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今までヴァージニア様の仕返しが怖くて黙っていた人達の告発により、コッポラ公爵はこんなにも多くの人間が被害に合っていたのに何もしなかったのかということで、罪には問われなかったものの貴族の間では問題になり、彼の評判は落ちた。
そして、ヴァージニア様がアーク殿下を自分のものにするために、私の悪い噂を流そうとしていた事も明らかにされ、ヴァージニア様に求婚していた貴族達も、彼女に愛想を尽かしてしまったらしい。
そのため、彼女は隣国の爵位の低い人間との縁談がすすむ事になりそうだった。
投票結果を知らされたあと、ヴァージニア様は勝負には負けたけれど、諦めきれなかったのか、アーク殿下にすがりついて結婚をお願いしたけれど、間髪なくお断りされ、次の日には城を出ていくように言い渡されていた。
ああいうシーンを見ると、すっきりするのかと思ったけれど、泣いてる所を見たりすると、スッキリしないものね。
まあ、自業自得だから、同情もしないし、コッポラ公爵の悔しそうな顔に関しては、素直にざまぁみろと思ってしまったけれど。
そして、正式に私が婚約者に決まってからは、ミア様の侍女が出来なくなってしまった。
当たり前の事ではあるけれど、本当に辛い。
公爵家にあった私の部屋からは荷物が全て持ち出され、殿下の隣の部屋に移された。
そして、マナー教育が始まった。
基本はこなせてはいるけれど、復習しないといけない事も多かった。
あと、一番辛いのが、貴族の顔、名前、爵位、親類関係を覚える事だった。
これが辛かった。
元々、他人に興味のない私が、こんな事を覚えないといかない日がくるなんて…。
殿下とは、あの日以来、あまり顔を合わせていない。
あの一件のせいで、仕事の手が止まっていたらしく、巻き返しをはかっているみたいだった。
そんな事を思っていた日の夜の事。
殿下からお呼び出しがかかり、何の用かとネグリジェの上にショールを羽織って、彼の部屋にお伺いした。
いつもはハーフアップにしているけど、今は髪は全部おろしたままだし、すっぴんだけど、子供の頃には何回も見ているだろうし、初めて見るものでもないから、まあいいでしょう。
夜に男性の部屋に行くなんて、あんまり良くないんだろうけれど、呼び出されたんだししょうがないし、まさか殿下も婚前前に、私に手を出したりしないわよね?
殿下も寝る前だったのか、白のシャツと黒のパンツ姿というラフな格好で私を部屋に招き入れたあと、なぜか、私を彼のベッドに座らせようとした。
「あの、殿下?」
この時点で、私の脳内でアラートが鳴り始めた。
「ルアのその格好、可愛いな。髪型もいつもと違って可愛い」
「え、あ、ありがとうございます…」
「ルア」
中々、ベッドの上に座ろうとしない私を無理やり座らせたあと、彼は私の横に座って続ける。
「勝ったら言うって言ってた言葉を聞かせてほしいんだが…」
「そういえば、そんな話をしてましたね…」
今更、改めて言うのが恥ずかしくなってきた。
あの時に勿体ぶらずに言っておけば良かった…。
「ルア」
両頬を手でおおって、殿下は私の顔を彼の方に向けさせた。
恥ずかしいけど、言うって言ったんだから、ちゃんと言わないと…。
「あ、あの、その、私も、殿下が好きです」
「……!」
殿下は声にならない声を上げたあと、私を抱きしめた。
「殿下!?」
「生きてて良かった」
「大袈裟ですよ」
「一生、俺の事なんて見てもらえないと思ってた」
「あれだけ好き勝手しておいてですか…」
「そうでもしないと、お前の視界には入らなかっただろう?」
はっきり言って、そう言われればそうだったと思う。
私の中では、アピールされるまでは、殿下の事を恋愛対象として見た事がなかったから。
「ルア」
殿下は私の耳元で名前を呼んだかと思うと、私を優しく押し倒した。
「で、殿下!?」
「お前が可愛すぎて、我慢できない」
「我慢して下さいよ、大人でしょう!?」
「大人だからちゃんと責任をとる。絶対にお前をはなさないと誓う」
「いや、今は誓わなくていいです」
私を見下ろしていた殿下は、余裕のなさそうな顔で身を起こすと、自分のシャツのボタンに手をかけて脱いだあとに、私の服の上から身体に触れてきた。
こ、これはやばい。
心臓が口から飛び出そう。
「ごめんなさい、殿下!」
私は叫ぶと、足を上げて、殿下の股間を蹴り飛ばした。
「…!?!」
殿下は声にならない声を上げて、今度は床にしゃがみこんだ。
「あの、殿下、悪いとは思ってます。でも、焦る殿下も良くないですよね!?」
「…~っ……」
殿下がちょっと涙目になって私を見上げるのを見て、よっぽど痛かったのだと反省する。
けれど、こっちは乙女の貞操の危機だったんだから許してほしい!
そっち系に関しては、心の準備がまだ出来てません!
「おやすみなさい、殿下」
「…ちょ、ま、ルア」
ダメージがひどいようで、殿下は立ち上がる事も出来ない。
そんな殿下に罪悪感を抱えつつも、彼の部屋から出て、自分の部屋の扉の鍵をかけた。
殿下が知らない人みたいで本当にドキドキした。
でも、ドキドキしただけで嫌じゃなかったのは、きっと恋をしているからなんだろう。
だけど、ああいう行為は、私にはまだ早い。
その後、しばらくしてから、殿下が私の部屋にやって来たけれど、鍵が閉まっているため諦めたと思ったら、扉を壊して中に入ってきたので、こっぴどく叱ってさしあげたのだった。
「王太子殿下が私をはなさない」完
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
読んで下さった方に少しでも楽しんでもらえれば嬉しいです。
元々書くつもりでいたのと、前作を読んでいただいた方に続編を、と背中を押していただいて書いた、このお話なのですが、ルルアとアークの会話を書くのが、私自身、すごく楽しかったです。
ただ、欲張りな殿下ですので、R18に引っ張られそうで大変でした。
両思いになってからでも、2人の掛け合いは続けられるかなと思いますので、ラブコメでまた書けたらなぁなんて思っておりますが、予定は未定です。(番外編置き場で書くかも?)
また他作品でお会いできたら光栄でございます。
2回目にはなりますが、お読みいただき、本当にありがとうございました。
風見ここあ
そして、ヴァージニア様がアーク殿下を自分のものにするために、私の悪い噂を流そうとしていた事も明らかにされ、ヴァージニア様に求婚していた貴族達も、彼女に愛想を尽かしてしまったらしい。
そのため、彼女は隣国の爵位の低い人間との縁談がすすむ事になりそうだった。
投票結果を知らされたあと、ヴァージニア様は勝負には負けたけれど、諦めきれなかったのか、アーク殿下にすがりついて結婚をお願いしたけれど、間髪なくお断りされ、次の日には城を出ていくように言い渡されていた。
ああいうシーンを見ると、すっきりするのかと思ったけれど、泣いてる所を見たりすると、スッキリしないものね。
まあ、自業自得だから、同情もしないし、コッポラ公爵の悔しそうな顔に関しては、素直にざまぁみろと思ってしまったけれど。
そして、正式に私が婚約者に決まってからは、ミア様の侍女が出来なくなってしまった。
当たり前の事ではあるけれど、本当に辛い。
公爵家にあった私の部屋からは荷物が全て持ち出され、殿下の隣の部屋に移された。
そして、マナー教育が始まった。
基本はこなせてはいるけれど、復習しないといけない事も多かった。
あと、一番辛いのが、貴族の顔、名前、爵位、親類関係を覚える事だった。
これが辛かった。
元々、他人に興味のない私が、こんな事を覚えないといかない日がくるなんて…。
殿下とは、あの日以来、あまり顔を合わせていない。
あの一件のせいで、仕事の手が止まっていたらしく、巻き返しをはかっているみたいだった。
そんな事を思っていた日の夜の事。
殿下からお呼び出しがかかり、何の用かとネグリジェの上にショールを羽織って、彼の部屋にお伺いした。
いつもはハーフアップにしているけど、今は髪は全部おろしたままだし、すっぴんだけど、子供の頃には何回も見ているだろうし、初めて見るものでもないから、まあいいでしょう。
夜に男性の部屋に行くなんて、あんまり良くないんだろうけれど、呼び出されたんだししょうがないし、まさか殿下も婚前前に、私に手を出したりしないわよね?
殿下も寝る前だったのか、白のシャツと黒のパンツ姿というラフな格好で私を部屋に招き入れたあと、なぜか、私を彼のベッドに座らせようとした。
「あの、殿下?」
この時点で、私の脳内でアラートが鳴り始めた。
「ルアのその格好、可愛いな。髪型もいつもと違って可愛い」
「え、あ、ありがとうございます…」
「ルア」
中々、ベッドの上に座ろうとしない私を無理やり座らせたあと、彼は私の横に座って続ける。
「勝ったら言うって言ってた言葉を聞かせてほしいんだが…」
「そういえば、そんな話をしてましたね…」
今更、改めて言うのが恥ずかしくなってきた。
あの時に勿体ぶらずに言っておけば良かった…。
「ルア」
両頬を手でおおって、殿下は私の顔を彼の方に向けさせた。
恥ずかしいけど、言うって言ったんだから、ちゃんと言わないと…。
「あ、あの、その、私も、殿下が好きです」
「……!」
殿下は声にならない声を上げたあと、私を抱きしめた。
「殿下!?」
「生きてて良かった」
「大袈裟ですよ」
「一生、俺の事なんて見てもらえないと思ってた」
「あれだけ好き勝手しておいてですか…」
「そうでもしないと、お前の視界には入らなかっただろう?」
はっきり言って、そう言われればそうだったと思う。
私の中では、アピールされるまでは、殿下の事を恋愛対象として見た事がなかったから。
「ルア」
殿下は私の耳元で名前を呼んだかと思うと、私を優しく押し倒した。
「で、殿下!?」
「お前が可愛すぎて、我慢できない」
「我慢して下さいよ、大人でしょう!?」
「大人だからちゃんと責任をとる。絶対にお前をはなさないと誓う」
「いや、今は誓わなくていいです」
私を見下ろしていた殿下は、余裕のなさそうな顔で身を起こすと、自分のシャツのボタンに手をかけて脱いだあとに、私の服の上から身体に触れてきた。
こ、これはやばい。
心臓が口から飛び出そう。
「ごめんなさい、殿下!」
私は叫ぶと、足を上げて、殿下の股間を蹴り飛ばした。
「…!?!」
殿下は声にならない声を上げて、今度は床にしゃがみこんだ。
「あの、殿下、悪いとは思ってます。でも、焦る殿下も良くないですよね!?」
「…~っ……」
殿下がちょっと涙目になって私を見上げるのを見て、よっぽど痛かったのだと反省する。
けれど、こっちは乙女の貞操の危機だったんだから許してほしい!
そっち系に関しては、心の準備がまだ出来てません!
「おやすみなさい、殿下」
「…ちょ、ま、ルア」
ダメージがひどいようで、殿下は立ち上がる事も出来ない。
そんな殿下に罪悪感を抱えつつも、彼の部屋から出て、自分の部屋の扉の鍵をかけた。
殿下が知らない人みたいで本当にドキドキした。
でも、ドキドキしただけで嫌じゃなかったのは、きっと恋をしているからなんだろう。
だけど、ああいう行為は、私にはまだ早い。
その後、しばらくしてから、殿下が私の部屋にやって来たけれど、鍵が閉まっているため諦めたと思ったら、扉を壊して中に入ってきたので、こっぴどく叱ってさしあげたのだった。
「王太子殿下が私をはなさない」完
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最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
読んで下さった方に少しでも楽しんでもらえれば嬉しいです。
元々書くつもりでいたのと、前作を読んでいただいた方に続編を、と背中を押していただいて書いた、このお話なのですが、ルルアとアークの会話を書くのが、私自身、すごく楽しかったです。
ただ、欲張りな殿下ですので、R18に引っ張られそうで大変でした。
両思いになってからでも、2人の掛け合いは続けられるかなと思いますので、ラブコメでまた書けたらなぁなんて思っておりますが、予定は未定です。(番外編置き場で書くかも?)
また他作品でお会いできたら光栄でございます。
2回目にはなりますが、お読みいただき、本当にありがとうございました。
風見ここあ
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ちょび太郎様
前作からお読みいただき、ありがとうございます!
そうなんです。
Rつけてないんです😂
TLとかのマンガにはR15指定とかないですし、今いちR15の意味がわかってない私です😅
ですから、そういう系の事は書かないように…と思って書いたんですが、殿下が〜。
そして、2人のお話を希望していただき、ありがとうございます✨
きっと近い内に書きそうな気がします。
その時はお付き合いしてもらえたら嬉しいです♪
あたたかいお言葉と感想をありがとうございました✨
みなみ和子900様
殿下は長年こじらせて?きた分、イチャラブしたくてしょうがないんですが、ルルアが無理でした😂
ただ、階段をのぼっていけば許してくれるはず。
今回はちょっとガッツきすぎということで😂
アークを一途で素敵といっていただけて本当に嬉しいです♪
俺様キャラは嫌いではないのですが、ここまでいくとただの嫌な奴じゃない? と思ってしまう俺様キャラにはなってほしくなかったんです。
結果、アークへの応援が多く、とても嬉しかったです(*^^*)
続編!
嬉しいお言葉をありがとうございます✨
別シリーズで現在、新婚の話を続編として書いているので、そちらが落ち着いたら、結婚後の話を考えてみたいと思います♪
番外編置き場に置くか、長くなりそうなら続編として投稿しようと思います。
子供出来たら、ですが、息子が可愛いけれど、ルルアが息子ばっかりで、自分を相手してくれなかったら、密かにヤキモチ妬きそうな気がします。でもすぐにそれは違う、息子も可愛いと思い直す感じでしょうか。
娘でルルア似だったら、城から出さん、とか言い出しそうですね。それでルルアに怒られる😂
あたたかいお言葉と感想をありがとうございました✨
ちゃっぴ〜様
笑っていただけて嬉しいです!
ルルアも乙女ですから、心の準備が必要😂
殿下はルルアがもう、自分のものだと思ったら暴走してるのも通常運転な気がします。
偉そうにしてますが、裏では尻に敷かれている殿下がギャップがあって良いかな、なんて思っております。
後日談!
嬉しいお言葉をありがとうございます✨
そういうお言葉をいただくと、調子にのって書いちゃう単純な人間です。
もし、書いた際には読んでいただけましたら嬉しいです♪
温かいお言葉と感想をありがとうございました✨