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40 伝わらない(リアムside)
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「リアムのために頑張って作ったんです!」
最初に彼女が料理を作って持ってきてくれた時は、エプロン姿のアイリスが可愛らしくて、そちらに気を取られてしまって、料理の味はあまり覚えていない。
アイリスのその姿に慣れてきたところで、料理の味がわかるようになり、美味しいと伝えると、それは嬉しそうに笑うものだから、彼女に笑ってもらいたくて、必要以上に褒めた。
もちろん、本当に美味しいと思ったのも確かだった。
けれど、いつしか、彼女の目的は僕のためではなく、料理をすることに変わっていった気がした。
メイドのように配膳をしてくれるし、一緒に食べるようにした朝晩の食事も彼女は、僕が食事を終えてからとるようになった。
「一緒に食べないのかな?」
そう、アイリスに尋ねると、彼女は僕の気持ちに気づいていないようで、にこりと微笑んだ。
「リアムの食事のほうが大事です」
「いや、君もちゃんと食事をとらないと」
「リアムの食事のあとに食べていますから大丈夫ですよ」
「……じゃあ、一緒にお茶しないか?」
冷静に考えると、その時の僕はかなり必死な様子に見えたと思う。
メイドや使用人達も、僕のことをどこか気の毒そうな目で見ているのを感じた。
公爵としてこれは駄目だと思いつつも、僕が小さい頃から一緒にいる使用人も多いし、そうでなくても長い付き合いの使用人しかいない。
だから、開き直って言ってみたけど、言葉を撤回せずにいたけど駄目だった。
アイリスは目を輝かせて言う。
「リアムがお茶をされているだなんて知りませんでした! お菓子を作りますね!」
「そっちじゃなくて……」
彼女に悪気はないんだろうと思うし、一緒に食べようと言えば、きっと彼女はそうしてくれると思う。
だけど、それは、僕が願うから一緒に食べてくれるのであって、彼女自身の意思ではない。
そして、彼女にとっての僕は雇い主であって、男性として意識されていないのだと思うと、悲しい気持ちになった。
彼女が幸せならそれで良い。
それに、彼女は僕の妻だから、他の男に奪われることもない。
そう思うことにしたのに、トーイに仕事中も上の空だと指摘されてしまった。
そして、気になっていたことも言われてしまった。
もうすぐ、アイリスの誕生日だということは知っていた。
プレゼントはどんなものが良いのか、どうしたら喜んでくれるのか、そんなことを考えたりもしていたから、余計に上の空になっていたんだとは思う。
彼女の誕生日パーティーを開くつもりでいるけれど、やはり、彼女の両親を呼ぶべきなのか考えた。
彼らが僕の両親との顔合わせを望んでいることは確かだから、ササッと済ませておきたいというところもある。
「ここはアイリスにちゃんと確認してみる。僕一人が考える問題じゃない」
彼女は家族のせいでサプライズが嫌いだ。
もちろん、そんな理由がなくてもサプライズが嫌いだという人がいてもおかしくないとも思う。
彼女の友人のサマンサ嬢を内緒で呼び寄せるくらいのサプライズをしても良いのかとか、すごく迷うけど、彼女の心を傷つけてしまったり、嫌われてしまうことが怖い。
「そうですね。話さなくても良い話もあるかとは思いますが、食事を一緒にとりたいということや、誕生日パーティーの話などは、しっかりご相談されたほうが良いかと思われます」
トーイがいつもよりも大きな声で言うので首を傾げる。
「今日は何か様子が変じゃないか?」
「いいえ。もし変だとすると、声の調子が良いだけではないでしょうか」
「調子が良いのなら良いけど」
触れられたくない様子だったから、深く聞かないことにした。
最初に彼女が料理を作って持ってきてくれた時は、エプロン姿のアイリスが可愛らしくて、そちらに気を取られてしまって、料理の味はあまり覚えていない。
アイリスのその姿に慣れてきたところで、料理の味がわかるようになり、美味しいと伝えると、それは嬉しそうに笑うものだから、彼女に笑ってもらいたくて、必要以上に褒めた。
もちろん、本当に美味しいと思ったのも確かだった。
けれど、いつしか、彼女の目的は僕のためではなく、料理をすることに変わっていった気がした。
メイドのように配膳をしてくれるし、一緒に食べるようにした朝晩の食事も彼女は、僕が食事を終えてからとるようになった。
「一緒に食べないのかな?」
そう、アイリスに尋ねると、彼女は僕の気持ちに気づいていないようで、にこりと微笑んだ。
「リアムの食事のほうが大事です」
「いや、君もちゃんと食事をとらないと」
「リアムの食事のあとに食べていますから大丈夫ですよ」
「……じゃあ、一緒にお茶しないか?」
冷静に考えると、その時の僕はかなり必死な様子に見えたと思う。
メイドや使用人達も、僕のことをどこか気の毒そうな目で見ているのを感じた。
公爵としてこれは駄目だと思いつつも、僕が小さい頃から一緒にいる使用人も多いし、そうでなくても長い付き合いの使用人しかいない。
だから、開き直って言ってみたけど、言葉を撤回せずにいたけど駄目だった。
アイリスは目を輝かせて言う。
「リアムがお茶をされているだなんて知りませんでした! お菓子を作りますね!」
「そっちじゃなくて……」
彼女に悪気はないんだろうと思うし、一緒に食べようと言えば、きっと彼女はそうしてくれると思う。
だけど、それは、僕が願うから一緒に食べてくれるのであって、彼女自身の意思ではない。
そして、彼女にとっての僕は雇い主であって、男性として意識されていないのだと思うと、悲しい気持ちになった。
彼女が幸せならそれで良い。
それに、彼女は僕の妻だから、他の男に奪われることもない。
そう思うことにしたのに、トーイに仕事中も上の空だと指摘されてしまった。
そして、気になっていたことも言われてしまった。
もうすぐ、アイリスの誕生日だということは知っていた。
プレゼントはどんなものが良いのか、どうしたら喜んでくれるのか、そんなことを考えたりもしていたから、余計に上の空になっていたんだとは思う。
彼女の誕生日パーティーを開くつもりでいるけれど、やはり、彼女の両親を呼ぶべきなのか考えた。
彼らが僕の両親との顔合わせを望んでいることは確かだから、ササッと済ませておきたいというところもある。
「ここはアイリスにちゃんと確認してみる。僕一人が考える問題じゃない」
彼女は家族のせいでサプライズが嫌いだ。
もちろん、そんな理由がなくてもサプライズが嫌いだという人がいてもおかしくないとも思う。
彼女の友人のサマンサ嬢を内緒で呼び寄せるくらいのサプライズをしても良いのかとか、すごく迷うけど、彼女の心を傷つけてしまったり、嫌われてしまうことが怖い。
「そうですね。話さなくても良い話もあるかとは思いますが、食事を一緒にとりたいということや、誕生日パーティーの話などは、しっかりご相談されたほうが良いかと思われます」
トーイがいつもよりも大きな声で言うので首を傾げる。
「今日は何か様子が変じゃないか?」
「いいえ。もし変だとすると、声の調子が良いだけではないでしょうか」
「調子が良いのなら良いけど」
触れられたくない様子だったから、深く聞かないことにした。
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