地球は世界のまんなか…じゃないらしい

こひな

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私を異世界に連れてって 5 side:友人A

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この町の進学校に通う、普通の高校生の僕。
一応進学校だから、頭は良いんだと思うけどそれだけ。かっこよくもないし、背が高いわけでもない。
せめて成績くらいは...と思って頑張って、国内でも上位の大学の合格圏内と言われるぐらいまでになった。


けどそれだけ。
両親は僕の事は見てくれなかった。
いくら頑張っても、褒めるのも応援するのも3つ上の兄だけ。
特に成績が良いわけでもなく、運動神経だって良い方ではなかったらしい。
特別かっこいいわけでもなかった。


僕と兄貴、何が違うんだろう。
そう考えるのも疲れるくらいの日々を過ごしていたら、友達にカイトを紹介された。

「こいつ、料理めっちゃ上手いんだよ」

って...褒め言葉そこじゃないだろ!
と思うような人だった。


かっこいいのに気取る事も驕る事もなく、マイペースな彼。
悩みを相談した時も、馬鹿にすることもなく「助けになるか解らないけど…」
とアドバイスをくれた。


長年もやもやがあった両親への蟠りが、少し減った気がした。

もう少し早く出会えていれば、こんなにひねくれる事は無かったのかもしれないけど、そんな細かい事を考えてもしょうがない。
人生なるようにしかならないらしいから。


最初は友達を通して連絡を取っていたけれど、2年の終わり位には直接連絡を取り合うようになった。
最近では、彼の大事な人...夏樹ちゃんも紹介してもらった。
彼が言う通り、綺麗で可愛い人だった。
惚れるなよ!と釘を刺されたけど、君とは好みが違うからね~とスルーさせてもらった。


彼のああいう、熱いところは面倒くさい。
言われなくとも、夏樹ちゃんの気持ちは彼に向いてるのに。
知らぬは本人ばかりなり...である。


けれど、彼に大事にされている夏樹ちゃんと、(彼は気づいていないようだけど)彼を大事にしている夏樹ちゃんのように、お互いを思いやれる関係は羨ましい。


いつか僕にも...。


そんなほんわかした日が続けば良いのに...と思っていたら、いきなり横っ面を叩かれるような事があった。



「母子家庭や孤児の人とお付き合いするのは関心しない。成績は良いみたいだが、所詮は何か問題がある子達だ」


と...今の今まで、それこそ幼稚園から今まで、僕の友達には興味も示さず、一度も口を出さなかった両親が言い始めた。


頭の中が煮えるようだった。
大事な友達が馬鹿にされた。
僕の事に関心がないくせに、体裁と建前だけは崩さない両親。


どこの誰が両親に耳打ちしたのかは知らないが、呪い殺してやりたかった。
耳打ちしたやつと両親とを。
僕の大事な人達を馬鹿にするやつらを。


それくらいやってやりた
「……」だ。過去形だ。


両親と兄貴が揃って事故にあった。
高速道路で、後続車に煽られ中央分離帯に乗り上げ、その後反対車線を走る車にぶつかり即死だった。

感情面ではどうあれ、仮にも家族だ。
警察にも話を聞かれ、保険会社にも色々聞かれた。
昨年、今までの保険に加え『死亡』のみを保険金支払い対象にした保険に、かなりの口数入ったらしい。
ぶっちゃけ、保険金詐欺ではないかと疑われたのだと思うけれど、結局、保険の受け取り人が兄貴に指定されていたので、疑いは完全にはれた。


両親が亡くなり、兄貴も亡くなった。
まだ未成年の僕は、保護者がいないと何も出来ないし決められない。

家族の死で、多額の保険金が入る事になったけれど、それは弁護士さんを頼んで、管理してもらうことにした。

保険金のせいで『にわか親戚』も出てきたけれど、言い訳をついてお引き取り願った。
煩わしい事この上ない...まったく...。


その事態が収拾したのがつい先日だった。
で...1人になって改めて、先の事を考えた。
このまま進学していいのか、どうか。
迷いに迷って、進路指導の先生に相談したあとに突然目の前が開けた。


「そういえば、1組の津村もこの間来たぞ。受験止めるって。なんでも、母親の母国に帰ることになったそうだよ」


守秘義務を忘れた先生に感謝だった。
これだ!と思った。
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