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第十一章
悲しくも迷惑な恋(天竜過去編)
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趙 麗華のアバターが消えた後、馬 美玲が僕の方を振り向いた。
「ところで、今の人は、なんでおデブのお兄さんと喧嘩しているのですか?」
「それはだね……」
僕は手短に説明した。
「なるほどね……だいたい分かりました」
「本当に困ったものだね」
「恋ですね」
「は?」
「恋ですよ。あの、趙 麗華というお姉さん、恋をしていますね」
「なんでそうなるの?」
「恋は人を盲目にするのですよ」
「それは、知っているけど……」……僕だってミクちゃんへの恋心が無かったら、こんな船に乗り込んだりしなかったろうし……
「趙 麗華さんが、誰に恋をしていると?」
「話を聞いてみると、趙 麗華さんは、あのおデブのお兄さんをなんとか覗き魔に仕立て上げようとしているじゃないですか。いったい、誰にそう思わせたいのか?」
「さあ?」
「ここにはいない、柳 魅音という人に、そう思わせたいのでしょ」
「思わせて、どうすんの?」
「話聞いたところでは、柳 魅音さんとおデブのお兄さんは、いい雰囲気だったそうじゃないですか? それを邪魔したかったのでしょう」
「え? という事は……」
「そういう事ですね」
趙 麗華は同性愛者? いやいや、そういう事で人を差別しちゃいけないんだよね。
そういう人もいるんだよ。そういう人も……
しかし、同性愛者同士だったらそれでいいかもしれないけど、柳 魅音がノーマルだったら……たぶんノーマルだろう。ノーマルだから、王といい雰囲気になっていたわけで……それじゃあ、この恋の成就はあり得ない。
そうか! 趙 麗華も、それが分かっているんだ。分かっているからこそ、自分のものにならない柳 魅音を誰にも渡したくない。
それで彼女に近づく男を妨害しているんだ。
悲しくも、迷惑な恋だな……
先頭にいたアーニャが振り向いた。
「私もそんな気がしていたわ」
「ありゃあ、アーニャさんも気がついていましたか。やっぱり、恋を知らないお子ちゃまには分かりませんよね」
「ちょっと! 恋を知らないお子ちゃまって僕の事?」
「ありゃ。ごめんね。馬鹿にするつもりは無かったわ」
「馬 美玲さん。白龍君は、恋を知っているわよ」
「え? そうなの」
僕は《イサナ》との交流会の事を話した。
「ああ! あの時、そんな事が。私も行ったけど、日本船のはずなのに白人のけったいなお兄さんがいてナンパされました。断ったけど」
「馬さんも、あそこにいたんだ」
「ええ。白人のお兄さんをふった後、カーテンの後ろからハンサムさんが出てきて……声をかけようとしたけど、《イサナ》の女の子達のガードが固くて」
「その人知っているよ。揚さんが逆ナンしようとした人」
「ああ! 私も見ていた」
「その人の横に、浴衣着た女の子がいたでしょ」
「いたねえ。可愛い女の子が」
「僕、あの女の子にプロポーズしたんだ」
「プ……プロポーズ!? 告白通り越していきなり」
「うん。お友達でいましょうって言われちゃったけど……」
その時、警報が鳴った。アーニャが真剣な眼差しで振り返る。
「敵が撃ってきたわ」
「ところで、今の人は、なんでおデブのお兄さんと喧嘩しているのですか?」
「それはだね……」
僕は手短に説明した。
「なるほどね……だいたい分かりました」
「本当に困ったものだね」
「恋ですね」
「は?」
「恋ですよ。あの、趙 麗華というお姉さん、恋をしていますね」
「なんでそうなるの?」
「恋は人を盲目にするのですよ」
「それは、知っているけど……」……僕だってミクちゃんへの恋心が無かったら、こんな船に乗り込んだりしなかったろうし……
「趙 麗華さんが、誰に恋をしていると?」
「話を聞いてみると、趙 麗華さんは、あのおデブのお兄さんをなんとか覗き魔に仕立て上げようとしているじゃないですか。いったい、誰にそう思わせたいのか?」
「さあ?」
「ここにはいない、柳 魅音という人に、そう思わせたいのでしょ」
「思わせて、どうすんの?」
「話聞いたところでは、柳 魅音さんとおデブのお兄さんは、いい雰囲気だったそうじゃないですか? それを邪魔したかったのでしょう」
「え? という事は……」
「そういう事ですね」
趙 麗華は同性愛者? いやいや、そういう事で人を差別しちゃいけないんだよね。
そういう人もいるんだよ。そういう人も……
しかし、同性愛者同士だったらそれでいいかもしれないけど、柳 魅音がノーマルだったら……たぶんノーマルだろう。ノーマルだから、王といい雰囲気になっていたわけで……それじゃあ、この恋の成就はあり得ない。
そうか! 趙 麗華も、それが分かっているんだ。分かっているからこそ、自分のものにならない柳 魅音を誰にも渡したくない。
それで彼女に近づく男を妨害しているんだ。
悲しくも、迷惑な恋だな……
先頭にいたアーニャが振り向いた。
「私もそんな気がしていたわ」
「ありゃあ、アーニャさんも気がついていましたか。やっぱり、恋を知らないお子ちゃまには分かりませんよね」
「ちょっと! 恋を知らないお子ちゃまって僕の事?」
「ありゃ。ごめんね。馬鹿にするつもりは無かったわ」
「馬 美玲さん。白龍君は、恋を知っているわよ」
「え? そうなの」
僕は《イサナ》との交流会の事を話した。
「ああ! あの時、そんな事が。私も行ったけど、日本船のはずなのに白人のけったいなお兄さんがいてナンパされました。断ったけど」
「馬さんも、あそこにいたんだ」
「ええ。白人のお兄さんをふった後、カーテンの後ろからハンサムさんが出てきて……声をかけようとしたけど、《イサナ》の女の子達のガードが固くて」
「その人知っているよ。揚さんが逆ナンしようとした人」
「ああ! 私も見ていた」
「その人の横に、浴衣着た女の子がいたでしょ」
「いたねえ。可愛い女の子が」
「僕、あの女の子にプロポーズしたんだ」
「プ……プロポーズ!? 告白通り越していきなり」
「うん。お友達でいましょうって言われちゃったけど……」
その時、警報が鳴った。アーニャが真剣な眼差しで振り返る。
「敵が撃ってきたわ」
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