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第十五章

発令所パニック2

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「お待たせしました」

 ミールが発令所に入ってきたのはその時。

 これで全員揃ったな。会議を始められる。

 ちなみにミールが遅かったのは、ジジイの分身体を作るために《水龍》に行ってもらっていたからだ。

 ミールの後から、ジジイの分身体が入ってくる。

 ん? まさかと思うが……

「ミール。それ、本当に分身体だろうな?」
「嫌ですね。カイトさん。分身体に決まっているじゃないですか」
「どれどれ」

 僕はポケットからデジカメを取り出してジジイに向けた。

 僕だけでは無かった。ここにいる全員が、一斉にデジカメを向けたのだ。

「いやですね。みんなデジカメなんか出して。このお爺さんは本物ですよ」

 これは……

「ミール! そいつ本物だ!」
「カイトさん。だから言っているじゃないですか。本物の分身体だって」
「いや、そうじゃなくて。また、分身体と本物が入れ替わっている!」
「え? きゃあああ!」

 次の瞬間、ジジイはミールの尻をなで回して逃げ出した。

「きょほほほ! ばれてしまっては、仕方がないのお」

 そのままジジイは、正面からアーニャの胸に飛びつこうとした。

「やめんか!」

 アーニャが鋭い右ストレートを放つ。

 パシ!

 ジジイは右掌でアーニャのパンチを受け止めると、その勢いで後ろに飛んでPちゃんの傍に着地。

「キャア!」

 ジジイにスカートを捲り上げられ、Pちゃんは悲鳴を上げる。

「きょほほほ! ロボ子の下着は白」

 この変態が!

「北村君! だめ! ここで発砲したら」

 は! アーニャに止められなければ、危うく拳銃を使うところだった。

 発令所は精密機器の塊。流れ弾が機器に当たったら大変だ。

「エラもここで放電はだめよ! 機械が壊れるわ」
「おのれ、変態ジジイめ」

 歯ぎしりするエラの前で、ジジイはカミラの胸を揉む。

「いやあああ!」

 カミラから離れると、ジジイはミクの方へ向かう。

「ひ!」

 恐怖に顔を引きつらせているミクの前を、ジジイは素通りした。

「ちょっと! なんであたしはスルーすんのよ!?」
「いや、おまえは胸ないし、幼女に手を出しては犯罪じゃからのう」

 幼女でなくても、十分犯罪だろうが!

「ムカつく」

 ミクは人型を取り出した。

「ミクよせ! ここで式神の召還は」

 ミクをなだめている間に、ジジイは芽依ちゃんの尻をなでていた。

「いやあああ! 変態!」
「きょほほほ! 眼鏡っ娘の尻も、いい感触じゃ」
「P0371! やっておしまいなさい!」
「はい。芽依様」

 おい、Pちゃんが暴れてもまずいのでは……

「ルスラン・クラスノフ博士。これ以上の狼藉は許しません」
「なんじゃロボ子。ここは精密機器の塊じゃぞ。ここではおまえの電撃も……」
「目からビーム!」
「うわあ! 目が! 目が!」

 Pちゃんのサーチライトをまともに見てしまったな。

 目を押さえ、床でのたうち回るジジイに、Pちゃんはゆっくりと歩み寄りジジイの首筋に麻酔注射を打ち込んだ。
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