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第十一章

単縦陣で突撃せよ(天竜過去編)2

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 結局、先頭は王が務める事になった。
 その後ろに趙、三機目がアーニャ、四機目が馬、最後尾は僕。
 
「アーニャ。なんで僕が最後尾なの?」
「私達の中で、一番射撃が上手いのは君だからよ」

 そして、僕達は王機を先頭に突撃を開始した。
 僕らの接近を察知した敵は、電磁砲レールキャノンを撃ってくる。
 砲弾は数キロ手前で爆発して破片を撒き散らした。
 爆散円が迫る。

 王機がエアバックを膨らました。直後、爆散円と王機がレーダー上で重なる。

「やっぱり駄目だ。これだけの相対速度差があると、エアバックじゃ防げない。俺は離脱するが後は頼む」
「王!」
チャン、心配するな。母船の中では俺は生きているんだ。電磁砲レールキャノンがまだ生きているから、列から離れたらそいつを撃ち切っていくよ」

 王機がスラスターを噴射して列から離れた。趙機が列の先頭に出る。

「趙。お前が弾丸受け止める時は、俺の時より相対速度は大きくなっているはずだ。後の奴らを守ってくれ」
「あんたに言われなくたってやるわよ! 余計な事言ってないで、さっさと残弾撃ち切って予備機にリンクしなさいよ。魅音ミオン一人で大変なんだから。あ! 魅音と二人っ切りになったからって、ちょっかい出したら許さないんだからね」
「出さないから安心しろ」

 王が敵に向かって電磁砲レールキャノンを連射した。同時に反動物質が後方へ飛んでくる。これがあるので一列縦隊の時は、電磁砲レールキャノンが使えなかったのだ。

「じゃあ、俺は柳 魅音と合流する。後は頼んだぞ」

 王のアバターが消えた。

 王の撃った砲弾は、まだ敵に到着していない。着弾まで後、十秒……九秒……八秒……

 カウントダウンがゼロに……戦果は?

 護衛機 一機大破。レーザー機損害なし

 これだけか……

「次は私の番ね」

 趙がそう言った時、敵は電磁砲レールキャノンの第二弾を撃ってきた。

「こいつは私が防ぐから、あんた達は私の後ろでふるえていなさい」

 砲弾が迫る。

「デブの言う通り、さっきより相対速度が大きいわ。私の機体はデブより大きな損害を受けるはず。もしかすると、スラスターも壊れてしまって、自力で列から離れられないかもしれない。その時は、アーニャ。構わないから、あなたのレーザーで私の機体を排除して」
「分かったわ。趙 麗華さん」

 砲弾が爆発した。
 爆散円が迫る。

「さあ! 私を殺してみなさい!」

 いや、死なないから……

 趙機と爆散円が重なる。
 だが、アバターはまだ消えていない。

「アーニャ。電磁砲レールキャノンは壊れちゃったけど、スラスターはなんとか持ち堪えたわ。自力で動けそうよ」
「分かったわ」

 趙機が列から離れる。

「それじゃあ、私は予備機に移るわ。後は頼むわよ。それから、あんた達の誰か一人でいいから早めに来てね。デブとの喧嘩を止めてくれる人がいないと困るから」

 困るくらいなら、最初はなから喧嘩なんか売るなあ!

 趙のアバターが消えた。
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