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しおりを挟む焦ってはいけない。
そう思うのに、アクセルを踏む足に力が入ってしまう。
友部の親父さんの準備ができた後、この近くではタクシーは捕まらないとのことで、友部の親父さんの車を借りた。
病院の場所が分からない友部の親父さんにカギを借り、自分で運転しているのだけれど、正直、運転はお願いすれば良かったと後悔している。
「友部…サクラは……」
力なくくったりとバッグの中で横たわるサクラが心配でしょうがない。
及川さんが助かるのは勿論のこと、三毛猫のサクラにも助かって欲しいと思う俺は欲張りなんだろうか?
「友部…病院に着いたらどうしたらいいんだ?」
もし、可能ならば手が空いた時にサクラの事も病院に連れて行ってもらいたい…そう頼もうかと思っていたら、友部から、K大病院の近くの動物病院を検索していてくれたようで、及川さんの方が終わり次第連れて行ってくれるとの事だった。
「栗原君…私は、そのお嬢さんの事は何も知らないのだけれど、親御さんはすぐに来られるのかい?」
普通なら当たり前のことが答えられず、思わず口籠る。
「彼女は両親ともにいないそうです。孤児院で育ったときいています。なので…」
解る範囲の…と言っても、一般的に分かるような情報しかもっていないので、それを話す。
それを聞いて察してくれたのか、その後はなんの質問もなく…思ったより早く病院に着いた。
「友部の親父さん…俺は何をしたら良いんでしょうか?」
神事に疎い俺は、まず病院に着いてからの事を聞くが…友部から、ここから先はプロに任せてくれ…ただ…
「申し訳ないがこれだけは先に言わせてもらうぞ。正直、あまり期待しないで欲しい。ただでさえ、今現在でも本来の自分の身体から離れた魂だ。本人が戻りたいという意思をしっかり持った上で、やっと確率が半々位になるか…位だ。こんな経験、そんなに踏めるわけでもないから……」
友部と親父さんは正直に話してくれた。
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