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第十七章
効率よりも安全を重視しますので
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式神を乗せたゼロに続いて、さらに六機のゼロを飛ばし護衛に付けた。
その中の一機には、武装を取り外してプシトロンパルス観測装置を搭載している。
ミクの式神から、プシトロンパルスが出ていないかを確認するための処置だが……
「ミク」
《はくげい》発令所の床に敷いたマット上で、マンガを読んでいたミクが僕の方をふり向く。
今の式神は自律モード……つまり、ミクの命令を受けずに自分で考えて行動できる状態になっている。
プシトロンパルスを感知されない為の処置だが、この状態を維持するには、術者がうっかり式神に指示を出さないように式神から意識を反らしていると良いらしい。
そのためにミクは、式神から意識を反らすためにマンガを読んでいると言っていたのだが……
ミールからはそんな話聞いたことないし、マンガを読んでいても怒られないようにするために、ミクの奴そんな設定をでっち上げたのじゃないだろうな?
「ミク。式神には、どんな命令を出してあるのだ?」
「ん? 要塞内を探し回って、カルルの姿を見たら連絡する様に言っておいたよ」
「見つからなかった時は?」
「三時間過ぎても見つからなかったら、自力で戻るように伝えてある」
「自力で戻れるのか?」
「戻れるよ。朧よりは遅いけど、朝には戻ってくると思う」
ドローンオペレーションルームから、僕達のいる発令所に報告が入ったのはその時。
発令所のメインモニターに、二十歳ほどの美女オペレーターが現れる。
『長津田艦長。式神搭乗機に観測機を五十メートルまで近づけましたが、今のところプシトロンパルスは検出されません』
「ご苦労。鴨居三尉。引き続き観測を続けてくれ」
『了解しました』
通信を終えて長津田艦長は僕の方を向く。
「北村二佐。聞いての通りですが、問題はありませんか?」
そう言われた僕は、ジジイの方を向き……
「問題はないか?」
ジジイは不服そうな顔で答える。
「まあ、それだけ近づいても検出されないのなら問題はないじゃろう。しかしのう……」
「何か文句でも……」
「オペレーションルームの姉ちゃんから、艦長へ、艦長からおまえへ、おまえからワシへと伝言ゲームみたいな事は非効率的じゃ。ワシが直接オペレーションルームへ行った方が……」
「「却下!」」
艦長と僕は同時に叫んだ。
「なぜじゃあ!? プシトロンパルスの事は、ワシが一番詳しいんじゃぞ。そのワシがオペレーションルームにいた方が効率いいというのが分からんのか!」
「それは分かります。しかし、私は効率よりも安全を重視しますので」
「艦長の言うとおり。お前をオペレーションルームに入れたら、中にいる女性オペレーターが危険だからな」
「まったく、このフェミニストどもが……ワシをこんな女っ気のない発令所に閉じこめおって」
それを聞いてミクがムッとした顔で振り向く。
「何よ! 女ならあたしがいるでしょ!」
「胸の無いお子さまに用はないわ!」
「ムカつく」
インターホンの呼び出し音が鳴ったのはその時……
相手は先ほどの鴨居三尉。
『艦長! 式神搭乗機から、プシトロンパルスを感知しました』
「なに?」
『感知したのは一瞬で、今はプシトロンパルス反応感知できません』
ということは……
「ミク」
見ると、ミクは口を押さえて『しまった』と言いそうな顔をしていた。
「いっけなーい。あたし、一瞬だけ赤目と繋がっちゃったよ」
術者が感情的になるとそういう事もあるようだ。
しかし、まずいな。
今のミスで、プシトロンパルスを敵に感知されたか?
その中の一機には、武装を取り外してプシトロンパルス観測装置を搭載している。
ミクの式神から、プシトロンパルスが出ていないかを確認するための処置だが……
「ミク」
《はくげい》発令所の床に敷いたマット上で、マンガを読んでいたミクが僕の方をふり向く。
今の式神は自律モード……つまり、ミクの命令を受けずに自分で考えて行動できる状態になっている。
プシトロンパルスを感知されない為の処置だが、この状態を維持するには、術者がうっかり式神に指示を出さないように式神から意識を反らしていると良いらしい。
そのためにミクは、式神から意識を反らすためにマンガを読んでいると言っていたのだが……
ミールからはそんな話聞いたことないし、マンガを読んでいても怒られないようにするために、ミクの奴そんな設定をでっち上げたのじゃないだろうな?
「ミク。式神には、どんな命令を出してあるのだ?」
「ん? 要塞内を探し回って、カルルの姿を見たら連絡する様に言っておいたよ」
「見つからなかった時は?」
「三時間過ぎても見つからなかったら、自力で戻るように伝えてある」
「自力で戻れるのか?」
「戻れるよ。朧よりは遅いけど、朝には戻ってくると思う」
ドローンオペレーションルームから、僕達のいる発令所に報告が入ったのはその時。
発令所のメインモニターに、二十歳ほどの美女オペレーターが現れる。
『長津田艦長。式神搭乗機に観測機を五十メートルまで近づけましたが、今のところプシトロンパルスは検出されません』
「ご苦労。鴨居三尉。引き続き観測を続けてくれ」
『了解しました』
通信を終えて長津田艦長は僕の方を向く。
「北村二佐。聞いての通りですが、問題はありませんか?」
そう言われた僕は、ジジイの方を向き……
「問題はないか?」
ジジイは不服そうな顔で答える。
「まあ、それだけ近づいても検出されないのなら問題はないじゃろう。しかしのう……」
「何か文句でも……」
「オペレーションルームの姉ちゃんから、艦長へ、艦長からおまえへ、おまえからワシへと伝言ゲームみたいな事は非効率的じゃ。ワシが直接オペレーションルームへ行った方が……」
「「却下!」」
艦長と僕は同時に叫んだ。
「なぜじゃあ!? プシトロンパルスの事は、ワシが一番詳しいんじゃぞ。そのワシがオペレーションルームにいた方が効率いいというのが分からんのか!」
「それは分かります。しかし、私は効率よりも安全を重視しますので」
「艦長の言うとおり。お前をオペレーションルームに入れたら、中にいる女性オペレーターが危険だからな」
「まったく、このフェミニストどもが……ワシをこんな女っ気のない発令所に閉じこめおって」
それを聞いてミクがムッとした顔で振り向く。
「何よ! 女ならあたしがいるでしょ!」
「胸の無いお子さまに用はないわ!」
「ムカつく」
インターホンの呼び出し音が鳴ったのはその時……
相手は先ほどの鴨居三尉。
『艦長! 式神搭乗機から、プシトロンパルスを感知しました』
「なに?」
『感知したのは一瞬で、今はプシトロンパルス反応感知できません』
ということは……
「ミク」
見ると、ミクは口を押さえて『しまった』と言いそうな顔をしていた。
「いっけなーい。あたし、一瞬だけ赤目と繋がっちゃったよ」
術者が感情的になるとそういう事もあるようだ。
しかし、まずいな。
今のミスで、プシトロンパルスを敵に感知されたか?
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