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14 情けない夫
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レオナルド殿下のことが気になったけれど、ここにいても役に立てそうにない。
そう思い、サーディンさんの後について走り出した。
ターズ様から逃げられるのは嬉しい。
でも、私の侍女や護衛たちを残してはいけないので、サーディンさんに訴える。
「助けていただけることは本当に有り難いのですが、侍女や護衛たちを残していけません!」
「あ、大丈夫っす。家族ごと連れて行く段取りになってるっす!」
「え?」
「昨日のうちに話をつけてるはずっすよ!」
「え?」
私の後に付いてくる護衛や侍女たちを見ると、全員が頷いた。
私の知らない間に、レオナルド殿下が話をつけてくれていたということ?
「お友達のほうには、うちの暗殺部隊が付いてるっす。危害を加えようとする奴は消すので安心してほしいっす」
サーディンさんはニコニコ笑いながら、恐ろしい発言をした。
八重歯を見せて笑うからか、見た目がとても可愛らしい分、発言とのギャップの差がありすぎて余計に怖く感じた。
「け、消す」
「あ、オレ、話し方が変っすよね。貧困街の出なんす。お許しください! その分、違うことで役に立ちますんでっ!」
貧困街というのは、平民の中でも一番貧しい人たちが暮らす場所だ。
その日を暮らすだけで精一杯と言われるほど、お金のない人たちが集まって住んでいると聞いたことがある。
どうして、そこに住んでいたサーディンさんと王族のレオナルド殿下が知り合えたのかはわからない。
でも、今はそんなことを気にしている場合じゃないわね。
「あの、王妃陛下を連れ出すのは難しいですよね?」
「……それはさすがに無理っす!」
それはそうよね。
私を連れ出すだけでも、揉めることは確実だもの。
「えーと、とにかく馬車があるとこまで走りましょう。それまでに出会う兵士で殺しても良い人だけ、オッケーって言ってもらえますか」
「は、はい?」
「はいじゃなくて、オッケーっす。無駄な殺生はしたくないんすよ」
「あの、できれば誰も殺さない方向でお願いします! それから、レオナルド殿下は大丈夫なんでしょうか」
どうしても心配になって尋ねると、サーディンさんは豪快に笑う。
「大丈夫っすよ! あの人、馬鹿みたいに強いっす」
「たとえそうだとしても一人では」
「オレ以外の護衛が付いてるから大丈夫っすよ! それにレオ殿下は殺しても死なないっす!」
「殺されたら死んでるだろ」
「あ、生きてるっす!」
声が聞こえて振り返ると、すぐ後ろにレオナルド殿下がいたので、安堵して話しかける。
「ご無事だったんですね!」
「無事も何も、ターズ殿下は君がいなくなったら、剣を放り投げただけでなく、地面に額を付けて謝ってきたんだ」
「そ、そうでしたか」
下手に騒ぎを起こしたくないと思ったのかしら。
それにしても情けないような気もする。
すれ違う城の兵士は走っている私たちを見て、不思議そうにしているだけだった。
誰かが命令しないからか、私たちを止める兵士はおらず、何とか待たせていた馬車の所までたどり着いた。
運動不足のせいか息がしにくくて苦しい。
「大丈夫か?」
「……はい。はあ、あ、の、はあ、大丈夫……です」
心配そうに顔を覗き込んできたレオナルド殿下に頷いた時、数台停まっていた馬車の内の一つからセブラナ様が顔を出した。
「お待ちしていました! リリララ様、こちらに乗ってください!」
追手の姿がないか後ろを振り返って確認してから馬車に乗り込む。
「ご迷惑をおかけして申し訳ございません」
「ご安心ください。リリララ様は大切な証人になりますので、わたしの命にかえてでもお守りいたします!」
「いえ、そんな! 自分の命は自分で守りますので! セブラナ様はご自分の命を優先してください」
「入るぞ」
セブラナ様の向かい側に座ったところで、レオナルド殿下が中に入ってきた。
彼が腰を下ろす前に馬車が走り出す。
「レオナルド殿下、あの、本当にお怪我はありませんか?」
「ああ。さっきも言ったが何もしてこなかったからな。まずいことをしたのは自分たちのほうだと気付いたようだ。俺に剣を向けた無礼はリリララを連れて行くことで帳消しにした」
「では、私がここを出ていくことは許されたということでしょうか」
「一応な」
頷いたレオナルド殿下の表情は冴えない。
「お兄様、何かあったのですか」
「……離婚は認めないと言っていた」
「それは、リリララ様との離婚をでしょうか」
「両方だ」
「「そんな!」」
私とセブラナ様は同時に声を上げた。
「無抵抗の人間を痛めつけられるほど、俺はまだ人間ができてないんだよ」
「……わたしも無理ですわ」
セブラナ様は小さく息を吐くと、レオナルド殿下が口を開く。
「離婚については個人的な話ではなく国として動いてもらうから、少しだけ待ってくれ。2人共、離婚できるように動く」
「「ありがとうございます」」
私とセブラナ様は同時に頭を下げた。
*****
ライレフ王国に行くには、サレナール王国から馬車で5日以上かかる。
その間に色々なことがあった。
サレナール王国側が自分たちを正当化した話を流す前に、ライレフ王国側が先に真実を世界に広めた。
サレナール王国側は魅了や服従の力については否定し、私を連れて帰ったことにはライレフ王国に猛抗議した。
その日の内に第三国による調査機関が発足され、情報を精査されることになった。
ライレフ王国に向かっている途中で調査チームがやって来て、色々と話を聞かれたので、凡て正直に話した。
そして、王妃陛下が心配だと伝えると、調査員は王妃陛下も保護すべきと感じた場合は動くと約束してくれた。
私たちがライレフ王国に入国した時には、騒ぎの終息を望んだサレナール王国の国王陛下が私とターズ様の離婚を認めた。
スーリ卿は疑わしいとはいえ、王太子妃に拷問だなんて言葉を使ったという理由で解雇された。
自分の実家からも見放されたそうなので、今は、もう一人の側近の家に転がり込んでいるらしい。
そして、王妃陛下は病気だとわかったとのことで、医療が発達している国に移動することになった。
表向きは病気のためにされているけれど、保護しなければならないと判断してくれたのだと思う。
どうしても解決できなかったのは、国王陛下とターズ様の不思議な力のことだった。
二人がそのことを認めるはずもなく、他の8ヶ国の妻たちとの婚姻関係も継続になった。
でも、きっと全ての人と離婚になるだろうと思われる。
なぜかというと、ターズ様の王位継承権が剥奪されたからだ。
第三国が国王陛下の退位を求めたところ、全てはターズ様が悪いのだと切り捨て、自分の身を守ったのだ。
実際、力をあからさまに使ったのはターズ様で、国王陛下は何もしていないことになっている。
レオナルド殿下に剣を向けたのもターズ様だ。
だから、ターズ様だけが処罰された。
不思議な力についてだけでいうと、本当の黒幕は国王陛下なのに、陛下には何のダメージもない。
問題は、ターズ様と国王陛下の不思議な力の話を信じているのはサレナールの王妃陛下とライレフ王国の王家だけで、他国は半信半疑だということだ。
『魅了や服従だなんて夢物語だ』
すでに服従してしまっている国王は揃ってそう言った。
紫色の瞳を持つ人間が見つめれば解除できる可能性があるのに、私たちに会うことも嫌がっている。
本当はサレナール王家の力は、悪い人を服従させて、戦争を回避するためのものだったんじゃないかしら。
でも、使い方を間違えて、今までやって来たのかもしれないわね。
紫色の瞳を持つ人はジャッジする役目なのかもしれない。
どうすれば、サレナール王家の秘密を暴くことができるのかしら。
それに、私はちゃんと離婚ができているのかしら。
何だか不安になり、離婚届が受理されているのか調べてもらうことにした。
そう思い、サーディンさんの後について走り出した。
ターズ様から逃げられるのは嬉しい。
でも、私の侍女や護衛たちを残してはいけないので、サーディンさんに訴える。
「助けていただけることは本当に有り難いのですが、侍女や護衛たちを残していけません!」
「あ、大丈夫っす。家族ごと連れて行く段取りになってるっす!」
「え?」
「昨日のうちに話をつけてるはずっすよ!」
「え?」
私の後に付いてくる護衛や侍女たちを見ると、全員が頷いた。
私の知らない間に、レオナルド殿下が話をつけてくれていたということ?
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サーディンさんはニコニコ笑いながら、恐ろしい発言をした。
八重歯を見せて笑うからか、見た目がとても可愛らしい分、発言とのギャップの差がありすぎて余計に怖く感じた。
「け、消す」
「あ、オレ、話し方が変っすよね。貧困街の出なんす。お許しください! その分、違うことで役に立ちますんでっ!」
貧困街というのは、平民の中でも一番貧しい人たちが暮らす場所だ。
その日を暮らすだけで精一杯と言われるほど、お金のない人たちが集まって住んでいると聞いたことがある。
どうして、そこに住んでいたサーディンさんと王族のレオナルド殿下が知り合えたのかはわからない。
でも、今はそんなことを気にしている場合じゃないわね。
「あの、王妃陛下を連れ出すのは難しいですよね?」
「……それはさすがに無理っす!」
それはそうよね。
私を連れ出すだけでも、揉めることは確実だもの。
「えーと、とにかく馬車があるとこまで走りましょう。それまでに出会う兵士で殺しても良い人だけ、オッケーって言ってもらえますか」
「は、はい?」
「はいじゃなくて、オッケーっす。無駄な殺生はしたくないんすよ」
「あの、できれば誰も殺さない方向でお願いします! それから、レオナルド殿下は大丈夫なんでしょうか」
どうしても心配になって尋ねると、サーディンさんは豪快に笑う。
「大丈夫っすよ! あの人、馬鹿みたいに強いっす」
「たとえそうだとしても一人では」
「オレ以外の護衛が付いてるから大丈夫っすよ! それにレオ殿下は殺しても死なないっす!」
「殺されたら死んでるだろ」
「あ、生きてるっす!」
声が聞こえて振り返ると、すぐ後ろにレオナルド殿下がいたので、安堵して話しかける。
「ご無事だったんですね!」
「無事も何も、ターズ殿下は君がいなくなったら、剣を放り投げただけでなく、地面に額を付けて謝ってきたんだ」
「そ、そうでしたか」
下手に騒ぎを起こしたくないと思ったのかしら。
それにしても情けないような気もする。
すれ違う城の兵士は走っている私たちを見て、不思議そうにしているだけだった。
誰かが命令しないからか、私たちを止める兵士はおらず、何とか待たせていた馬車の所までたどり着いた。
運動不足のせいか息がしにくくて苦しい。
「大丈夫か?」
「……はい。はあ、あ、の、はあ、大丈夫……です」
心配そうに顔を覗き込んできたレオナルド殿下に頷いた時、数台停まっていた馬車の内の一つからセブラナ様が顔を出した。
「お待ちしていました! リリララ様、こちらに乗ってください!」
追手の姿がないか後ろを振り返って確認してから馬車に乗り込む。
「ご迷惑をおかけして申し訳ございません」
「ご安心ください。リリララ様は大切な証人になりますので、わたしの命にかえてでもお守りいたします!」
「いえ、そんな! 自分の命は自分で守りますので! セブラナ様はご自分の命を優先してください」
「入るぞ」
セブラナ様の向かい側に座ったところで、レオナルド殿下が中に入ってきた。
彼が腰を下ろす前に馬車が走り出す。
「レオナルド殿下、あの、本当にお怪我はありませんか?」
「ああ。さっきも言ったが何もしてこなかったからな。まずいことをしたのは自分たちのほうだと気付いたようだ。俺に剣を向けた無礼はリリララを連れて行くことで帳消しにした」
「では、私がここを出ていくことは許されたということでしょうか」
「一応な」
頷いたレオナルド殿下の表情は冴えない。
「お兄様、何かあったのですか」
「……離婚は認めないと言っていた」
「それは、リリララ様との離婚をでしょうか」
「両方だ」
「「そんな!」」
私とセブラナ様は同時に声を上げた。
「無抵抗の人間を痛めつけられるほど、俺はまだ人間ができてないんだよ」
「……わたしも無理ですわ」
セブラナ様は小さく息を吐くと、レオナルド殿下が口を開く。
「離婚については個人的な話ではなく国として動いてもらうから、少しだけ待ってくれ。2人共、離婚できるように動く」
「「ありがとうございます」」
私とセブラナ様は同時に頭を下げた。
*****
ライレフ王国に行くには、サレナール王国から馬車で5日以上かかる。
その間に色々なことがあった。
サレナール王国側が自分たちを正当化した話を流す前に、ライレフ王国側が先に真実を世界に広めた。
サレナール王国側は魅了や服従の力については否定し、私を連れて帰ったことにはライレフ王国に猛抗議した。
その日の内に第三国による調査機関が発足され、情報を精査されることになった。
ライレフ王国に向かっている途中で調査チームがやって来て、色々と話を聞かれたので、凡て正直に話した。
そして、王妃陛下が心配だと伝えると、調査員は王妃陛下も保護すべきと感じた場合は動くと約束してくれた。
私たちがライレフ王国に入国した時には、騒ぎの終息を望んだサレナール王国の国王陛下が私とターズ様の離婚を認めた。
スーリ卿は疑わしいとはいえ、王太子妃に拷問だなんて言葉を使ったという理由で解雇された。
自分の実家からも見放されたそうなので、今は、もう一人の側近の家に転がり込んでいるらしい。
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表向きは病気のためにされているけれど、保護しなければならないと判断してくれたのだと思う。
どうしても解決できなかったのは、国王陛下とターズ様の不思議な力のことだった。
二人がそのことを認めるはずもなく、他の8ヶ国の妻たちとの婚姻関係も継続になった。
でも、きっと全ての人と離婚になるだろうと思われる。
なぜかというと、ターズ様の王位継承権が剥奪されたからだ。
第三国が国王陛下の退位を求めたところ、全てはターズ様が悪いのだと切り捨て、自分の身を守ったのだ。
実際、力をあからさまに使ったのはターズ様で、国王陛下は何もしていないことになっている。
レオナルド殿下に剣を向けたのもターズ様だ。
だから、ターズ様だけが処罰された。
不思議な力についてだけでいうと、本当の黒幕は国王陛下なのに、陛下には何のダメージもない。
問題は、ターズ様と国王陛下の不思議な力の話を信じているのはサレナールの王妃陛下とライレフ王国の王家だけで、他国は半信半疑だということだ。
『魅了や服従だなんて夢物語だ』
すでに服従してしまっている国王は揃ってそう言った。
紫色の瞳を持つ人間が見つめれば解除できる可能性があるのに、私たちに会うことも嫌がっている。
本当はサレナール王家の力は、悪い人を服従させて、戦争を回避するためのものだったんじゃないかしら。
でも、使い方を間違えて、今までやって来たのかもしれないわね。
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