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第99話 大盛況
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ギルドの周辺は多くの冒険者でごった返していた。
というか……ギルドから溢れている。
「依頼受注の方はこちらです! 掲示板はあちら! 達成報告と報酬受け取りはこちらの列にお並び下さい!」
「おいあんた、割り込むなよ! 最後尾はあっちだろ!」
「ちょっとー、まだなのー? こっちはもう一時間は待ってるんだけどー?」
そんな中、受付嬢が大声を上げながら必死な顔であちこちかけずり回っている。
「冒険者ギルドって、ものすごく繁盛しているんですね……」
ペトラさんが圧倒されたように呟く。
俺も同感だ。
なんだこの大盛況っぷりは。
こんなの今まで見たことないぞ。
このヘズヴィンは他の街に比べてもそれなりに盛況な方だが、これは異常だ。
このままだとギルドに入ることすらできないぞ。
「おい、そこのあんた! 荷馬車なんかここに停めないでくれ! 邪魔だ!」
荷馬車に乗った俺たちに慌てて近づいてきたギルド職員が、大きく手を振って制止してきた。
店から続く裏通りはともかく、メインストリートで簀巻きにした人間を堂々と引きずる絵面はさすがにマズすぎる。
そこでいったん小さな荷馬車を借り三人を乗せてここまで来たのだが、それが裏目に出てしまったようだ。
とはいっても、このまま引き返すわけにはいかない。
仕方なく俺はギルドから少し離れた場所に荷馬車を停める。
荷台から未だ気絶したままの三人を抱え上げ、ギルドの横にある路地へと向かった。
「ペトラさん、こっちだ」
「は、はい」
ギルドの建物側面には職員用の通用口があったはずだから、そっちからこっそり入ることにした。
職員に見つかったらまた怒られるかもしれないが、やむを得ん。
「あ、ライノさん! ちょうどいいところに! ……って、なんですかその人たちは!?」
ふいに通用口が開くと、ギルドの女性職員が顔を出した。
こっちを見るなり手を振ってきた……が、俺と抱え上げた冒険者たちを交互に見比べ、顔を引きつらせた。
だが、この機会を逃すわけにはいかない。
「話はあとだ。俺に用事があるんだろ? とりあえず入れてくれ」
「は、はい」
通用口から入ると、ギルドの事務所に入ることになった。
職員に案内され、事務所の机と机の間を通ってゆく。
「おっと」
「っと、すいません!」
書類の束を抱えた職員が寸前のところを忙しそうに通り過ぎてゆく。
よくよく周りを見回していると、どの机も書類まみれだ。
ほとんどの職員が書類の山に埋もれて事務作業をしている。
表もてんやわんやだったが、バックヤードも戦場らしかった。
これは……今朝ルーキー冒険者が言っていた、新ダンジョン発見のせいだろうか? 他にもグレン商会の件もあることだし、何かと依頼が集中しているのかもしれない。
「仕事中すまん、通らせてもらうぞ」
「はいはい、どうぞ……!?」
仕事に熱中している彼ら彼女らだったが、俺たちが通ると邪魔なのか迷惑そうに顔を上げ、それからぎょっとした顔をした。
俺は抱え上げた冒険者たちの手足が彼らにぶつからないように細心の注意を払いつつ、事務所をあとにした。
「お、お邪魔しました……」
ペトラさんは申し訳なさそうな顔で身体を縮めながらついてきた。
◇
「こちらへどうぞ」
俺たちはギルドにいくつかある会議室のひとつに通された。
中に入ると、たくさんの机や椅子が雑然と並べられている。
会議でもしたあとなのだろうか。
「ええと……そちらの捕縛済みの冒険者なんですが……衛兵を呼んだほうが?」
「いや、その必要はない。実はな……」
これまでのいきさつを、職員にざっと説明する。
「ああ、なるほど……それは大変でしたね」
同情をにじませつつ、しかし俺の話にすんなりと納得するギルド職員。
もっと驚くかと思ったが、意外だな。
確かにギルド併設の酒場なんかじゃ、しょっちゅう荒くれ冒険者がケンカをしているから、荒事には慣れているのかも知れない。
まあ、職員の態度はどうでもいいな。
「そういう訳で、悪いが書類一式と証人になってくれる人間を呼んでくれないか?」
本来なら教会などに出向いて神に誓わせたうえ、特殊な術式で契約内容で相手を拘束するのが本式だ。
だが、今回は別にそんなことをしなくても大丈夫だろう。
どのみち証文が成立すれば、ギルドで依頼を受けるたびに強制的に報酬の何割かが徴収されるわけだからな。
ただ、このクソ忙しそうなギルドにそんな人員を割いてくれるヒマがあるどうかが問題なのだが……
「ええ、構いませんよ。もともとライノさんをここに案内するつもりでしたし、立ち会いもあとでギルド長がやってくれると思います。それでは、呼んできますね」
「そ、そうか? じゃあ頼む」
渋られるかと思ったのだが、職員は二つ返事で引き受けてくれた。
ずいぶんとスムーズだ。
俺を呼び立てるつもりだったようだし、何かあるのだろうか。
「では、しばらくお待ち下さい」
職員が出て行き、そのまま待つことしばし。
部屋の外でドカドカと足を踏みならす音が近づいてきた。
すぐにゴンゴン、と乱暴にノックが鳴らされ、ガチャリと扉が開く。
「おうライノ。お前から来てくれて手間が省けたぞ。ついさっき、ウチから『彷徨える黒猫亭』へ使いを出そうとしていたところだ」
さきほどの職員に案内され入ってきたのは、アーロンギルド長だ。
そしてさらに、そのアーロンに続いて部屋に入ってくる人影が二つ。
「にいさま、久しぶりね! ペトラさんも、お久しぶりです」
「おお、ライノ殿に、ペトラ殿ではないか。ここで会うのは久方ぶりだな」
見知った顔の女性二人が部屋に入ってきた。
元勇者パーティーメンバーの、イリナとアイラだ。
「なんだ、お前らも来てたのか」
「イリナ様、アイラ様、こんにちは」
手を挙げて軽く挨拶。
ペトラさんは俺の隣で軽く頭を下げて会釈した。
「ええ、せっかくねえさまと買い物をしていたのに、いきなりギルドに呼び出されてしまったの。まったく、久しぶりの休日だったのに……」
どうやらアイラはご機嫌斜めのようだ。
心なしか、目の下に隈ができているように見える。
「休日? お前は今、毎日が休日だろ」
「そんなわけないでしょ! 私を何だと思っているの! やっているわよ! 仕事!」
俺は至極当然の疑問を投げかけたつもりだったのだが、アイラが目を吊り上げて抗議してきた。
はて?
コイツがイリナの治療以外に何かをしている様子が思い浮かばない。
だいたい勇者パーティー時代に稼いだ金もまだたくさんあるだろうし、解散して大して時間も経っていない今、あえて働く必要なんてあるのか?
「ああ、アイラは今、治癒院を開いているのだ。とはいっても、まだ始めたばかりね。私も手伝っているよ」
治癒院?
確かにこのゆるふわちんちくりんワイバーン娘は治癒術師ではあるが……
「にいさまの目……絶対信じていない目だわ!」
アイラがジト目で睨んできた。
「まあまあアイラ。ライノ殿にはまだ知らせていなかっただろう?」
「確かにそんな暇はなかったけども、なんだか納得いかないわね……」
「実は、だな」
ぶすっとしているアイラに代わり、イリナが話をしてくれた。
アイラはイリナの身体の治療のため、ここヘズヴィンで暮らすことにしたわけだが……ヘズヴィンは多くの人々が暮らす都市だ。
住んでいれば、近隣の住民との交流が生まれることがある。
要するに、ご近所づきあいというやつだな。
そんなわけで、アイラは持ち前の外面の良さを発揮して近所に住むご老人の身体の調子を見てあげたり、偶然工房の前で倒れて虫の息だった身なりのいい謎のおっさんを高位治癒魔術で助けたりなどしていたらしい。
そうこうしているうちに、どこから広まったのやら「元勇者パーティーの『治癒天使アイラ』がこの辺に工房を構えているらしい!」と彼女の名前が知れ渡ってしまったのだ。
彼女を人目見ようと……もとい彼女に傷や病を癒やしてもらおうと人々が殺到するようになるまでに、それほど時間はかからなかったそうだ。
「そんなわけで、アイラも私もここ十日ほど働きづめでな。……正直な話、ダンジョン探索よりも大変だよ」
イリナがちょっと疲れたような顔で苦笑した。
確かにアイラだけでなく、イリナの目元にもうっすら隈ができている。
というか、そんなものバカ正直に受けなければいいのにと思うのだが、アイラは前からこういうところがあるからな。
アホのサムリを身を挺してかばったり……とか。
「……それでなんとか暇を見つけて、気晴らしも兼ねてねえさまと買い物に出かけた矢先に、これだわ!」
そこでアイラが、黙って俺たちのやりとりを眺めていたアーロンをじろりと睨んだ。
「あー、そこはすまなかったな。だが先ほど説明したとおり、今は少々急を要する事態だ。それに助力を求めるには、Sランク冒険者でかつ腕利きの治癒術師であるお前しか考えられなかったからな」
アーロンは謝罪の言葉を口にして肩をすくめるものの、全く悪びれた様子がない。むしろ、当然だと言いたげな様子だ。
「なあアーロン。俺はまだその『急を要する事態』ってのは聞いてない。何があったんだ?」
「ああ。それは今から説明する。話はリラから聞いたが、おそらくそこに転がっている冒険者三人にも関係する事柄だ」
アーロンが冒険者たちを一瞥してから、言った。
ちなみにリラというのはアーロンらを連れてきた女性職員の名前だな。
「ここ数日で、妙な案件が俺のところに上がってきた。毒薬か呪いかは知らないが……」
アーロンが鼻をならしつつ、言った。
「人間が魔物化するってのが、だ」
というか……ギルドから溢れている。
「依頼受注の方はこちらです! 掲示板はあちら! 達成報告と報酬受け取りはこちらの列にお並び下さい!」
「おいあんた、割り込むなよ! 最後尾はあっちだろ!」
「ちょっとー、まだなのー? こっちはもう一時間は待ってるんだけどー?」
そんな中、受付嬢が大声を上げながら必死な顔であちこちかけずり回っている。
「冒険者ギルドって、ものすごく繁盛しているんですね……」
ペトラさんが圧倒されたように呟く。
俺も同感だ。
なんだこの大盛況っぷりは。
こんなの今まで見たことないぞ。
このヘズヴィンは他の街に比べてもそれなりに盛況な方だが、これは異常だ。
このままだとギルドに入ることすらできないぞ。
「おい、そこのあんた! 荷馬車なんかここに停めないでくれ! 邪魔だ!」
荷馬車に乗った俺たちに慌てて近づいてきたギルド職員が、大きく手を振って制止してきた。
店から続く裏通りはともかく、メインストリートで簀巻きにした人間を堂々と引きずる絵面はさすがにマズすぎる。
そこでいったん小さな荷馬車を借り三人を乗せてここまで来たのだが、それが裏目に出てしまったようだ。
とはいっても、このまま引き返すわけにはいかない。
仕方なく俺はギルドから少し離れた場所に荷馬車を停める。
荷台から未だ気絶したままの三人を抱え上げ、ギルドの横にある路地へと向かった。
「ペトラさん、こっちだ」
「は、はい」
ギルドの建物側面には職員用の通用口があったはずだから、そっちからこっそり入ることにした。
職員に見つかったらまた怒られるかもしれないが、やむを得ん。
「あ、ライノさん! ちょうどいいところに! ……って、なんですかその人たちは!?」
ふいに通用口が開くと、ギルドの女性職員が顔を出した。
こっちを見るなり手を振ってきた……が、俺と抱え上げた冒険者たちを交互に見比べ、顔を引きつらせた。
だが、この機会を逃すわけにはいかない。
「話はあとだ。俺に用事があるんだろ? とりあえず入れてくれ」
「は、はい」
通用口から入ると、ギルドの事務所に入ることになった。
職員に案内され、事務所の机と机の間を通ってゆく。
「おっと」
「っと、すいません!」
書類の束を抱えた職員が寸前のところを忙しそうに通り過ぎてゆく。
よくよく周りを見回していると、どの机も書類まみれだ。
ほとんどの職員が書類の山に埋もれて事務作業をしている。
表もてんやわんやだったが、バックヤードも戦場らしかった。
これは……今朝ルーキー冒険者が言っていた、新ダンジョン発見のせいだろうか? 他にもグレン商会の件もあることだし、何かと依頼が集中しているのかもしれない。
「仕事中すまん、通らせてもらうぞ」
「はいはい、どうぞ……!?」
仕事に熱中している彼ら彼女らだったが、俺たちが通ると邪魔なのか迷惑そうに顔を上げ、それからぎょっとした顔をした。
俺は抱え上げた冒険者たちの手足が彼らにぶつからないように細心の注意を払いつつ、事務所をあとにした。
「お、お邪魔しました……」
ペトラさんは申し訳なさそうな顔で身体を縮めながらついてきた。
◇
「こちらへどうぞ」
俺たちはギルドにいくつかある会議室のひとつに通された。
中に入ると、たくさんの机や椅子が雑然と並べられている。
会議でもしたあとなのだろうか。
「ええと……そちらの捕縛済みの冒険者なんですが……衛兵を呼んだほうが?」
「いや、その必要はない。実はな……」
これまでのいきさつを、職員にざっと説明する。
「ああ、なるほど……それは大変でしたね」
同情をにじませつつ、しかし俺の話にすんなりと納得するギルド職員。
もっと驚くかと思ったが、意外だな。
確かにギルド併設の酒場なんかじゃ、しょっちゅう荒くれ冒険者がケンカをしているから、荒事には慣れているのかも知れない。
まあ、職員の態度はどうでもいいな。
「そういう訳で、悪いが書類一式と証人になってくれる人間を呼んでくれないか?」
本来なら教会などに出向いて神に誓わせたうえ、特殊な術式で契約内容で相手を拘束するのが本式だ。
だが、今回は別にそんなことをしなくても大丈夫だろう。
どのみち証文が成立すれば、ギルドで依頼を受けるたびに強制的に報酬の何割かが徴収されるわけだからな。
ただ、このクソ忙しそうなギルドにそんな人員を割いてくれるヒマがあるどうかが問題なのだが……
「ええ、構いませんよ。もともとライノさんをここに案内するつもりでしたし、立ち会いもあとでギルド長がやってくれると思います。それでは、呼んできますね」
「そ、そうか? じゃあ頼む」
渋られるかと思ったのだが、職員は二つ返事で引き受けてくれた。
ずいぶんとスムーズだ。
俺を呼び立てるつもりだったようだし、何かあるのだろうか。
「では、しばらくお待ち下さい」
職員が出て行き、そのまま待つことしばし。
部屋の外でドカドカと足を踏みならす音が近づいてきた。
すぐにゴンゴン、と乱暴にノックが鳴らされ、ガチャリと扉が開く。
「おうライノ。お前から来てくれて手間が省けたぞ。ついさっき、ウチから『彷徨える黒猫亭』へ使いを出そうとしていたところだ」
さきほどの職員に案内され入ってきたのは、アーロンギルド長だ。
そしてさらに、そのアーロンに続いて部屋に入ってくる人影が二つ。
「にいさま、久しぶりね! ペトラさんも、お久しぶりです」
「おお、ライノ殿に、ペトラ殿ではないか。ここで会うのは久方ぶりだな」
見知った顔の女性二人が部屋に入ってきた。
元勇者パーティーメンバーの、イリナとアイラだ。
「なんだ、お前らも来てたのか」
「イリナ様、アイラ様、こんにちは」
手を挙げて軽く挨拶。
ペトラさんは俺の隣で軽く頭を下げて会釈した。
「ええ、せっかくねえさまと買い物をしていたのに、いきなりギルドに呼び出されてしまったの。まったく、久しぶりの休日だったのに……」
どうやらアイラはご機嫌斜めのようだ。
心なしか、目の下に隈ができているように見える。
「休日? お前は今、毎日が休日だろ」
「そんなわけないでしょ! 私を何だと思っているの! やっているわよ! 仕事!」
俺は至極当然の疑問を投げかけたつもりだったのだが、アイラが目を吊り上げて抗議してきた。
はて?
コイツがイリナの治療以外に何かをしている様子が思い浮かばない。
だいたい勇者パーティー時代に稼いだ金もまだたくさんあるだろうし、解散して大して時間も経っていない今、あえて働く必要なんてあるのか?
「ああ、アイラは今、治癒院を開いているのだ。とはいっても、まだ始めたばかりね。私も手伝っているよ」
治癒院?
確かにこのゆるふわちんちくりんワイバーン娘は治癒術師ではあるが……
「にいさまの目……絶対信じていない目だわ!」
アイラがジト目で睨んできた。
「まあまあアイラ。ライノ殿にはまだ知らせていなかっただろう?」
「確かにそんな暇はなかったけども、なんだか納得いかないわね……」
「実は、だな」
ぶすっとしているアイラに代わり、イリナが話をしてくれた。
アイラはイリナの身体の治療のため、ここヘズヴィンで暮らすことにしたわけだが……ヘズヴィンは多くの人々が暮らす都市だ。
住んでいれば、近隣の住民との交流が生まれることがある。
要するに、ご近所づきあいというやつだな。
そんなわけで、アイラは持ち前の外面の良さを発揮して近所に住むご老人の身体の調子を見てあげたり、偶然工房の前で倒れて虫の息だった身なりのいい謎のおっさんを高位治癒魔術で助けたりなどしていたらしい。
そうこうしているうちに、どこから広まったのやら「元勇者パーティーの『治癒天使アイラ』がこの辺に工房を構えているらしい!」と彼女の名前が知れ渡ってしまったのだ。
彼女を人目見ようと……もとい彼女に傷や病を癒やしてもらおうと人々が殺到するようになるまでに、それほど時間はかからなかったそうだ。
「そんなわけで、アイラも私もここ十日ほど働きづめでな。……正直な話、ダンジョン探索よりも大変だよ」
イリナがちょっと疲れたような顔で苦笑した。
確かにアイラだけでなく、イリナの目元にもうっすら隈ができている。
というか、そんなものバカ正直に受けなければいいのにと思うのだが、アイラは前からこういうところがあるからな。
アホのサムリを身を挺してかばったり……とか。
「……それでなんとか暇を見つけて、気晴らしも兼ねてねえさまと買い物に出かけた矢先に、これだわ!」
そこでアイラが、黙って俺たちのやりとりを眺めていたアーロンをじろりと睨んだ。
「あー、そこはすまなかったな。だが先ほど説明したとおり、今は少々急を要する事態だ。それに助力を求めるには、Sランク冒険者でかつ腕利きの治癒術師であるお前しか考えられなかったからな」
アーロンは謝罪の言葉を口にして肩をすくめるものの、全く悪びれた様子がない。むしろ、当然だと言いたげな様子だ。
「なあアーロン。俺はまだその『急を要する事態』ってのは聞いてない。何があったんだ?」
「ああ。それは今から説明する。話はリラから聞いたが、おそらくそこに転がっている冒険者三人にも関係する事柄だ」
アーロンが冒険者たちを一瞥してから、言った。
ちなみにリラというのはアーロンらを連れてきた女性職員の名前だな。
「ここ数日で、妙な案件が俺のところに上がってきた。毒薬か呪いかは知らないが……」
アーロンが鼻をならしつつ、言った。
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