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番外編
真実と闇と未来と希望と
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※本編に入れるとバランス悪くなると思ってやめた部分になります。完全に蛇足というか、暁良と朔の二人の答え合わせのようなものです。
なぁなぁ」
「うん?なぁに、朔さん」
「いや、ちょっと気になったことがあるんだよ、俺」
おーすげーなぁ、と暖かくなった陽気に釣られて外に出た二人は少しずつ花の咲き始めた小高い丘を登っていく。
あんなんだったが付き合って数ヶ月が経ち、お互いのことを改めて擦り合わせてきた時間だったと朔は思っているのだが、少しばかり気になることもできていた。これだけ簡単に人を好きになってしまった感じが確かにあるが、朔とて大手企業に勤めるそこそこ頭のいい社会人だ。決して頭がキレないわけじゃない。分かりやすく言うなら興味がない所に関しては雑な部分が多いだけで。
「あのさぁ、結局俺のこと好きってわかったのいつだったんだよ」
「え、今更それ聞くの?オレ言わなかったっけ?」
眉間に皺を寄せて人を疑うような表情なのか、はたまた昨夜もまた可愛がられたせいで腰が怠くて怒っている表情なのかはわからないけれどとりあえず手を差し出すと朔は素直に手を取って先導させた。
「言ってたけど、明確には言ってねぇな」
「あー、確かに言ってないかも。そうだなぁ…きっと一目惚れだったんじゃない?」
「答えになってねぇから却下」
手厳しく返され困ったように笑いながら過去へと思考を飛ばす。まだ一年と経っていないとは言え、あの時初めて体験した感情は思い出すには少し余韻を感じる時間が必要だ。
じわりじわりと湧き水のように体を侵食していくのに、最初の込み上げる感情は稲妻のように激しい。
あんな感情はきっともう二度と無いから。暁良からすればこんなに早く自分の運命の人を見つけてしまって、自分の人生幸せすぎて大丈夫かな、とあの頃実は浮かれていたのも思い出す。
「バレたか。うーん、そうだなぁ。オレのモノにしなきゃって思ったのは二回目の時だよ」
「…早すぎねぇ?」
「じゃないとあんな展開にならなかったって思ったらナイスプレーじゃないの?」
「否定はしねぇけどよ」
あれから毎日きちんと話すようになって、これくらいの会話なら朔も照れなくなってきた。ウブな反応も好きだったから少し寂しくもあるけれど、好きだと言い合える関係になれたのは素直に嬉しい。
最近は遊びにも本当に行かなくなったし、女関係も朔に本気になった時から全部切って、ゲイ関係は程よい距離を取れる人以外を切って店には行っていない。何なら理由もちゃんと言ってある。そんなわけで、結構クリーンな生活を送り始めていた。
「好きって感情は凄いって改めて知ったよね。高校の時に付き合った人以外は遊びしかなかったから、必死になるなんて経験無かったかも」
服装が前より少し落ち着いて良くいるお洒落な大学生と化した暁良が妙に大人の表情を見せる度にどうしたらいいか分からない何かが込み上げて未だに顔が赤くなってしまう。
前以上に残業しないようにと気をつけるようになったし、前以上に効率性を重視して作業を進めるようになって、知らない内にコミュニケーションも前より上手くなって。
恋愛は凄いもだったのか、と朔は初めて知った。
暁良は確かに遥かに年下ではあるけれど、誰にでも臆さずペースを崩さないで話せる姿勢は見習うものがあったし、年上である自分を平然と甘やかして来るのだからその度胸といい器といい、付き合って見れば良い所は自ずと見えてきて。
「それは激しく同感だな」
「ほんと?朔さんと同じ考えなのは嬉しいな」
「お前も大概ちょろいと思うんだけど?」
「あはは、朔さん程じゃないしオレは朔さんにだけだよ」
「うーわ恥ずかしいこと言ってやがる」
あの夜、本当だったことはホテルで寝たいと言ったことだけだったのを朔は知らない。それでもこうやって隣で幸せそうにして、楽しそうに笑っている。
ある程度計画的に振る舞ったのだってちょろいからだった。家事に関しては恩返し程度のつもりだったけれど案外刺さっただけだ。だから意図的に継続したし、今となってはするのが当たり前になり、就職もあるだろうからと少しずつ手伝って覚えようとしている朔は年齢に関係なく可愛いと思える。
さて、どこまでが計画だったのかなんて教えるもんじゃないだろうなあ、と思った暁良は「ここら辺で満足してくれた?もう着くよ」と朔を引っ張る。
「うおっ、引っ張んなって…あ」
「中々綺麗じゃん」
「お、おう」
一面に広がる花畑は高さの余りない花が色とりどりに咲いている。朔はあの夜に見た景色とあまりにも酷似していて言葉を失った。
でも、それよりも鮮やかな色に息を呑んで、そして頷いた。
「なぁ、暁良」
「なぁに?」
「色々あったっちゃあったけどよ」
「うん」
「やっぱお前が居ないと俺はダメだわ」
身長差はそんなにないが気持ち上目遣いで穏やかで真剣な目線。
何よりそれは嬉しい言葉で。
「ははっ、オレの方こそ。朔さんが居ないとてんでダメな男だよ」
言えば確かにとばかりに笑う朔を見て新たに気持ちを引き締める。
これからもきっと色々あって、歳を重ねていくんだろうなと未来に想いを馳せて。
「絶対離してやれないから覚悟して愛されてね」
「はいはい、離そうとしたらお前はそのままあの世行きだぞ、覚悟しやがれ」
二人を春の木漏れ日と色鮮やかな花たちが祝福しているようだった。
真実は闇の中であろうと、未来はどこまでも明るいものである。
なぁなぁ」
「うん?なぁに、朔さん」
「いや、ちょっと気になったことがあるんだよ、俺」
おーすげーなぁ、と暖かくなった陽気に釣られて外に出た二人は少しずつ花の咲き始めた小高い丘を登っていく。
あんなんだったが付き合って数ヶ月が経ち、お互いのことを改めて擦り合わせてきた時間だったと朔は思っているのだが、少しばかり気になることもできていた。これだけ簡単に人を好きになってしまった感じが確かにあるが、朔とて大手企業に勤めるそこそこ頭のいい社会人だ。決して頭がキレないわけじゃない。分かりやすく言うなら興味がない所に関しては雑な部分が多いだけで。
「あのさぁ、結局俺のこと好きってわかったのいつだったんだよ」
「え、今更それ聞くの?オレ言わなかったっけ?」
眉間に皺を寄せて人を疑うような表情なのか、はたまた昨夜もまた可愛がられたせいで腰が怠くて怒っている表情なのかはわからないけれどとりあえず手を差し出すと朔は素直に手を取って先導させた。
「言ってたけど、明確には言ってねぇな」
「あー、確かに言ってないかも。そうだなぁ…きっと一目惚れだったんじゃない?」
「答えになってねぇから却下」
手厳しく返され困ったように笑いながら過去へと思考を飛ばす。まだ一年と経っていないとは言え、あの時初めて体験した感情は思い出すには少し余韻を感じる時間が必要だ。
じわりじわりと湧き水のように体を侵食していくのに、最初の込み上げる感情は稲妻のように激しい。
あんな感情はきっともう二度と無いから。暁良からすればこんなに早く自分の運命の人を見つけてしまって、自分の人生幸せすぎて大丈夫かな、とあの頃実は浮かれていたのも思い出す。
「バレたか。うーん、そうだなぁ。オレのモノにしなきゃって思ったのは二回目の時だよ」
「…早すぎねぇ?」
「じゃないとあんな展開にならなかったって思ったらナイスプレーじゃないの?」
「否定はしねぇけどよ」
あれから毎日きちんと話すようになって、これくらいの会話なら朔も照れなくなってきた。ウブな反応も好きだったから少し寂しくもあるけれど、好きだと言い合える関係になれたのは素直に嬉しい。
最近は遊びにも本当に行かなくなったし、女関係も朔に本気になった時から全部切って、ゲイ関係は程よい距離を取れる人以外を切って店には行っていない。何なら理由もちゃんと言ってある。そんなわけで、結構クリーンな生活を送り始めていた。
「好きって感情は凄いって改めて知ったよね。高校の時に付き合った人以外は遊びしかなかったから、必死になるなんて経験無かったかも」
服装が前より少し落ち着いて良くいるお洒落な大学生と化した暁良が妙に大人の表情を見せる度にどうしたらいいか分からない何かが込み上げて未だに顔が赤くなってしまう。
前以上に残業しないようにと気をつけるようになったし、前以上に効率性を重視して作業を進めるようになって、知らない内にコミュニケーションも前より上手くなって。
恋愛は凄いもだったのか、と朔は初めて知った。
暁良は確かに遥かに年下ではあるけれど、誰にでも臆さずペースを崩さないで話せる姿勢は見習うものがあったし、年上である自分を平然と甘やかして来るのだからその度胸といい器といい、付き合って見れば良い所は自ずと見えてきて。
「それは激しく同感だな」
「ほんと?朔さんと同じ考えなのは嬉しいな」
「お前も大概ちょろいと思うんだけど?」
「あはは、朔さん程じゃないしオレは朔さんにだけだよ」
「うーわ恥ずかしいこと言ってやがる」
あの夜、本当だったことはホテルで寝たいと言ったことだけだったのを朔は知らない。それでもこうやって隣で幸せそうにして、楽しそうに笑っている。
ある程度計画的に振る舞ったのだってちょろいからだった。家事に関しては恩返し程度のつもりだったけれど案外刺さっただけだ。だから意図的に継続したし、今となってはするのが当たり前になり、就職もあるだろうからと少しずつ手伝って覚えようとしている朔は年齢に関係なく可愛いと思える。
さて、どこまでが計画だったのかなんて教えるもんじゃないだろうなあ、と思った暁良は「ここら辺で満足してくれた?もう着くよ」と朔を引っ張る。
「うおっ、引っ張んなって…あ」
「中々綺麗じゃん」
「お、おう」
一面に広がる花畑は高さの余りない花が色とりどりに咲いている。朔はあの夜に見た景色とあまりにも酷似していて言葉を失った。
でも、それよりも鮮やかな色に息を呑んで、そして頷いた。
「なぁ、暁良」
「なぁに?」
「色々あったっちゃあったけどよ」
「うん」
「やっぱお前が居ないと俺はダメだわ」
身長差はそんなにないが気持ち上目遣いで穏やかで真剣な目線。
何よりそれは嬉しい言葉で。
「ははっ、オレの方こそ。朔さんが居ないとてんでダメな男だよ」
言えば確かにとばかりに笑う朔を見て新たに気持ちを引き締める。
これからもきっと色々あって、歳を重ねていくんだろうなと未来に想いを馳せて。
「絶対離してやれないから覚悟して愛されてね」
「はいはい、離そうとしたらお前はそのままあの世行きだぞ、覚悟しやがれ」
二人を春の木漏れ日と色鮮やかな花たちが祝福しているようだった。
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