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第十五章
蛇の道は蛇
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ミクの通信機からの電波を辿って降りたのは、アーテミスの表通りから外れた薄暗い路地。
建物に囲まれていて、日の当たらない場所だ。
周囲には、物乞いのような人たちが屯している。
治安の悪い地区のようだな。
しかし、ロボットスーツの上からトレンチコートを纏い、デンガロンハットを目深に被っている僕が降りるのには丁度いい場所かもしれないな。
ここなら、多少怪しい格好していても目立ちそうにないし……
「カイトさん。これ」
ミールが、石畳の上に落ちていたガラケーの様な物を拾った。
「ミクちゃんの通信機です。このストラップ間違えありません」
ここでミクに何かあったのか?
「なんだあ!? この変な野郎は」
突然聞こえた声の方に目を向けると、ガラの悪い男たちが五人ほどこっちへやってくるところだった。
五人とも、帝国人のようだ。こういう場所によくいるチンピラか。
「一緒にいる女、可愛いじゃねえか」
「おお! そこの変な奴。俺たちの縄張りに何の用だ?」
相手をするのも面倒な奴らだな。しかし……
「失せろ」
と言ったところで、失せるわけないだろう。
「ああ! 今、なんて言った? よく聞こえねえな」
もちろん、こいつらは『失せろ』と言った僕の言葉が聞こえなかったわけじゃない。『今謝れば、よく聞こえなかったという事にしておいてやる』という意味だろう。
だが、あいにく謝る気もその必要もない。
「失せろと言ったんだ。分かったのなら、さっさとこの場から消えろ。僕は今、気が立っている。おまえら雑魚相手に、手加減できる自信がない」
「なんだと! 俺たちも、手加減できなくなったぜ」
先頭にいた、モヒカン頭の男がナイフを抜いた。
「おらあ!」
奇声を上げて、モヒカンはナイフを突き出して突っ込んでくる。
僕はそれを避けもしないで正面から受け止めた。
ガツ!
「バカな野郎だ。金と女を置いて逃げれば、痛い思いをしなくて済んだのによ」
どうやら、モヒカンはナイフが刺さったと勘違いをしているようだな。
「おい。コートに穴が開いてしまったではないか。どうしてくれる」
「え?」
モヒカンは慌てて僕から離れて、ナイフがどうなっているかを確認した。
ナイフの刃は、根本から折れている。
「うわわ! なんじゃこりゃ!」
「ブースト」
ブーストパンチを食らって、モヒカンは吹っ飛んで行く。
そのまま背中から建物の壁にぶつかり、そして地面にうつ伏せに横たわり、ピクリとも動かなくなった。
「てめえ、服の下に鎧を付けていたのか。だが、これなら……」
スキンヘッドの男が、懐から出して構えたのは短銃。
どうやらフリントロック式のようだ。
一瞬だけ銃口のあたりを拡大してみたが、ライフルの溝はないな。この程度の銃では、九九式の装甲どころか、スケールアーマーだって貫けるか怪しいものだ。
「アニキ。銃はマズいすよ。銃声がしたら、自警団のやつらが……」
「うるせえ! ここまでなめられて黙ってられるか」
バーン!
銃声が鳴り響く。僕はとっさにミールを背後に庇った。
「へへ……バカな奴だ」
「バカは、どっちかな?」
「へ?」
撃たれても平然としている僕を見て、スキンヘッドは驚愕の表情を浮かべる。
「ちなみに弾丸なら、外れていないぞ」
僕は今撃たれたばかりの銃弾を摘んで、スキンヘッドの目の前に突きつけた。
「うわわわ!」
「ブースト」
スキンヘッドは、ブーストパンチを食らって吹っ飛んで行く。
そのまま背中から壁にぶつかり、先にノビていたモヒカンの上に重なって倒れた。
モヒカン同様、スキンヘッドもそのまま動かなくなる。
「さて」
僕は残りの三人に、視線を向けた。
「次は誰の番だ?」
三人の顔を見ると、すっかり戦意を消失しているようだ。
「おまえ行け」
「やだよ。おまえ行け」
「俺は、今朝から腹が痛いんだ」
「俺なんか昨日から、歯が痛いんだぞ」
三人は先を譲るばかりで、一向にかかってくる様子はない。
「なんなら三人まとめてかかってきても、いっこうにかまわんが」
僕の提案を聞いた三人は、一斉に悲鳴を上げた。
「ひいい!」「許してくだせえ! だんな」「悪いのは全部、ここにノビている二人です」
あっさり仲間を見捨てるのか……
ん?
今まで、僕の背後に隠れていたミールが、トコトコと男たちの前に歩み出た。
「ふざけないで下さい。あたしたちに喧嘩を売っておいて、ただで許してもらえると思っているのですか」
「ど……どうしろと?」
「誠意を見せなさい」
おいおい、ミール。こんな時に損害賠償なんて……
「勘弁して下さい。アネさん」「あっしら、スカンピンで」「昨日からメシも食ってなくて……」
それで、僕からカツアゲでもしようとしたのか?
「あら? あたしが言う『誠意』とは、お金ではありませんわ」
え? 違うの?
「あたしたちはここへ、人探しに来たのです。探すのを手伝ってくれるなら、許してあげますわ」
なるほど! 蛇の道は蛇。こういう場所で人を捜すなら、こういう奴らに聞くのが一番だな。
「お安いご用で」「で、アネさん。誰をお探しで?」
ミールは男たちにミクの写真を渡し、特徴を伝えた。
「手がかりを見つけてくれたら、銀貨十枚あげますわ」
「十枚!?」「銅貨じゃなくて銀貨を!」「おまえら! 気合い入れて探すぞ!」
男たちは、ミクを探しに路地の奥へと消えていった。
建物に囲まれていて、日の当たらない場所だ。
周囲には、物乞いのような人たちが屯している。
治安の悪い地区のようだな。
しかし、ロボットスーツの上からトレンチコートを纏い、デンガロンハットを目深に被っている僕が降りるのには丁度いい場所かもしれないな。
ここなら、多少怪しい格好していても目立ちそうにないし……
「カイトさん。これ」
ミールが、石畳の上に落ちていたガラケーの様な物を拾った。
「ミクちゃんの通信機です。このストラップ間違えありません」
ここでミクに何かあったのか?
「なんだあ!? この変な野郎は」
突然聞こえた声の方に目を向けると、ガラの悪い男たちが五人ほどこっちへやってくるところだった。
五人とも、帝国人のようだ。こういう場所によくいるチンピラか。
「一緒にいる女、可愛いじゃねえか」
「おお! そこの変な奴。俺たちの縄張りに何の用だ?」
相手をするのも面倒な奴らだな。しかし……
「失せろ」
と言ったところで、失せるわけないだろう。
「ああ! 今、なんて言った? よく聞こえねえな」
もちろん、こいつらは『失せろ』と言った僕の言葉が聞こえなかったわけじゃない。『今謝れば、よく聞こえなかったという事にしておいてやる』という意味だろう。
だが、あいにく謝る気もその必要もない。
「失せろと言ったんだ。分かったのなら、さっさとこの場から消えろ。僕は今、気が立っている。おまえら雑魚相手に、手加減できる自信がない」
「なんだと! 俺たちも、手加減できなくなったぜ」
先頭にいた、モヒカン頭の男がナイフを抜いた。
「おらあ!」
奇声を上げて、モヒカンはナイフを突き出して突っ込んでくる。
僕はそれを避けもしないで正面から受け止めた。
ガツ!
「バカな野郎だ。金と女を置いて逃げれば、痛い思いをしなくて済んだのによ」
どうやら、モヒカンはナイフが刺さったと勘違いをしているようだな。
「おい。コートに穴が開いてしまったではないか。どうしてくれる」
「え?」
モヒカンは慌てて僕から離れて、ナイフがどうなっているかを確認した。
ナイフの刃は、根本から折れている。
「うわわ! なんじゃこりゃ!」
「ブースト」
ブーストパンチを食らって、モヒカンは吹っ飛んで行く。
そのまま背中から建物の壁にぶつかり、そして地面にうつ伏せに横たわり、ピクリとも動かなくなった。
「てめえ、服の下に鎧を付けていたのか。だが、これなら……」
スキンヘッドの男が、懐から出して構えたのは短銃。
どうやらフリントロック式のようだ。
一瞬だけ銃口のあたりを拡大してみたが、ライフルの溝はないな。この程度の銃では、九九式の装甲どころか、スケールアーマーだって貫けるか怪しいものだ。
「アニキ。銃はマズいすよ。銃声がしたら、自警団のやつらが……」
「うるせえ! ここまでなめられて黙ってられるか」
バーン!
銃声が鳴り響く。僕はとっさにミールを背後に庇った。
「へへ……バカな奴だ」
「バカは、どっちかな?」
「へ?」
撃たれても平然としている僕を見て、スキンヘッドは驚愕の表情を浮かべる。
「ちなみに弾丸なら、外れていないぞ」
僕は今撃たれたばかりの銃弾を摘んで、スキンヘッドの目の前に突きつけた。
「うわわわ!」
「ブースト」
スキンヘッドは、ブーストパンチを食らって吹っ飛んで行く。
そのまま背中から壁にぶつかり、先にノビていたモヒカンの上に重なって倒れた。
モヒカン同様、スキンヘッドもそのまま動かなくなる。
「さて」
僕は残りの三人に、視線を向けた。
「次は誰の番だ?」
三人の顔を見ると、すっかり戦意を消失しているようだ。
「おまえ行け」
「やだよ。おまえ行け」
「俺は、今朝から腹が痛いんだ」
「俺なんか昨日から、歯が痛いんだぞ」
三人は先を譲るばかりで、一向にかかってくる様子はない。
「なんなら三人まとめてかかってきても、いっこうにかまわんが」
僕の提案を聞いた三人は、一斉に悲鳴を上げた。
「ひいい!」「許してくだせえ! だんな」「悪いのは全部、ここにノビている二人です」
あっさり仲間を見捨てるのか……
ん?
今まで、僕の背後に隠れていたミールが、トコトコと男たちの前に歩み出た。
「ふざけないで下さい。あたしたちに喧嘩を売っておいて、ただで許してもらえると思っているのですか」
「ど……どうしろと?」
「誠意を見せなさい」
おいおい、ミール。こんな時に損害賠償なんて……
「勘弁して下さい。アネさん」「あっしら、スカンピンで」「昨日からメシも食ってなくて……」
それで、僕からカツアゲでもしようとしたのか?
「あら? あたしが言う『誠意』とは、お金ではありませんわ」
え? 違うの?
「あたしたちはここへ、人探しに来たのです。探すのを手伝ってくれるなら、許してあげますわ」
なるほど! 蛇の道は蛇。こういう場所で人を捜すなら、こういう奴らに聞くのが一番だな。
「お安いご用で」「で、アネさん。誰をお探しで?」
ミールは男たちにミクの写真を渡し、特徴を伝えた。
「手がかりを見つけてくれたら、銀貨十枚あげますわ」
「十枚!?」「銅貨じゃなくて銀貨を!」「おまえら! 気合い入れて探すぞ!」
男たちは、ミクを探しに路地の奥へと消えていった。
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