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しおりを挟む淡い水色の…ワンピースを少しボリュームアップしたようなドレス。
さらさらとした銀髪は緩く編み込んでアップにしてみた。
この世界の流行がどうなっているのかは分からないけれど、失礼にならないギリギリのところまでシンプルを心掛けたスタイル。
レオナルド殿下との昼餐なのだから…とも言われたけれど、自分の好みってあるからね。
殿下の好みのドレスについては追々、パーティーの度に贈られるだろうから、それを着こなせるだけの所作を身に付ければいいとも言われているしね。
それと、殿下との昼餐は思ったより緊張せずに終了。
もっとも、緊張とは別のドキドキはその後のやって来たのだけどね…。
「少し話をしたいのだが…」
お散歩のお誘いでした。
●○●○
「ミーリア…と呼んでもいいだろうか?」
我が家にも小さいながらバラ園があるのだけれど…現在私、そこで迫られています。
殿下…私まだ子供ですよ?
そう言いたいけど言えない雰囲気。
それに…これ誰?
殿下がウィンステッド領に来た以降、こんなに近くにいるのは今日が初めてなんだけど…。
ミーリアの記憶にある殿下とは、はっきり言って、同じ顔した他人。もしくは双子って言う感じ。
そう思ったところで、夢の事を思い出す…。
やっぱり、あれはただの夢じゃない?
メアリも文献だったり魔法書だったりを調べてはいるけど、あの夢のことは未だ解明出来ず…判った事と言えば…第二バカ王子の突然の継承権放棄という、マリーの報告だった。
マリー調べでは、レオナルド殿下襲撃後気を失ったバカ王子は、急ぎ城に運び込まれ、医師の診察を受けたが、3日ほど眠り続けたそうだ。
そして…目が覚めた時には全くの別人…というか、自分の事を何も覚えてはいなかったらしい。おそらく、レオナルド殿下の強く多量の魔力を受けた影響かと思われるが、半月ほどたった今も、思い出すような様子も見られないという。
ちなみに…王位継承権の放棄は本人の希望だそうだ。
このまま何も思い出せない状態でいれば、利用されるのではないか…と。
報告を聞いただけだけど、記憶と共に自分中心のおバカも何処かに置いてきたようだ。
ちょっと可哀想になり、これからは「バカ王子」と呼ぶのは止めてやろう…なんて思ったりもしている。まぁ、何にしろ全てが他人からの伝聞だ。嘘も本当も半々で聞いておくのが一番良い。
それよりも…この報告を聞いているであろう、自称レオナルド殿下。
今回の件と関係があるのだろうか。
きっと全てはあの襲撃によっての結果なのかもしれないけど……入れ替わり?
いくら魔法が使える世界だって言ったって、そんなことはホイホイ起こっていいものではない。それに、もし入れ替わったのが本当だとしたら…目の前のレオナルド殿下の中身はバカ王子?自分で行き着いた結果に、思わず叫びたくなったのは許して欲しい。
成りは殿下だけど、中身はバカ王子?
いやいや、そんなの無しですよ!無し!
「バカ王子」呼びは無しにしても、婚約は無しでしょ!
魔力過多症も治ったし、婚約しなくても良くない?
そこまで考えたらいても立ってもいられなくて、殿下には気分が悪くなったって言って、部屋に戻って来てしまった。
ヤバい…まずい…冷や汗が止まらない。
自分が出した答えに怖くなった。
「メアリ!メアリ!作戦会議よぉー!」
いくら流され人生でも、バカ王子とは無理だから!
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