ヘパイストス

津嶋朋靖(つしまともやす)

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エピローグ

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「お帰りなさいませ。マスター」
 
 部屋に戻った私をPちゃんが出迎えた。

「お客様がお見えです」

 客? 私の部屋に? いったい誰が……?




 数ヶ月後……

 私は真っ黒な培養液で満たされた人工子宮の内部の様子を眺めていた。

 その中でうごめく胎児の姿はなんとも不気味で神秘的……そして愛おしい。

「だいぶ大きくなったな」

 私の背後でそう言ったのは、あの日ミケのアトリエが戻ってきたばかりの私に求婚プロポーズしてくれた朝霞 零。

 それから紆余曲折を経てこういう事態になったわけだ。

 ただ、彼にはまだ、ミケのアトリエであった事を話さないでいた。

 ミケにもずっと返事をしないでいた。

 このまま、何事もなかったかのように過ごそうかとも考えてきた。

 しかし、彼との間にできたこの子が育ってくるにつれて、私の中で不安が大きく膨らんできた。

 この子の将来はどうなるのか?

 滅亡はまだ先の事かもしれないが、この子が大きくなる頃にはその影響は顕著に現れているかもしれない。

 今なら、私の手でできることがある。

 しかし……私はこの場で初めて彼にミケのアトリエであった事を打ち明けた。

 話を聞き終えた彼は、しばらく考え込んでから口を開いた。

「それは、俺が代わりにやるわけにはいかないのか?」

 私は首を横にふった。

「そうか」

 彼はしばらくして人工子宮を指さした。

「この子の未来を守ってくれ。何があっても俺が君を守る」

 私は頷くとミケのアトリエにアクセスした。


  了
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