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第75話 メシ係
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勇者パーティー解散事件から少し経った、ある日のこと。
「なあライノ。お前さん、結構やるんだろ?」
香辛料屋でビトラ謹製生胡椒の実など諸々の香辛料を卸した帰り際に、店主の旦那から意味深な笑みとともにそんなことを言われた。
『やる』って……何をだ?
そんな腕クイクイとしゃくるような動作をされても……
ああ、なるほど。
「料理か」
旦那の動きは、不器用ながらも、フライパンで具材を炒るしぐさのようだ。
最近は何かと料理する機会が多かったからな。すぐにピンときた。
「ああ、正解だ」
旦那が満足げに頷く。
だが、なんで今さらそんなことを?
旦那は一つ咳払いをしてから、先を続けた。
「ゴホン……いやな、いつもいい品を卸してくれて助かってるんだが、それ以上にウチの香辛料を大量に買ってくれてるだろ。しかも、どれも通好みのものだ。おまけに上質なものを選んでいきやがる。目利きもできているとくれば、この商売やっててピンと来ない方がおかしいぜ。……お前さん、結構な腕前の料理人だろう?」
「確かに、料理はするが……一応冒険者だからな」
もちろん俺は本職の料理人ではない。
ただの魔術師兼盗賊職の冒険者だ。
確かに、以前と比べればかなりの頻度で料理をするようにはなった。
そういう意味では腕に多少の覚えがないわけではない。
だが、いくらなんでも本職と比べられるほどではないはずだ。
つーか、そもそも香辛料の目利きだけで料理の腕って分かるのか?
俺の顔はかなり怪訝な表情になっていたらしい。
旦那は何かを誤魔化すようにさらに咳払いを何度かして、先を続ける。
「ゲフン、ゴホン……いや、な。もう昼時だろう? あいにくうちのヤツがちょうど今、近所の店の手伝いに行っちまってな。メシを作ってくれるのがいないんだよ」
そういえば、言われてみるといつもカウンターに座っているオバチャンがいない。いやまあ、たまにはそんなこともあるだろう。
この辺はわりと旧市街的な佇まいだし、近所づきあい的に他店を手伝いにいくこともあるだろう。濃い人間関係、大いに結構だ。
それはいい。それはいいんだが……
このオッサン、まさか客にメシを作らせようとしてんのか……引くわ……
だいたいこのあとは外で待たせているパレルモとビトラと、久しぶりにちゃんとした飯屋に行く予定なのだ。
「旦那、あんた香辛料屋なのに自分でメシを作れないのか?」
「いや、こーいうのは全部うちのに任せっきりだったからな。家事はとんとできん!」
「それは胸を張って言うことじゃないよな?」
冒険者をやっている身からすれば、信じられない話だ。
依頼中は身の回りのことは全部自分でやる必要があるからな。
当然、食事の支度(ダンジョン内ではほとんど行動食だが)だって同じ事だ。
パーティーを組んでいれば交代でメシ係が回ってくるし。
俺が黙っていると旦那は懇願するように手をすり合わせて、さらに言葉を続ける。
「いやー、頼むぜライノの旦那~。朝から水しか飲んでねーんだよ。……そうだな。今日は特別だ。今昼飯を作ってくれたら、今後ウチの品は、全品三割引にしてやる」
…………はい?
「マジか」
「マジだ」
「……マジで、マジなのか?」
「おうともさ。大マジだ」
その提案は俺にとってあまりにも有益だ。
絶対何かウラがあるだろコレ……
だが旦那の顔はいたって真面目だ。
少なくとも、ウソや冗談で言っているわけではなさそうだ。
どうしたものか。
「……その言葉、あとで撤回したりしないよな?」
「くどい! 男に二言はねえ! つーか俺は今、腹が減って死にそうなんだ! もし疑うなら、あとで証文だって作ってやる! だから早く作ってくれ! この通りだ!」
旦那が必死顔で懇願してきた。
よく見たら、いつものでっぷりした腹周りがこころなしかスリムになっている気がしないでもない。
どんだけ腹が減ってるんだこの旦那は!
もちろん気のせいなのに間違いないし、そもそもそんなことを旦那に言っても何の意味もないので口にしないが。
そのかわり……
「わかった、わかったよ! 俺たちもここが終わったらメシにしようと思ってたんだ。別にメシくらい作ってやるよ。食材はあるんだよな?」
「もちろんだ! いよっ、ライノの旦那! さすがは俺が見込んだ男だ! お前は俺の救世主だぜ!」
「いいからキッチンに案内しろ」
小太りのオッサンに褒められても嬉しくもなんともないぞ……
まあ、一食分飯代が浮いたと思えばいいか。
とりあえず、パレルモとビトラを呼んでくるか。
◇
「おう、こっちだ。我が家だと思って、なんでも遠慮なく使ってくれ」
「ああ。邪魔するぞ」
「おじゃまだよー!」
「む。失礼する」
パレルモさんや、その挨拶だと完全にお邪魔虫さんですよ?
キッチンは、店の奥にある事務所兼応接室から階段をのぼった二階にあった。
香辛料屋は店舗と住居が一体になったタイプの、古き良き商店だからな。
ちなみに居間とダイニング、キッチンの壁が取り払われており、部屋自体はかなり広い。
来客があっても、それなりに対応できるようにしているのだろうか。
もっとも、この旦那の来客など近所の商店の飲み仲間くらいだろうが……
「おおー? ライノライノっ、こんなところに邪神像さんがっ」
「パレルモ、それはぬいぐるみだ」
一応香辛料屋の名誉のために言っておくと、それは可愛らしいドレスで着飾った女の子のぬいぐるみで、けっして邪神の類いではない。
まあ、パレルモは独特の感性をしているから仕方ないな。
一応旦那に向かって「ウチのがすまん」とだけ謝っておく。
「む。この絵画に描かれているのは、ラベンダーに見える」
「おお、ビトラちゃん、正解だ。やっぱ女の子は花に詳しいんだな」
感心したように、ビトラに話しかける旦那。
だがそれは半分正解だが半分間違いだな。
ビトラはむしろ新種の植物を生み出す側だからな。
「二人とも、はしゃぎすぎてモノを壊したりするなよ」
一応クギを指しておく。
パレルモとビトラはこれまで他人の住居に入ったことがないからか、やたらテンションが高い。
俺としては、部屋の様子よりもキッチンの設備が気になるところだが……
「案外普通だな」
「当たり前だろ。もしかして秘伝のスパイスがそこらに転がってると思ったか? 残念だったな!」
なんでこのオッサンは的確に俺の心を見透かしたセリフを吐いてくるんだ。
それはともかく。
香辛料屋のキッチン自体は、ごくごく一般的な民家の設備だ。
かまどに流し台、壁に掛けられた調理器具の数々。
もちろん魔導コンロなんてものはない。
だが、そのどれもがよく手入れされているようだ。
金属製のフォークやスプーンなどは、ぴかぴかに磨き上げられているからな。
このへん、オバチャンの家事スキルの高さが窺えるな。
食材はどうだろうか。
テーブルの上には、手つかずのままのパンがある。
今朝買ってきたばかりのものらしいが……
昼飯にこれを食えばいいんじゃないか?
そう思って旦那を見ると「おいおい、肉もスープもなしにパンだけを囓っても味気ねーだろ?」と肩をすくめられた。
この旦那、存外にグルメのようだ。
香辛料屋らしいといえばらしいが、そんな理由でメシを作ることになった俺の気持ちも考えて欲しい。
はあ……
気を取り直して、設備チェック再開だ。
俺はキッチンの隅っこに設置された中型の食料保管庫を開く。
開いた扉の奥から、ひんやりとした空気が漏れ出てきた。
「お、こいつは魔導式か」
「ああ、ウチのやつがこれだけはこだわってな……」
旦那が遠い目をして、そんなことを言ってきた。
食材ごしに保管庫の奥を見れば、ただ冷気を発生させるだけではなく、冷えた空気を上下に仕切られた棚ごとに異なる温度で循環させる術式が刻まれている。
さすがに死霊魔術による保存効果は付与されていないようだが……
とはいえ、確かにこれはそこそこの高級品のようだ。
零細商店の店主にとってはかなり覚悟のいる買い物だったに違いない。
中の食材も、悪くない。
保存が利くからか、塩漬けでない生肉や新鮮なままの野菜や果物などが入っている。肉は……牛肉だな。それもフィレのブロックだ。
みずみずしい赤色が目に嬉しい。
別の段にはバターや自家製ドレッシングなんかもあるな。
予想していたとおりだが、オバチャンはかなりの料理上手のようだ。
保管庫の上にある棚を開くと、ハーブの入った小瓶が所狭しと並んでいた。
ナツメグにクローブ、鷹の爪に乾燥パセリ……おお、月桂樹の葉や黒胡椒の実もあるな。
旦那いわく秘伝のスパイスはないようだが、それでも普通の家庭よりは香辛料の種類も量もかなり多い。
まあ、そういう商売なんだから当たり前だが……
「よし、決めた。ここにある食材、どれを使ってもいいんだな?」
「おお、もちろんだ。ライノ、期待してるぞ! それじゃあ、俺は店番があるからな。飯ができたら呼んでくれ」
旦那はそう言うと、そそくさと階下に降りて行ってしまった。
というか、昼時に客来るのか……?
ここ何回か店に来ているが、いつ来ても客が俺たちだけなんだが……
そもそもこの店って商業区でも奥まった場所にあるし、一般客ってほとんど来ない気がするんだが。
……まあいい。
俺はここの店主ではないからな。
「とりあえず火を熾すか」
俺は近くに積んであった薪をかまどに投げ込むと、火焔魔術で着火した。
魔術は最下級の、それも殺傷力がほぼない火の粉を少量生み出すものだが、火を熾すだけならそれほど不自由はない。
せっかく魔物肉ではない、新鮮な肉があるんだ。
何を作っても、美味くできそうだが……旦那は午後からも仕事があるだろうし、手軽に食べられて、満足感のある料理がいいだろう。
まあ、張り切っていこうかね。
「なあライノ。お前さん、結構やるんだろ?」
香辛料屋でビトラ謹製生胡椒の実など諸々の香辛料を卸した帰り際に、店主の旦那から意味深な笑みとともにそんなことを言われた。
『やる』って……何をだ?
そんな腕クイクイとしゃくるような動作をされても……
ああ、なるほど。
「料理か」
旦那の動きは、不器用ながらも、フライパンで具材を炒るしぐさのようだ。
最近は何かと料理する機会が多かったからな。すぐにピンときた。
「ああ、正解だ」
旦那が満足げに頷く。
だが、なんで今さらそんなことを?
旦那は一つ咳払いをしてから、先を続けた。
「ゴホン……いやな、いつもいい品を卸してくれて助かってるんだが、それ以上にウチの香辛料を大量に買ってくれてるだろ。しかも、どれも通好みのものだ。おまけに上質なものを選んでいきやがる。目利きもできているとくれば、この商売やっててピンと来ない方がおかしいぜ。……お前さん、結構な腕前の料理人だろう?」
「確かに、料理はするが……一応冒険者だからな」
もちろん俺は本職の料理人ではない。
ただの魔術師兼盗賊職の冒険者だ。
確かに、以前と比べればかなりの頻度で料理をするようにはなった。
そういう意味では腕に多少の覚えがないわけではない。
だが、いくらなんでも本職と比べられるほどではないはずだ。
つーか、そもそも香辛料の目利きだけで料理の腕って分かるのか?
俺の顔はかなり怪訝な表情になっていたらしい。
旦那は何かを誤魔化すようにさらに咳払いを何度かして、先を続ける。
「ゲフン、ゴホン……いや、な。もう昼時だろう? あいにくうちのヤツがちょうど今、近所の店の手伝いに行っちまってな。メシを作ってくれるのがいないんだよ」
そういえば、言われてみるといつもカウンターに座っているオバチャンがいない。いやまあ、たまにはそんなこともあるだろう。
この辺はわりと旧市街的な佇まいだし、近所づきあい的に他店を手伝いにいくこともあるだろう。濃い人間関係、大いに結構だ。
それはいい。それはいいんだが……
このオッサン、まさか客にメシを作らせようとしてんのか……引くわ……
だいたいこのあとは外で待たせているパレルモとビトラと、久しぶりにちゃんとした飯屋に行く予定なのだ。
「旦那、あんた香辛料屋なのに自分でメシを作れないのか?」
「いや、こーいうのは全部うちのに任せっきりだったからな。家事はとんとできん!」
「それは胸を張って言うことじゃないよな?」
冒険者をやっている身からすれば、信じられない話だ。
依頼中は身の回りのことは全部自分でやる必要があるからな。
当然、食事の支度(ダンジョン内ではほとんど行動食だが)だって同じ事だ。
パーティーを組んでいれば交代でメシ係が回ってくるし。
俺が黙っていると旦那は懇願するように手をすり合わせて、さらに言葉を続ける。
「いやー、頼むぜライノの旦那~。朝から水しか飲んでねーんだよ。……そうだな。今日は特別だ。今昼飯を作ってくれたら、今後ウチの品は、全品三割引にしてやる」
…………はい?
「マジか」
「マジだ」
「……マジで、マジなのか?」
「おうともさ。大マジだ」
その提案は俺にとってあまりにも有益だ。
絶対何かウラがあるだろコレ……
だが旦那の顔はいたって真面目だ。
少なくとも、ウソや冗談で言っているわけではなさそうだ。
どうしたものか。
「……その言葉、あとで撤回したりしないよな?」
「くどい! 男に二言はねえ! つーか俺は今、腹が減って死にそうなんだ! もし疑うなら、あとで証文だって作ってやる! だから早く作ってくれ! この通りだ!」
旦那が必死顔で懇願してきた。
よく見たら、いつものでっぷりした腹周りがこころなしかスリムになっている気がしないでもない。
どんだけ腹が減ってるんだこの旦那は!
もちろん気のせいなのに間違いないし、そもそもそんなことを旦那に言っても何の意味もないので口にしないが。
そのかわり……
「わかった、わかったよ! 俺たちもここが終わったらメシにしようと思ってたんだ。別にメシくらい作ってやるよ。食材はあるんだよな?」
「もちろんだ! いよっ、ライノの旦那! さすがは俺が見込んだ男だ! お前は俺の救世主だぜ!」
「いいからキッチンに案内しろ」
小太りのオッサンに褒められても嬉しくもなんともないぞ……
まあ、一食分飯代が浮いたと思えばいいか。
とりあえず、パレルモとビトラを呼んでくるか。
◇
「おう、こっちだ。我が家だと思って、なんでも遠慮なく使ってくれ」
「ああ。邪魔するぞ」
「おじゃまだよー!」
「む。失礼する」
パレルモさんや、その挨拶だと完全にお邪魔虫さんですよ?
キッチンは、店の奥にある事務所兼応接室から階段をのぼった二階にあった。
香辛料屋は店舗と住居が一体になったタイプの、古き良き商店だからな。
ちなみに居間とダイニング、キッチンの壁が取り払われており、部屋自体はかなり広い。
来客があっても、それなりに対応できるようにしているのだろうか。
もっとも、この旦那の来客など近所の商店の飲み仲間くらいだろうが……
「おおー? ライノライノっ、こんなところに邪神像さんがっ」
「パレルモ、それはぬいぐるみだ」
一応香辛料屋の名誉のために言っておくと、それは可愛らしいドレスで着飾った女の子のぬいぐるみで、けっして邪神の類いではない。
まあ、パレルモは独特の感性をしているから仕方ないな。
一応旦那に向かって「ウチのがすまん」とだけ謝っておく。
「む。この絵画に描かれているのは、ラベンダーに見える」
「おお、ビトラちゃん、正解だ。やっぱ女の子は花に詳しいんだな」
感心したように、ビトラに話しかける旦那。
だがそれは半分正解だが半分間違いだな。
ビトラはむしろ新種の植物を生み出す側だからな。
「二人とも、はしゃぎすぎてモノを壊したりするなよ」
一応クギを指しておく。
パレルモとビトラはこれまで他人の住居に入ったことがないからか、やたらテンションが高い。
俺としては、部屋の様子よりもキッチンの設備が気になるところだが……
「案外普通だな」
「当たり前だろ。もしかして秘伝のスパイスがそこらに転がってると思ったか? 残念だったな!」
なんでこのオッサンは的確に俺の心を見透かしたセリフを吐いてくるんだ。
それはともかく。
香辛料屋のキッチン自体は、ごくごく一般的な民家の設備だ。
かまどに流し台、壁に掛けられた調理器具の数々。
もちろん魔導コンロなんてものはない。
だが、そのどれもがよく手入れされているようだ。
金属製のフォークやスプーンなどは、ぴかぴかに磨き上げられているからな。
このへん、オバチャンの家事スキルの高さが窺えるな。
食材はどうだろうか。
テーブルの上には、手つかずのままのパンがある。
今朝買ってきたばかりのものらしいが……
昼飯にこれを食えばいいんじゃないか?
そう思って旦那を見ると「おいおい、肉もスープもなしにパンだけを囓っても味気ねーだろ?」と肩をすくめられた。
この旦那、存外にグルメのようだ。
香辛料屋らしいといえばらしいが、そんな理由でメシを作ることになった俺の気持ちも考えて欲しい。
はあ……
気を取り直して、設備チェック再開だ。
俺はキッチンの隅っこに設置された中型の食料保管庫を開く。
開いた扉の奥から、ひんやりとした空気が漏れ出てきた。
「お、こいつは魔導式か」
「ああ、ウチのやつがこれだけはこだわってな……」
旦那が遠い目をして、そんなことを言ってきた。
食材ごしに保管庫の奥を見れば、ただ冷気を発生させるだけではなく、冷えた空気を上下に仕切られた棚ごとに異なる温度で循環させる術式が刻まれている。
さすがに死霊魔術による保存効果は付与されていないようだが……
とはいえ、確かにこれはそこそこの高級品のようだ。
零細商店の店主にとってはかなり覚悟のいる買い物だったに違いない。
中の食材も、悪くない。
保存が利くからか、塩漬けでない生肉や新鮮なままの野菜や果物などが入っている。肉は……牛肉だな。それもフィレのブロックだ。
みずみずしい赤色が目に嬉しい。
別の段にはバターや自家製ドレッシングなんかもあるな。
予想していたとおりだが、オバチャンはかなりの料理上手のようだ。
保管庫の上にある棚を開くと、ハーブの入った小瓶が所狭しと並んでいた。
ナツメグにクローブ、鷹の爪に乾燥パセリ……おお、月桂樹の葉や黒胡椒の実もあるな。
旦那いわく秘伝のスパイスはないようだが、それでも普通の家庭よりは香辛料の種類も量もかなり多い。
まあ、そういう商売なんだから当たり前だが……
「よし、決めた。ここにある食材、どれを使ってもいいんだな?」
「おお、もちろんだ。ライノ、期待してるぞ! それじゃあ、俺は店番があるからな。飯ができたら呼んでくれ」
旦那はそう言うと、そそくさと階下に降りて行ってしまった。
というか、昼時に客来るのか……?
ここ何回か店に来ているが、いつ来ても客が俺たちだけなんだが……
そもそもこの店って商業区でも奥まった場所にあるし、一般客ってほとんど来ない気がするんだが。
……まあいい。
俺はここの店主ではないからな。
「とりあえず火を熾すか」
俺は近くに積んであった薪をかまどに投げ込むと、火焔魔術で着火した。
魔術は最下級の、それも殺傷力がほぼない火の粉を少量生み出すものだが、火を熾すだけならそれほど不自由はない。
せっかく魔物肉ではない、新鮮な肉があるんだ。
何を作っても、美味くできそうだが……旦那は午後からも仕事があるだろうし、手軽に食べられて、満足感のある料理がいいだろう。
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