立派な淑女に育てたはずなのに

茜菫

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本編

22*

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「しかし……このままだと、そなたの好意を利用しているようだ」

 レアケはエスガを男として見られるのかと問われると、いまはまだ答えに窮する。けれども、自分へと向けられているエスガの想いは疑いようがなかった。だからこそ、レアケは自分がその想いを利用して王から逃れようとしているように思えて後ろめたい。

「俺はこの状況を利用して、魔女さまを抱こうとしている。だから、魔女さまも俺を利用してくれよ」

「エスガ……」

 エスガとて、純粋な善意だけで提案しているわけではないのだろう。想い続けたレアケを抱く絶好の機会だ。

「俺にも、魔女さまにも……利があると思う」

 おたがいに利がある、そう言われればレアケも少し気が軽くなった。ただ善意や好意だと言われるより、利があるからと言われる方がよほど信頼できる。

(……レイフ、いまに見ていなさいよ)

 王は契約で縛りつけた魔女を信頼したが、それは愚かだったと言わざるを得ない。魔女は王に従い、裏切ることができなくとも、魔女は裏切りの刃を常に胸の内に潜めていたのだから。

「……どうやら、そなたは本気のようだ。だが、私は抵抗しなければならぬ」

 エスガはレアケの言葉に少し安堵した顔をした。抵抗するという意志ではなく、しなければならないという義務の言葉だからだろう。

「あんまりしたくなかったけど……縛るしかないか」

「…………えっ、縛るの?」

 レアケは聞き間違いかと思ったが、いつ、どこから取り出したのか、エスガの手に縄があった。驚いて固まっているうちに、エスガによって後ろ手に縛られる。

「……まさか、縛られるとは思わなかったわ」

「ごめん、魔女さま。契約が解けたらすぐに解くから……痛くないか?」

「痛くはないけれど……」

 縄は魔法で補強されているようで、肌に触れる部分に痛みはなかった。レアケはそのままエスガに連れられ、塔の階段を上っていく。

「待って」

 侍女の部屋がある階まで上ったあと、レアケはそのまま最上階を目指そうとするエスガを引き止めた。

「……私の部屋は、嫌よ」

「あっ、そうだよな」

 レアケはあの部屋で散々嫌な思いをしてきた。その思い出とエスガを一緒にしたくなかった。

 エスガは慌てて引き返し、レアケの手を引いて侍女の部屋に入る。中に入った瞬間、レアケは自分の意志とは関係なく抵抗した。だが、魔法の使えないか弱い女の力ではまったく敵わなかった。

「……この部屋、そのままなんだな」

「侍女は、そなたが最後だったからの……きゃっ」

 エスガはレアケを軽々と抱き上げると、早足でベッドに向かう。あっさりベッドにたどり着き、降ろされたレアケはこれからここで抱かれるのだと現味が増して、胸を高鳴らせた。

(だっ、大丈夫かしら……私……)

 レアケは初めてではないものの、経験は少ない。王や王太子に襲われることはあったが、幻の魔法を使って難を逃れることを覚えたため、もう数十年も経験がなかった。

「待て……待って、エスガ!」

「魔女さま」

「いや、やめろと言っているわけではなくね! ……いえ、言うべきなのかしら……じゃなくて、その、私は、えっと……すぐ痛がって、面倒だと言われていたから……たっ、たぶん、あなた、楽しめないと思うの!」

 エスガはその言葉に顔を顰める。レアケはその反応を面倒くさがっているのだと思い、表情を暗くした。

「……そりゃあ、魔女さまは何十年も生きているから、これが初めてじゃないってのはわかるけどさ」

「だれがババアよ!」

「いや、言ってねえよ!?」

 久しぶりのやり取りにエスガは少しにやけていたが、咳払いをしてごまかした。その後、エスガはわざらしく不満げに唇を尖らせる。

「俺、魔女さまがほかの男と関係があった話なんて……聞きたくない」

「あ……」

 エスガが顔を顰めた理由がわかり、レアケは黙り込んだ。嫉妬されていることが少しうれしいような、気恥ずかしいような気がして顔を赤くする。

「……それって、男が下手だったのかもしれないだろ?」

「えっ、そんなことあるの?」

「いや、俺も経験ないからたぶんとしか言えないけど……」

 レアケは一度もそのように考えたことがなかった。行為を見せつけられた際に見たレイフは自信ありげであったし、彼と結婚したブリヒッタは痛がっている様子もなかった。そのため、レアケは自分の体に問題があるのだと思い込んでいた。

「……とにかく、痛くならないようにがんばるから」

「えっ、あ……そっ、そう……」

 どう反応すればよいのか分からず、レアケは曖昧に答えた。内心では同意の上だが、建前は王の命により拒むレアケをエスガが無理に抱こうとしている。どのように答えても、おかしい話だ。

 レアケの頬に手を添えたエスガは、彼女の唇に口づけようとした。だが唇が触れる直前、レアケは顔をそらす。

「だめ。噛む……かも」

 エスガは大人しく引き下がる。彼はささやかな抵抗で顔をそらしたままのレアケの服に手をかけ、前を寛げさせた。

 レアケの肌がエスガの目にさらされる。その白さも、ほくろの位置も、なに一つ変わっていない肌に、エスガは生唾をのんだ。

「魔女さま……」

 そっと触れられ、レアケはびくりと体を震わせた。彼の手はレアケの首元をなで、鎖骨をなぞり、ゆっくりと這いながら胸へとたどりつく。

「……っ」

 反応をうかがうようにやわやわと弱い力でもまれ、レアケは不安げに目をさまよわせる。くすぐったさを感じるやさしい手に落ち着かなかった。レアケの記憶にある限り、このようにやさしく触られたことなどなかった。

 そのままもまれ続け、存在を主張しだした頂きを指で摘まれる。軽く捏ねられ、指で弾かれ、弄られてレアケは息を吐いた。

「……っ」

 はじめはくすぐったいだけだったそれは、レアケが感じたことのない感覚へと変化していく。それに戸惑っているうちに、エスガはレアケの首筋に唇を寄せた。

 レアケはびくりと体を震わせながら息をのむ。エスガは軽く音を立てて口づけ、唇をゆっくりと下らせていった。

「あ……」

 唇が胸の頂きにたどりつくと、エスガは桃色のそれを唇で食んだ。舌先で転がされ、軽く吸いつかれ、レアケはえも言われぬ感覚に声をもらす。そのまま口と手で両胸をせめられ続け、レアケは下半身を甘くうずかせていた。

 身を起こしたエスガはレアケの両脚を開かせようとした。一応の抵抗でエスガを蹴りつけようとしたが、あっさりと足をつかまれて未遂に終わる。開かれた足の間、レアケの下着はさきほどの愛撫でぬれて染みを作っていた。

 エスガが下着を脱がせると、彼女の秘部が現れた。しとどにぬれる女のそれを初めて目にしたエスガは、ごくりと生唾をのむ。

「あ……っ」

 エスガは割れ目の周りに指を這わす。焦らすように肝心のところに触れない指の動きに、レアケはもどかしさを覚えた。

「あぁ……っ」

 切なげな声を漏らしたレアケは腰を揺らす。エスガの指が割れ目をなでるが、けっして中へ入ろうとしない。そこは指を欲しいと震え、とろりと愛液をあふれさせる。エスガはそれを指に絡ませると、割れ目にそっと添えられた小さな蕾を指で弾いた。

「ん……っ、あ、は……っ」

 レアケはその刺激に体を震わせる。指で蕾をなでられ、レアケは嬌声を上げた。そこをせめられ続け、声を上げて艶めかしく腰を揺らす。

「あっ、……ひっ、あぁっ」

 レアケは両脚を大きく開き、腰を揺らしながら喘いで達する。その痴態にエスガは目が釘づけになり、自身を熱くさせていた。
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