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第十二章
ロータスの町
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僕達は町中の適当ところで、乗り合い竜車から降りた。
遠ざかっていく竜車には、まだエラが乗っている。
後を付けたいところだが、今はそんな余裕はない。
どうやら、奴は薬をほとんど持っていないらしい。叩くなら今なのだが、こっちもロボットスーツがないし、何より本来の目的は帝国艦隊の動向を探ること。エラに関わっている余裕はない。
せめて、エラが薬を手に入れられないように妨害できないだろうか?
エラと一緒にいた女が薬を作るようだが……
「ミール。さっきの……」
僕のセリフをミールが遮った。
「カイトさん。ここは人通りが多すぎます。どこか落ち着いて話をできるところに入りましょう」
「そうだね」
周囲を見回したが、ロータスの町は本当に人通りが多い。
東京ほどではないが、それでもカルカの町よりの多くの人が行き交っていた。ヒソヒソ話をするには向かないな。
「カイトさん。あの店に入りましょう」
ミールが指さしたのは一軒のカフェ。
「あの店は、カップル専用の店ですから、密談にもうってつけです」
そうなのか? 日本にもそういう店があったが……
「ミールさん。デートではないのですよ」
腕にしがみついているPちゃんの方へ、ミールは顔を向けた。
「だめですよ。お人形さんが喋っては、怪しまれるではないですか」
「人形じゃありません。アンドロイドです。いいですか、ミールさん。私達は隠密活動中ですよ。分かっているのですか?」
「分かっていますわ。でも、隠密活動って人に悟られてはいけないのでしょ。だから、悟られないように、あたしはカイトさんとカップルを装うのです」
「隠密活動にかこつけて、ご主人様とデートしようという魂胆ですね?」
「違います。隠密活動を誤魔化すために仕方なくデートをするのです」
「仕方なく? ご主人様、聞きましたか? ミールさんは、本当は嫌なのに、仕方なくご主人様とデートするそうです」
おいおい……
「そ……そんな事言ってないでしょ! あたしがカイトさんとデートするのが、嫌なわけないじゃないですか!」
「やはり、隠密活動にかこつけてデートするのですね」
あ……頭が痛い……
遠ざかっていく竜車には、まだエラが乗っている。
後を付けたいところだが、今はそんな余裕はない。
どうやら、奴は薬をほとんど持っていないらしい。叩くなら今なのだが、こっちもロボットスーツがないし、何より本来の目的は帝国艦隊の動向を探ること。エラに関わっている余裕はない。
せめて、エラが薬を手に入れられないように妨害できないだろうか?
エラと一緒にいた女が薬を作るようだが……
「ミール。さっきの……」
僕のセリフをミールが遮った。
「カイトさん。ここは人通りが多すぎます。どこか落ち着いて話をできるところに入りましょう」
「そうだね」
周囲を見回したが、ロータスの町は本当に人通りが多い。
東京ほどではないが、それでもカルカの町よりの多くの人が行き交っていた。ヒソヒソ話をするには向かないな。
「カイトさん。あの店に入りましょう」
ミールが指さしたのは一軒のカフェ。
「あの店は、カップル専用の店ですから、密談にもうってつけです」
そうなのか? 日本にもそういう店があったが……
「ミールさん。デートではないのですよ」
腕にしがみついているPちゃんの方へ、ミールは顔を向けた。
「だめですよ。お人形さんが喋っては、怪しまれるではないですか」
「人形じゃありません。アンドロイドです。いいですか、ミールさん。私達は隠密活動中ですよ。分かっているのですか?」
「分かっていますわ。でも、隠密活動って人に悟られてはいけないのでしょ。だから、悟られないように、あたしはカイトさんとカップルを装うのです」
「隠密活動にかこつけて、ご主人様とデートしようという魂胆ですね?」
「違います。隠密活動を誤魔化すために仕方なくデートをするのです」
「仕方なく? ご主人様、聞きましたか? ミールさんは、本当は嫌なのに、仕方なくご主人様とデートするそうです」
おいおい……
「そ……そんな事言ってないでしょ! あたしがカイトさんとデートするのが、嫌なわけないじゃないですか!」
「やはり、隠密活動にかこつけてデートするのですね」
あ……頭が痛い……
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