【BL】『ロドンのキセキ🌹瑠璃のケエス:芽吹』【BLxケモ耳系獣亜人x現代世界風異世界|完結済|全23話】

🍶醇壱🔹JUNICHI🍶

文字の大きさ
33 / 113
🌹『瑠璃のケエス:芽吹』💎本編🌹

Drop.007『 Ice and a litttle water〈Ⅱ〉』【3】

しおりを挟む
「――あのさ、桔流君」
「はい?」
 沈黙の中、不意に名を呼ばれた桔流は、首を傾げ、きょとんとした表情で花厳に応じた。
 花厳は、そんな桔流を見つめて思う。
(たとえ、一生寄り添える恋人になれなかったとしても、せめて俺が、桔流君の思い込みを変えるきっかけだけでも作れたら……)
 そして、そんな思いを胸に、花厳は、不思議そうに見返してくる桔流を改めて見据え、言った。
「――もし、君さえ良ければ、なんだけど、――俺と、そういう関係になってみるのはどう?」
「………………え?」
 桔流は、その予想外の提案に、しばし目を見開いた。
 しかし、言葉の意を解すと、すっと目を逸らしては目を伏せ、ゆっくりと言った。
「――……やめておいた方が、いいと思います」
 そんな桔流に、
「俺じゃ、見合わない?」
 と、花厳が言うと、桔流は慌てて首を振る。
「――まさか! ――花厳さんは素敵な人だと思います。――それこそ、俺には勿体ないくらいに」
 そして、そんな咄嗟の言葉を紡いだ桔流だったが、すべて紡ぎ終えたところで、一度上げた顔も目も再び伏せると、今度は耳も下げてしまった。
 しかし、そんな桔流を前にしても、花厳は引かなかった。
「それは俺もだよ。桔流君」
 花厳は、優しい声色で、ゆっくりと言葉を紡ぐ。
「――桔流君みたいな素敵な子は、俺なんかには勿体ないと思う。――でも、どうやらそんな君も、俺を素敵だと思ってくれてるみたいだ。――建前で言ったんじゃないなら、君は俺の事を“勿体ない”とまで言って、高く評価してくれてる。――なのに、それでも、“やめておいた方がいい”って言うのは、どうしてかな」
「それは……」
 花厳の問いに、桔流は戸惑う。
「――うん」
 花厳は、そんな桔流に穏やかに頷き、優しく見守った。
 そんな花厳に見守られ、しばしの沈黙を挟んだ桔流は、しばらくして、おずおずと言葉を紡いだ。
「――……俺はきっと、あなたを好きにはなれないから」
 花厳は、そんな桔流に優しく問い返す。
「どうして、そう思うんだい」
 桔流はそれに、ぎこちなく紡ぐ。
「俺は、これまで……、どんなに努力をしても、好きだと言ってくれた人を、“恋愛的に”好きになる事ができなかった……。――だからきっと、今回もそうだと思うんです。――たとえ、“人間的に”は好きになれても、“恋愛的に”好きになる事は、たとえ花厳さんであっても、きっとできないと思うんです……。――それに」
 桔流はひとつ区切ると、更に俯く。
 そして、苦しげな表情を浮かべると、弱弱しく続けた。
「――せっかく、――せっかくこうしてお食事したり、お話ししたりできるようになったのに……。――一度でも恋人になってしまったら、もう二度と、友人には戻れなくなっちゃうじゃないですか……」
「――………………」
 花厳は、その桔流の言葉に、黙したまま、しばし目を細める。
 そんな花厳に見詰められながら、桔流は更に続ける。
「俺は、これからも、花厳さんと色々なお話がししたいです。――だから……ここで花厳さんとお付き合いしてしまって、最後まで恋愛感情をもてなかった結果、花厳さんと二度とお話しできないような、花厳さんの元恋人――なんて事になるのは……、――俺は……嫌です……」
「………………なるほど」
 そして、桔流が思いの丈を紡ぎ終え、花厳がそれに幾分かの間を置いて頷くと、桔流は頭を下げた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

男の娘と暮らす

守 秀斗
BL
ある日、会社から帰ると男の娘がアパートの前に寝てた。そして、そのまま、一緒に暮らすことになってしまう。でも、俺はその趣味はないし、あっても関係ないんだよなあ。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

人気作家は売り専男子を抱き枕として独占したい

白妙スイ@1/9新刊発売
BL
八架 深都は好奇心から売り専のバイトをしている大学生。 ある日、不眠症の小説家・秋木 晴士から指名が入る。 秋木の家で深都はもこもこの部屋着を着せられて、抱きもせず添い寝させられる。 戸惑った深都だったが、秋木は気に入ったと何度も指名してくるようになって……。 ●八架 深都(はちか みと) 20歳、大学2年生 好奇心旺盛な性格 ●秋木 晴士(あきぎ せいじ) 26歳、小説家 重度の不眠症らしいが……? ※性的描写が含まれます 完結いたしました!

エリート上司に完全に落とされるまで

琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。 彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。 そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。 社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。

平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)

優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。 本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

電車の男 同棲編

月世
BL
「電車の男」の続編。高校卒業から同棲生活にかけてのお話です。 ※「電車の男」「電車の男 番外編」を先にお読みください

処理中です...