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第十五章

通行許可

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 見張り小屋の中から男が出てきたのは、僕が五メートル手前まで来たときだった。

 さっき、オレークを撃った男だ。

 ちなみにもう一人の男は、オレークの死体 (分身体)を川に捨てた後、憑代よりしろを持って橋を渡り報告に行った。

 今、見張り小屋にいるのはこいつだけのはず。

「やあ」

 男が何か言うよりも先に、僕の方からさも当然のように声をかけた。

「や……やあ」

 男はリアクションに困ったようだ。

「あの……どちら様で?」
「例のブツを受け取りに来た?」
「例のブツ?」

 男は困惑しているようだ。

 そりゃあそうだろう。そんな話、最初から無いのだから……

「話が伝わっていないのか?」
「え? いや、聞き覚えが……」
「君では、話にならないな。直接トップと話してくる」

 僕はそのまま橋の方へ足を進めた。

「待ってくれ。勝手に渡られては、俺の立場が……」
「大丈夫だ。この橋の通行許可ならある」
「え? いや、許可証なんて発行していないが……」
「許可証ではない。これが通行許可だ」

 そう言って、僕は右の拳を握りしめて前に突き出した。

「え? どれが?」

 まだ意味が分かっていないようだな。まあ、普通は分からんか。

「ブースト」

 そのまま男は、ブーストパンチを食らって高々と舞い上がった。

「グガガガ!」

 男は地面に落ちてから、あごを押さえてのたうち回る。

 その男の、胸ぐらを掴んで引き起こした。

「おい。おまえ、さっき子供を銃で撃ったな」
「ウガガ!」

 あごの骨が砕けて、まともに声が出せないようだ。

「銃で撃たれたら、どれだけ痛いか知っているか?」
「ヴガガガガガ!」

 男は首を横にふる。

「知らないなら、今から教えてやろう」

 男はさらに首を激しく横にふる。

 許してくれと言っているようだが、許す気などない。

 分身体とは言え、子供を平然と撃つような外道を、どうしたら許せるというのだ。

 僕は男の身体を空中高く放り投げ、拳銃を抜いた。

 地面に落ちる寸前に、男の眉間を撃ち抜く。

 赤い血を流して地面に横たわる男は、すでに息をしていなかった。
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