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通りすがりの巫女
焼かれた憑代
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店内にある皿や花瓶、クッションなどが宙に浮かび上がった。
僕達は咄嗟に、テーブル下に隠れる。さっきまで、自分達が座っていた椅子を盾替わりして防御を固めた。僕の持っている椅子に物がガンガンぶつかってくる。
テーブルの外でも、皿や花瓶クッションが飛び交っている様子が、椅子の隙間から見えた。
宙に浮いていた花瓶が突然床に落ちて割れた。花瓶に張り付けてあった鉄片が剥がれたのだろう。
なるほど。最初に式神が店内の物に鉄片を貼り付けていく。準備が終わったら、電磁能力者が強力な磁界を発生させて騒霊現象を演出する。そういうカラクリだったか。
「痛!」
ミクさんが額を抑えていた。伝票入れが当たったみたいだ。
「ミクさん。大丈夫?」
「あたしは大丈夫だけど……式神のコントロールが……」
そうか! 式神で電磁能力者を探していたのだな。
「母さん。樒。ミクさんを守ろう」
僕達は三方に向けて椅子を構え、テーブルの下に飛び込んでくる物体からミクさんを守った。
「見つけた! 能力者はあっちよ!」
ミクさんの指差す先に樒が右腕を向け、素早く九字を切る。
「臨・兵・闘・者・皆・陳・烈・在・前」
現象が突然治まった。
浮いていた物体はすべて床に落ちる。
恐る恐る、僕達はテーブルの下から出てきた。
「ミクちゃん。奴は?」
樒の質問にミクさんは首を横にふる。
「式神をやられちゃった」
「ええ!? 式神をどうやって?」
「何か雷のような光線で、憑代が焼かれちゃったのよ」
「憑代って?」
ミクさんは懐から、人型に切りぬいた紙を取り出した。
「これが憑代よ。式神の中には、これが入っているの」
そう言って、ミクさんは人型を床に叩きつけた。
「出でよ! 式神」
紙の人型はムクムクと膨れ上がりウサギの姿になる。ウサギは後ろ足で立ち上がり直立するとミクさんに向かって頭を下げた。
「申し訳ありません。ミク様。油断しました」
「奴に何をされたの?」
「奴は電撃能力を持っていました。それに憑代を焼かれてしまったのです」
電撃!? ひょっとして樒のバイクをパンクさせたのも……
「そっか。やっぱ紙の憑代は火に弱いからね。耐熱素材に変えないと」
ミクさんがそう言った時、突然、客室のドアが開かれた。
店長かと思ったら、そこに立っていたのは……
「芙蓉さん?」
僕達は咄嗟に、テーブル下に隠れる。さっきまで、自分達が座っていた椅子を盾替わりして防御を固めた。僕の持っている椅子に物がガンガンぶつかってくる。
テーブルの外でも、皿や花瓶クッションが飛び交っている様子が、椅子の隙間から見えた。
宙に浮いていた花瓶が突然床に落ちて割れた。花瓶に張り付けてあった鉄片が剥がれたのだろう。
なるほど。最初に式神が店内の物に鉄片を貼り付けていく。準備が終わったら、電磁能力者が強力な磁界を発生させて騒霊現象を演出する。そういうカラクリだったか。
「痛!」
ミクさんが額を抑えていた。伝票入れが当たったみたいだ。
「ミクさん。大丈夫?」
「あたしは大丈夫だけど……式神のコントロールが……」
そうか! 式神で電磁能力者を探していたのだな。
「母さん。樒。ミクさんを守ろう」
僕達は三方に向けて椅子を構え、テーブルの下に飛び込んでくる物体からミクさんを守った。
「見つけた! 能力者はあっちよ!」
ミクさんの指差す先に樒が右腕を向け、素早く九字を切る。
「臨・兵・闘・者・皆・陳・烈・在・前」
現象が突然治まった。
浮いていた物体はすべて床に落ちる。
恐る恐る、僕達はテーブルの下から出てきた。
「ミクちゃん。奴は?」
樒の質問にミクさんは首を横にふる。
「式神をやられちゃった」
「ええ!? 式神をどうやって?」
「何か雷のような光線で、憑代が焼かれちゃったのよ」
「憑代って?」
ミクさんは懐から、人型に切りぬいた紙を取り出した。
「これが憑代よ。式神の中には、これが入っているの」
そう言って、ミクさんは人型を床に叩きつけた。
「出でよ! 式神」
紙の人型はムクムクと膨れ上がりウサギの姿になる。ウサギは後ろ足で立ち上がり直立するとミクさんに向かって頭を下げた。
「申し訳ありません。ミク様。油断しました」
「奴に何をされたの?」
「奴は電撃能力を持っていました。それに憑代を焼かれてしまったのです」
電撃!? ひょっとして樒のバイクをパンクさせたのも……
「そっか。やっぱ紙の憑代は火に弱いからね。耐熱素材に変えないと」
ミクさんがそう言った時、突然、客室のドアが開かれた。
店長かと思ったら、そこに立っていたのは……
「芙蓉さん?」
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