなのに、ファナ様がどうしても一緒に食事をしたいと言い張り、王太子妃として対応せざるを得なくなった。

「ファナはリリララと仲良くなりたいんだよね」
「はい。リリララ様はとても素敵な方ですもの。ぜひ、お友達になりたいんです」

 ターズ様の隣に座っているファナ様は、笑顔で彼の肩に自分の頬を寄せた。

 何だか、恋人同士の食事会に他人が付き合わされているような気分だわ。

 無視して食事を進めていると、ファナ様が挑戦的な眼差しを向けてくる。

「本当にリリララ様は心が広い方ですのね。それとも、鈍いだけなのかしら」
「……そうかもしれませんわね」

 どちらでもない。
 でも、素直に答える必要もない。
 曖昧に答えを返した時、ターズ様の側近がダイニングルームにやって来て、ターズ様に報告する。

「両陛下がターズ様にお話したいことがあるとのことで、今すぐ、国王陛下の自室に来るようにとのことです」
「わかった。すぐ行くよ」
 
 ターズ様は笑顔で「喧嘩はしないようにね」と言うと、ダイニングルームから出ていった。

 最悪だわ。
 私がお相手しないといけないじゃないの。

 少しの沈黙のあと、ファナ様が口を開く。

「リリララ様と2人で話がしたいの。他の人たちは外に出てちょうだい」

 私とファナ様の侍女は、なぜか私を見つめてきた。
 
 ファナ様の侍女が私を心配するだなんてよっぽどね。
 気持ちは有り難いけど、あとでファナ様に怒られないか心配だわ。

「ファナ様の言う通りにしてちょうだい」

 微笑んでお願いすると、侍女たちは何も言わずに部屋の外に出ていった。

 2人きりになると、ファナ様の声色が変わる。

「今からする話は、ここだけの話にしてちょうだい」
「内容によりますわ」
「私に口答えするつもりなの!?」 
「ファナ様、あなたが第1王女であらせられることは存じております」
「なら、言うことをききなさい!」
「申し訳ございませんが、それはできかねます。私はサレナール王国の王太子妃です。国の不利益になるような話を聞いた場合は黙っていることはできません。どのようなお話でしょうか」

 嫌になっているとはいえ、今の立場が王太子妃であることに変わりはない。
 
 ファナ様はターズ様の話をするつもりでしょうけど、決めつけてしまうのは良くない。
 もし、違う話だった場合、後悔するのは自分だし、多くの人に迷惑をかけてしまうことになる。

 ファナ様は私を睨みつけて答える。

「私が話すことといえば、ターズ様のことだけですわ」
「では、ターズ様のどのような話でしょうか」
「ターズ様の弱みを握っているのなら教えなさい」
「弱みなんて握っていません」
「じゃあ、どうしてあなたを正妃にするって言うのよ! 私のほうが先に結婚したのに!」

 ああ。
 やっぱり納得していないじゃないの。

「申し訳ございませんが、それはターズ様、本人に聞いていただけませんか」
「聞いたら、嘘をついたと思われるじゃないの!」
「嘘をついたとは、どういうことでしょうか」
「結婚前に約束したの。正妃の座を望まないって! あなたを正妃として認め、側妃でも良いと言うのなら結婚しても良いって言われたのよ!」
「それを承諾したのですね?」
「そうよ!」

 興奮しているのか、ファナ様は立ち上がって叫んだ。

 自分が承諾したくせに、私に文句を言うだなんておかしいでしょう。
 こんなくだらない話のせいで、料理が冷めてしまった。

 温め直してもらえるかしら。

「ちょっと聞いているの!?」

 妹や両親にうるさく言われるせいで、話を聞き流す癖がついてしまっている。
 そのせいで、今も聞き流そうとしてしまっていた。

 悪い癖だわ。

 聞き流そうとしてしまったのは、私が全面的に悪い。
 反省して頭を下げる。

「申し訳ございません。もちろん聞いております。ですが、どうして今更、そんなことをおっしゃるのです?」
「……好きだからよ! 私は本当にターズ様のことが好きなの!」
「……ファナ様、あなたは王女という身分を捨ててでも、ターズ様の正妃になりたいと思いますか?」
「そんなこと無理に決まっているでしょう! 四の五の言わずに身を引きなさい!」
「正妃になるということは、この国の王太子妃、いずれは王妃になるのです。今までのような生活は送ることができません」
「それとこれとは別よ!」

 ファナ様は馬鹿にされたと思ったのか、水の入ったコップを掴むと、その水を私にかけてきた。

 子供じゃないんだから癇癪を起こさないでほしいわ。

 髪だけじゃなく、顔もドレスも濡れてしまった。

 ここで、ターズ様が帰ってきたら、どうするつもりなのかしら。
 こんなことを言うのは失礼だとわかってはいる。
 ……でも、思ってしまう。

 嫌がらせするならターズ様にバレないようにやりなさいよ。
 私は側妃を減らしたいわけじゃないんだから。

 髪から顔に落ちてくる雫を拭うこともせず、ただ無言でファナ様を見つめる。
 すると、さすがのファナ様も自分がやってはいけないことをしたと気が付いたようだった。

「誰か! リリララ様がコップの水をこぼしてしまったわ!」
  
 自分が水をかけてきておいて、よく言うわ。
 どうやったら、コップの水をこぼして自分の頭にかけられるのか知りたい。

 すぐに扉が開いて侍女たちが入ってくると、私の姿を見て小さな悲鳴を上げた。

「リリララ様! 一体、どうされたのですか?」
「言ったでしょう! コップに入った水を零したのよ!」
 
 ファナ様が答えると、侍女は私の前に置かれているコップを見た。

 コップには半分以上の水が残っている。
 訝しげな視線に気が付いたファナ様は慌てて取り繕う。

「その水は私がリリララ様に差し上げたのよ。空になったコップはここにあるわ」
「……そうでしたか」

 侍女は頷きはしたけど、納得はしていない顔で私を見た。

「水をかけられたの」
「……ちょっと!」

 ファナ様を冷たい目で見つめると、威圧的な態度に慣れていないのか、俯いて口を閉ざした。

 濡れたままでいるわけにもいかず、立ち上がってファナ様に詫びる。

「申し訳ございませんが、この状態でここにいるわけにはいきません。部屋に戻らせていただきます」
「リリララ様……、その、私は何も」
「そうですわね。激昂して水をかけてきたという話はターズ様にはいたしません」

 このことを話せば、ターズ様は彼女にどんな考えを持つかわからない。
 別に私は彼女とターズ様の離婚を望んでいるわけじゃない。
 どちらかといえば、上手くいってほしい。

 ただ、正妃にはなりたいけど、王太子妃になりたくないというのが問題ね。
 分けられると思っているところがすごいわ。

「皆もいいわね?」

 侍女たちに確認すると、意図を察してくれたのか、何も言わずに頷いた。
 
 部屋に帰ってしばらくすると、ターズ様がやって来た。

「体調が悪いと聞いたよ」
「ええ。ここ最近は仕事に追われていましたので、疲れが出たのだと思います」
「……そうか。医者を呼ぼうか?」
「結構ですわ。眠れば回復すると思います。おやすみなさいませ」

 ターズ様は何か言いたげにしていたけれど、大人しく帰ってくれた。

 次の日にはファナ様は自国に帰っていった。
 明日には2番目の妻である、セカノノ・ゴロ様がやって来る。
 それまでにターズ様には少しでも仕事を進めてもらわなければならない。

「今日はやっと二人きりになれるね」
「申し訳ございませんが、明日までにやらなければならない仕事は山積みです。寝る間も惜しんでやっていただかねばなりません」
「そんな。大げさじゃないか? そこまで溜まってる?」

 笑顔で話しかけてきたターズ様に、机の上に山積みになっている書類を無言で叩いてみせると、黙って仕事をしてくれた。


*****


 次の日の昼過ぎに、2番目の妻がやって来た。

 ストレートの黒髪に赤色の瞳を持つセカノノ様は、ファナ様と同じタイプの美女だった。
 もし、似た見た目の美女が続くようなら、ターズ様の好みがわかる。

 ターズ様の側近のルド様に聞いたところ、サレナール王国内でも、彼の妻になりたいと希望する女性が現れているそうだ。
 でも、ターズ様は会うつもりはなさそうだとも言っていた。

 ターズ様の好みがわかれば、その好みに合い、彼と結婚したいと望む女性を探しやすくなると思ったのに、本人にその気がないのは辛いわ。

「あなたが正妃の?」
「はじめまして。9番と申します。セカノノ様にお会いできて光栄です」

 話しかけてきたセカノノ様に挨拶をしてカーテシーをした。

 これくらい言わせてもらわないと、ストレスが溜まっていく一方だわ。 

 すると、セカノノ様は満面の笑みを浮かべ、ターズ様は苦虫をかみつぶしたような顔をした。

感想 59

あなたにおすすめの小説

白い結婚で結構ですわ。殿下より、私の自由のほうが大事ですので

鍛高譚
恋愛
「第二王子との婚約? でも殿下には平民の恋人がいるらしいんですけど? ――なら、私たち“白い結婚”で結構ですわ。お好きになさってくださいな、殿下」 自由気ままに読書とお茶を楽しむのがモットーの侯爵令嬢・ルージュ。 ある日、突然“第二王子リオネルとの政略結婚”を押しつけられてしまう。 ところが当の殿下は平民の恋人に夢中で、 「形式上の夫婦だから干渉しないでほしい」などと言い出す始末。 むしろ好都合とばかりに、ルージュは優雅な“独身気分”を満喫するはずが…… いつしか、リナという愛人と妙に仲良くなり、 彼女を巡る宮廷スキャンダルに巻き込まれ、 しまいには婚約が白紙になってしまって――!? けれどこれは、ルージュが本当の幸せを掴む始まりにすぎなかった。 自分を心から大切にしてくれる“新しい旦那様”候補が現れて、 さあ、思い切り自由に愛されましょう! ……そして、かの王子様の結末は“ざまぁ”なのか“自業自得”なのか? 自由気ままな侯爵令嬢が切り開く、 “白い結婚破談”からの痛快ざまぁ&本当の恋愛譚、はじまります。

白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』

鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」 公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。 だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。 ――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの? 何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。 しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。 それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。 そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。 温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。 そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。 「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」 「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」 離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。 そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。

婚約破棄されたので頑張るのをやめました 〜昼寝と紅茶だけの公爵令嬢なのに、なぜか全部うまくいきます〜あ

鍛高譚
恋愛
王太子から婚約破棄された衝撃で階段から落ちた公爵令嬢シャル・ド・ネ・アルベール。 目覚めた彼女は、なんと前世の記憶——ブラック企業で働き詰めだったOL・佐伯ゆかりとしての人生を思い出してしまう。 無理して働いた末に過労死した前世の反省から、シャルは決意する。 「もう頑張らない。今度の人生は“好き”と“昼寝”だけで満たしますわ!」 貴族としての特権をフル活用し、ワイン造りやスイーツ作りなど“趣味”の延長でゆるゆる領地改革。 気づけば国王にも称賛され、周囲の評価はうなぎのぼり!? 一方、彼女を見下していた王太子と“真実の愛()”の令嬢は社交界で大炎上。 誰もざまぁされろなんて言ってないのに……勝手に転がり落ちていく元関係者たち。 本人はただ紅茶とスコーンを楽しんでいるだけなのに―― そんな“努力しない系”令嬢が、理想の白い結婚相手と出会い、 甘くてふわふわ、そしてちょっぴり痛快な自由ライフを満喫する ざまぁ(他力本願)×スローライフ×ちょっと恋愛な物語です♪

白い結婚を捨てた王妃は、もう二度と振り向かない ――愛さぬと言った王子が全てを失うまで』

鍛高譚
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」 華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。 王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。 そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。 レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。 「お願いだ……戻ってきてくれ……」 王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。 「もう遅いわ」 愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。 裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。 これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。

眠り姫は十年後、元婚約者の隣に別の令嬢を見つけました

鍛高譚
恋愛
幼い頃、事故に遭い10年間も眠り続けていた伯爵令嬢アーシア。目を覚ますと、そこは見知らぬ大人の世界。成長した自分の身体に戸惑い、周囲の変化に困惑する日々が始まる。 そんな彼女を支えるのは、10年前に婚約していた幼馴染のレオン。しかし、目覚めたアーシアに突きつけられたのは、彼がすでに新しい婚約者・リリアナと共に未来を築こうとしている現実だった――。 「本当に彼なの?」 目の前のレオンは、あの頃の優しい少年ではなく、立派な青年へと成長していた。 彼の隣には、才色兼備で知的な令嬢リリアナが寄り添い、二人の関係は既に「当然のもの」となっている。 アーシアは過去の婚約に縋るべきではないと分かりつつも、彼の姿を目にするたびに心がざわめく。 一方でレオンもまた、アーシアへの想いを完全に断ち切れてはいなかった。 幼い頃の約束と、10年間支え続けてくれたリリアナへの誠意――揺れ動く気持ちの狭間で、彼はどんな未来を選ぶのか。 「私の婚約者は、もう私のものではないの?」 「それでも私は……まだ、あなたを――」 10年間の空白が引き裂いた二人の関係。 心は10歳のまま、だけど身体は大人になったアーシアが、新たな愛を見つけるまでの物語。 運命の婚約者との再会は、果たして幸福をもたらすのか――? 涙と葛藤の三角関係ラブストーリー、ここに開幕!

白い結婚で結構ですわ。愛人持ちの夫に興味はありません

鍛高譚
恋愛
公爵令嬢ルチアーナは、王太子アルベルトとの政略結婚を命じられた。だが彼にはすでに愛する女性がいた。そこでルチアーナは、夫婦の義務を果たさない“白い結婚”を提案し、お互いに干渉しない関係を築くことに成功する。 「夫婦としての役目を求めないでくださいませ。その代わり、わたくしも自由にさせていただきますわ」 そうして始まった王太子妃としての優雅な生活。社交界では完璧な妃を演じつつ、裏では趣味の読書やお茶会を存分に楽しみ、面倒ごととは距離を置くつもりだった。 ——だが、夫は次第にルチアーナを気にし始める。 「最近、おまえが気になるんだ」 「もっと夫婦としての時間を持たないか?」 今さらそんなことを言われても、もう遅いのですわ。 愛人を優先しておいて、後になって本妻に興味を持つなんて、そんな都合の良い話はお断り。 わたくしは、自由を守るために、今日も紅茶を嗜みながら優雅に過ごしますわ——。 政略結婚から始まる痛快ざまぁ! 夫の後悔なんて知りませんわ “白い結婚”を謳歌する令嬢の、自由気ままなラブ&ざまぁストーリー!

結婚しても別居して私は楽しくくらしたいので、どうぞ好きな女性を作ってください

シンさん
ファンタジー
サナス伯爵の娘、ニーナは隣国のアルデーテ王国の王太子との婚約が決まる。 国に行ったはいいけど、王都から程遠い別邸に放置され、1度も会いに来る事はない。 溺愛する女性がいるとの噂も! それって最高!好きでもない男の子供をつくらなくていいかもしれないし。 それに私は、最初から別居して楽しく暮らしたかったんだから! そんな別居願望たっぷりの伯爵令嬢と王子の恋愛ストーリー 最後まで書きあがっていますので、随時更新します。 表紙はエブリスタでBeeさんに描いて頂きました!綺麗なイラストが沢山ございます。リンク貼らせていただきました。

捨てられた令嬢と、選ばれなかった未来

鍛高譚
恋愛
「君とは釣り合わない。だから、僕は王女殿下を選ぶ」 婚約者アルバート・ロンズデールに冷たく告げられた瞬間、エミリア・ウィンスレットの人生は暗転した。 王都一の名門公爵令嬢として慎ましくも誠実に彼を支えてきたというのに、待っていたのは無慈悲な婚約破棄――しかも相手は王女クラリッサ。 アルバートと王女の華やかな婚約発表の裏で、エミリアは社交界から冷遇され、"捨てられた哀れな令嬢"と嘲笑される日々が始まる。 だが、彼女は決して屈しない。 「ならば、貴方たちが後悔するような未来を作るわ」 そう決意したエミリアは、ある人物から手を差し伸べられる。 ――それは、冷静沈着にして王国の正統な後継者、皇太子アレクシス・フォルベルト。 彼は告げる。「私と共に来い。……君の聡明さと誇りが、この国には必要だ」