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第十七章
意外な訪問者
今回電磁砲から発射した弾丸の速度はマッハ七。
三キロ先のワームホールに到達するまで一・五秒。
こんな短時間では、ワームホールを閉じる事はできない。
弾丸は狙い違わずワームホール内に飛び込む。
直後に大爆発が起きた。
ワームホール前に集結していた自爆ドローンが、一斉に爆発でもしたのだろう。
ワームホールは、そのまま閉じる事はなく延々と黒煙を吐き続けていた。
「こいつは酷い有様だな」
《はくげい》の発令所でワームホール内の映像を見ながら、長津田艦長がそう言ったのは、砲撃から三十分ほど後のこと。
この映像は、ワームホール内に送り込んだ偵察ドローンから送られてきたものだ。
そこには帝国兵の遺体、ドローンの残骸、ワームホール開閉機材だったと思われる物の残骸が散らばっている。
時空穿孔機だけは破壊を免れたようだが、この状況ではタウリ族の自動修復メカでもすぐには修復できないだろう。
「よお」
カルルが発令所に入ってきた。
「カルル。もう病室出てきていいのか?」
「鎮痛剤を打ってもらったから、しばらくは大丈夫だ。ああ、それと念のため、クラスノフ博士に検査してもらった」
「どうだった?」
「俺の頭からは、プシトロンパルスは出ていない。レム神とは、接続されていない事が証明された」
「そうか。よかった」
「そもそも、俺が接続されたという誤解の原因は、地下室にブレインレターがあったという事だが、本当にそんな物があったのか?」
「あったよ。映像もある。見るか?」
「ああ、見せてくれ」
昆虫型ドローンが撮影した映像をタブレットに表示した。
「これだ」
カルルはタブレットを受け取り、しばらく眺めていた。
程なくして……
「ぶわはははは!」
突然カルルは、堪えきれなくなったように笑いだした。
「カルル。何がおかしい?」
「海斗……これ……ゴミ箱だぞ」
なぬ?
「何ですって?」「ゴミ箱?」
古淵と橋本晶も、近くによって来てタブレットを覗き込む。
「いや……銀色の円筒だったし……」「大きさも似ていたから……」
なるほど。ゴミ箱なら床の上にあったとしても問題は無いな。
やれやれ。僕達はゴミ箱を、ブレインレターと思い違いをしていて大騒ぎしていたのか。
「まあ、ブレインレターは良いとして、レオニート・アダモフ先生はどうなった?」
「心配ない。今はプシトロンパルスを遮断する隔離部屋で眠ってもらっている。十時間もすれば、接続は完全に切れるだろう」
「そうか。接続者とはいえ、命を救ってくれた医者に、あまり手荒な事はして欲しくはないからな」
ミールが発令所に入ってきたのはその時だった。
「カイトさん。ちょっと良いですか?」
「ミール、どうした?」
「カイトさんに、お会いしたいという人がいるのです。ちょっとゲストルームへ来てもらえますか」
「ああ、分かった」
僕は席を立ち、ミールと一緒に発令所を出た。
通路を歩く途中でミールに尋ねる。
「その人は、ミールと一緒にヘリコプターで来た人か?」
「ええ。カイトさんの知っている人なのですが……」
誰だろう?
「外側は知っている人ですが、中身が知らない人というか……会ってみれば分かります」
ゲストルームで待っていたのは、十二歳ぐらいの可愛らしい顔をした少年。
というか……
「ミーチャじゃないか。今日は平日だぞ。学校はどうしたんだ?」
ミーチャは、にこりと笑うと口を開いた。
「やあ、北村海斗さん。お久しぶりと言うべきか、初めましてというべきか迷うけど」
これは? ミーチャはふざけているのか? いや、ミーチャはそんな事はしない奴だ。
「あんたは、ミーチャじゃないな」
「いかにも。と言っても、この身体は間違いなくミーチャ・アリエフ君に間違いはありません。ただ、今あなたと話をしているのは別人です」
「誰だ?」
「私は、レム・ベルキナ」
なんだって!?
三キロ先のワームホールに到達するまで一・五秒。
こんな短時間では、ワームホールを閉じる事はできない。
弾丸は狙い違わずワームホール内に飛び込む。
直後に大爆発が起きた。
ワームホール前に集結していた自爆ドローンが、一斉に爆発でもしたのだろう。
ワームホールは、そのまま閉じる事はなく延々と黒煙を吐き続けていた。
「こいつは酷い有様だな」
《はくげい》の発令所でワームホール内の映像を見ながら、長津田艦長がそう言ったのは、砲撃から三十分ほど後のこと。
この映像は、ワームホール内に送り込んだ偵察ドローンから送られてきたものだ。
そこには帝国兵の遺体、ドローンの残骸、ワームホール開閉機材だったと思われる物の残骸が散らばっている。
時空穿孔機だけは破壊を免れたようだが、この状況ではタウリ族の自動修復メカでもすぐには修復できないだろう。
「よお」
カルルが発令所に入ってきた。
「カルル。もう病室出てきていいのか?」
「鎮痛剤を打ってもらったから、しばらくは大丈夫だ。ああ、それと念のため、クラスノフ博士に検査してもらった」
「どうだった?」
「俺の頭からは、プシトロンパルスは出ていない。レム神とは、接続されていない事が証明された」
「そうか。よかった」
「そもそも、俺が接続されたという誤解の原因は、地下室にブレインレターがあったという事だが、本当にそんな物があったのか?」
「あったよ。映像もある。見るか?」
「ああ、見せてくれ」
昆虫型ドローンが撮影した映像をタブレットに表示した。
「これだ」
カルルはタブレットを受け取り、しばらく眺めていた。
程なくして……
「ぶわはははは!」
突然カルルは、堪えきれなくなったように笑いだした。
「カルル。何がおかしい?」
「海斗……これ……ゴミ箱だぞ」
なぬ?
「何ですって?」「ゴミ箱?」
古淵と橋本晶も、近くによって来てタブレットを覗き込む。
「いや……銀色の円筒だったし……」「大きさも似ていたから……」
なるほど。ゴミ箱なら床の上にあったとしても問題は無いな。
やれやれ。僕達はゴミ箱を、ブレインレターと思い違いをしていて大騒ぎしていたのか。
「まあ、ブレインレターは良いとして、レオニート・アダモフ先生はどうなった?」
「心配ない。今はプシトロンパルスを遮断する隔離部屋で眠ってもらっている。十時間もすれば、接続は完全に切れるだろう」
「そうか。接続者とはいえ、命を救ってくれた医者に、あまり手荒な事はして欲しくはないからな」
ミールが発令所に入ってきたのはその時だった。
「カイトさん。ちょっと良いですか?」
「ミール、どうした?」
「カイトさんに、お会いしたいという人がいるのです。ちょっとゲストルームへ来てもらえますか」
「ああ、分かった」
僕は席を立ち、ミールと一緒に発令所を出た。
通路を歩く途中でミールに尋ねる。
「その人は、ミールと一緒にヘリコプターで来た人か?」
「ええ。カイトさんの知っている人なのですが……」
誰だろう?
「外側は知っている人ですが、中身が知らない人というか……会ってみれば分かります」
ゲストルームで待っていたのは、十二歳ぐらいの可愛らしい顔をした少年。
というか……
「ミーチャじゃないか。今日は平日だぞ。学校はどうしたんだ?」
ミーチャは、にこりと笑うと口を開いた。
「やあ、北村海斗さん。お久しぶりと言うべきか、初めましてというべきか迷うけど」
これは? ミーチャはふざけているのか? いや、ミーチャはそんな事はしない奴だ。
「あんたは、ミーチャじゃないな」
「いかにも。と言っても、この身体は間違いなくミーチャ・アリエフ君に間違いはありません。ただ、今あなたと話をしているのは別人です」
「誰だ?」
「私は、レム・ベルキナ」
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