1 / 10
【1】隈部兄弟の協議
しおりを挟む
永正元年(1504年)春 肥後国 菊池城城下
隈部運治 隈部家当主隈部親朝の長男 親能運派 二十代
隈部武治 運治の弟 反守護派 二十代
1504年(文亀四年)、肥後守護菊池能運は急死した。嫡男が無いため、遺言により又従兄弟にあたる若干14歳の政隆を後継者に指名した。これにより、菊池家の嫡流が滅び、支配の正統性を失った肥後は混迷の時代へ突入する。
・嫡流が絶え
武治
「兄者、こちらです。お手間をかけさせました。」
運治
「父上は息災か。」
武治
「はい、ご健勝ですとも。」
運治
「良かった。昨年の春以来、お顔を拝見していないのでな。冬の祝言でも、仮病で押し通しで。私の行動で相当の迷惑をかけ心配していたのだ。」
武治
「それはそうでしょう。なぜ武運殿・・・もとい能運殿に御味方したか、家中の者はみな兄者の真意を測りかねておりました。」
運治
「だが正月の頃までは私は正しかったではないか。父上がお前の娘を能運公へ嫁がせたのもそれをお認めだったからだろう。今、立場が真逆になってしまったのは、能運公が急に亡くなられたためだ。こんな事、予想できることではないぞ。だから、私が非難をされる筋合いはない。お前はそのことは当然わかってくれているだろうね。」
武治
「はい、そのおかげで私に家督が回ってきたのですから。」
運治
「まあ父上の後見があるのだから上手くやればいいさ。短い間であったが能運公と共に戦った私は、今更父上の下には戻れないし。」
武治
「父上がお怒りになっているのは間違いありませんが、兄上が頭を丸めて寺に入れば許してくださると思いますが。」
運治
「父上による寛恕の是非ではなく、私の心情的に隈部の家に戻ることに躊躇するのだ。それほど能運公は気高く美しかった。」
武治
「ほう、そうでしたか。私もお近くで仕えたこともありますが、よくわかりませんでしたよ。血気にはやる若造のまま死んでしまったという印象しかありません。そのせいで私の娘は子を為す間もなく未亡人になってしまった。」
運治
「だがお前の娘は良く能運公を看病し尽くしてくれた。嫡男が生まれなかった事は残念だったが、能運公は最期までご立派だった。躊躇無く肥前守を養子にし、残された我々に道をつけてくださったのだから。」
武治
「しかし残された山積みの問題を誰がどうするのか。菊池家の嫡流は信じがたくも絶えました。後継指名を受けた肥前守で家中はまとまるでしょうか。先代、先々代と肥前守は戦に負けてばかりの家です。本人もまだ元服したばかり。これでは家臣らの統率に手間取るはず。守護が侮られれば、銭の集まりも低調になり、満足に戦をする事もできなくなるでしょう。」
運治
「お前の言いたい事はそれだな。この微妙な時期に私を呼びつけたのは、人望も金も将来も無い肥前守に加担するな、という父上の御意向を私に伝えるためだろう。そしてそれこそ私が隈部宗家に復帰できる最後の道だということだな。」
武治
「いいえ、そんなことは。兄上をお呼びしたのは、我が娘の行く末をご相談するためです。」
運治
「適当な話をかまして否定しないでもよい。全て判っているのだから。しかし、肥前守の前途は昏いか。お前がそう言うのなら、父上もそうお考えなのだろうが。」
武治
「家臣一同が肥前守を盛り立てる事が出来れば盤石でしょうが、能運殿亡き後の菊池家は全く頼りにならない存在です。仮に他国の軍勢が肥後へ押し寄せてきたとして、今のままでは家中が一つになってそれに当たる事など不可能です。」
運治
「父上にもお前にもその気はないのだね。」
武治
「今日はこのような話をしに来たわけではありません。」
運治
「馬鹿言うな。お前の行動は全て父上の指示によるものだろう。非公式にとは言え廃嫡された私とお前を対面させて、私に実家に戻る気を起こさせるとは、あの父上がそのようなことだけで行動するはずがない。私の始末をお前につけさせようとしているのさ。そして私は隈部家にもう志望は持たないから、失敗した兄としてお前の立場を強化してやりたいとも思う。」
武治
「私の立場の強化ですって。せっかく盛り立てた主君亡き今、今の兄上に一体全体なにができるというのですか。」
運治
「もしお前の力で私を引退させることが出来れば、肥前守側に立つまともな軍事力は信頼できない城重岑の兵と寄合衆の爪弾きの寄せ集めのみになる。すると、どうなるかね。」
武治
「軍事力、とおっしゃいましたか。随分と早計のようですが、例えば肥前守の後の代で、隈部家は大いに重用されることでしょうね。」
運治
「白々しい。もうすでに、肥前守を陥れるための話が進んでいるのだろう。それとも、お前は知らされていないのかな。」
武治
「そんなことはない、と信じたいですが。」
運治
「父上にとって今はお前が一番大事なのだから、心配することはないがね。安心して一族の希求する処に身を委ねるが良い。それはそうと、下らないお喋りをこれ以上続けるつもりは私にはない。父上はお前を派遣する事で私に引退せよ、と迫っている
事は明白だが、お前と偽りに満ちた打合せの末に退く事は名誉にかけてできない。だから、お前の知っている情勢を全て詳らかにせよ。隠さず誤魔化さずだ。我々兄弟その上で、和解に達するべきなのだ。どうだね。私に対する全ての遠慮を退けてみろ。」
武治
「実を申せば、私は兄者ほど兄弟の親和を信じてはいないのです。しかし兄者の御覚悟は身に沁みました。そこまでおっしゃられるのであれば、そのようにいたしましょう。」
運治
「ようやく阿諛をひっこめる気になったか、しかしまあ、お前もだいぶ貫禄が出てきたよ。父上に似てきたと思う。」
・分断された家門は
武治
「本日兄者と面会するに際し、父上からはいくつかご指示を受けています。肥前守から手を引かせる事、隠居を勧める事、そして拒否されても決して殺さない事、等です。」
運治
「うん、では、肥前守から手を引かせる件について聞いてやる。」
武治
「先ほど話した通り、庶流の菊池肥前守政朝殿は、たとえ能運公の後継指名があったとて肥後守護としては不適格です。その理由を繰り返せば、幼い年齢、武勲に恵まれない肥前守家の出自、能運公に首を垂れる事には我慢できてもその家来である肥前守に同じことが出来かねる者多数、という事です。」
運治
「だが、能運様の指名があったのだから覆すわけにもいかないし、家柄より戦振りを重視するわけにもいかない。さらに言えば、他に肥後守護を務められる適当な人がいない。能運様と肥前守は祖父の代で同祖なのだぞ。血統では申し分ないではないか。」
武治
「いいえ、広く見渡せば、血統でも戦振りでも相応しい人物がいます。それこそがもう一つの、特殊な事情にあたるのですが。」
運治
「そんな人物いたかな。誰だ。」
武治
「豊後守護の大友義長殿です。」
運治
「なんだって。」
武治
「豊後守護の大友義長殿と能運公、肥前守は菊池持朝公という共通の先祖を持ちます。」
運治
「それでは、この肥後を他国へ売るというのか。父上はそう言っているのか。」
武治
「売るとは人聞きが悪いですな。大友義長殿は大友家を相続するでしょうから、その弟、またはその子らに菊池家を相続して頂くという事です。そうすれば肥後と豊後は同じ家により統治され、筑後を巡って争う事も無くなります。筑後勢は隈府で好かれてはおりませんし、上手く棲み分けが図れるのではありませんか。」
運治
「こんな大それたことを考えた者の顔が見てみたいな。大友義長殿の祖父に当たるには、確か木野殿だな。あの御仁かね。」
武治
「露骨にはおっしゃられません。ですが、肥前守が相続するという事について、木野殿が愉快であるはずもないのです。彼とて持朝公を先祖に持つのですからな。嫡流が絶えるとはこういう事です。誰もが似たり寄ったり相続権を持っていると言えます。親戚ではあっても宗家の外の人間なのに、指名されただけで家督を継承する、それも寄合衆の同意も無く。許されるはずがありますまい。ですが、木野殿もご自身が名乗りを上げるほど軽薄ではなく、その権利を娘の嫁ぎ先である大友家に思い起こさせたというわけです。」
運治
「父上は何と言ったか。」
武治
「別に何も。ただ、大友家はお家騒動の結果、宗家が強い指導力を発揮しているからこの豊後勢に攻められれば、今の肥後勢は一たまりもないだろう、と。」
運治
「豊後は攻めてくるか。」
武治
「まず間違いなく。豊後勢最大の敵は周防の大内家です。今の大友宗家は大内家の干渉を跳ね除けて成立していますから、その内、戦になるでしょう。その時に背後の肥後が大友領である事は必須でしょう。よって、必ず肥後を押えに掛ってきます。丁度、菊池の嫡流が絶えた今が好機というわけです。そして御隠居親治殿は肥後に所縁が豊かな方です。またあの方は策士だとも。今の肥後に争いの火を放つ事など朝飯前でしょうな。さて、そこで。豊後勢が攻めてきて、兄者は肥前守を支えて戦に出るのでしょうが、勝ち目はありますかな。そうなった場合、私は無論、大友家に付きます。父上はこうも仰せです。兄者が今日ここで肯じずとも殺す必要はなし、近い戦場で首を打てばよい、と。こんなことは言いたくなかったのですが。」
運治
「いや、豊後勢が攻めてくるのであれば、その通りになるだろう。そうか、大友家が来るか。」
武治
「いかにも。」
運治
「菊池家の家臣たちの間をしきりに動きてその諒解を得るのはお前や父上の働きで十分だろう。しかし、阿蘇家はどうする。惟長殿は戦上手なだけでなく、野心も大きいし、なかなか好戦的な武士だ。大友家は菊池家に次いでこの肥後で強力な阿蘇家と事を構えるのかな。」
武治
「阿蘇家に対してどのような処遇を与えるかについて特別に決まっていることはありません。」
運治
「それではこの策略、片手落ちだな。大友家は肥後を押えるつもりが阿蘇家と泥沼の戦いをするハメになるだろう。という事は、大友家は肥後へは進出してこれない、違うかね。」
武治
「さあ、それはどうでしょうか。今の大友家は八年前に内乱が終わり、傍系の親治殿が強力な指導力によって国を纏めています。彼は内乱を勝ち抜き、息子の義長殿と二頭体制で盤石な体制を打ち立てました。この勢いがあるため、多少の困難など、打ち破るに違いありません。それこそ、比べれば未熟な阿蘇惟長程度、簡単にあしらう事ができるでしょう。」
運治
「大友親治殿は傍系の出身か。なるほど、菊池家も南北朝時代に傍系の武光公が強力に一門を率いてくれたものだ。」
武治
「あの時も御家は危機に瀕していましたが、そういったとき、傍系の人物だけが傾いた家を救いだせるのかもしれませんね。私は能運公の登場は家門の危機で有害でしかなかったと考えています。なぜなら、能運公に挑んだ傍系の宇土為光殿が敗れ去った後、勝利者たる彼もまたこの世を去ったからです。菊池家の命運は尽きました。それもあっという間に。他家の力を借りなければ、もはや立つ事かないません。」
運治
「お前の言う通りなら、未だ残る傍流の肥前守は武光公のようになれるかもしれない。家門を強力に指揮する好機でもある。」
武治
「先刻もそれは無理だろうと申し上げました。」
運治
「だが、強い惣領権を打ち立てた能運様だって重朝公より負け癖が付いた菊池家を相続したのだ。能運様が生きてさえいれば、今頃私もお前もその旗の下に立っていただろうよ。まだ幼い肥前守だって早死にさえされなければ、行けるのではないか。」
武治
「大友義長殿がそれを許さないでしょう。兄者に申し上げたいのは特にこの件です。大友家はすでに肥前守排除で動き始めています。他国の兵が容赦なく肥後になだれ込んでくるのはもはや時間の問題です。兄者が引き続き肥前守に付き従うのも良いでしょう。時間の猶予を作って彼の人物の素質を見定めるのも良いでしょう。しかし、豊後勢が進出して来た時に、兄者がまだ肥前守の側に立っているその場合、我々も兄者を切り捨てねばならなくなります。そうでもしなければこの乱世、生き延びる事はできません。ですから兄者、御決意ください。肥前守から離れ、隈部家へお戻りください。」
・余儀なくされた自立により
運治
「今日、私は未亡人となったお前の娘を肥前守へ嫁がせる説得をするつもりでいた。だが、もはやそんな事態は過ぎているようだな。」
武治
「能運公は確かに強力な守護でしたが、衰弱した家門を立て直すためにだいぶ無理をなさいました。その結果が今という事です。兄者とて、戦に敗れて島原へ亡命した能運公への御同情から、今の政治的立場があるはず。ここいらでどうぞケリをつけて下さい。」
運治
「私が能運様の正統な後継者たる肥前守から離れたとしよう。どうなると思うかね。」
武治
「どうなる、とは。」
運治
「私は戦乱の中で能運様の右腕を務める事となった。ご信頼を頂き私もそれに応えるべく我が名すら変えた。私の決意の表れでもあったが、重々しかったそれが軽やかになると同時に運命も感じたものだ。ここで道を違えれば、あの決意はなんだったのか、という事になる。裏切りに肥前守は心を痛め、さらに容赦のないお屋形様になるだろう。その間、肥後にばら撒かれる不和の害毒は、我々の名声を失墜させるだろう。それに耐えられるか。」
武治
「今は乱世です。耐えねばなりません。二百年近く続いた菊池家の天下を終わらせるのですから、それが容易ならざるものになるのは当然ではありませんか。肥後は新たなる時代を迎えるのです。肥前守は後悔したくないのならば、物の道理をご自身の頭で考えねば、良い終末を迎える事はできないでしょう。しかしあの子にそれを求めるのも難しい。それを求められるようになるまで待つつもりも、我々には無い。」
運治
「もう一度よく考えてみよ。肥後を売るのだぞ。」
武治
「段階的にです。」
運治
「その策略の通りに大友家が肥後守護の地位に収まったとして、名誉を失った我らに良い影響があるとは思えない。」
武治
「いえ、必ず影響があります。善し悪しは置くとして、強力な国主による治安維持の強化、新しい訴訟の形、豊後勢の戦争支援、豊後人の領主が到来するでしょう。」
運治
「ちっとも良い事ではないな。」
武治
「代わりに我々の財産は保障され、筑後勢の排除が叶い、あわよくば既存領主の領地の拡大を得る事ができるはずです。」
運治
「代償に見合っているとはとても思えない。筑後勢の後、豊後勢が埋まるだけではないか。」
武治
「これは予測ではなく確信ですが、豊後勢が周防勢と雌雄を決するために戦をしている間、豊後の国主は山深く近くて遠いこの隣国へ来ることはないでしょう。そんな余裕を与えてくれるほど、大内家はたやすい相手ではありません。事実上の遥任で、代理人を置くことになるでしょうが、この者も我ら肥後衆の支援なければ、この国で重要な事は何一つ決定する事はできない。守護という規制がなくなり、解き放たれ、より活発な開墾や交易、裁判の運営が行えるようになるはずです。」
運治
「なるほど、領主たちの力が大きくなるのでは、みな大喜びだな。だがそうなると、その内、肥後衆同士で争い合う事にもなるだろう。そうなっては不都合ではないかね。それに、豊後人が肥後の統治に本格的に乗り出して来たら、例えば守護代を送り込んできてそうしたらどうするかね。それこそ従わざるを得まいが。」
武治
「菊池家の守護ですら追おうとした我らが生き残っているのです。我々の意に沿わぬ人物なら追い払われてお終いでしょう。」
運治
「頼もしい限りだな。」
武治
「ああ、父上の御言葉を思い出しました。曰く、能運公の政は稚拙としか言いようがない。隈部家は尊重されなかったし、尊重される気配もないから立ち上がった。能運公による父元成の殺害は愚かな誤りだった。怒りは生きる根源であるからしてこれは当然の戦である、との事。だから、君臣の道理に従って行動した兄者と分かり合えるはずもないのですが、まあそれは置くとして肥前守の政治はその継承でしかありませんから未来はないでしょう。能運公の死と共に、菊池家は終わったのです。」
運治
「宇土勢との戦いでの深手が命を奪う事になったのだから、父上は結果的に能運様を討った、菊池家嫡流を滅ぼした、とも言えるな。執念というやつか。」
武治
「結果的には、という事でしょうが。それでいかがですか。結論をまだ伺っておりません。」
運治
「悔しいが観念することにしよう。だが、肥前守の命だけはなんとしても救いたいものだ。」
武治
「肥前守が物分かりの良い方であればきっと、その通りに進む事でしょう。」
・現実を知り膝を折る
肥後に置いて、永正年間は菊池政朝は家臣一同より惣領不適格の烙印を押され、新たに擁立された豊後大友家が推薦する阿蘇惟長を相手にした家督争いに始まる内乱に明け暮れる事となる。これは守護を家臣らが否定するという正真正銘の下剋上による内乱だが、この争いが豊後の大友家のよって誘導されていたことが、肥後の真の悲劇であった。以後、肥後守護の権威と権限に拠った統治の試みが幾度か為されるが、全て大友家の画策の前に潰えていく事になる。それは他国による支配の始まりであった。
隈部運治は一族の指示に従い、出家遁世を遂げた。そして部武治は菊池政朝失脚に多大なる貢献を為し、以後、隈部家は武治の家系が嫡流となった。
こうして古色蒼然たる肥後が現れる。
隈部運治 隈部家当主隈部親朝の長男 親能運派 二十代
隈部武治 運治の弟 反守護派 二十代
1504年(文亀四年)、肥後守護菊池能運は急死した。嫡男が無いため、遺言により又従兄弟にあたる若干14歳の政隆を後継者に指名した。これにより、菊池家の嫡流が滅び、支配の正統性を失った肥後は混迷の時代へ突入する。
・嫡流が絶え
武治
「兄者、こちらです。お手間をかけさせました。」
運治
「父上は息災か。」
武治
「はい、ご健勝ですとも。」
運治
「良かった。昨年の春以来、お顔を拝見していないのでな。冬の祝言でも、仮病で押し通しで。私の行動で相当の迷惑をかけ心配していたのだ。」
武治
「それはそうでしょう。なぜ武運殿・・・もとい能運殿に御味方したか、家中の者はみな兄者の真意を測りかねておりました。」
運治
「だが正月の頃までは私は正しかったではないか。父上がお前の娘を能運公へ嫁がせたのもそれをお認めだったからだろう。今、立場が真逆になってしまったのは、能運公が急に亡くなられたためだ。こんな事、予想できることではないぞ。だから、私が非難をされる筋合いはない。お前はそのことは当然わかってくれているだろうね。」
武治
「はい、そのおかげで私に家督が回ってきたのですから。」
運治
「まあ父上の後見があるのだから上手くやればいいさ。短い間であったが能運公と共に戦った私は、今更父上の下には戻れないし。」
武治
「父上がお怒りになっているのは間違いありませんが、兄上が頭を丸めて寺に入れば許してくださると思いますが。」
運治
「父上による寛恕の是非ではなく、私の心情的に隈部の家に戻ることに躊躇するのだ。それほど能運公は気高く美しかった。」
武治
「ほう、そうでしたか。私もお近くで仕えたこともありますが、よくわかりませんでしたよ。血気にはやる若造のまま死んでしまったという印象しかありません。そのせいで私の娘は子を為す間もなく未亡人になってしまった。」
運治
「だがお前の娘は良く能運公を看病し尽くしてくれた。嫡男が生まれなかった事は残念だったが、能運公は最期までご立派だった。躊躇無く肥前守を養子にし、残された我々に道をつけてくださったのだから。」
武治
「しかし残された山積みの問題を誰がどうするのか。菊池家の嫡流は信じがたくも絶えました。後継指名を受けた肥前守で家中はまとまるでしょうか。先代、先々代と肥前守は戦に負けてばかりの家です。本人もまだ元服したばかり。これでは家臣らの統率に手間取るはず。守護が侮られれば、銭の集まりも低調になり、満足に戦をする事もできなくなるでしょう。」
運治
「お前の言いたい事はそれだな。この微妙な時期に私を呼びつけたのは、人望も金も将来も無い肥前守に加担するな、という父上の御意向を私に伝えるためだろう。そしてそれこそ私が隈部宗家に復帰できる最後の道だということだな。」
武治
「いいえ、そんなことは。兄上をお呼びしたのは、我が娘の行く末をご相談するためです。」
運治
「適当な話をかまして否定しないでもよい。全て判っているのだから。しかし、肥前守の前途は昏いか。お前がそう言うのなら、父上もそうお考えなのだろうが。」
武治
「家臣一同が肥前守を盛り立てる事が出来れば盤石でしょうが、能運殿亡き後の菊池家は全く頼りにならない存在です。仮に他国の軍勢が肥後へ押し寄せてきたとして、今のままでは家中が一つになってそれに当たる事など不可能です。」
運治
「父上にもお前にもその気はないのだね。」
武治
「今日はこのような話をしに来たわけではありません。」
運治
「馬鹿言うな。お前の行動は全て父上の指示によるものだろう。非公式にとは言え廃嫡された私とお前を対面させて、私に実家に戻る気を起こさせるとは、あの父上がそのようなことだけで行動するはずがない。私の始末をお前につけさせようとしているのさ。そして私は隈部家にもう志望は持たないから、失敗した兄としてお前の立場を強化してやりたいとも思う。」
武治
「私の立場の強化ですって。せっかく盛り立てた主君亡き今、今の兄上に一体全体なにができるというのですか。」
運治
「もしお前の力で私を引退させることが出来れば、肥前守側に立つまともな軍事力は信頼できない城重岑の兵と寄合衆の爪弾きの寄せ集めのみになる。すると、どうなるかね。」
武治
「軍事力、とおっしゃいましたか。随分と早計のようですが、例えば肥前守の後の代で、隈部家は大いに重用されることでしょうね。」
運治
「白々しい。もうすでに、肥前守を陥れるための話が進んでいるのだろう。それとも、お前は知らされていないのかな。」
武治
「そんなことはない、と信じたいですが。」
運治
「父上にとって今はお前が一番大事なのだから、心配することはないがね。安心して一族の希求する処に身を委ねるが良い。それはそうと、下らないお喋りをこれ以上続けるつもりは私にはない。父上はお前を派遣する事で私に引退せよ、と迫っている
事は明白だが、お前と偽りに満ちた打合せの末に退く事は名誉にかけてできない。だから、お前の知っている情勢を全て詳らかにせよ。隠さず誤魔化さずだ。我々兄弟その上で、和解に達するべきなのだ。どうだね。私に対する全ての遠慮を退けてみろ。」
武治
「実を申せば、私は兄者ほど兄弟の親和を信じてはいないのです。しかし兄者の御覚悟は身に沁みました。そこまでおっしゃられるのであれば、そのようにいたしましょう。」
運治
「ようやく阿諛をひっこめる気になったか、しかしまあ、お前もだいぶ貫禄が出てきたよ。父上に似てきたと思う。」
・分断された家門は
武治
「本日兄者と面会するに際し、父上からはいくつかご指示を受けています。肥前守から手を引かせる事、隠居を勧める事、そして拒否されても決して殺さない事、等です。」
運治
「うん、では、肥前守から手を引かせる件について聞いてやる。」
武治
「先ほど話した通り、庶流の菊池肥前守政朝殿は、たとえ能運公の後継指名があったとて肥後守護としては不適格です。その理由を繰り返せば、幼い年齢、武勲に恵まれない肥前守家の出自、能運公に首を垂れる事には我慢できてもその家来である肥前守に同じことが出来かねる者多数、という事です。」
運治
「だが、能運様の指名があったのだから覆すわけにもいかないし、家柄より戦振りを重視するわけにもいかない。さらに言えば、他に肥後守護を務められる適当な人がいない。能運様と肥前守は祖父の代で同祖なのだぞ。血統では申し分ないではないか。」
武治
「いいえ、広く見渡せば、血統でも戦振りでも相応しい人物がいます。それこそがもう一つの、特殊な事情にあたるのですが。」
運治
「そんな人物いたかな。誰だ。」
武治
「豊後守護の大友義長殿です。」
運治
「なんだって。」
武治
「豊後守護の大友義長殿と能運公、肥前守は菊池持朝公という共通の先祖を持ちます。」
運治
「それでは、この肥後を他国へ売るというのか。父上はそう言っているのか。」
武治
「売るとは人聞きが悪いですな。大友義長殿は大友家を相続するでしょうから、その弟、またはその子らに菊池家を相続して頂くという事です。そうすれば肥後と豊後は同じ家により統治され、筑後を巡って争う事も無くなります。筑後勢は隈府で好かれてはおりませんし、上手く棲み分けが図れるのではありませんか。」
運治
「こんな大それたことを考えた者の顔が見てみたいな。大友義長殿の祖父に当たるには、確か木野殿だな。あの御仁かね。」
武治
「露骨にはおっしゃられません。ですが、肥前守が相続するという事について、木野殿が愉快であるはずもないのです。彼とて持朝公を先祖に持つのですからな。嫡流が絶えるとはこういう事です。誰もが似たり寄ったり相続権を持っていると言えます。親戚ではあっても宗家の外の人間なのに、指名されただけで家督を継承する、それも寄合衆の同意も無く。許されるはずがありますまい。ですが、木野殿もご自身が名乗りを上げるほど軽薄ではなく、その権利を娘の嫁ぎ先である大友家に思い起こさせたというわけです。」
運治
「父上は何と言ったか。」
武治
「別に何も。ただ、大友家はお家騒動の結果、宗家が強い指導力を発揮しているからこの豊後勢に攻められれば、今の肥後勢は一たまりもないだろう、と。」
運治
「豊後は攻めてくるか。」
武治
「まず間違いなく。豊後勢最大の敵は周防の大内家です。今の大友宗家は大内家の干渉を跳ね除けて成立していますから、その内、戦になるでしょう。その時に背後の肥後が大友領である事は必須でしょう。よって、必ず肥後を押えに掛ってきます。丁度、菊池の嫡流が絶えた今が好機というわけです。そして御隠居親治殿は肥後に所縁が豊かな方です。またあの方は策士だとも。今の肥後に争いの火を放つ事など朝飯前でしょうな。さて、そこで。豊後勢が攻めてきて、兄者は肥前守を支えて戦に出るのでしょうが、勝ち目はありますかな。そうなった場合、私は無論、大友家に付きます。父上はこうも仰せです。兄者が今日ここで肯じずとも殺す必要はなし、近い戦場で首を打てばよい、と。こんなことは言いたくなかったのですが。」
運治
「いや、豊後勢が攻めてくるのであれば、その通りになるだろう。そうか、大友家が来るか。」
武治
「いかにも。」
運治
「菊池家の家臣たちの間をしきりに動きてその諒解を得るのはお前や父上の働きで十分だろう。しかし、阿蘇家はどうする。惟長殿は戦上手なだけでなく、野心も大きいし、なかなか好戦的な武士だ。大友家は菊池家に次いでこの肥後で強力な阿蘇家と事を構えるのかな。」
武治
「阿蘇家に対してどのような処遇を与えるかについて特別に決まっていることはありません。」
運治
「それではこの策略、片手落ちだな。大友家は肥後を押えるつもりが阿蘇家と泥沼の戦いをするハメになるだろう。という事は、大友家は肥後へは進出してこれない、違うかね。」
武治
「さあ、それはどうでしょうか。今の大友家は八年前に内乱が終わり、傍系の親治殿が強力な指導力によって国を纏めています。彼は内乱を勝ち抜き、息子の義長殿と二頭体制で盤石な体制を打ち立てました。この勢いがあるため、多少の困難など、打ち破るに違いありません。それこそ、比べれば未熟な阿蘇惟長程度、簡単にあしらう事ができるでしょう。」
運治
「大友親治殿は傍系の出身か。なるほど、菊池家も南北朝時代に傍系の武光公が強力に一門を率いてくれたものだ。」
武治
「あの時も御家は危機に瀕していましたが、そういったとき、傍系の人物だけが傾いた家を救いだせるのかもしれませんね。私は能運公の登場は家門の危機で有害でしかなかったと考えています。なぜなら、能運公に挑んだ傍系の宇土為光殿が敗れ去った後、勝利者たる彼もまたこの世を去ったからです。菊池家の命運は尽きました。それもあっという間に。他家の力を借りなければ、もはや立つ事かないません。」
運治
「お前の言う通りなら、未だ残る傍流の肥前守は武光公のようになれるかもしれない。家門を強力に指揮する好機でもある。」
武治
「先刻もそれは無理だろうと申し上げました。」
運治
「だが、強い惣領権を打ち立てた能運様だって重朝公より負け癖が付いた菊池家を相続したのだ。能運様が生きてさえいれば、今頃私もお前もその旗の下に立っていただろうよ。まだ幼い肥前守だって早死にさえされなければ、行けるのではないか。」
武治
「大友義長殿がそれを許さないでしょう。兄者に申し上げたいのは特にこの件です。大友家はすでに肥前守排除で動き始めています。他国の兵が容赦なく肥後になだれ込んでくるのはもはや時間の問題です。兄者が引き続き肥前守に付き従うのも良いでしょう。時間の猶予を作って彼の人物の素質を見定めるのも良いでしょう。しかし、豊後勢が進出して来た時に、兄者がまだ肥前守の側に立っているその場合、我々も兄者を切り捨てねばならなくなります。そうでもしなければこの乱世、生き延びる事はできません。ですから兄者、御決意ください。肥前守から離れ、隈部家へお戻りください。」
・余儀なくされた自立により
運治
「今日、私は未亡人となったお前の娘を肥前守へ嫁がせる説得をするつもりでいた。だが、もはやそんな事態は過ぎているようだな。」
武治
「能運公は確かに強力な守護でしたが、衰弱した家門を立て直すためにだいぶ無理をなさいました。その結果が今という事です。兄者とて、戦に敗れて島原へ亡命した能運公への御同情から、今の政治的立場があるはず。ここいらでどうぞケリをつけて下さい。」
運治
「私が能運様の正統な後継者たる肥前守から離れたとしよう。どうなると思うかね。」
武治
「どうなる、とは。」
運治
「私は戦乱の中で能運様の右腕を務める事となった。ご信頼を頂き私もそれに応えるべく我が名すら変えた。私の決意の表れでもあったが、重々しかったそれが軽やかになると同時に運命も感じたものだ。ここで道を違えれば、あの決意はなんだったのか、という事になる。裏切りに肥前守は心を痛め、さらに容赦のないお屋形様になるだろう。その間、肥後にばら撒かれる不和の害毒は、我々の名声を失墜させるだろう。それに耐えられるか。」
武治
「今は乱世です。耐えねばなりません。二百年近く続いた菊池家の天下を終わらせるのですから、それが容易ならざるものになるのは当然ではありませんか。肥後は新たなる時代を迎えるのです。肥前守は後悔したくないのならば、物の道理をご自身の頭で考えねば、良い終末を迎える事はできないでしょう。しかしあの子にそれを求めるのも難しい。それを求められるようになるまで待つつもりも、我々には無い。」
運治
「もう一度よく考えてみよ。肥後を売るのだぞ。」
武治
「段階的にです。」
運治
「その策略の通りに大友家が肥後守護の地位に収まったとして、名誉を失った我らに良い影響があるとは思えない。」
武治
「いえ、必ず影響があります。善し悪しは置くとして、強力な国主による治安維持の強化、新しい訴訟の形、豊後勢の戦争支援、豊後人の領主が到来するでしょう。」
運治
「ちっとも良い事ではないな。」
武治
「代わりに我々の財産は保障され、筑後勢の排除が叶い、あわよくば既存領主の領地の拡大を得る事ができるはずです。」
運治
「代償に見合っているとはとても思えない。筑後勢の後、豊後勢が埋まるだけではないか。」
武治
「これは予測ではなく確信ですが、豊後勢が周防勢と雌雄を決するために戦をしている間、豊後の国主は山深く近くて遠いこの隣国へ来ることはないでしょう。そんな余裕を与えてくれるほど、大内家はたやすい相手ではありません。事実上の遥任で、代理人を置くことになるでしょうが、この者も我ら肥後衆の支援なければ、この国で重要な事は何一つ決定する事はできない。守護という規制がなくなり、解き放たれ、より活発な開墾や交易、裁判の運営が行えるようになるはずです。」
運治
「なるほど、領主たちの力が大きくなるのでは、みな大喜びだな。だがそうなると、その内、肥後衆同士で争い合う事にもなるだろう。そうなっては不都合ではないかね。それに、豊後人が肥後の統治に本格的に乗り出して来たら、例えば守護代を送り込んできてそうしたらどうするかね。それこそ従わざるを得まいが。」
武治
「菊池家の守護ですら追おうとした我らが生き残っているのです。我々の意に沿わぬ人物なら追い払われてお終いでしょう。」
運治
「頼もしい限りだな。」
武治
「ああ、父上の御言葉を思い出しました。曰く、能運公の政は稚拙としか言いようがない。隈部家は尊重されなかったし、尊重される気配もないから立ち上がった。能運公による父元成の殺害は愚かな誤りだった。怒りは生きる根源であるからしてこれは当然の戦である、との事。だから、君臣の道理に従って行動した兄者と分かり合えるはずもないのですが、まあそれは置くとして肥前守の政治はその継承でしかありませんから未来はないでしょう。能運公の死と共に、菊池家は終わったのです。」
運治
「宇土勢との戦いでの深手が命を奪う事になったのだから、父上は結果的に能運様を討った、菊池家嫡流を滅ぼした、とも言えるな。執念というやつか。」
武治
「結果的には、という事でしょうが。それでいかがですか。結論をまだ伺っておりません。」
運治
「悔しいが観念することにしよう。だが、肥前守の命だけはなんとしても救いたいものだ。」
武治
「肥前守が物分かりの良い方であればきっと、その通りに進む事でしょう。」
・現実を知り膝を折る
肥後に置いて、永正年間は菊池政朝は家臣一同より惣領不適格の烙印を押され、新たに擁立された豊後大友家が推薦する阿蘇惟長を相手にした家督争いに始まる内乱に明け暮れる事となる。これは守護を家臣らが否定するという正真正銘の下剋上による内乱だが、この争いが豊後の大友家のよって誘導されていたことが、肥後の真の悲劇であった。以後、肥後守護の権威と権限に拠った統治の試みが幾度か為されるが、全て大友家の画策の前に潰えていく事になる。それは他国による支配の始まりであった。
隈部運治は一族の指示に従い、出家遁世を遂げた。そして部武治は菊池政朝失脚に多大なる貢献を為し、以後、隈部家は武治の家系が嫡流となった。
こうして古色蒼然たる肥後が現れる。
0
あなたにおすすめの小説
滝川家の人びと
卯花月影
歴史・時代
勝利のために走るのではない。
生きるために走る者は、
傷を負いながらも、歩みを止めない。
戦国という時代の只中で、
彼らは何を失い、
走り続けたのか。
滝川一益と、その郎党。
これは、勝者の物語ではない。
生き延びた者たちの記録である。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
花嫁
一ノ瀬亮太郎
歴史・時代
征之進は小さい頃から市松人形が欲しかった。しかし大身旗本の嫡男が女の子のように人形遊びをするなど許されるはずもない。他人からも自分からもそんな気持を隠すように征之進は武芸に励み、今では道場の師範代を務めるまでになっていた。そんな征之進に結婚話が持ち込まれる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる