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第1章 入学
10分遅れの時計
しおりを挟む暖かい陽の光が差し込み、外ではチチチッと雀が鳴いている。
鳴り響く目覚まし時計に手を伸ばしアラームを止める。この温い布団の中でもうひと眠りしたいところではあるが、時計は既にAM6時15分を指している。そろそろ活動を始めなければならない。それに今日は高校の入学式だ。絶対に遅れてはならない。
眠い目を擦りながら布団を出てクローゼットを開け、下ろし立ての制服を取り出して着替える。脱いだ寝間着はクルクルと丸め棚の隅の方へ置く。制服を整えながら洗面所へ向かうとピチャピチャと水の音がする。どうやら先客がいるそうだ。
妹の瑞希だ。
「あ、おはよー」
妹がやる気のない声で挨拶をしてくるが、朝なので仕方ない。兄妹そろって朝に弱いのだ。んー、と低く唸って返事をするが、妹はすでにリビングへ向かって行った。
順番があいた洗面台で制服に水が掛からないように顔を洗う。そして傍に掛けてあるタオルに顔を埋め、指先に少し水をつけて寝癖を直す。
鏡を見ると自分の姿が映し出される。格段にカッコいいとは言えないが、カッコわるいとも思わない。平凡より少し上…という所だろうか。
「お兄ーごはんだよー」
どうやら朝食が用意されているらしい。時計は6時30分を指している。学校は少し遠いので7時には家を出なくてはならない。
リビングへ着くと瑞希が食パンを咥えながらリモコンでテレビのチャンネルを替えている。天気予報によると今日は1日快晴らしい。よきかなよきかな。
本日の朝食メニューは、食パンのトースト、サラダ、スクランブルエッグ、そして牛乳。いかにも朝食って感じだ。ちなみに俺は食パンはこんがり焼くトースト派で、瑞希は食パンを生ではむはむしたい派だ。朝食を作り置きして、既に仕事に出かけた母に頂きます、と合唱して朝食を食べ始める。
朝食を食べ終え、台所へ食器を持っていく。只今の時刻は6時48分。家を出るまで少し時間があるので食器を軽く洗って水につけておくことにした。瑞希はというと俺よりも早く食べ始めたはずなのにいまだに朝食を食べ続けている。まあ、妹は早く家を出る必要がないので別にいいのだが。
「あ、そういえばお兄」
「どうしたんだ?」
「その時計って10分遅れてるんだよね」
ちょっと待て。瑞希の情報をもとに現在の時刻を割り出すと、なんと7時5分。
「おい!マジかよ!?」
「まじまじー」
のんびりと食パンを食べる妹とは対照的に俺はとても慌てている。
「ハンカチ…持ってる…、ティッシュ、財布も…ある、よし!行ってきます!」
靴紐も結ばずに家を飛び出した。
ふと思い出した。食器を水につけるのを忘れていたことを。
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