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89、鬼コーチやってくる
しおりを挟むOh……足痛いよ。
かれこれ2時間ほどずっと……ホントずーーーーっと手拍子に合わせてステップ踏んでますマジで。それもロイス様の身長に合わせてヒールは10センチ。
いやいやいや。10センチのヒールなんてないでしょっ。
なんて思っていた昨日までの私を殴りたい。
ありました。それも翌日にはしっかり準備されてましたよ。
それも……
「ヒールが折れても大丈夫ですよ。換えはとりあえず10足ほど置いていきますねぇ~」
なんて……商会の人の言葉に殺意が湧いたのは言うまでもない。
それにね……ダンスって身体のあちこちの筋肉をグイグイ使うみたいで、もう背中やお尻の筋肉が限界を迎えつつあったりする。
「ジュリ様、今日はここで終わりにしましょうか」
リズムを打っていた手拍子が終わりの合図に変わった。
簡素ながらドレスを着ていることもあり、疲れたからといって倒れ込むこともできず、ヨレヨレしながら壁際のソファまで頑張って歩く。
(あっ……足が……いや膝が……)
攣りそうになるふくらはぎと今にも高笑いを始めそうな膝を撫でつつ、飲み物を飲んで一息つくと、ダンスの指導をしてくれたマリーさんがお茶のお代わりを注いでくれた。
「だいぶブランクが開いていたと聞いていましたが、とりあえず基礎は大丈夫そうですね」
そう言ってこれからの予定に合わせて、色々としなくてはいけないことのスケジュールを教えてくれた。
そして、ダンスレッスンについても鬼のようなスケジュールを組んでくれた。
「この分でしたら早々にロイス様にもダンスレッスンに参加して頂けるかと思います。ロイス様とのレッスンの際には、舞踏会で着るものと同じボリュームのドレスの着用をお勧めです。ロイス様の練習にもなるので楽をしようとしてはいけません。よろしいですね?」
冒険者の時の気安い口調ではなく、しっかり貴族のマリーさん。
ちなみに、マリーさんのお父様はこの国の宰相様らしく、表立っては言えないけれど、王太子殿下とロイス様とは幼馴染だそうだ。
はぁ……なんだか私の周囲の人のスペックがえらい高く感じるのは気のせいではないはず。
ため息をつきつつ、浮腫んだ足をヒールを脱いでぶらぶらする。
ここにはマリーさんしかいないし……なんて気を抜いていたら、すっごい怒られた。
怖いよマリーさん………。
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