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ラスペラスとの決戦編
第149話 レード山林地帯遠足②
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ゲーム機の筐体のモニターから、スズキさんが死ぬほどウザい声を出してくる。
「ねえねえ。君たち双子? 可愛いね、アドレス交換しない?」
「あ、アドレス……?」
「意味不明」
なんだこのオッサン! ただのナンパクソ野郎じゃねぇか!
人の純情をもてあそんだばかりか、妻にまでちょっかいかけてくるとは!
「おいこのオッサン! そんなことより重要な情報とやらを言え! これでくだらないことだったら、お前のボタンに練り消し詰め込んで鬼連打してぶっ壊すぞ!」
「やめてくれ!? 再起動できなくなってしまう!? もはやそれは殺人罪だぞ!」
「ボタン壊しただけでそんな罪になるか! せいぜい汚物損壊罪だ!」
スズキさんの映像が滅茶苦茶怯えてる感じになった。
ええい! オッサンの怯え顔なんて見たくもない! どうせならモニターの映像を美少女にしろ!
オッサンは少し考え込んだ後に、下卑た笑みを浮かべると。
「そうかー。重要な情報が欲しいのかー。でも無料で教えるにはちょっと価値が高すぎるというかー」
俺は無言で【異世界ショップ】から消しゴムを購入し、懐から取り出す。
そして筐体の上でゴシゴシと消しゴムをこすりつけていく。
そのうちボタンと筐体の間の隙間に、ケシカスが入って取れなくなるだろう。
「や、やめるんだ! 教えるから! 重要な情報だね……実はね、この世界は崩壊が近づいていて」
「練り消し準備OK。これよりボタンと筐体の隙間に練りこみを開始する!」
そんなもの知ってるんだよ! 知ってる情報をしたり顔で言われるの腹立つ!
「ちょっまっ!? その崩壊の原因は封印されたとある物が原因だから! 練り消しやめてぇ! 白雪姫になっちゃう!? 眠ったまま再起動できなくなっちゃうよぉ!?」
「白雪姫なんておこがましい! お前なんて眠れる森のケダモノだろうが! 放置されて永遠に眠っておけ!」
「わかった! もうぼかすのはやめるからっ! 情報小出しにしないからっ! 封印された化け物が、世界を飲み干す存在なんだ!?」
ようやくオッサンが具体的なことを言い出したので、練り消し詰めるのをやめる。
だがまだ練り消しは手に持っておく。
「封印された化け物って、具体的な特徴は?」
「柔らかい巨人だよ。顔などはないから、透き通ったゴーレムみたいな外見だね」
柔らかい巨大なゴーレムか。それなら柔らかくて封印できて、かつ切り刻めるな。
ラスペラス国のうわきつ女王が言った特徴と一致している。
「そのソフト巨人が何でヤバイんだ? 話聞いてる限り、なんかマスコット感がすごいんだが」
俺の中で餅ゴーレムみたいな外見になってきている。
滅茶苦茶ゆるキャラ感があって、とてもではないが脅威を感じない。
「あの化け物……便宜上ゴーレムとしようか。あのゴーレムは触れた人や魔物や魔法を、異空間に飛ばす恐ろしい力を持っている」
「異空間に飛ばされたらどうなるんだ?」
「知らないよ。今まで帰って来た人はいないからね。案外異空間は高級リゾートでくつろいでいるかもよ?」
「そんなわけあるか!」
触っただけで異空間に飛ばす力とかやば過ぎるだろ。
そんなチートじみた化け物相手にどうしろと……。
「……その餅ゴーレムは、どんな者でも異空間に飛ばせるのか?」
「いや。先ほども言ったけど、人と魔物と魔法で生み出された物だけだ。なので物理攻撃は効き目がある。だが弾力性のある身体相手には、並大抵の武器は通用しないんだ」
「魔法完全無効はきついな……。だが物理攻撃が効くなら勝てそうだが。少なくともあんたらの文明レベルなら。ミサイルとかあるだろ」
俺は練り消しを床に捨てながら、筐体と会話を続ける。
このオッサンの技術力は地球の現代の科学に匹敵する。
ならミサイルとか打ち込めるだろうし、普通に戦えそうな気がする。
だがオッサンは大きく首を横に振ると。
「この筐体は私が生涯を賭けて再現したものだからね。私が生きていた時代も、文明レベルは大したことないよ。少なくとも科学は存在していない」
モニターにドヤ顔オッサンを映す筐体。
生涯かけて再現したのが脱衣麻雀ゲーなのはどうなんですかね……。
「いや待て。そんな大事な物の中身をくり抜くのか?」
「そりゃそうだよ。私以外に脱衣麻雀ゲーをやらせるものかよ!」
こいつ思ったよりクズ野郎では?
ならせめて筐体のガワも剥がしておけよ! そのせいで俺がこんなに苦しんでるんだぞ!
……後で【異世界ショップ】に、脱衣麻雀ゲーないか確認しよ。
「恐怖したかい? でも安心したまえ。化け物……私たちはイレイザーと呼称している。そのイレイザーを、倒す術を君たちに与えよう」
オッサンはドヤ顔でウインクしてきた。
……さっきまでの言動、俺達を脅すための材料だろ!
「だが無料と言うわけにはいかないなー」
「練り消しお代わりをご所望で?」
「くっ! 殺すなら殺せ! だが私が眠ったら困るのは君たちだぞっ!」
モニターに顔面ドアップのオッサンが写る。くそ、この野郎ふっきれやがった!
だがどんな要求だろうと受けるわけにはいかない! こいつを調子に乗らせたらどんどん要求がエスカレートしていく!
オッサンが大きく口を開くが、要求されたと同時に拒否しなければ!
「そこの双子の女の子と、胸の大きい娘よ。私と脱衣麻雀しよう」
「世界を救うためだから仕方ない。三人とも、このオッサンの指示に従うんだ」
これはしょうがないなー。世界を救うために必要な情報だもんなー。
俺も不満を飲み込んで従うしかないわー。つれーわー。
三人は脱衣麻雀のことを知らないのか、首をかしげている。
「ふっふっふ、では脱衣麻雀の説明をしよう」
オッサンがルール説明をしていくと、カーマとラークの顔がみるみる赤くなっていく。
なおエフィルンは無表情のままである。
「そ、そんな要求嫌だよ!」
「拒否」
「それだと世界は救われないなー。君たちのせいで世界が滅んじゃうなー」
オッサンが超エロい顔して、下卑た声で楽しそうである。
カーマたちは助けを求めて俺の方を向いてきた。
「ね、ねえあなた……何とかならない?」
「無理だな。この男の鋼の意思を割る方法を俺は思い浮かばない。世界を救うために脱いでくれ」
俺の言葉に二人とも悲しそうな顔を浮かべる。
だが俺とてこんなオッサンに、妻のあられもない姿を見せたくはない。
なのでよいところで筐体のカメラにシール貼ってやろう。艶姿を見るのは俺だけでよい。
センダイとセバスチャンはこの部屋から追い出しておけばよい。
つまりこの勝負、最初から勝つのは俺だけなんだよ……!
「ひとつお聞きしたいことがあります」
「なんだね? おっぱいちゃん」
オッサンが鼻を伸ばした映像になっている。見ているな、胸を!
エフィルンはそんな顔を向けられても微動だにせずに。
「この脱衣麻雀はつまり、相手を合法的に脱がしたいだけですよね?」
「「…………」」
エフィルンのど真ん中ストレートの言葉に、俺とオッサンは黙り込んでしまった。
それを承諾と取ったのか、エフィルンは服を脱ぎ始めてっ……!?
「「な、なにやってる!?」」
「いえ。ようは脱いだ姿が見たいのですよね? 最初から脱げば話が早いのではと」
「おっぱいちゃん! ダメだそれは! それは犯罪じゃないかっ! 脱衣麻雀だからいいんだよ! 嫌がりながら服を一枚ずつ脱いでいき、徐々に身体を手で隠していくその姿!」
「そうだエフィルン! とうとう下着一枚になって、手ブラで胸を隠すのがいいんじゃないか!」
俺とオッサンの息が投合する。今、俺達の想いはひとつになった!
「「自分で脱いだら脱衣麻雀の意味がないだろ!!!!!」」
「仲いいね二人とも……」
失礼な、こんなオッサンと仲いいなんて。
結局、脱衣麻雀を行うことになった。
何故か部屋に用意されていた麻雀台に、各自が席につく。
なおオッサンは筐体自体が車輪で動いて麻雀台のそばに移動し、更にクレーンみたいな腕を伸ばして麻雀やり始めた。
「ふっふっふ。この時のために、筐体を改造しておいてよかった」
ドヤ顔のオッサン。素人でルールブックを見ながらのカーマたち。
それに対してたぶん百戦錬磨のオッサン。これでは勝負は目に見えている……そう思っていたのだが。
「それロン?」
「なんだとぉ!?」
オッサン、超絶ボロ負けである。四人で囲んでるのに一人だけ惨敗している。
いくら何でもおかしい。そう思ってカーマたちを観察していると。
よく考えたらカーマは相手の心読めるじゃん。こういったゲーム最強じゃん!?
普段の日常では微妙な能力感あるのに……こんな時ばかりっ……!
ラークに関しては氷を空中に発動させて、オッサンの牌を反射で写してカンニングしている……。
エフィルンも植物の根っことかに目をつけて、同じくカンニング……。
「うそだぁ!? 私がボロ負け!?」
「ねえねえ。おじさんが負けたらどうするの?」
「その箱、引っぺがす」
「やめてぇ!? 死ぬ!? 死んじゃうからぁ!? おじさんの一張羅なのこれ!」
カーマたちに詰め寄られて、筐体から悲鳴があがる。一張羅というかボディだろ。
仕方がないので俺は筐体を守るように立つと。
「まあ待て。オッサン、負けたんだからっ、ちゃんとっ、教えてもらうぞっ!」
震える拳を握りながら、筐体に決死の叫び。
オッサンも俺の心の叫びを感じ取ったのか。
「……すまない。せめて情報は伝えよう。イレイザーを倒すために、私たちは巨人を用意した」
モニターに映るオッサンの顔が真面目になり、筐体からも真剣な声が流れ始めた。
……ん? 巨人? …………なんかすごーく嫌な予感が。
「その巨人ならば、イレイザー相手でも殴り飛ばして勝てるはずだ。イレイザーを相手にするならば、こちらも大質量の無機質存在で戦うしかない」
「な、なるほど。ちなみにその巨人はどこに……?」
「ここの地上に眠っている。今は不可視になっているが、異空間に飛ばす力を持つ存在が近づけば自分で目覚めるはずだ」
……なるほど。イレイザーが近づいた時のみ目覚めるんだな!
じゃああのジャイランドは巨人違いってことだな!
たまたま偶然発生場所が一緒だっただけってことだな! そんなわけあるか!
「なので安心するがよいよ。私たちの最高傑作の巨神が、この世界を救ってくれる。これからは枕を高くして眠ってくれ」
眠れません。むしろ絶望に叩き落とされました。
「ち、ちなみに巨神って死んでも復活したり、二号機があったりしませんか……?」
「む? そんなものあるわけないよ。あくまで超巨大な肉のゴーレムだから死んだら復活しない。二号機もない」
そっかー二号機ないのかー……これはあれじゃな?
ゲームで取り返しのつかないアイテムを消費しちゃったやつじゃな!?
「あのー……ちょっと真に申し上げにくいのですが……」
「おっとすまない……私もそろそろ限界のようだ。この仮初の命、もうもたない……最後に脱衣麻雀できて楽しかったよ!」
そう言い残してモニターの電源が落ちて、オッサンの顔が写らなくなった……。
「ねえねえ。君たち双子? 可愛いね、アドレス交換しない?」
「あ、アドレス……?」
「意味不明」
なんだこのオッサン! ただのナンパクソ野郎じゃねぇか!
人の純情をもてあそんだばかりか、妻にまでちょっかいかけてくるとは!
「おいこのオッサン! そんなことより重要な情報とやらを言え! これでくだらないことだったら、お前のボタンに練り消し詰め込んで鬼連打してぶっ壊すぞ!」
「やめてくれ!? 再起動できなくなってしまう!? もはやそれは殺人罪だぞ!」
「ボタン壊しただけでそんな罪になるか! せいぜい汚物損壊罪だ!」
スズキさんの映像が滅茶苦茶怯えてる感じになった。
ええい! オッサンの怯え顔なんて見たくもない! どうせならモニターの映像を美少女にしろ!
オッサンは少し考え込んだ後に、下卑た笑みを浮かべると。
「そうかー。重要な情報が欲しいのかー。でも無料で教えるにはちょっと価値が高すぎるというかー」
俺は無言で【異世界ショップ】から消しゴムを購入し、懐から取り出す。
そして筐体の上でゴシゴシと消しゴムをこすりつけていく。
そのうちボタンと筐体の間の隙間に、ケシカスが入って取れなくなるだろう。
「や、やめるんだ! 教えるから! 重要な情報だね……実はね、この世界は崩壊が近づいていて」
「練り消し準備OK。これよりボタンと筐体の隙間に練りこみを開始する!」
そんなもの知ってるんだよ! 知ってる情報をしたり顔で言われるの腹立つ!
「ちょっまっ!? その崩壊の原因は封印されたとある物が原因だから! 練り消しやめてぇ! 白雪姫になっちゃう!? 眠ったまま再起動できなくなっちゃうよぉ!?」
「白雪姫なんておこがましい! お前なんて眠れる森のケダモノだろうが! 放置されて永遠に眠っておけ!」
「わかった! もうぼかすのはやめるからっ! 情報小出しにしないからっ! 封印された化け物が、世界を飲み干す存在なんだ!?」
ようやくオッサンが具体的なことを言い出したので、練り消し詰めるのをやめる。
だがまだ練り消しは手に持っておく。
「封印された化け物って、具体的な特徴は?」
「柔らかい巨人だよ。顔などはないから、透き通ったゴーレムみたいな外見だね」
柔らかい巨大なゴーレムか。それなら柔らかくて封印できて、かつ切り刻めるな。
ラスペラス国のうわきつ女王が言った特徴と一致している。
「そのソフト巨人が何でヤバイんだ? 話聞いてる限り、なんかマスコット感がすごいんだが」
俺の中で餅ゴーレムみたいな外見になってきている。
滅茶苦茶ゆるキャラ感があって、とてもではないが脅威を感じない。
「あの化け物……便宜上ゴーレムとしようか。あのゴーレムは触れた人や魔物や魔法を、異空間に飛ばす恐ろしい力を持っている」
「異空間に飛ばされたらどうなるんだ?」
「知らないよ。今まで帰って来た人はいないからね。案外異空間は高級リゾートでくつろいでいるかもよ?」
「そんなわけあるか!」
触っただけで異空間に飛ばす力とかやば過ぎるだろ。
そんなチートじみた化け物相手にどうしろと……。
「……その餅ゴーレムは、どんな者でも異空間に飛ばせるのか?」
「いや。先ほども言ったけど、人と魔物と魔法で生み出された物だけだ。なので物理攻撃は効き目がある。だが弾力性のある身体相手には、並大抵の武器は通用しないんだ」
「魔法完全無効はきついな……。だが物理攻撃が効くなら勝てそうだが。少なくともあんたらの文明レベルなら。ミサイルとかあるだろ」
俺は練り消しを床に捨てながら、筐体と会話を続ける。
このオッサンの技術力は地球の現代の科学に匹敵する。
ならミサイルとか打ち込めるだろうし、普通に戦えそうな気がする。
だがオッサンは大きく首を横に振ると。
「この筐体は私が生涯を賭けて再現したものだからね。私が生きていた時代も、文明レベルは大したことないよ。少なくとも科学は存在していない」
モニターにドヤ顔オッサンを映す筐体。
生涯かけて再現したのが脱衣麻雀ゲーなのはどうなんですかね……。
「いや待て。そんな大事な物の中身をくり抜くのか?」
「そりゃそうだよ。私以外に脱衣麻雀ゲーをやらせるものかよ!」
こいつ思ったよりクズ野郎では?
ならせめて筐体のガワも剥がしておけよ! そのせいで俺がこんなに苦しんでるんだぞ!
……後で【異世界ショップ】に、脱衣麻雀ゲーないか確認しよ。
「恐怖したかい? でも安心したまえ。化け物……私たちはイレイザーと呼称している。そのイレイザーを、倒す術を君たちに与えよう」
オッサンはドヤ顔でウインクしてきた。
……さっきまでの言動、俺達を脅すための材料だろ!
「だが無料と言うわけにはいかないなー」
「練り消しお代わりをご所望で?」
「くっ! 殺すなら殺せ! だが私が眠ったら困るのは君たちだぞっ!」
モニターに顔面ドアップのオッサンが写る。くそ、この野郎ふっきれやがった!
だがどんな要求だろうと受けるわけにはいかない! こいつを調子に乗らせたらどんどん要求がエスカレートしていく!
オッサンが大きく口を開くが、要求されたと同時に拒否しなければ!
「そこの双子の女の子と、胸の大きい娘よ。私と脱衣麻雀しよう」
「世界を救うためだから仕方ない。三人とも、このオッサンの指示に従うんだ」
これはしょうがないなー。世界を救うために必要な情報だもんなー。
俺も不満を飲み込んで従うしかないわー。つれーわー。
三人は脱衣麻雀のことを知らないのか、首をかしげている。
「ふっふっふ、では脱衣麻雀の説明をしよう」
オッサンがルール説明をしていくと、カーマとラークの顔がみるみる赤くなっていく。
なおエフィルンは無表情のままである。
「そ、そんな要求嫌だよ!」
「拒否」
「それだと世界は救われないなー。君たちのせいで世界が滅んじゃうなー」
オッサンが超エロい顔して、下卑た声で楽しそうである。
カーマたちは助けを求めて俺の方を向いてきた。
「ね、ねえあなた……何とかならない?」
「無理だな。この男の鋼の意思を割る方法を俺は思い浮かばない。世界を救うために脱いでくれ」
俺の言葉に二人とも悲しそうな顔を浮かべる。
だが俺とてこんなオッサンに、妻のあられもない姿を見せたくはない。
なのでよいところで筐体のカメラにシール貼ってやろう。艶姿を見るのは俺だけでよい。
センダイとセバスチャンはこの部屋から追い出しておけばよい。
つまりこの勝負、最初から勝つのは俺だけなんだよ……!
「ひとつお聞きしたいことがあります」
「なんだね? おっぱいちゃん」
オッサンが鼻を伸ばした映像になっている。見ているな、胸を!
エフィルンはそんな顔を向けられても微動だにせずに。
「この脱衣麻雀はつまり、相手を合法的に脱がしたいだけですよね?」
「「…………」」
エフィルンのど真ん中ストレートの言葉に、俺とオッサンは黙り込んでしまった。
それを承諾と取ったのか、エフィルンは服を脱ぎ始めてっ……!?
「「な、なにやってる!?」」
「いえ。ようは脱いだ姿が見たいのですよね? 最初から脱げば話が早いのではと」
「おっぱいちゃん! ダメだそれは! それは犯罪じゃないかっ! 脱衣麻雀だからいいんだよ! 嫌がりながら服を一枚ずつ脱いでいき、徐々に身体を手で隠していくその姿!」
「そうだエフィルン! とうとう下着一枚になって、手ブラで胸を隠すのがいいんじゃないか!」
俺とオッサンの息が投合する。今、俺達の想いはひとつになった!
「「自分で脱いだら脱衣麻雀の意味がないだろ!!!!!」」
「仲いいね二人とも……」
失礼な、こんなオッサンと仲いいなんて。
結局、脱衣麻雀を行うことになった。
何故か部屋に用意されていた麻雀台に、各自が席につく。
なおオッサンは筐体自体が車輪で動いて麻雀台のそばに移動し、更にクレーンみたいな腕を伸ばして麻雀やり始めた。
「ふっふっふ。この時のために、筐体を改造しておいてよかった」
ドヤ顔のオッサン。素人でルールブックを見ながらのカーマたち。
それに対してたぶん百戦錬磨のオッサン。これでは勝負は目に見えている……そう思っていたのだが。
「それロン?」
「なんだとぉ!?」
オッサン、超絶ボロ負けである。四人で囲んでるのに一人だけ惨敗している。
いくら何でもおかしい。そう思ってカーマたちを観察していると。
よく考えたらカーマは相手の心読めるじゃん。こういったゲーム最強じゃん!?
普段の日常では微妙な能力感あるのに……こんな時ばかりっ……!
ラークに関しては氷を空中に発動させて、オッサンの牌を反射で写してカンニングしている……。
エフィルンも植物の根っことかに目をつけて、同じくカンニング……。
「うそだぁ!? 私がボロ負け!?」
「ねえねえ。おじさんが負けたらどうするの?」
「その箱、引っぺがす」
「やめてぇ!? 死ぬ!? 死んじゃうからぁ!? おじさんの一張羅なのこれ!」
カーマたちに詰め寄られて、筐体から悲鳴があがる。一張羅というかボディだろ。
仕方がないので俺は筐体を守るように立つと。
「まあ待て。オッサン、負けたんだからっ、ちゃんとっ、教えてもらうぞっ!」
震える拳を握りながら、筐体に決死の叫び。
オッサンも俺の心の叫びを感じ取ったのか。
「……すまない。せめて情報は伝えよう。イレイザーを倒すために、私たちは巨人を用意した」
モニターに映るオッサンの顔が真面目になり、筐体からも真剣な声が流れ始めた。
……ん? 巨人? …………なんかすごーく嫌な予感が。
「その巨人ならば、イレイザー相手でも殴り飛ばして勝てるはずだ。イレイザーを相手にするならば、こちらも大質量の無機質存在で戦うしかない」
「な、なるほど。ちなみにその巨人はどこに……?」
「ここの地上に眠っている。今は不可視になっているが、異空間に飛ばす力を持つ存在が近づけば自分で目覚めるはずだ」
……なるほど。イレイザーが近づいた時のみ目覚めるんだな!
じゃああのジャイランドは巨人違いってことだな!
たまたま偶然発生場所が一緒だっただけってことだな! そんなわけあるか!
「なので安心するがよいよ。私たちの最高傑作の巨神が、この世界を救ってくれる。これからは枕を高くして眠ってくれ」
眠れません。むしろ絶望に叩き落とされました。
「ち、ちなみに巨神って死んでも復活したり、二号機があったりしませんか……?」
「む? そんなものあるわけないよ。あくまで超巨大な肉のゴーレムだから死んだら復活しない。二号機もない」
そっかー二号機ないのかー……これはあれじゃな?
ゲームで取り返しのつかないアイテムを消費しちゃったやつじゃな!?
「あのー……ちょっと真に申し上げにくいのですが……」
「おっとすまない……私もそろそろ限界のようだ。この仮初の命、もうもたない……最後に脱衣麻雀できて楽しかったよ!」
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