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第十六章
昨日の敵は今日の友
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明け方頃、僕はミールとPちゃんを伴って《海龍》の甲板に出た。
時計に目を向けると、昨日の戦いが終わってから十五時間が経過している。
さらにその後、監禁していたカルルと古淵をヘリで北ベイス島地下施設へ送ってから十一時間が経過。
レム神との接続は、もう切れているはず。
「見えませんね」
まだ薄暗い明け方の空に、目を凝らしていたミールが呟くように言った。
「ミールさん。肉眼では見えませんが、レーダーには映っています」
程なくして、ローター音が聞こえてくる。
甲板上に誘導灯が灯り、ヘリが降りてきた。
ヘリの巻き起こす風で、ミールとPちゃんの髪がなびく。
だが二人とも、スカートを押さえているので髪を押さえる余裕がない。
不意にPちゃんが僕の方をふり向いた。
「ご主人様。そんなに私とミールさんのパンチラが見たいのですか?」
「ち……違う!」
「もう。カイトさんのエッチい」
「み……見たくなんか……ないぞ」
「ご主人様。嘘はいけませんね。健康な男性なら、女性のパンチラは見たいはずです」
「た……確かに『見たくない』と言えば嘘になる。だが、僕には理性がある」
僕は顔を明後日の方向へ反らした。
「理性? わしにはそんなもの無いぞ。パンチラなどまだるっこしい。わしがめくってやる。キョホホ!」
「きゃあああ!」「いやあああ!」
こんな時にややこしい事を……
「やめんか! ジジイ!」
ジジイを追い回している間に、ヘリとそれを護衛していた、芽衣ちゃんと橋本晶の九十九式が着艦した。
見ると、二人の機体はかなりの返り血を浴びている。
地下施設で戦闘があったという報告は聞いていたが、ここまで激しい戦いだったのか?
しかし、二人とも救援は不要と言っていたので僕は《海龍》に残っていたのだが……
「芽衣ちゃん。そんなに激しい戦闘があったのか? なぜ僕を呼ばなかった」
「え? 激しい戦闘なんて無かったですよ。せいぜいイリーナさんが手勢を引き連れてカルルさんを取り戻しに来ただけですが、ろくな装備も無かったのであっさりと撃退できましたし……」
「しかし、二人とも凄い返り血を浴びているではないか」
「これは……」
芽衣ちゃんは橋本晶の方を指さす。
「橋本さんが、羊狩りなんかしたからです。私までとばっちりで返り血を浴びました」
なんとなく、光景が想像できる。
ドン!
橋本晶が甲板上に大きな保冷バックを置く音が響いた。
「隊長、喜んで下さい。送迎会用の食材をゲットしました」
送迎会。これから、レイホー達とはお別れか。
寂しくなるな。
「レイホーさんが、腕をふるって羊肉料理を作ってくれると言っていました」
「そうか……それは楽しみだな……」
羊肉は、臭いが苦手なんだけど……
「それと朗報です。我々が地下にいる間に、カルカから来た補給船がビールを置いていってくれたそうです」
「ぬわにいいい!」
ビール! ビール! 夢にまで見たビールが飲める!
「美味いビールじゃったぞ。ちょっと甘みが強かったが……」
そうか。甘みが強いのか……ん?
「ジジイ。運ばれてきたばかりのビールの味を、なぜおまえが知っている?」
「なぜって、ワシが飲んだからじゃ」
「まさか、すでに半分は飲んでしまったとか言わないよな?」
「半分なんてとんでもない。九割方飲んだわい。カカカカカ!」
「なんだと! この野郎!」
ジジイを捕まえようとした時、背後から声がかかった。
「海斗」「隊長」
そこにいたのは、ヘリから降りたばかりのカルルと古淵。
二人とも、もう敵ではない。
カルルが一歩前に進み出た。
「海斗、ありがとう。ようやく、本来の俺に戻れた」
続いて古淵が……
「ありがとうございます、隊長。ようやく、解放されました」
「二人とも、操られている間の記憶はあるのかい?」
カルルも古淵も首を横にふる。
「疑似人格に乗っ取られている間の記憶は、残念ながらありません」
残念な事なのか? 忌まわしい記憶なんてない方が……いや、古淵は敵の情報が得られない事を残念だと言っているのだろう。
「操られている間の記憶はないが、俺本来の人格が目覚めている期間もあったから、おまえがレム神と戦っている事は知っていた」
「そうか。では、僕が二人目の海斗だという事は認識しているのだね?」
二人は同時に頷いた。
「あなたが、隊長とは別人である事は、認識しています。しかし、私には隊長と呼ばせて下さい。どうせこれからそうなるのだし……」
そうなるかなあ? まだ実感がわかないけど……まあいいだろう。
「海斗。おまえが俺の友達だった海斗とは、別人である事は分かっている。そして疑似人格に操られていたとはいえ、俺はおまえとは敵対してきた」
「ああ」
「それでも、これからは俺と友達になってくれるか?」
「僕はかまわない。それに、僕はすでにおまえとは友達のつもりだ」
昔から言うだろ。昨日の敵は今日の友だ。
それに本来のカルルも古淵も、元々敵ではなかったのだから……
時計に目を向けると、昨日の戦いが終わってから十五時間が経過している。
さらにその後、監禁していたカルルと古淵をヘリで北ベイス島地下施設へ送ってから十一時間が経過。
レム神との接続は、もう切れているはず。
「見えませんね」
まだ薄暗い明け方の空に、目を凝らしていたミールが呟くように言った。
「ミールさん。肉眼では見えませんが、レーダーには映っています」
程なくして、ローター音が聞こえてくる。
甲板上に誘導灯が灯り、ヘリが降りてきた。
ヘリの巻き起こす風で、ミールとPちゃんの髪がなびく。
だが二人とも、スカートを押さえているので髪を押さえる余裕がない。
不意にPちゃんが僕の方をふり向いた。
「ご主人様。そんなに私とミールさんのパンチラが見たいのですか?」
「ち……違う!」
「もう。カイトさんのエッチい」
「み……見たくなんか……ないぞ」
「ご主人様。嘘はいけませんね。健康な男性なら、女性のパンチラは見たいはずです」
「た……確かに『見たくない』と言えば嘘になる。だが、僕には理性がある」
僕は顔を明後日の方向へ反らした。
「理性? わしにはそんなもの無いぞ。パンチラなどまだるっこしい。わしがめくってやる。キョホホ!」
「きゃあああ!」「いやあああ!」
こんな時にややこしい事を……
「やめんか! ジジイ!」
ジジイを追い回している間に、ヘリとそれを護衛していた、芽衣ちゃんと橋本晶の九十九式が着艦した。
見ると、二人の機体はかなりの返り血を浴びている。
地下施設で戦闘があったという報告は聞いていたが、ここまで激しい戦いだったのか?
しかし、二人とも救援は不要と言っていたので僕は《海龍》に残っていたのだが……
「芽衣ちゃん。そんなに激しい戦闘があったのか? なぜ僕を呼ばなかった」
「え? 激しい戦闘なんて無かったですよ。せいぜいイリーナさんが手勢を引き連れてカルルさんを取り戻しに来ただけですが、ろくな装備も無かったのであっさりと撃退できましたし……」
「しかし、二人とも凄い返り血を浴びているではないか」
「これは……」
芽衣ちゃんは橋本晶の方を指さす。
「橋本さんが、羊狩りなんかしたからです。私までとばっちりで返り血を浴びました」
なんとなく、光景が想像できる。
ドン!
橋本晶が甲板上に大きな保冷バックを置く音が響いた。
「隊長、喜んで下さい。送迎会用の食材をゲットしました」
送迎会。これから、レイホー達とはお別れか。
寂しくなるな。
「レイホーさんが、腕をふるって羊肉料理を作ってくれると言っていました」
「そうか……それは楽しみだな……」
羊肉は、臭いが苦手なんだけど……
「それと朗報です。我々が地下にいる間に、カルカから来た補給船がビールを置いていってくれたそうです」
「ぬわにいいい!」
ビール! ビール! 夢にまで見たビールが飲める!
「美味いビールじゃったぞ。ちょっと甘みが強かったが……」
そうか。甘みが強いのか……ん?
「ジジイ。運ばれてきたばかりのビールの味を、なぜおまえが知っている?」
「なぜって、ワシが飲んだからじゃ」
「まさか、すでに半分は飲んでしまったとか言わないよな?」
「半分なんてとんでもない。九割方飲んだわい。カカカカカ!」
「なんだと! この野郎!」
ジジイを捕まえようとした時、背後から声がかかった。
「海斗」「隊長」
そこにいたのは、ヘリから降りたばかりのカルルと古淵。
二人とも、もう敵ではない。
カルルが一歩前に進み出た。
「海斗、ありがとう。ようやく、本来の俺に戻れた」
続いて古淵が……
「ありがとうございます、隊長。ようやく、解放されました」
「二人とも、操られている間の記憶はあるのかい?」
カルルも古淵も首を横にふる。
「疑似人格に乗っ取られている間の記憶は、残念ながらありません」
残念な事なのか? 忌まわしい記憶なんてない方が……いや、古淵は敵の情報が得られない事を残念だと言っているのだろう。
「操られている間の記憶はないが、俺本来の人格が目覚めている期間もあったから、おまえがレム神と戦っている事は知っていた」
「そうか。では、僕が二人目の海斗だという事は認識しているのだね?」
二人は同時に頷いた。
「あなたが、隊長とは別人である事は、認識しています。しかし、私には隊長と呼ばせて下さい。どうせこれからそうなるのだし……」
そうなるかなあ? まだ実感がわかないけど……まあいいだろう。
「海斗。おまえが俺の友達だった海斗とは、別人である事は分かっている。そして疑似人格に操られていたとはいえ、俺はおまえとは敵対してきた」
「ああ」
「それでも、これからは俺と友達になってくれるか?」
「僕はかまわない。それに、僕はすでにおまえとは友達のつもりだ」
昔から言うだろ。昨日の敵は今日の友だ。
それに本来のカルルも古淵も、元々敵ではなかったのだから……
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