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45、改めて、いつもの生活へ……?
しおりを挟む第二王子の件の話題も収束し半年程経った。
お母様の件も片付き追手の心配もない為、マルスさんとマリーさんと話をし、ここを拠点とし今後もよろしくお願いしたいと言ったら、喜んでくれた。もちろん、マルスさんには私の出自も話し、受け入れて貰えた……と思う。色々とちょっと安心した。
そして、それを踏まえて先日、王都の父とシュタイン侯爵領にいるお兄様に手紙を出した。
" 冒険者続けます。モックにいるからよろ~ "
……と、まぁこんな感じの内容のモノを。
お嬢様生活はやはり向いていないようだ。
前世の影響もあるのか、こうして日々せわしく動き、たまにのんびりする位がちょうどいいような気がする。
『ジュリ~、ぼくお腹すいたよ~』
精霊なので食事はいらないはずなのに、おやつを強請ってくる可愛い精霊もいるし、ジュリエッタ史上一番幸せな日々を送っているのではないかと自負している。
「ソラ……あなた、食事ってしなくていいって言ってなかったっけ?」
こんな私の突っ込みも、彼(彼女)はいつもスルーだけどね。
今朝は早い時間に寝坊助のソラをおいて、依頼の ” 月光のしずく ” を採ってきた。
なんでも美容関係のポーションを作る原料となるらしく、ギルドからの直接指名依頼だった。
月夜草という植物の花が咲く今の時期、月の光をたっぷり浴びた朝露を月光のしずくというのだが、だいぶ繊細な作業になるので、男性よりは女性向きな依頼になってしまうらしい。
「さすがに夜中の出発はキツイかも……」
欠伸が止まらず気が付けばうつらうつらとしてしまう。
今日は納品も済ましてしまった為、このまま寝てしまってもいいのだけれど、このポカポカ陽気の日にゴロゴロしているのももったいないなぁ~、なんてうだうだしていたら来客を知らせるベルが鳴り響いた。
●〇●〇●
「来ちゃった♪」
『テヘッ』と語尾につきそうなセリフをなんのてらいもなく言う美中年。
ジュリエッタの父で、カールデイン・シュタイン侯爵……推定年齢35歳。
どう考えてもここにいてはおかしい人物がなぜここに……。
来客用のカップに紅茶を注ぎお茶請けとして作り置いておいたクッキーを出す。
一応……来客だよね?と心の中で呟きながら。
「じゃあ、遠慮なく頂くよ」
そういってジュリが出したクッキーを頬張り、ニコニコと紅茶を飲む。
時々『やぁ~娘の手料理を食べられるなんて、貴族やってるとできない経験だよね』なんてセリフを吐きながら。
(役職をお返しして、自領に戻るのかと思っていたんだけど……今は何をしているのかしら?また新しい役職貰った……なんてないわよね?それに……)
だいぶ着古した冒険者風の服は、この無駄な美中年が着ても違和感がない。
なんとなくだけれど、父がこうしてふらふらしているのは今に始まったことじゃないような感じもするけど……とも思うけれど、今日は何かあったのだろうか?
久々の対面で落ち着かず、ソラの尻尾を間違って踏んでしまったのはご愛敬だ。
(だって……こんなに長い時間、お父様と一緒にいるのは初めてなんだもん)
戸惑うなというのが到底無理な話で合った。
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