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41、恋ってどうやって叶えるの?
しおりを挟むソラルファが先頭に立ち森に向かう。
いまだ『アイツは本当に魔狼か?』と半信半疑のマルスさんも一緒に。
「なんでそんなに疑うんですか?見た目もそうだし、ギルドでも言われたじゃないですか?」
出会った頃より長くなった赤い髪を後ろに束ね、いつも着けている鎧をだいぶ身軽な皮鎧に換え、私と一緒の依頼を遂行中。依頼内容は、薬草採取&森の入口付近の魔物数の調査だ。
「まぁ…うん……それはな……」
なんとなく納得はしていなさそうだけど、秘密を知るものは少ない方がいい……ってなんかの本に書いてあったし、私もそう思うしね。
秘密を無理に背負う必要はないのだ。
そんなことを考えながらいつもの通り、眼に魔力を込め、薬草採取を始める。
迷いない私の手つきに、気のせいかマルスさんが驚いているように見えるけど、これでも日々の努力は怠らない!時々ぐーたらするけどね。
いつものように、依頼の薬草を採取し、魔力を発する気になる植物も採取する。
そうそう、先週はリンゴに似た木の実を見つけた。薬草のような効果はないけれど、食べると風邪の予防程度はできるらしい。
保存食にも向いてるので、手が届く場所に生っていた物は粗方採取させて頂いた。
「そう言えば、この間のあの赤い実、煮たら美味かったな」
この世界では食料と認識されていなかったリンゴもどきに名前はなく、また品種改良されているわけでもないので、生では固いし酸っぱかった。なので、今はお菓子の材料かジャムにして朝食とおやつに出している。
マルスさんが美味しいって言ってくれるのは嬉しい。ホント。試行錯誤して頑張ったかいはあったようだ。
(でも……これも無駄な足掻き……なのかなぁ)
昨日はこれからしばらく留守にするマリーさんの激励会的なものをしたのだけど……。
(やっぱり……男の人ってああいうのが良いのかな……)
台所に立ち料理をしていると、リビングで楽しそうに話をする二人が見えた。
それに、気のせいでも何でもなく……気を許しているであろうマルスの笑い声も聞こえた。
(まだ少ししか一緒にいないけど、あんな風に笑うマルスさん見たことないかも……)
食事中の二人の楽しそうな様子に、なんだかいたたまれなくなってしまい、食事が終わり次第早々に、リビングで酒盛りをする二人をおいて、部屋で一人ソラのブラッシングをしていた。
ブツブツと自虐を呟きながら。
そんなジュリを見て、ソラはのほほんと『マルスと番になりたいの?』なんて、いきなりぶっ込んできたりして驚いたけれど、苦笑いをしながら首を横に振った。
「マルスさんのことは好きだなぁ…と思うしマリーさんのことは羨ましいなぁと思うけど、ほら……私、マルスさんに言えないこといっぱいあるし……それにその番っていうのは、片方の好きだけじゃなれないでしょ?」
他にも、こんなちんちくりんじゃ見向きもされないとか色々、マルスにそういう意味で好かれない理由を並べて、一生懸命納得しようとする自分がなんとなく悲しかった。
そのせいか、昨日は一人で寝ると泣いてしまいそうで、初めてソラに少し大きくなってもらい、お腹に埋もれるようにして寝た。
(そう……初恋って実らないって言うじゃない)
そう自分に言い聞かせて。
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