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しおりを挟むほわほわ暖かいなぁ……。
私、あのまま死んじゃったのかなぁ。
短い間に二回もお亡くなりって、だいぶ運が悪かったんだなと思う。
次はどうなるんだろう…。
……もう一人は嫌だなぁ………。
なんて贅沢な願いかな。
それにしても…はぁ…すっごくいい匂いがする。おなかすいたなぁ……
⚫〇⚫〇
「……さん……こさん起きて…起きて。ネコさん起きて!」
唐突にゆさゆさと揺さぶられた気がして、ビックリ飛び起きて見れば、そこはどう見ても死後の世界ではなく、現世日本の普通の家だった。
「ネコさんハイ」
4、5歳くらいの男の子がずいっとサクラの前にミルクを押し出すと、男の子の背後から男性の声がする。
『ちゃんと猫用だから大丈夫だぞ。物足んないかもしれんけど、猫に合ったもの食べないと大変だぞ』
どこにいるのか、サクラからは見えない位置にいるだろう男性の声は、なんとなくだけれど、サクラの事情を見通しているような感じだった。
「ネコさん、食べないとお姉ちゃんも死んじゃうよ?」
男の子が言った内容にビックリして、思わず自分のネコの身体を見る。
お姉ちゃんも死んじゃうって……?
どういうことか判らず、考え込みそうになった時、またあの声が聞こえてきた。
『魂の繋がりが消えかけているぞ。とりあえず飲め。話はそれからだ』
そう言われて、男の子に勧められたミルクを飲む。ほんのり温かいミルクが身体に染み込んで、ジワジワと身体全体を満たしていく感覚に、思わず涙が出た。
-生きてて良かった……-
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