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第十一章
ラッキースケベ(天竜過去編)
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惑星へ向かった偵察隊からの報告が入ったのは、僕達が《天竜》に帰還した翌日のこと。
それは、五十年前に無人探査機が送ってきた報告と少し違っていた。
大陸の形とか地形は五十年前とほとんど変わっていない。
野生動物の分布も……
問題は、知的生命体の分布……
五十年前の報告では、この惑星に一番多いのは猫耳ヒューマノイド。次に多いのがトカゲ型異星人という事になっていた。
しかし、偵察隊の報告では、トカゲ型異星人が激減し、その代わりに地球人とそっくりな……いや、地球人が国を作っていたのだ。
間違えなく、マトリョーシカ号から降りてきたコピー人間達。
アーニャの言っていた通り、レムは宇宙条約で禁止された侵略行為を行っていたのだ。
そして、偵察隊はさらに悪い報告を送ってきた。
マトリョーシカ号から、八十機の戦闘宇宙機が発進したというのだ。
前回の倍だ。
対する《天竜》の対策は……
「嫌です」
《天竜》の一室で僕がとある申し出を断ると、楊さんは意外そうな顔をした。僕が断らないとでも思っていたのか?
「いいじゃないの。減るものじゃないし」
「減るとか減らないとか、そういう問題じゃない。だいたいなんで、僕の記憶をスキャナーで読み取る必要があるんですか?」
「なんでって、人工知能を作るには、人間の記憶をベースにするのが手っ取り早いからだが……」
「だったから、楊さんの記憶を使えばいいでしょ」
「もちろん、私の記憶をベースにした人工知能も作るが、戦闘宇宙機の人工知能は君の方がいい」
「だったら、電脳空間の僕を使えばいいじゃないですか?」
「電脳空間の君は戦闘を経験していない。前回の戦闘を生き抜いた朱雀隊、玄武隊の中で君が一番若くて優秀だった」
「でも……」
そんな事をすると、僕の記憶を加工するプログラマーに、あんな事や、こんな事を見られて……
「白龍君。電脳空間の君は良くて、今の君は嫌だという事はプリンターから出力された後で、何か人に知られて困るような事でもあったのかい?」
「そ……そんなの……ないです」
「では、《朱雀》のキャビンで、君とアーニャがキスしていた事は別に知られてもいいのだな?」
「だあああああ! なんで、知っているんですかあ!?」
「いや、キャビンの様子を見ようとしたら、君の上にアーニャが乗っかっているのが見えてな」
見られていたのか……
「あ……あれは事故です!」
「分かっている、分かっている。ラッキースケベというのだろう」
「ラッキースケベ言うなあ!」
「とにかく、今度の敵は前回の倍。急いで人工知能を作らないと迎撃が間に合わない」
「しかし……」
「有人船で迎撃に出れば、まだ犠牲者が出る。それでもいいのか?」
「それは……」……いいわけない。
僕はしぶしぶ承知した。
それは、五十年前に無人探査機が送ってきた報告と少し違っていた。
大陸の形とか地形は五十年前とほとんど変わっていない。
野生動物の分布も……
問題は、知的生命体の分布……
五十年前の報告では、この惑星に一番多いのは猫耳ヒューマノイド。次に多いのがトカゲ型異星人という事になっていた。
しかし、偵察隊の報告では、トカゲ型異星人が激減し、その代わりに地球人とそっくりな……いや、地球人が国を作っていたのだ。
間違えなく、マトリョーシカ号から降りてきたコピー人間達。
アーニャの言っていた通り、レムは宇宙条約で禁止された侵略行為を行っていたのだ。
そして、偵察隊はさらに悪い報告を送ってきた。
マトリョーシカ号から、八十機の戦闘宇宙機が発進したというのだ。
前回の倍だ。
対する《天竜》の対策は……
「嫌です」
《天竜》の一室で僕がとある申し出を断ると、楊さんは意外そうな顔をした。僕が断らないとでも思っていたのか?
「いいじゃないの。減るものじゃないし」
「減るとか減らないとか、そういう問題じゃない。だいたいなんで、僕の記憶をスキャナーで読み取る必要があるんですか?」
「なんでって、人工知能を作るには、人間の記憶をベースにするのが手っ取り早いからだが……」
「だったから、楊さんの記憶を使えばいいでしょ」
「もちろん、私の記憶をベースにした人工知能も作るが、戦闘宇宙機の人工知能は君の方がいい」
「だったら、電脳空間の僕を使えばいいじゃないですか?」
「電脳空間の君は戦闘を経験していない。前回の戦闘を生き抜いた朱雀隊、玄武隊の中で君が一番若くて優秀だった」
「でも……」
そんな事をすると、僕の記憶を加工するプログラマーに、あんな事や、こんな事を見られて……
「白龍君。電脳空間の君は良くて、今の君は嫌だという事はプリンターから出力された後で、何か人に知られて困るような事でもあったのかい?」
「そ……そんなの……ないです」
「では、《朱雀》のキャビンで、君とアーニャがキスしていた事は別に知られてもいいのだな?」
「だあああああ! なんで、知っているんですかあ!?」
「いや、キャビンの様子を見ようとしたら、君の上にアーニャが乗っかっているのが見えてな」
見られていたのか……
「あ……あれは事故です!」
「分かっている、分かっている。ラッキースケベというのだろう」
「ラッキースケベ言うなあ!」
「とにかく、今度の敵は前回の倍。急いで人工知能を作らないと迎撃が間に合わない」
「しかし……」
「有人船で迎撃に出れば、まだ犠牲者が出る。それでもいいのか?」
「それは……」……いいわけない。
僕はしぶしぶ承知した。
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