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ラスペラスとの決戦編
第148話 レード山林地帯遠足①
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俺達は西のレード山林地帯の奥深くを探索している。
かつては魔境であったここも、今は大した魔物はいなくてすごく平和である。
ちなみにメンバーはセバスチャン、カーマ、ラークにセンダイ。
そしてドラゴニウムが案内役として来ている……しっかりとガイド料金に弁当代とか払わされた上でな!
しかも弁当は松坂牛一頭……ここぞとばかりに超高級品要求しやがって!
その上等な肉で育ったお前も、さぞかし美味い肉になるんだろうなぁ!?
「確かジャイランドを最初に見かけたのは、この辺だったとは思うのだが……」
「あの時は魔物から逃げるのに必死だったし、黄金の道なんてなかったからね……」
「うろ覚え」
ようは山勘でそれっぽいところに訪れているだけである。
山だから目印なんてものもないし、仕方がないのだが。
「ドラゴニウム。お前はジャイランドのこと知らないのか?」
ドラゴニウムは俺の問いに答えずに、手を差し出してきた。
「上等な酒一本」
「てめぇガイド料金盗っておいて、更に情報量まで求める気か!?」
「案内役と情報量はまた別だ! 無料で人を使えると思うな!」
「お前ドラゴンだろうがっ!」
なんて野郎だ……金の権化め……。仕方がない、諦めて【異世界ショップ】から酒を購入して、ドラゴニウムに手渡す。
奴はそれを即座にラッパ飲み干した後。
「知らん」
「は?」
「ジャイランドなどという巨人など知らんな! それらしき物も見たことがない!」
「舐めてんのかお前!? 酒返せ!」
「もう我の胃の中だ! 残念だったな!」
「なら舌出せ! 嘘つきの舌は引っこ抜いてドラゴン舌で売りさばいてやる!」
「我の舌を牛タンみたいに言うでない! 長くここに住んだ我が知らぬのは、大きな情報であろうが!」
なんて野郎だ……人をおちょくりやがって……。まあいい、確かにこいつがジャイランドを知らないのは情報になる。
長くここに住んでいる奴が、ジャイランドみたいな巨体を知らない。
普通に考えてそんなことあり得ないだろう。つまりジャイランドは何らかの方法で隠れていたと考えるのが妥当だ。
例えば地下からいきなり現れたとか、カメレオンみたいに変色してたとか。あるいは人がいきなり巨人に変身したとか。
「おっと。アトラス殿、オーガを見つけたでござる」
センダイの指さす方向に、オーガが一体ほど木に背中を預けて休んでいる。
まだ魔物いたんだなあ。ジャイランドの血肉をばらまいた時に、全部逃げたとばかり思ってた。
2ダース単位で群れてないオーガなんて、昔じゃ考えられなかったな。
ちなみにオーガ一体倒すのにBランク冒険者のパーティが求められる……改めてレード山林地帯が魔境過ぎた。
せっかくだからドラゴンの実力を拝見するとするか。
「ドラゴニウム。あそこのオーガを倒してこい。別に踊り食いしても丸焼きにしてもかまわん」
「ふざけるな。我はグルメだ、あんな緑色の気持ち悪い醜悪な肉いらん。叫び声も耳の形もその存在も不快だ」
「オーガ君の全否定やめて差し上げろ。じゃあ普通に倒してこい」
「断る。ドラゴン便に向けて綺麗にした鱗が痛む」
「お前は走ると髪のセットが崩れるおばはんか!?」
結局ラークが魔法で凍り付けにして瞬殺してしまった。
この金ドラ、ガチでバスツアーガイド程度の役にしか立たない……。
「オーガ凍ったぞ。これなら抹茶アイスみたいなノリで食えるだろ、色合い似てるし」
「ふざけるな! 我はグルメぞ!」
「抹茶アイス」
おっと関係ないラークが反応してしまったので、帰ったらなと言い含めておく。
そしてしばらく周辺を探した結果。オーガアイス以外に何も成果が得られない……!
「……無理じゃね? 川で川の主を探すようなもんじゃね?」
「存外見つかりそうな気がするでござるなそれ」
「ジャイランドがいたのは確実だし、大雑把な場所は分かってるから……。とはいえこれだと何日かかるか」
「お任せください」
エフィルンが何やら近くの木に近づいて、呪文を唱え始めた。
しばらくすると彼女は俺のそばに戻ってきて。
「木の声を聞きました。ジャイランドはここからもう少し北に、急に現れたのを見たと」
「そんなことできたのか……もっと最初から言ってくれればよかったのに」
「申し訳ありません。あまり言いたくはなかったのです。普段から木々に主様の行動を聞いて、入浴の時間を狙ってましたので。では行きましょう」
「待って!? 今すごく聞き逃せないことが!?」
俺の入浴時間聞いて何するつもりだ!?
俺が更に食い下がろうとすると、カーマが口を挟んできて。
「気にしないでいいでしょ。減るものじゃないし」
「減るよ!? 主に俺の貞操とかが!?」
「あなたもボクたちの入浴時に覗こうとしてるじゃない」
「美少女のお風呂が狙われるのは自然の摂理だから! さあ早く行こう! 北にジャイランドの秘密ありだ! 早くしないと証拠が消滅するかもしれん!」
俺は逃げるように北の方へ走っていった。
そしてエフィルンが植物に話を聞いていき、どんどん怪しい場所がわかっていく。
「上等な肥料と氷溶け水をくれれば教えてやると言ってます」
「なに? ここの生き物はみんな金ドラみたいな奴なの?」
「我を植物風情と一緒にするな。こやつらは遠慮など一切せずに、自らの欲望を要求する愚者だ」
「自己紹介じゃん」
「アトラス殿。あの植物が酒を飲ませればとっておきの情報をと言ってるでござる!」
「植物が酒を飲むわけないだろうが!」
紆余曲折あったが、植物たちの声に従って進んだ結果。
何やら怪しい遺跡の入り口が発見された。中を見る限り、地下に階段が続いている。
「ふーむ。拙者が先頭を行くでござる」
「ほう。どちらかと言うとお前は最後尾の殿を務めると思ったが」
「ひっく。いやなに、拙者酔っぱらってる故。階段で最後尾でこけると全員巻き込んで愉快なことに」
「……悲惨なことになるのが目に浮かぶな」
「それと先ほどから戻しそうでござる」
「お前先頭行け」
階段の上から吐かれたらもはや地獄だなそれ……。
本当なら置いていきたいくらいだが、何かあった時にセンダイは有用だ。
仕方がないので気休めに酔い止め薬を飲ませることにした。
乗り物酔いの薬しかなかったけど、まあどちらも酔うのは同じだし効くだろたぶん。
それでセバスチャンを先頭に階段を進んで地下に潜っていく。
しばらく進むと奇妙な広い部屋にたどり着いた。何が奇妙かというと。
「この壁って……」
「アトラス様の店で見たやつですぞ!」
そう、ここの部屋の壁はコンクリートなのだ。
この世界にコンクリートなんてないはずなのに……ビンゴだなこれは。
部屋を見回すと、この世界には存在しないはずの機械もある。
その機械はゲームの筐体のような形をしていて、モニターとボタンがついている。
……筐体には日本語で【脱衣麻雀! あなたは牌とパイのどちらがお好き!?】と書いてある。
試しにボタンを押してみると、機械が起動したようでモニターに電源がつく。
「なになに!? 急に光り出したよ!?」
「敵……!?」
カーマとラークが反射的に炎と氷の魔法を発動し、筐体に向けて撃ちだした。
ちょっ!? それはまずいって!? これは鉄板とか出しても間に合わない!
まだパイを見てないのにこんなところで!? させるかっ!
「畜生! あっつ!? つめたっ!?」
「ええっ!? 何で魔法の前に立つの!?」
「この筐体壊したらマズいからだ!」
俺が肉壁になって筐体を守りぬく。
幸いにも炎魔法が当たった箇所に、すぐに冷やすように氷魔法も当てたので火傷はしていない。
「何をやってるんだ! これは貴重な資料なんだぞ!? 全てあまさず調べて舐めまわすように調査しないとダメだろっ!」
「「ごめんなさい……」」
「次からどんなことがあっても、この筐体から目を離すなよ! 魔法も禁止!」
カーマとラークに対して釘を刺しておく。
危うく彼女らの魔法で筐体が粉砕されるところだった。
まだパイも見てないのに……じゃなかった、貴重な情報源を壊されては困るな。
せっかく合法的にエッチなことができるのだから!
ついでだからカーマとラークにもプレイさせて、恥ずかしがらせよう。
いや待て。どうせなら嘘ついて、ゲームに負けたらこちらも脱がなきゃダメって言ったら……!
いける! ゲームの存在を知らないカーマたちなら、向こうの相手が脱いでるのにって言えばいける!?
そんなことを考えているとモニターの映像が変わり、美少女の映像が出たと思ったらすぐ変形してオッサンの顔が表示された。
『やあ未来の子孫。私はスズキ・サトウだ。この映像を見ているのが君が誰かは分からないが、重要な情報を与えよう』
……急に筐体から声が出たことに驚いたのか、カーマたちは再び身構える。
いや鈴木か佐藤かはっきりしろ。両方とも性、違う姓じゃん。
「箱が喋った!?」
「……不思議」
『ははは、その反応は面白いね。その驚きがこの世界で一番の娯楽だったよ』
なんか気持ちの良い笑顔で笑うサトウさんかスズキさん。
いやとりあえず文明はどうでもよい、そんなことよりも。
「パイは!? パイはどうした!?」
『む? ……ああ、この筐体のガワを見て言ってるのか。実はこの筐体はガワを使っているだけで、中身は魔法で作った私の疑似生命なんだ』
「……つまりパイは?」
「すまない。代わりと言ってはなんだが、このオッサンの胸を」
「くたばれ!」
俺の期待を返せ! 何が重大な情報だ! パイより大事な情報があると思ってんのか!
人の純情をおちょくりやがって! 許さんぞ!
かつては魔境であったここも、今は大した魔物はいなくてすごく平和である。
ちなみにメンバーはセバスチャン、カーマ、ラークにセンダイ。
そしてドラゴニウムが案内役として来ている……しっかりとガイド料金に弁当代とか払わされた上でな!
しかも弁当は松坂牛一頭……ここぞとばかりに超高級品要求しやがって!
その上等な肉で育ったお前も、さぞかし美味い肉になるんだろうなぁ!?
「確かジャイランドを最初に見かけたのは、この辺だったとは思うのだが……」
「あの時は魔物から逃げるのに必死だったし、黄金の道なんてなかったからね……」
「うろ覚え」
ようは山勘でそれっぽいところに訪れているだけである。
山だから目印なんてものもないし、仕方がないのだが。
「ドラゴニウム。お前はジャイランドのこと知らないのか?」
ドラゴニウムは俺の問いに答えずに、手を差し出してきた。
「上等な酒一本」
「てめぇガイド料金盗っておいて、更に情報量まで求める気か!?」
「案内役と情報量はまた別だ! 無料で人を使えると思うな!」
「お前ドラゴンだろうがっ!」
なんて野郎だ……金の権化め……。仕方がない、諦めて【異世界ショップ】から酒を購入して、ドラゴニウムに手渡す。
奴はそれを即座にラッパ飲み干した後。
「知らん」
「は?」
「ジャイランドなどという巨人など知らんな! それらしき物も見たことがない!」
「舐めてんのかお前!? 酒返せ!」
「もう我の胃の中だ! 残念だったな!」
「なら舌出せ! 嘘つきの舌は引っこ抜いてドラゴン舌で売りさばいてやる!」
「我の舌を牛タンみたいに言うでない! 長くここに住んだ我が知らぬのは、大きな情報であろうが!」
なんて野郎だ……人をおちょくりやがって……。まあいい、確かにこいつがジャイランドを知らないのは情報になる。
長くここに住んでいる奴が、ジャイランドみたいな巨体を知らない。
普通に考えてそんなことあり得ないだろう。つまりジャイランドは何らかの方法で隠れていたと考えるのが妥当だ。
例えば地下からいきなり現れたとか、カメレオンみたいに変色してたとか。あるいは人がいきなり巨人に変身したとか。
「おっと。アトラス殿、オーガを見つけたでござる」
センダイの指さす方向に、オーガが一体ほど木に背中を預けて休んでいる。
まだ魔物いたんだなあ。ジャイランドの血肉をばらまいた時に、全部逃げたとばかり思ってた。
2ダース単位で群れてないオーガなんて、昔じゃ考えられなかったな。
ちなみにオーガ一体倒すのにBランク冒険者のパーティが求められる……改めてレード山林地帯が魔境過ぎた。
せっかくだからドラゴンの実力を拝見するとするか。
「ドラゴニウム。あそこのオーガを倒してこい。別に踊り食いしても丸焼きにしてもかまわん」
「ふざけるな。我はグルメだ、あんな緑色の気持ち悪い醜悪な肉いらん。叫び声も耳の形もその存在も不快だ」
「オーガ君の全否定やめて差し上げろ。じゃあ普通に倒してこい」
「断る。ドラゴン便に向けて綺麗にした鱗が痛む」
「お前は走ると髪のセットが崩れるおばはんか!?」
結局ラークが魔法で凍り付けにして瞬殺してしまった。
この金ドラ、ガチでバスツアーガイド程度の役にしか立たない……。
「オーガ凍ったぞ。これなら抹茶アイスみたいなノリで食えるだろ、色合い似てるし」
「ふざけるな! 我はグルメぞ!」
「抹茶アイス」
おっと関係ないラークが反応してしまったので、帰ったらなと言い含めておく。
そしてしばらく周辺を探した結果。オーガアイス以外に何も成果が得られない……!
「……無理じゃね? 川で川の主を探すようなもんじゃね?」
「存外見つかりそうな気がするでござるなそれ」
「ジャイランドがいたのは確実だし、大雑把な場所は分かってるから……。とはいえこれだと何日かかるか」
「お任せください」
エフィルンが何やら近くの木に近づいて、呪文を唱え始めた。
しばらくすると彼女は俺のそばに戻ってきて。
「木の声を聞きました。ジャイランドはここからもう少し北に、急に現れたのを見たと」
「そんなことできたのか……もっと最初から言ってくれればよかったのに」
「申し訳ありません。あまり言いたくはなかったのです。普段から木々に主様の行動を聞いて、入浴の時間を狙ってましたので。では行きましょう」
「待って!? 今すごく聞き逃せないことが!?」
俺の入浴時間聞いて何するつもりだ!?
俺が更に食い下がろうとすると、カーマが口を挟んできて。
「気にしないでいいでしょ。減るものじゃないし」
「減るよ!? 主に俺の貞操とかが!?」
「あなたもボクたちの入浴時に覗こうとしてるじゃない」
「美少女のお風呂が狙われるのは自然の摂理だから! さあ早く行こう! 北にジャイランドの秘密ありだ! 早くしないと証拠が消滅するかもしれん!」
俺は逃げるように北の方へ走っていった。
そしてエフィルンが植物に話を聞いていき、どんどん怪しい場所がわかっていく。
「上等な肥料と氷溶け水をくれれば教えてやると言ってます」
「なに? ここの生き物はみんな金ドラみたいな奴なの?」
「我を植物風情と一緒にするな。こやつらは遠慮など一切せずに、自らの欲望を要求する愚者だ」
「自己紹介じゃん」
「アトラス殿。あの植物が酒を飲ませればとっておきの情報をと言ってるでござる!」
「植物が酒を飲むわけないだろうが!」
紆余曲折あったが、植物たちの声に従って進んだ結果。
何やら怪しい遺跡の入り口が発見された。中を見る限り、地下に階段が続いている。
「ふーむ。拙者が先頭を行くでござる」
「ほう。どちらかと言うとお前は最後尾の殿を務めると思ったが」
「ひっく。いやなに、拙者酔っぱらってる故。階段で最後尾でこけると全員巻き込んで愉快なことに」
「……悲惨なことになるのが目に浮かぶな」
「それと先ほどから戻しそうでござる」
「お前先頭行け」
階段の上から吐かれたらもはや地獄だなそれ……。
本当なら置いていきたいくらいだが、何かあった時にセンダイは有用だ。
仕方がないので気休めに酔い止め薬を飲ませることにした。
乗り物酔いの薬しかなかったけど、まあどちらも酔うのは同じだし効くだろたぶん。
それでセバスチャンを先頭に階段を進んで地下に潜っていく。
しばらく進むと奇妙な広い部屋にたどり着いた。何が奇妙かというと。
「この壁って……」
「アトラス様の店で見たやつですぞ!」
そう、ここの部屋の壁はコンクリートなのだ。
この世界にコンクリートなんてないはずなのに……ビンゴだなこれは。
部屋を見回すと、この世界には存在しないはずの機械もある。
その機械はゲームの筐体のような形をしていて、モニターとボタンがついている。
……筐体には日本語で【脱衣麻雀! あなたは牌とパイのどちらがお好き!?】と書いてある。
試しにボタンを押してみると、機械が起動したようでモニターに電源がつく。
「なになに!? 急に光り出したよ!?」
「敵……!?」
カーマとラークが反射的に炎と氷の魔法を発動し、筐体に向けて撃ちだした。
ちょっ!? それはまずいって!? これは鉄板とか出しても間に合わない!
まだパイを見てないのにこんなところで!? させるかっ!
「畜生! あっつ!? つめたっ!?」
「ええっ!? 何で魔法の前に立つの!?」
「この筐体壊したらマズいからだ!」
俺が肉壁になって筐体を守りぬく。
幸いにも炎魔法が当たった箇所に、すぐに冷やすように氷魔法も当てたので火傷はしていない。
「何をやってるんだ! これは貴重な資料なんだぞ!? 全てあまさず調べて舐めまわすように調査しないとダメだろっ!」
「「ごめんなさい……」」
「次からどんなことがあっても、この筐体から目を離すなよ! 魔法も禁止!」
カーマとラークに対して釘を刺しておく。
危うく彼女らの魔法で筐体が粉砕されるところだった。
まだパイも見てないのに……じゃなかった、貴重な情報源を壊されては困るな。
せっかく合法的にエッチなことができるのだから!
ついでだからカーマとラークにもプレイさせて、恥ずかしがらせよう。
いや待て。どうせなら嘘ついて、ゲームに負けたらこちらも脱がなきゃダメって言ったら……!
いける! ゲームの存在を知らないカーマたちなら、向こうの相手が脱いでるのにって言えばいける!?
そんなことを考えているとモニターの映像が変わり、美少女の映像が出たと思ったらすぐ変形してオッサンの顔が表示された。
『やあ未来の子孫。私はスズキ・サトウだ。この映像を見ているのが君が誰かは分からないが、重要な情報を与えよう』
……急に筐体から声が出たことに驚いたのか、カーマたちは再び身構える。
いや鈴木か佐藤かはっきりしろ。両方とも性、違う姓じゃん。
「箱が喋った!?」
「……不思議」
『ははは、その反応は面白いね。その驚きがこの世界で一番の娯楽だったよ』
なんか気持ちの良い笑顔で笑うサトウさんかスズキさん。
いやとりあえず文明はどうでもよい、そんなことよりも。
「パイは!? パイはどうした!?」
『む? ……ああ、この筐体のガワを見て言ってるのか。実はこの筐体はガワを使っているだけで、中身は魔法で作った私の疑似生命なんだ』
「……つまりパイは?」
「すまない。代わりと言ってはなんだが、このオッサンの胸を」
「くたばれ!」
俺の期待を返せ! 何が重大な情報だ! パイより大事な情報があると思ってんのか!
人の純情をおちょくりやがって! 許さんぞ!
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