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着々と。
しおりを挟む洗礼の儀を前にお父様に手紙を書く。
ミーヤは以前、私がミーヤに言ったことを手紙でお父様に知らせたらしい。
『勝手をして申し訳ありません』なんて謝られたけれど、別にどうってことはない。
お父様から何かしらのアクションがあれば、あの時の考えに何かしらの変化があったかもしれない。
けれど無いのだから……悲しいことに本当に何も無かったのだから別にどうってことはないのだ。
懸念があるとすれば、ミーヤの手紙を読んで、お父様が私の養育を拒んだ場合はどうするか……だ。
ミーヤに聞くと、孤児という存在はわりに多いらしく、屋敷近くの小さな町にも数人はいるそうだ。
屋敷近くの町は幸いにも数人程度で済んでいる為、教会が孤児院代わりとなり、寄附金や町のお手伝いなどで得られる金銭で生活しているらしい。そしてそのような施設は王都や隣国にも点在する。
もちろん、その施設にさえ入れない子供もいるわけだけど……。
(世間知らずだけれど、『大人の記憶』があるから、その辺はなんとかできるだろうとは思うんだよね……)
洗礼の儀を受け能力が分かったとしてもすぐさま発現するわけではないし、何もかもとんとん拍子に進むとは思っていない。何しろ筋金入りの不幸体質だ。前世では “家族との縁” 以外ではあまり意識したことはないのだけれど、前世で早世したことを考えると、あまり楽観視できるものではないだろうと思う。
能力に関してはそれにあった鍛錬・修練方法があるらしいし、最低限のことは国民皆等しく受けられるらしいけれど、その後はどうしようか実はあまり考えていなかった。けど……。
「ミーヤ。私のつたない字ではお手紙も読みにくいと思うの。最後のサインは私が入れるから代筆をお願いしてもいいかしら?」
とりあえず、お手紙を書いておこうと思った。
何を考えているのか分からないけれど一応親だ。
要らない存在が自ら出て行くのだ。
そのせいで逆恨みされても困る。
だから手紙を書く。最低限の義務として。
そして自分の気持ちは……。
親などと都合のいい存在は私には最初からいなかった。
たまたまお屋敷でこの年まで面倒を見てもらえた。
自分はそんな運のいい子ども。
そんな風に考えると、自分の不幸体質もたいして気にならなくなるからあら不思議。
世の中には産まれてすぐ捨てられる子供もいるし、この世界には少なからず奴隷制度が残る国もある。
捨てられてもどうにか頑張って生きても、運が悪ければ攫われて奴隷になってしまうかもしれない。
食うに困って犯罪を犯し捕まれば、国の土木関連の施設での強制労働もあるという。
それに比べたらなんてことはない。
最悪、森に籠り精霊のチカラを借りて生活をしていくという手立てもある。
先日、シルフィ(仮)と屋敷の奥まった場所にある『精霊の遊び場』にいた別の精霊に教えてもらった。
私は精霊に好かれる体質なのかもしれないと。
もし何か困ったことがあったなら精霊に相談してみたらいいと……。
「じゃぁこれ。すぐにお父様に出しておいてくれる?」
サインを入れ封蝋をした手紙をミーヤに渡す。
さて、次は荷造りか……。
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