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13 第二王子の願い
婚約破棄や、ルーナとアル殿下の新たな婚約の手続きをするため、しばらく城内に残らないといけないことになった。
私とグルーラ公爵夫妻とルディは、謁見の間の近くにある控室で書類が出来上がるのを待つことになった。
ルーナとアル殿下は別室で陛下と王妃陛下からお説教を受けている。
本当はグルーラ公爵夫妻も怒られるところなんだろうけど、リナとルーナの件で相殺された形になり、無罪放免といった形だった。
グルーラ公爵夫妻はとても優しい人たちだった。
リナのワガママで家族ぐるみで巻き込まれたことに対して何度も謝ってくれた。
そして、家族については絶対に手を出させないから安心してほしいと言われた。
(もしかして、手を打ってくれているのかしら?)
そんなことを考えていると、書類が出来上がったようで、グルーラ公爵が席を外すことになった。
「お疲れ様」
グルーラ公爵が部屋から出て行ったあと、隣に座っていたルディが話しかけてきた。
それと同時に、彼の肩に止まっていた黄色い鳥が私の肩に移動してきた。
そして、私の頬に顔を擦り寄せてくる。
「かわいい」
頭を指で撫でてあげると、気持ち良いのか目をつぶってジッとしている。
「ロディがルディ殿下以外に懐いているなんて、初めて見ましたわ」
グルーラ公爵夫人が驚いたように私を見てから、ルディに視線を移して微笑む。
「飼い主に似たのかもしれませんね?」
「どういうことですか?」
「ロディはリナを嫌っているようではありませんでしたが、リナちゃんへの態度とは違っていますから」
ふふふ、とグルーラ公爵夫人は、ルディを見て笑った。
グルーラ公爵夫妻は、私のことを『リナちゃん』と呼ぶことに決めたみたいだった。
「それはロディに聞いて下さい。俺だってわかりません」
「この子、ロディっていうのね」
私が名を呼んだからかロディは目を開けた。
そして、羽を広げて返事をするように、ピピ、と鳴いた。
「ロディはただの鳥ではなくて、聖獣じゃないかとも言われてる。だけど、本当のところは誰もわからない。ただ、人の言葉がわかるんだ。で、さっきはロディにお願いして、陛下たちを呼びに行ってもらった」
「ロディが窓をつついてるのに気が付いたの。だから、ルディ殿下の合図だとわかったのよ。ルーナたちを見た時には心臓が止まるかと思ったわ」
ルディの言葉のあと、グルーラ公爵夫人が苦笑した。
「私にしてみれば、ちょうどいいタイミングでした」
「でも、ルーナとアルフレッド殿下が、あんなことになっていただなんて、本当に知らなかったわ」
グルーラ公爵夫人は本当にショックを受けているようで肩を落とした。
(領地の管理は大変だと思うけど、夫人は残っておくべきだったかもしれないわ。……でも、よく考えてみると、手のつけられない三人の大きな子供を一人で相手にするのも無理かもしれないわね)
私としては婚約破棄を無事に勝ち取れたわけだし、これで解放されるはずだ。
でも、一つ気になることがあった。
「気がかりなのは、アルフレッド殿下が国王になったら、このままだとルーナが王妃になってしまうことね。この件で、アルフレッド殿下の王位継承権の順位を剥奪、もしくは下げることは出来ないのかしら」
ルディに尋ねると、難しい顔をして答えてくれる。
「今のところは厳しいかな。ルーナに手を出したのは問題だけど、責任を取って結婚するんだからね」
「陛下は何でも願いをきいてくれるって言ってたわよね。そのお願いをアルフレッド殿下の王位継承権の剥奪にしてみたらどうかしら?」
我ながらいい提案だと思ったのだけど、ルディは首を横に振った。
「駄目だ」
「どうしてよ?」
「そんなことをしなくても、兄上は自滅するよ。それより、君には他にお願いしてほしいことがある」
「……どういうこと? 何をお願いしてほしいの?」
「俺は君と結婚すると言っただろ?」
「どうして私との結婚にこだわるのよ!」
「まだわからないの?」
ルディはそう言ってから、グルーラ公爵夫人に目を向けた。
すると、慌てて夫人が立ち上がる。
「少し、外の空気を吸ってくるわ」
グルーラ公爵夫人は私たちの返事を待たずに部屋から出て行ってしまった。
少ししてから、ルディが話し始める。
「君には手を貸したんだ。君だって俺に手を貸してくれ」
「私は被害者なのよ!? 手を貸してほしいなら、リナに頼んで!」
「そんなことはわかってるよ! でも、俺は」
ルディが悲しげな目をして私を見つめた時だった。
国王陛下の遣いの方がやって来て、婚約破棄の書類が完成したので、謁見の間に来るようにと言われた。
そのため、ルディが何を言おうとしたかは、わからずじまいだった。
でも、婚約破棄は無事に成立した。
そして、屋敷に帰り、グルーラ公爵から教えてもらえたのは、私の家族を無事に保護できそうだということだった。
私とグルーラ公爵夫妻とルディは、謁見の間の近くにある控室で書類が出来上がるのを待つことになった。
ルーナとアル殿下は別室で陛下と王妃陛下からお説教を受けている。
本当はグルーラ公爵夫妻も怒られるところなんだろうけど、リナとルーナの件で相殺された形になり、無罪放免といった形だった。
グルーラ公爵夫妻はとても優しい人たちだった。
リナのワガママで家族ぐるみで巻き込まれたことに対して何度も謝ってくれた。
そして、家族については絶対に手を出させないから安心してほしいと言われた。
(もしかして、手を打ってくれているのかしら?)
そんなことを考えていると、書類が出来上がったようで、グルーラ公爵が席を外すことになった。
「お疲れ様」
グルーラ公爵が部屋から出て行ったあと、隣に座っていたルディが話しかけてきた。
それと同時に、彼の肩に止まっていた黄色い鳥が私の肩に移動してきた。
そして、私の頬に顔を擦り寄せてくる。
「かわいい」
頭を指で撫でてあげると、気持ち良いのか目をつぶってジッとしている。
「ロディがルディ殿下以外に懐いているなんて、初めて見ましたわ」
グルーラ公爵夫人が驚いたように私を見てから、ルディに視線を移して微笑む。
「飼い主に似たのかもしれませんね?」
「どういうことですか?」
「ロディはリナを嫌っているようではありませんでしたが、リナちゃんへの態度とは違っていますから」
ふふふ、とグルーラ公爵夫人は、ルディを見て笑った。
グルーラ公爵夫妻は、私のことを『リナちゃん』と呼ぶことに決めたみたいだった。
「それはロディに聞いて下さい。俺だってわかりません」
「この子、ロディっていうのね」
私が名を呼んだからかロディは目を開けた。
そして、羽を広げて返事をするように、ピピ、と鳴いた。
「ロディはただの鳥ではなくて、聖獣じゃないかとも言われてる。だけど、本当のところは誰もわからない。ただ、人の言葉がわかるんだ。で、さっきはロディにお願いして、陛下たちを呼びに行ってもらった」
「ロディが窓をつついてるのに気が付いたの。だから、ルディ殿下の合図だとわかったのよ。ルーナたちを見た時には心臓が止まるかと思ったわ」
ルディの言葉のあと、グルーラ公爵夫人が苦笑した。
「私にしてみれば、ちょうどいいタイミングでした」
「でも、ルーナとアルフレッド殿下が、あんなことになっていただなんて、本当に知らなかったわ」
グルーラ公爵夫人は本当にショックを受けているようで肩を落とした。
(領地の管理は大変だと思うけど、夫人は残っておくべきだったかもしれないわ。……でも、よく考えてみると、手のつけられない三人の大きな子供を一人で相手にするのも無理かもしれないわね)
私としては婚約破棄を無事に勝ち取れたわけだし、これで解放されるはずだ。
でも、一つ気になることがあった。
「気がかりなのは、アルフレッド殿下が国王になったら、このままだとルーナが王妃になってしまうことね。この件で、アルフレッド殿下の王位継承権の順位を剥奪、もしくは下げることは出来ないのかしら」
ルディに尋ねると、難しい顔をして答えてくれる。
「今のところは厳しいかな。ルーナに手を出したのは問題だけど、責任を取って結婚するんだからね」
「陛下は何でも願いをきいてくれるって言ってたわよね。そのお願いをアルフレッド殿下の王位継承権の剥奪にしてみたらどうかしら?」
我ながらいい提案だと思ったのだけど、ルディは首を横に振った。
「駄目だ」
「どうしてよ?」
「そんなことをしなくても、兄上は自滅するよ。それより、君には他にお願いしてほしいことがある」
「……どういうこと? 何をお願いしてほしいの?」
「俺は君と結婚すると言っただろ?」
「どうして私との結婚にこだわるのよ!」
「まだわからないの?」
ルディはそう言ってから、グルーラ公爵夫人に目を向けた。
すると、慌てて夫人が立ち上がる。
「少し、外の空気を吸ってくるわ」
グルーラ公爵夫人は私たちの返事を待たずに部屋から出て行ってしまった。
少ししてから、ルディが話し始める。
「君には手を貸したんだ。君だって俺に手を貸してくれ」
「私は被害者なのよ!? 手を貸してほしいなら、リナに頼んで!」
「そんなことはわかってるよ! でも、俺は」
ルディが悲しげな目をして私を見つめた時だった。
国王陛下の遣いの方がやって来て、婚約破棄の書類が完成したので、謁見の間に来るようにと言われた。
そのため、ルディが何を言おうとしたかは、わからずじまいだった。
でも、婚約破棄は無事に成立した。
そして、屋敷に帰り、グルーラ公爵から教えてもらえたのは、私の家族を無事に保護できそうだということだった。
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